ドメスティックバイオレンス~私は彼と離婚ができるのか~

「ごめんね。痛かったよね、でも愛しているからだよ」
「好きだから、直してほしいから殴っちゃうんだ」

パートナーに暴力を振るわれた後、こんな言葉をかけられたことはありませんか。
好きであっても、愛していても、暴力は決して許されることではありません。

今回、DVを受けている、もしくはDVを受けているのではないかとお考えの方に向けて、「離婚」のお話をしていきたいと思います。

こんなときは要注意 ~DVは愛情じゃない!~

DVといってもどこからがDVに区分されるのか、わからない方もいらっしゃると思います。
ひとくちにDVと言っても、良くイメージされる身体的暴力だけでなく、様々な種類があります。
以下に種類と具体例を記載しましたのでご確認ください。

DVは身体だけじゃない、どんな種類があるの?

・身体的暴力…叩いたり、蹴ったり、髪の毛を引っ張ったり、引きずり回す等といった行為。
・精神的暴力…大声で怒鳴ったり、誹謗中傷したり、無視したり、脅しつける行為。
・社会的暴力…家族や友人と会うのを制限したり、行動を監視したり、禁止したりする行為。
また、メールやSNS等のメッセージを執拗にチェックすることも社会的暴力に該当する。
・経済的暴力…生活費を渡してくれなかったり、仕事を辞めさせたり、家計のお金を了承なしにギャンブル等で消費する行為
・性的暴力…避妊に協力しなかったり、同意のないキスや性行為を強要したり、無理やり中絶させる行為。
・子供を利用した暴力…子どもに暴力をふるったり、子どもにパートナーを非難させたり、悪口を言わせたりする行為。

以上がおもな暴力行為に該当するものでした。

では次にDVをする夫がやりがちな言動や行動について確認してみましょう。

DVする傾向にある男性の行動とは…?

DV傾向にある夫がする行動は主に以下4点が挙げられます。

・「束縛が異常…「妻の人間関係や行動を常に把握しておきたい」、「パートナーのすべてを知っていたい」といった趣旨の言動が見える
・支配欲が異常…気に食わなかったり、思い通りにならなかったりすると、すぐに不機嫌になる
・人によって態度が変わる…上司など目上の人には従順な態度を取り、部下や店員などに横柄な態度をとるなどといった行動をとる
・責任転嫁する…パートナーに非があるのに、こじつけて妻に責任を押し付けようとする

以上が、DVする傾向にある男性の行動でした。
自分のパートナーに上記の行動がすべて当てはまるなどといった場合には、すでにDVを受けている可能性が高いので、自覚することが大切です。

DVを受けている女性が陥りがちな心理状況とは…?

前章ではDVの種類やDV傾向にある男性の特徴について触れました。

今回は、DVを受けている女性の心理について、3つ挙げていきたいと思います。

①自己承認力が低くなる…暴力を日常的に受けていると、自分を肯定することができなくなります。
相手の暴言を受けて、「自分には価値が無い」「こんな最低な私を受け入れてくれるのは彼だけだ」と錯覚してしまうのです。

②相手の行動を許してしまう…パートナーの意見に反対することが出来ない、もしくはする気も起きないという心境に陥りがちになります。
その心境の根底にはパートナーへの恐怖や依存があるだろうと考えられます。

③諦観を覚えてしまう…日常的に暴力を振るわれ続けると、次第に気力がすり減り、無気力状態になってしまいます。
何をしても無駄」「抵抗しない方が殴られない」といった諦めの境地に達している場合にはうつ病を発症していることも考えられるのです。

上記のような心理状態であると、加害者側のパートナーと共依存になっている可能性が非常に高いです。
共依存とはお互いに依存しすぎた状態のことを指します。
共依存状態に陥ると、視野がせばまり、DVしているパートナーがすべてだと感じるようになります。
この状態が続くと、最悪のケース自殺や心中、殺人へと発展することがありますので、何とか脱け出さねばなりません。
では、どうすれば脱け出すことが出来るのでしょうか。

DVからの脱け出し方とは…

DVから逃れる第1歩はずばり1つです。
DVを受けていることを自覚する」に尽きます。
ただし、一見して簡単とも思えることが、DV被害を受けている方にとっては1番の難題です。

長期的にDVを受けていると、マインドコントロールをされている状態と言えます。
例えるなら、DVをしているパートナーのことを絶対的支配者、「神様」のような存在だと錯覚してしまうのです。
したがって、暴力を受けている状況に「疑問」を覚えることが大切です。

「どうして殴られているのだろう」、「彼がいないと本当に私は何も出来ないのだろうか」などなんでもいいです。
とにかく、暴力を受けるということが「日常」ではなく「異常」であることを自覚してください。

パートナーが絶対的な存在ではなく、価値観の基準ではないと感じたうえで以下の行動を取れればと思います。

  • DVを受けているという証拠集め
  • 別居する

① DVを受けているという証拠集め

DVを受けたという証拠は、離婚時の慰謝料請求のほか、警察に提出する被害届や裁判所に保護命令を出してもらうときなど、様々なシチュエーションで必要になってきます。
有効な証拠は主に以下のようなものです。
1. DVを受けている動画や音声データ
最も有効な証拠の1つです。
相手の同意のない録音や、動画の撮影などは一見違法行為に感じられると思います。
しかし実際は、秘密録音や盗聴する行為そのものは犯罪ではありません
無断で家に侵入して盗聴器をしかけたり、録音した内容を周囲にばらして、名誉を傷つけたりするような行為をおこなうと犯罪になるのです。

2.DVの内容が書かれた日記や手帳
DVの内容を記載した日記やメモなどは有効な証拠になり得ます。ただし日記は、どうしても主観的になりがちなので、記録をつける場合には、日付や場所などを明記すると良いと思います。

3.診断書やDVを受けた傷の写真
DVを受けたときの写真のみでは、DVを受けた証拠としてやや弱いですが、受傷した診断書とセットだと、証拠の有効性が高まります。

② 別居する

①で証拠が取れた場合や、パートナーの暴力が悪化した場合には、出来るだけ早い段階で別居することをおすすめします。
DVは生命の危機に及ぶ可能性が高いので、別居までのスピードはとても重要です。
別居する場合、以下の注意点をふまえて行動してください。

1.自分名義の通帳やカードなどを持っていく
通常、妻の収入が低く別居する場合には、パートナーが婚姻費用を支払う必要があります。
しかし、DVで別居した際、パートナーが素直にお金を支払ってくれるとはかぎりません。
したがって、通帳・キャッシュカードのほか、現金・クレジットカード・実印などは必ず持っていくようにしましょう。

2.身分証明書や衣類などの生活必需品
別居後、生活必需品が足りず、困らないようにある程度の期間を想定して用意しましょう。
ただし、家具や家電類の持ち出しはパートナー側に揉める一端を与えることになります。
言いがかりをつけてくるリスクを考えながら、持ち出すものを決めた方が良いです。

3.思い出の品や子どものものなど
大切な思い出にまつわる品は、当人にしかその価値が分かりません。
捨てられてしまう可能性があるので持ち出しておいた方が良いでしょう。
またパートナーとのあいだに子どもがいる場合には、おもちゃや勉強道具、アルバムなど子どもにとって必要なものも持ち出しましょう。

別居時に持ち出す必要のあるものの紹介をしました。
DV行為をするパートナーと別居した後すぐに離婚できるケースは少ないです。
多くの場合、互いの主張がかみ合わず、話し合いが長引いたり、当人同士での話し合いでおさまらず調停にもつれこんだりすることがしばしばあります。
そのため、別居する前には必要なものを持ち出しておくことが大切なのです。

なお、別居するための費用が無いときには、共有財産のお金を持ち出すことも可能です。
ただし、離婚協議の財産分与で使用した分のお金が引かれる可能性があることを考慮しておきましょう

体験談

さやかさんのケース

妻:さやか(34)職業:専業主婦 年収:なし
夫:ただし(36)職業:年収:600万円
子ども:せいじ(0)

私と、夫のただしはお見合いアプリで知り合い、交際が始まりました。
穏やかで決して怒鳴らない彼に惹かれ、付き合って1年でゴールインしました。
結婚当初は、恋人のような関係が続き、幸せな日々を送っていました。

しかし、その数か月後くらいからでしょうか。
次第に言動が乱暴になり、暴力を振るわれるまでに時間はかかりませんでした。
みそ汁の味が濃い」という理由で殴られたり、友達や家族とランチに行くと激しくののしられたりしました。
彼は私に「僕がいなきゃ生きていけない」「出来そこない」と言いながら殴ってきました。
いつも暴力的であれば、離婚する覚悟を持てたのかもしれませんが、暴力をふるったしばらく後、我に返ったかのように私に謝罪を繰り返すのです

また性行為についても、無理やり行為をはじめられます。
「いやだ」と拒否しても、最中に頬をぶたれたり、つねられたりして、「避妊してほしい」と伝えても、聞く耳を持ってくれませんでした。
はじめのうちは抵抗していましたが、抵抗すればするほど暴力や暴言がひどくなることを学習し、次第に何も感じなくなりました。
以来4年間、彼から振られる暴力をじっと耐えてきました。

転機になったのは妊娠でした。
暴力をふるう男が父親で良いのかという疑問から、次第に自分を取り巻いている状況が異常だと理解し始めました。
そこで、家族や支援センターの方と連絡を取り合い、アドバイスを受け私に暴言を吐いている音声を録音し、別居することに成功しました。
支援センターの協力もあって、裁判所に保護命令を出してもらうこともできました。

現在は、姉の住んでいる都市で生活をしています。
夫は、「何も言わずに別居するなんて不法行為だ」と言っていますが、対応は支援センターに紹介してもらった弁護士の先生に任せています。
未だ離婚は成立していませんが、子どもも生まれたので、早く離婚を成立させ、この子と2人で生きていきたいです。

まとめ

今回はDVを受けている方に向けてのお話をさせていただきました。
意外と思われるかもしれませんが、DVは案外周りに露見しにくく、また、自分さえ耐えればいいと考えてしまいがちです。
しかし、繰り返しになってしまいますが、暴力はどんな理由であれ決して許されることではありません

継続して暴力を受けていると共依存に陥り、自己否定しかできない状態になります。
またうつ病やPTSDを発症する可能性が高くなるのです。
そのため、少しでもおかしいと思ったら、家族や友人などの第三者に相談して見てください。
家族や友人に話しにくい方は、DVナビやDV相談窓口、支援センターなどの機関を利用することをおすすめします。

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