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離婚後の暮らしで万一のことがあったらどうしよう……この不安への対処法に詳しい桔梗さんから、次のお話を伺ってまとめました。
- 生活保護制度とは?
- 生活保護の受給条件
- 離婚後における生活保護の申請手続き
- 生活保護の申請が通りにくいといわれる理由
- 生活保護が受けられない場合の対処法
離婚の暮らしに備え、生活保護について確認しておきたい人は、要チェックですよ。
生活保護制度とは?
離婚後にどうしても暮らしていけず生活保護を受けたい場合、どんな制度なのかを知っておく必要があります。そこで生活保護の基礎知識について確認しておきましょう。
生存権を保証するための制度
生活保護制度は、憲法で規定された「生存権を保証するための制度」です。病気や事故など、何らかの原因で生活が困窮してしまった日本国民は、生活保護の受給対象となるかも。
どれだけの困窮度合いが生活保護を受けられるのかに関しては、「持っているすべての資産や能力を活用しても、なお最低限の生活が送れずに困窮する場合」といえます。そのため、土地などを売却すれば生活が成り立つ状況なら、すぐに受給することはできません。また働ける体があるのに働いていない場合も同じで、生活保護を受けることはできないのです。
生活保護で受けられる助成内容
生活保護を受けると、生活費が支給されます。一口に生活費といっても、いろいろなシーンで助成を受けられます。以下に一例をご紹介します。
- 家賃
- 食費
- 光熱費
- 医療費
- 介護費
- 出産費用
- 子どもの学用品費
- 仕事に就くために必要な教育訓練費用
- 葬祭費
生活保護の受給条件
「具体的には、どんな人が生活保護を受けられるの?」と思ったあなた。ここでは生活保護における4つの受給条件について、まとめましたのでチェックしておきましょう。
資産がない
資産とは、わかりやすく言うと貯金や車、不動産などのこと。先述のとおり、今持っている資産を活用してもなお、生活に困窮する人が生活保護の対象なので、資産がある人は対象外となります。
逆にいうと、手持ちの資産をすべて売却しても、生活に困窮してしまう人は対象となりえるのです。
働けない
難病や精神疾患などの病気や障害によって、働けないことが生活保護を受ける際の条件の1つ。これを確認するため、生活保護の申請時には、医師の診断書や障害者手帳など、働けないことを証明する書類などが必要となります。
まわりから援助を受けられない
まわりから援助を得られないことが生活保護の一条件。シングルマザーの場合には、前の夫も含めて、援助してもらえないことが前提に。もし援助を受けていたとしても、最低限度の生活費を満たしていない状況だとしたら、生活保護の対象になる可能性があります。
ほかの制度を利用しても、なお生活が困窮している
児童扶養手当(母子手当)や児童手当など、受けられる制度を活用しても最低限度の生活が送れない場合、生活保護が支給されます。逆にいえば、受けられる制度があると知らず、うまくほかの制度を受けられる場合には生活保護の対象外となるでしょう。

離婚後における生活保護の申請手続き
離婚後にお金がなくなってしまい生活保護を受けたい場合、どんな風に手続きすれば良いのでしょうか。ここでは離婚後における生活保護の申請方法について、ご紹介します。
必要書類
パートナーと別れたあとに生活保護を受ける場合、必要書類を準備しなければなりません。どんな書類が必要なのかについては、以下を参考になさってください。
- 身分証・印鑑(手続きの際に必要)
- 戸籍謄本(離婚したことを証明するため)
- 医師の診断書・障害手帳(働けないことを証明するため)
- 住民票など(家族構成を証明するため)
- 所得・課税証明書(収入状況を証明するため)
申請方法
生活保護の申請は現住所を管轄する福祉事務所です。先ほどお伝えした必要書類を持ち、福祉事務所の生活保護担当の窓口へいきましょう。申請時には事前相談があることを知っておくと、突然の面談にも驚かずに済むでしょう。
申請が終わると、生活保護担当によって、保護を決定するかどうかの審査がはじまります。資産状況や就労の可否、まわりの人からの援助を受けられないかどうかなどをチェックされ、条件を満たしたと判断されたあと、生活保護の受給を受けられるのです。
生活保護の申請が通りにくいといわれる理由
離婚をしてひとり親となったとしても、近年は生活保護を受けづらくなっているといわれています。
日本の生活保護受給者は、年々増加傾向。これを受けて各自治体の財政が圧迫されている状態です。そのため、生活保護の所管課が審査を厳しくする、「水際作戦」を取り入れ、簡単には受給を認められなくなったのです。水際作戦で追い返されたシングルマザーのなかには、確実に条件に当てはまっている人もいるといわれています。
生活保護受給者が増加している大きな要因は2つあげられます。なぜ生活保護受給者が増えているのか、見てみましょう。
一度受給すると働きたくなくなる
生活保護を受けることで働く意欲がなくなってしまい、生活保護を受給しつづけるパターンです。最低限度の生活しか送れませんが、働かずにお金をもらえる状況に甘んじて、現状維持を望む人は大勢います。そのため、生活保護受給者が減らづらい状況が続いているのです。
生活保護を受けるためにわざと対象になろうとする人が増えた
生活保護を受ければお金をもらえるので、わざと離婚をする人など、条件を満たそうとする人が増えています。本当は働こうと思えば働ける人や、形だけ離婚して隠れて一緒に住んでいる男女もいるとされています。このような状況が、生活保護受給者を増やしているとされており、生活保護受給者への世間の目は冷たくならざるを得ない状況に。
本来なら生活保護費は、一時的に仕事ができなくなり、困っている人への支援金。つまり、生活を再建するまでの費用をサポートするための制度なのです。しかし、このような現状から本来の目的に沿っていないとの声もあがっています。
生活保護が受けられない場合の対処法
生活保護が受けられず、生活に困窮してしまった場合にはどうすれば良いのでしょうか。そんなときは、生活福祉資金制度を利用しましょう。
生活福祉資金制度とは、一時的に生活の資金を借りることができる制度のこと。借金なので返す必要はありますが、連帯保証人を立てれば無利子に。
もし連帯保証人立てられない場合でも、1.5%とかなりの低金利になるので重宝します。2人以上の世帯で月に20万円まで生活支援費を借りられるので、お金が足りなくなったときは活用すると良いでしょう。
生活福祉資金制度は、国が低所得者のために設けた、セーフティネットのひとつ。シングルマザーもたくさん使っている公的支援制度なので、安心して利用できるでしょう。
まとめ
離婚によって経済的に苦しくなったとき、生活保護を受ければなんとか暮らしていけるかもしれません。そういった状況にならないのが一番ですが、万一の事態を想定しておくことは重要です。
生活保護の基礎知識や受給条件、申請方法などを把握しておけば、いざというときに素早く手続きに移れます。この記事を参考に、離婚後の生活におけるリスクヘッジの方法をおさえておいてくださいね。
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