養育費って何? ~離婚をするときにもらえる子供のための費用~

子どもが生まれると、母親となった女性は生活の中心が育児になると思います。
家事に育児、さらに仕事を持っている方は、仕事も両立させなければいけません。
そんなとき、夫が育児に協力的じゃなかったら…
「離婚」の2文字がよぎってしまうこともあるでしょう。
今回は、子どものいる女性が離婚の際、考える「養育費」についてお話していきたいと思います。

そもそも養育費って何が含まれるの?

「養育」という言葉を広辞苑で引いてみると、「養い育てること。はぐぐむこと」記載されています。
辞書にのせられている養育費の意味とは、子どもが衣食住の不足なく暮らすためのお金といえます。
しかし実際に、離婚して親権(もしくは監護権)を持っている方に支払われる養育費は、衣食住のみだけでなく、子どもを教育するために使われるお金という意味も持っているのです。
とはいえ、いちがいに教育するためのお金といっても、とても広い範囲になってしまいますよね。
具体的に何が養育費に当たるのか以下にまとめてみましたので、確認してみましょう。
【養育費にあたるもの】
① 食費
② 住居費
③ 衣服費
④ 医療費
教育費

上から4つ目までは、人が生活を送るためにはなくてはならないお金ですね。
問題は⑤の教育費で、しばしば離婚の話し合いでも、どこまでの範囲が教育費に当たるか議論されることがあります。
そもそも、子どもに教育を受けさせることは国民三大義務にあたり、日本国憲法26条に「教育の義務」として記されています。
そのため、義務教育である小学校6年間、中学校3年間の計9年間については、教育に必要なお金として、当然認められるでしょう。
問題は、義務教育終了後の高校の費用や、大学の費用が、養育費として認められるのかどうかということです。
現在中学校を卒業し、高校に進学する子どもの割合は、98パーセントに及んでおり、更にその先の大学・短大進学率は57.8パーセントまで上昇しています。
つまり、ほとんどの子どもが高校に進学し、更にはその50パーセント以上が大学短大にいっているのです。
現在、世帯年収が910万円以下の家庭は、国から学費の給付金(※)がでていますが、私立高校に進学し、学費が高額の場合、その給付金では足りないことがあります。
では養育費として、請求することが可能なのでしょうか。
答えはイエスであり、ノーでもあります。
離婚したパートナーの収入によっては、私立高校の学費が養育費として認められないケースもあります。
また、同じく大学の費用も必ずしも養育費として請求できるとは限りません。
他にも、塾や習い事にかんしては、学校教育ではなく任意によるものだとして、請求できないこともあります。
とはいえ、家庭裁判所をとおした調停や裁判ではなく、夫婦間の離婚協議で取り決めをおこなったものであれば、お互いの裁量で養育費の金額を決めることが出来ます。
教育費は子どもの未来につながる大事なものですから、離婚する際にはさまざまな状況を想定して話し合いや取り決めをした方が良いでしょう。
※2020年4月に高校就学支援制度が変更され、世帯年収590万円未満の家庭に給付されている給付金の上限額が上がります。
詳細についてはこちらをご覧ください。

ご存じですか? ~離婚した女性は養育費を貰ってない~

前章では、養育費とは具体的にどんなものであるのか、また子どもの教育費についてお話をしました。
今回は、離婚をして、親権(もしくは監護権)を取得した方が、実際に養育費を貰っているかをテーマにして、確認していきたいと思います。
以下の表は離婚して親権(もしくは監護権)を取った女性に対して養育費が支払われているかをまとめたものになります。

  定期的に支払い 不定期に支払い 支払いが無くなった 取り決めしていない 取り決めたが未払い 再婚して不要になった そのほか
全体 25.5 4.0 8.7 28.2 13.8 6.8 13.0
シングルマザー 35.8 5.8 9.9 26.8 14.9 0

 

6.9
再婚者 8.1 1.1 6.8 30.5 12.0 18.3 23.2

※20代~50代の離婚経験のある女性 2,665人を対象とした統計結果

上記の表を確認してみると、シングルマザーで定期的・不定期にかかわらず養育費の支払いを受けている人は、全体の41.6パーセントで過半数に満たない割合でした。
また、再婚者については、シングルマザーに比べ養育費の支払いがかなり低い割合となっています。これは、すでに別のパートナーがいるため、支払う必要がなくなった(あるいは、もらう必要がなくなった)と考えているためかと思われます。
シングルマザー、再婚者を含めた全体でみると、養育費が支払われている割合は29.5パーセントと、3割にも満たないという結果になりました。
また、このアンケートとは別に「養育費が不払いになった場合、家計の中でどの費用を削れるのか」という内容のアンケートを取ったところ、教育費が全体のおよそ半分を占めました。
次いで食費や日用品の費用、3位が交際費やレジャー費という結果になりました。
子どもの教育にお金をかけすぎて、肝心の衣食住が不足するといった事態は、本末転倒ですが、そもそも教育とは子供の可能性を大きく広げられる大切なものです。
養育費などの取り決めは、離婚届を出す前におこなわないと、元配偶者と連絡がつかなくなったなどの理由から、話し合いすら出来なくなる可能性があります。
現在子どもがいて離婚を考えている方は、ぜひ養育費について良く考えていただければと思います。

養育費の決め方とは?~年収と関係する養育費の相場~

先ほどまで、シングルマザーの方や再婚された方に支払われている養育費の状況についてお話させていただきました。
今回は、離婚した際の養育費の決め方について確認していきたいと思います。
まず、協議離婚を選択した場合、具体的にいくら支払うかは夫婦間の話し合いで決まります。
極端な話、夫婦の話し合いをし、お互いの合意があれば月々の支払いが0円であろうが、1億円であろうが構わないわけです。
とはいえ、養育費を支払う側もそれぞれ収入が違います
月収が20万しかないのに、養育費を15万円と取り決めしたとしても、支払いされなくなるのが関の山でしょう。
そのため、収入に見合った現実的に支払える金額を取り決めることが大切です。
しかし、自分の収入に対して、どれくらいの養育費が妥当なのかと言われても、大部分の方はとまどってしまうのではないでしょうか。
そんな時に利用できるのが、裁判所で公表されている養育費算定表です。
こちらを確認していただくとわかるとおり、養育費を支払う側の年収と、貰う側の年収を照らし合わせて金額が決まります。
さらに、子どもの人数や年齢に応じて、細かく算定表が分かれています。
例を挙げると、夫の年収が500万円で、子どもと暮らしている妻(親権者)の年収が300万円だとしましょう。
子どもの数は1人で、7歳である場合、親権者である妻が夫から貰える養育費の金額は、月々4万円から6万円となります。
子どもがいて、離婚協議をする場合には、事前に夫の年収と自分の年収を確認し
養育費の相場を把握しておくと良いでしょう。

みんなの養育費相談

これまで養育費について、様々なことをお話してきました。
今回は実際にあった相談例を挙げ、養育費をどれくらい貰えるのか、また養育費が支払われなくなった場合の対処方法を確認していきましょう。

ケース①

相談者:めいこ(25)職業:派遣社員 年収:250万円
夫:むねあき(24)職業:大工見習 年収:308万円
子ども:2人 息子:みきたか(7)娘:まりや(5)
高校生の時に一つ年下の幼なじみと付き合いました。
避妊に失敗し息子のみきたかを妊娠。
高校在学中の妊娠だったので、双方の両親は大反対。
子どもが出来たことには、衝撃をうけましたが、好きな人との子どもだったので嬉しさもありました。
まだ、むねあきが結婚できる年齢ではなかったので、未婚の状態でみきたかを産み、彼が18になるのを待って籍を入れました。
その後、20歳のときに娘のまりやも生まれました。
夫は、高校卒業と同時に大工見習となり、一生懸命働いて、きちんと家にお金を入れてくれていました。
贅沢は出来ないけれど、家族4人で楽しく暮らせていました。
しかし、まりやが2歳になる頃、家計を助けるために私がフルタイムで働くようになってから彼の様子が変わりました。
今までだったら、休みの日は子どもの面倒を見てくれていたのに、パチンコやスロットに行くようになったのです。
ギャンブルが悪いとは言いませんが、問題はそのお金使いのあらさでした。
2人の収入は月々30万円ちょっとです、そこから家賃や光熱費、食費、子どもにかかるお金を引くとほとんど手元に残りません
それなのに、彼はギャンブルに行くと、1回で3万円ぐらい使うのは当たり前、時には10万円以上負けてくることもありました。
「ギャンブルをやめろとは言わないけど、せめてもう少し家計のことを考えてほしい」とお願いしましたが、「大勝ちするときもあるんだからトントンだろ」と開き直った態度をとるばかり。
せめて勝ったお金を家計に入れてくれればいいのですが、祝勝会とかいってすぐに使ってしまいます。
おかげで現在は、私のすくない給料で、なんとか生活をまかなっている状態です。
離婚を考えているのですが、今後、彼の性格を考えると養育費を貰えるのかが心配です。

夫がギャンブルなどで家計にお金を入れてくれない時には…?

今回のめいこさんのケースでは、夫であるむねあきさんと離婚することは可能だと思います。
また心配されている養育費ですが、めいこさんと夫の年収、14歳以下の子供が2人いることを考えて、相場は大体2万円から4万円になります。
しかし、むねあきさんには、お金の使い方をみると、浪費癖があると推測され、夫婦間の契約だけでは養育費が支払われない可能性があります。
そのため、多少お金がかかりますが、協議した取り決め内容を公正証書に残しておいた方が良いでしょう。
離婚協議の内容を公正証書にすると、万が一養育費が途中で支払われなくなったとしても給料差し押さえなどの強制執行を速やかにおこなうことが可能です。

ケース②

妻:ホウコ(43)職業:主婦 年収:無
夫:ヘイジ(45)職業:官公庁職員 年収:850万円
長女:フウカ(16) 次女:ヒロミ(14)

夫ヘイジとは職場が一緒で、私は彼の上司の秘書をつとめておりました。
どんなに忙しいときでも柔らかい笑みをたたえ、ねぎらってくれる彼を好きになり、上司を味方につけて、交際に発展しました。
その後、交際は順調に進み結婚。2人の子供に恵まれました。
結婚生活18年、夫には不満がないのですが、近所に住んでいる義母との折り合いが悪いです。
義母はいわゆる過干渉の母親で、ことあるごとに口を出してきます

そして、彼女の意見が聞きいれられないとへそをまげ、私への悪口を言ってくるのです。
義母は、長年にわたって、非常にバラエティに富んだ言葉で私を中傷してきました。
自分だけが標的ならば、まだ我慢もできたのですが、私の娘たちにも悪質な嘘を吹き込んでいたことが判ったのです。
ある日、娘たちのただならぬ雰囲気を感じ、問いただしたところ、前々より義母から「娘たちは、私が不倫して出来た子で、きたない子だと」と言われつづけていたらしいのです。
この根も葉もない話を、幼いころから聞かされ続けていたとしらされ、私は目の前が真っ暗になったように感じました。
そこで義母につよく抗議しましたが、義母はどこ吹く風、夫は自分の母親を叱ろうともせず、「まあまあ」となだめるばかりでした。
娘たちが傷ついているのに、文句の1つも言えない夫と、人格までも否定するような嘘を吹き込む義母のことが心底いやになって、真剣に離婚を考えています。
ただ、自分の経済力では、娘たちの今後を考えるとちゅうちょしてしまいます。
どうすれば良いでしょうか。

義母が原因で離婚? 専業主婦が貰える養育費の相場とは…?

今回のホウコさんのケースでは、まず夫ヘイジさんとの2人で話し合いをした方が良いと思います。
ヘイジさんの温厚そうな人がらから、あらそいを避けるために、母親の前では意見を言いづらいようにも見えます。
また現在、ホウコさんは頭に血が上っている状態で、冷静に物事を見られていない可能性があります。
離婚するにせよ、回避するにせよ、ヘイジさんの母親を介さないで、将来をふまえた現実的な話し合いが必要であると感じます。
なお、離婚した場合に、ホウコさんが手にできるであろう養育費の相場は、月々16万円から18万円になります。
比較的高額である理由は、ヘイジさんが高収入であることと、ホウコさんに収入がないことが挙げられます。
養育費を支払う側の年収が同じでも、支払われる側の年収がない、もしくは低い場合、一般的に高い額での取決めをします。
また、今回のケースでは、結婚歴が長いため、養育費に加え、財産分与なども検討する必要があるでしょう。

まとめ

今回は、離婚に際しての養育費についてお話をしてきました。
子どものいる夫婦が離婚した場合で、親権(もしくは監護権)を持っている女性が、養育費を貰っていない割合が高いという現状をみて、驚かれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
養育費は、子どもたちの将来を左右する可能性のある大変重要なお金です。
夫婦間での話し合いでらちが明かない場合には、専門家である弁護士に依頼したり、家庭裁判所に調停を申し立てても良いかもしれません。
また、前章のケース①で紹介したとおり、離婚協議で取り決めをしても養育費の支払いが滞ることはままあることです。
そのため、先行投資、必要経費だと割り切って離婚協議書を公正証書にしておきましょう。

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