嫌で別れたいわけじゃない ~上手に離婚する方法~

離婚とは、夫婦関係にある男女が、ある事情で婚姻関係を解消することを指します。
意外だと思うかもしれませんが、現在のような離婚制度が成立したのは近代以降、明治になってからです。
では、それ以前はどのように離婚をしていたのでしょう。
今回は円満離婚を中心に、日本の離婚の歴史についても少しばかり触れていきたいと思います。

話し合いでの離婚 ~日本人の争い嫌いは昔から~

「離縁する」、「三行半を突き付ける」、「離縁状をたたきつける」など離婚をあらわす言葉はさまざまです。
しかしご存じでしたか?
江戸時代では男性側が「三行半」を書かなければ、女性は離婚することもできなかったのです。
現在、離婚を成立させるためには、原則として夫婦である男女の合意が必要とします。
今から150年以上前の江戸時代のころは、原則として男性から「三行半」を女性に差し出さなければいけませんでした。
このことは、「暴れん坊将軍」でおなじみの徳川吉宗が定めた、法律書、「公事方御定書」に記載されています。

「三行半」というと大抵女性から男性に突き付けるイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。
しかしながら、当時の女性が夫の同意を得ず、離婚するためには「縁切寺」に指定されている寺で3年、奉仕活動をおこない、寺から夫側へ離縁状を出さないといけませんでした。
とはいえ、それはあくまで法律上のお話です。
実際は、話し合いによる離婚が圧倒的に多かったそうです。
現在も離婚する夫婦のおよそ9割近くが、協議離婚、つまり夫婦間の話し合いで離婚をしているので、今も昔もあまり変わらないのかもしれませんね。

協議離婚の制度化は世界初?

日本は、今も昔も話し合いでの離婚を選択する方が多いとお話をしました。
離婚の方法には、他にも家庭裁判所を介す離婚調停や離婚裁判(訴訟)が挙げられますが、離婚をするために裁判所へ行くということは、欧米など、他の国では特段珍しいことではありません。
むしろ、夫婦間の話し合いである離婚協議で、離婚できる制度の方が珍しいのかもしれません。
というのも、夫婦間の協議による離婚、いわゆる協議離婚を制度化したのは世界で日本が初めてなのです。
現在も欧米諸国では裁判での離婚しか認められない国が多く存在します。
日本では「話合いで解決すること」が前提とされています。
日本がいち早く協議離婚を制度化したのは、裁判などの争いごとや揉めごとを嫌う民族性に起因しているのかもしれませんね。

円満調停と円満離婚のちがい

前章では日本の離婚に対する考え方や、他の国との制度の違いをお話しました。
今回は、本題の円満離婚について考えていきましょう。
また、似たような言葉に円満調停という手続きがありますが、円満離婚との意味合いが違います。
そのため、こちらについても併せて説明したいと思います。
そもそも円満離婚とは
円満離婚とは、夫婦同士が争うことなく離婚に同意し、離婚が成立することを指します。
揉めごとなくが基本になるので、離婚協議で離婚が成立したときとイコールだと思っても良いかもしれません。
協議離婚では、離婚の同意のほかに、婚姻費用・財産分与・子どもがいた場合は、親権や養育費なども話し合いがなされます。
離婚には同意していても、その他の金銭関係や親権で意見が合致しなければ円満離婚とはいえません。

円満離婚のメリットとは?

では具体的に円満離婚のメリットとはどんなことであるのか以下にまとめてみました。
① 離婚によるストレスが軽減される…離婚の有無や条件が合わずに、夫婦同士が争うと双方に精神的、肉体的なダメージを負うことがあります。
しかし、円満に離婚することが出来れば、感じるストレスも最小限に抑えられる可能性があります。
② お金がかからない…離婚の可否で夫婦が争う場合、調停、もしくは訴訟へともつれこむケースがあります。
その際に、家庭裁判所へ支払う経費や、有利にことを運ぶために弁護士へ依頼する費用のことも考えられるでしょう。
その他、不貞行為等が理由の場合、不貞行為があったと証明するための証拠を得るため、興信所や探偵に調査を依頼することもあると思います。
結果、必要経費といえど、多額のお金を消費することになります。
しかし、円満離婚を選択した場合には、基本的にお金がかかりません。
③ 早く離婚できる…家庭裁判所に離婚調停や訴訟を申立てすると、ケースによっては年単位で時間がかかることがあります。
しかし円満離婚であれば、夫婦間の話合いで決まるので、条件のすり合わせがスムースにいけば、数か月で離婚を成立させることも可能です。
④ 子どもを不用意に傷つけない…両親の離婚が子どもに与える影響は非常に大きいです。特に、両親が不仲でけんか別れをした際には、心に大きな傷を与える可能性があります。
しかし、両親が円満に離婚しているのであれば、子どもに与える影響を最小限に抑えられる可能性が高まります。
また、離婚後、親権(もしくは監護権)を持っていない親との面会についても、悪感情や罪悪感を持たずにのぞめるケースが多いでしょう。
以上が、円満離婚についての説明でした。
次に円満調停についてお話をしていきたいと思います。

円満調停とは?

家庭裁判所に申し立てをする「調停」とは、離婚することが前提であると、イメージしがちですが、必ずしも離婚を前提とした話し合いだけではありません
円満調停とは、離婚を目的としない調停です。
婚姻関係にある夫婦が、不仲になってしまったときに家庭裁判所へ申し立てをおこない、調停委員が夫婦の事情や、意見を聞いて不仲を改善させる、婚姻関係の継続を目的とした手続きになります。
円満離婚は、いさかいなく離婚することですが、円満調停は婚姻関係を継続するための話し合いであるとご理解ください。

円満離婚のポイント

どんな夫婦も争って離婚をしたくないと思います。
意見や条件が合わず、結果、争いに発展したとしたら仕方ないといえるでしょうが、最初から争いたいと思う好戦的な方はそうそうないでしょう。
今回は、円満に離婚が出来るポイントをお話していきたいと思います。
① 突発的に離婚を切り出さない…離婚を自分のパートナーに切り出すとき、その場の感情にまかせるのではなく、よくよく考えたうえで話すようにしましょう。
離婚に際しての協議は、自分自身の感情だけでなく親権や共同財産の取り分・養育費など金銭的な問題についても話し合わなければなりません。
そのため、一時の感情の揺らぎや、その場限りの考えで口に出さないようにしましょう。
② 離婚するデメリットを把握しておく…円満離婚を目指すためには、離婚することによってもたらされるメリットとデメリットを考えておくことが大切です。
具体的にお話すると、金銭的な問題や、子どもの養育に関すること、自分自身にかかる肉体的・精神的な負担のことです。
「子どもが小さく安定的な仕事に就けない」、「離婚したことによって子どもを養育する時間が極端に減ってしまう」といった様々なケースがあります。
そのため、離婚後の生活も視野に入れ、離婚のデメリットがどれほど大きいのかを事前に把握しておくことが大切でしょう。
③ 話し合いには冷静な態度でのぞむ…離婚の話合いをするときには絶対にけんか腰の態度は避けましょう。
例え、心のうちにどんな感情がうずまいていても、感情的にならず冷静に話すことが大切です。
④ 相手の主張や意見に聞く耳を持ち、すぐに否定しない…自分の意見だけを押し通そうとせずに、パートナーの意見に耳をかたむけましょう。
また、相手の主張や意見が受け入れられないものだとしても、即座に否定することは控えた方が良いでしょう。
主張や意見をすぐに否定してしまうと、相手方も意固地になりかねません。
自分自身と相手の意見、お互いにすり合わせをして、話し合いをすることで離婚後も良好な関係を築けると思います。
以上が、円満に離婚を進めるポイントとなりました。

円満離婚に至ったケース、至らなかったケース

円満離婚とはこちらでもお伝えしましたが、「夫婦同士が争うことなく離婚に同意し、離婚が成立すること」です。
そのため、離婚にいたる理由が何であれ、最終的に争いに発展しなければ円満に離婚したといえます。
以下のお話はどちらも相手方に原因があって、離婚を選択したケースです。
一方は円満離婚が成立し、もう一方は残念ながら円満離婚に至りませんでした。
一体何が分かれ目になったのでしょう。

ケース①

妻:あゆは(42)年収:400万円
夫:いさお(45)年収:700万円
子ども:あいり(13)中学生

いさおと私は、15年前に結婚しました。
子宝にも恵まれ、29歳のときに娘のあいりが産まれました。
いさおは、家事や育児にも協力的で良き夫であり、娘にとっても良い父親であったと思います。
波風立つことなく、充実した毎日を送っていた私ですが、3年前のある日、突然彼から離婚を切り出されました。
理由は、「好きな人ができた」というものでした。
10歳を超えた娘がいるのに、何を馬鹿なことをと最初は取り合わなかった私ですが、しつこくお願いしてくる彼に根負けし、離婚に向けた話し合いのテーブルにつきました。
親権や財産分与、養育費など具体的に離婚の話を進めました。

途中意見が折り合わず、衝突しかけたこともありましたが、お互い冷静に話し合おうと意識し、結果円満に離婚することができました。
親権は私が持ち、養育費は月々7万円、共同財産は私が7割、残りは夫へと分配することに決まりました。
円満に離婚できた理由としてはお互い冷静に話し合い出来たことや、彼を信頼できたことが大きいです。
夫婦ではなくなりましたが、今後は娘の親として付き合っていこうと思います。

ケース②

妻:とうこ(32)年収:400万円
夫:はじめ(36)年収:700万円
子ども:無

同じ会社の上司であるはじめとは、仕事を通して親しくなり30歳で結婚をしました。
生活のスタンスや、価値観が合ったので結婚後の同居生活について不満はありませんでした。
しかしちょっとしたことから彼の不倫が発覚。
身長も高く、スマートな印象の彼は、年下に人気があったのでしょう。
手を出した相手は私の後輩にあたる子でした。
「もう絶対に浮気しないから、愛してる」と彼が言うので、情にほだされて、「もうこれきりだからね」と一度は許しました。
それなのに舌の根も乾かないうちに、今度は違う女と不倫をし始めたのです。
とはいえ、付き合うきっかけや結婚に関して、私が強引におし進めたので、即離婚とは考えませんでした。
例え別れるにしても、わだかまりを残さない別れ方をしたいと思いました。
そこで、私と彼はこれからのことに関して話し合いをはじめました。
しかし、価値観が合っていたはずの私たちの意見は平行線。

だんだんと腹が立ってきて、次第に私たちの仲は最悪になりました。
夫婦間の話し合いは感情的になってしまい、まったく前に進みませんでした。
結局、家庭裁判所へ離婚調停を申し立て、険悪なまま離婚に至ってしまいました。
円満な離婚を目指していたはずなのに、何が悪かったのでしょう。
後悔が尽きません。

ケース①、ケース②ともに夫の異性関係が理由で離婚することになりました。
2つのケースの違いは、夫と妻で異なっていた意見をすり合わせるために、根気よく話し合ったかどうかではないでしょうか。
円満に離婚を進めるのであれば、夫婦同士での意思疎通が大切だということが良く分かりますね。

まとめ

今回は、夫婦間の話し合いで解決する円満離婚についてお話しました。
完全に後悔なく離婚するケースはかなり珍しいことでしょう。
しかし、夫婦が真剣に離婚に向き合って、話し合いをおこなえば後に残る後悔が少なくなる場合もあります。
離婚をしても、そこで人生が終わるわけではありません。
そのため、後の人生に遺恨のない選択ができればと思います。

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