どんなに好きでも、愛していても、倫理的に絶対に許せないことってありますよね。
パートナーが犯罪者になる、もしくは過去に罪を犯していると知った場合どうでしょう。
生活苦で魔が差してしまい、万引きをおこなうといった止むを得ない理由(それでも犯罪はダメですが)であったらいくらか納得も出来るでしょう。
しかし、痴漢やのぞきなどの性犯罪で捕まった場合には…
今回は、パートナーが痴漢で捕まった場合の離婚についてお話していきたいと思います。
痴漢がバレたときの恐ろしさ~心の傷は大きい~

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警察から、「パートナーが痴漢で捕まった」なんてことがわかったら、頭が真っ白になってしまいますよね。
パートナーが痴漢で逮捕された場合、考えられるパターンは2つだと思います。
①パートナーの冤罪を信じる
②心当たりがあり、パートナーが痴漢をしたと納得できる。
①の場合は、パートナーの代わりに弁護士へ依頼して、勾留期間を最短で済ませるようにしたり、パートナーの勤めている会社に逮捕されたことがバレないように、欠勤の申請などをするかもしれません。
一方で②の方については、①のような行動をとる方も多くいらっしゃるかと思います。
しかしパ-トナーが痴漢を繰り返していた場合や「痴漢をした」ということがどうしても許せなかったときには離婚を考える方も少なくないでしょう。
加えて、痴漢はほかの性犯罪に比べて、再犯率が高いと言われています。
つまり、何度も痴漢で逮捕される、もしくは示談をおこなっている場合には、また同じことが繰り返される確率が高いのです。
自身だけならば、比較的容易に離婚の可否を決められるかもしれませんが、お子さんがいる場合には、離婚するメリットやデメリットを深く考えていく必要があります。
父親が痴漢で逮捕されたということが周囲にバレてしまうと、学校でいじめられたり、からかわれたりして肩身の狭い思いをするかもしれません。
またお子さんが「父親が性犯罪で捕まった」という事実を知ったときに受ける衝撃は計り知れず、心に大きな傷を残してしまう可能性があります。
とはいえ、生活費がほぼパートナーの収入によって賄われていた時には、お金の面で悩んでしまうこともあるでしょう。
離婚した方が良いのかはケースバイケースなので、一概には言えません。
また、性の不一致でセックスレスであった場合には罪の意識や責任を感じる場合もあると思います。
次章ではセックスレスが痴漢行為と関連性があるのかを確認していきたいと思います。
それはあなたのせいじゃない ~セックスレス≠痴漢行為~
セックスレスとは?
性の不一致や生活のすれ違いなどで、夫婦がセックスレスになることはしばしば起こり得ます。
人それぞれ違いはあると思いますが、「月に1度も性行為がない」といった」頻度だとセックスレスと言っても良いようです。
また2018年度、厚生労働省が公表した「第6回全国家庭動向調査」によると、75.7パーセントの夫婦が「性交渉をしていない」と回答しています。
なお、日本は世界で1番性行為の少ない国と言われており、世界平均が年に104回に比べて、48回とかなり低い水準です。
セックスレスが痴漢を増進させる?
日本の多くの夫婦がセックスレスであるとお伝えしてきました。
ではパートナーとのセックスレスが原因で痴漢をしてしまうということはあり得るのでしょうか。
夫婦のセックスレスと痴漢の相関性は、今のところ見つけられていません。
したがって、夫婦間で性行為のない状態が痴漢に直結するわけではないのです。
というより、冷静になって考えてみるとわかる通り、セックスレスだからといって、「不倫」や「痴漢」をしても良いという理由はありません。
そのため、パートナーの痴漢行為に対して責任を感じる必要はないのです。
人間ですから魔が差して、本能のおもむくままに行動したいというときもあるでしょう。
しかし、何を失ってしまうのかを考えれば、性依存症でない限りある程度は抑えられるはずです。
実際に、痴漢を繰り返し行ってしまう男性のなかには、性依存症を患っている方が少なくありません。
痴漢歴のある方の半数以上が、行為中に勃起していないというデータもあります。
このことからも、痴漢がセックスレスを要因とした性欲発散であるとは必ずしもいえないのです。
痴漢を理由にした離婚は認められるの?
ここまで、痴漢やセックスレスとの関連性などについてお話をしてきました。
今回は痴漢を理由にして離婚が出来るかどうかを考えていきたいと思います。
法律で定められている離婚事由(以下法定離婚事由)は5つあります。
・不貞行為
・悪意の遺棄
・3年以上生死不明
・配偶者が重度の精神病を患い、回復が見込めない場合
・その他婚姻を継続し難い重大な事由
痴漢行為は、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」にあたるでしょう。
痴漢行為が発覚してすぐに離婚ができるの?
パートナーが痴漢をした場合、即離婚が出来るのか。
結論から言えば、可能です。
ただし、相手の同意がある場合に限ります。
日本の離婚は、話し合いで解決することを主としており、痴漢を理由に離婚したい場合には、夫婦間で離婚協議をする必要があります。
したがって、いくらこちらが離婚したいといっても、協議離婚を選択した場合には、相手の同意を得なければならないのです。

パートナーに離婚を拒否されたら…?
夫婦間の協議で離婚を拒否された場合には、2パターンの対処法が考えられます。
①弁護士に依頼する
②家庭裁判所に調停を申し立てる
①弁護士に依頼する
費用はかかりますが、弁護士に依頼することは手段のうちです。
また、痴漢が理由で離婚する場合、慰謝料が他の理由に比べて相場が高い傾向があります。
パートナーに支払い能力があった時には、弁護士に依頼しないケースよりも多く貰える可能性があります。
更に、ストレスに感じるパートナーとの条件交渉も代理してもらえるので、精神的な負担が軽減されることもメリットとして挙げられるでしょう。
金銭的に余裕がある際には、弁護士に相談してみるのも良いと思います。
②家庭裁判所に調停を申し立てる
離婚協議で折り合いがつかない場合には、家庭裁判所に「夫婦関係調整調停(離婚)」を申し立てることによって、離婚が成立することもあります。
調停とは調停委員が夫婦双方の言い分を聞いて、妥協点を見つけ出し話し合いで解決を目指すものです。
しかし、パートナーの痴漢が初犯であった場合、法定離婚事由にあたるか証明することが必要になるケースもありますので、必ずしもこちらの主張が通るわけではない点に注意が必要です。

体験談

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前章では、痴漢を理由に離婚が出来るかどうかを考えていきました。
今回の章では、パートナーの痴漢で離婚が成立した体験談を紹介したいと思います。
ちかこさんのケース
妻:ちかこ(37)職業:建築事務所のアルバイト 年収:100万円
夫:けん(37)職業:インテリアコーディネーター 年収:500万円
息子:けいし(12)小学6年生
共同財産:200万円
夫であるけんとは、同じ大学の建築学科で、21歳のころから付き合いはじめて、27歳の頃に結婚しました。
結婚してからしばらくの間、正社員として建築事務所で働いていたのですが、29歳のときに息子のけいしが産まれたことを機に、仕事を辞めました。
その後、けいしが小学生になるまでは、専業主婦として家事や子育てにいそしみ、小学校に上がってからは、以前勤めていた事務所でアルバイトとして雇ってもらっていました。
けんはまじめで、よく働き夫としても父親としても申し分ない人でした。
しかし、けいしが小学3年生に上がったころでしょうか。
痴漢の容疑で警察にお世話になったことがあります。
その時は、弁護士の先生にお願いして、示談を成立させ、被害届を取り下げてもらい事なきを得ました。
また、けいしが産まれて以降、お恥ずかしながら夫婦の夜の生活がありませんでしたので、こちらとしても罪悪感があり、離婚はしませんでした。
けれども、1年ほど経った頃、警察から連絡があり、痴漢で現行犯逮捕されたと連絡が来ました。
2年前に痴漢の容疑をかけられた際、「もう二度としない」と約束していたのに、過ちを繰り返したことで、百年の恋も冷めた気分でした。
また、けいしも思春期に入りはじめ、デリケートな時期でしたので、今後のことを考えて離婚に踏み切りました。
夫婦間で話し合いをおこなったところ、夫は離婚を全く受け入れてくれず、らちが明かないので、家庭裁判所へ調停を申し立てました。
彼の痴漢行為が初めてではなく、2回目であったことや今後の息子への影響を考えて離婚を主張したところ、1年ほどかかりましたが離婚が成立しました。
息子の親権は私が持ち、慰謝料として共同財産の全部を私が取得することになりました。
加えて、養育費の支払いを月々7万円の取り決めもおこないました。
面会交流はけいしが望んだ場合にのみ、許可することにしました。
彼には夫の痴漢が理由で離婚したことを伝えていませんが、薄々感づいているようで、「お父さんの顔も見たくない」と言っていました。
建築事務所の所長に事情を話したところ、ちょうど人手が足りないということで来月から正社員として雇ってもらえることになりました。
今後は、息子の心のケアを中心に、親子二人で頑張っていきたいと思います。
まとめ
パートナーが痴漢した場合の離婚についてお話をしてきました。
痴漢はほかの性犯罪に比べ、再犯率が突出して高いと言われています。
こちらの章でもお伝えしましたが、繰り返し痴漢をしてしまう場合、性依存症を患っているケースが多く、治療が必要になることがほとんどです。
治療には長い時間を要することがあり、治療期間中も痴漢をしないとは限りません。
したがって、パートナーが痴漢で逮捕された場合には、子どものことを含め、今後のことをよく考えて決断した方が良いでしょう。
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