泥沼離婚? ~親権をとるための調停~

パートナーとの離婚を決めた方は、誰でもショックを受けると思います。
加えて協議で主張が折り合わず、争いになってしまうと、更に精神的疲労を覚えてしまうでしょう。

お子さんがおり、親権でもめたときには、殊更だと思います。
今回、親権をめぐって調停にもつれ込んだ場合のことを考えてみたいと思います。

親権は母親の方が取りやすいって本当?

お子さんのいる夫婦が離婚する場合、必ず決めなければならないのは親権をどちらの親が持つかです。
親権とは大きく以下の2つに分けることが出来ます。
1.子の財産を管理する権利
2.子を養育する権利

親権は母親の方が取得しやすい」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか。
その言葉の意味は、一般的に母親である方が子と接している時間が多いとされているからです。
親権者を決めるうえで、一番大切なのはどちらが子にとって幸せなのかになります。
したがって、接する機会の多い母親の方が有利になる可能性が高いのです。
なお、子の親権に関しては、年齢が低ければ低いほど、母親の必要性が増し、ある程度自己判断が出来る年齢になると、子の意志が考慮されるようになります。

と、ここまでは母親である方が、親権を取得しやすいとお伝えしましたが、これはもちろん子育てに取り組んでいたことを前提にしています。
お子さんを放置したり、虐待したりといった問題があった場合には、たとえ母親といえども親権取得は簡単ではありません

【親権問題】親権は女性が絶対有利?争いになったら調停や訴訟を回避するには?

協議でどうしても折り合いがつかない ~調停とは?~

前章では、母親が親権を取得しやすい理由についてお話ししました。
今回は、親権の有無が協議で折り合いがつかず、調停にもつれ込んだケースについて考えていきましょう。

協議離婚と調停離婚の違いは?

協議離婚と調停離婚の違いを簡単に言うと、夫婦だけで離婚を決めるかどうかです。
夫婦間の話し合いで離婚を決める協議離婚は、親権の有無を決め、離婚届と証人2人を用意すれば離婚が成立します。
養育費や慰謝料、婚姻費用など離婚前に決めておいた方が良いものはありますが、極論、親権さえ決めてしまえば離婚は可能なのです。

しかし、調停は違います。
調停をするためには、まず夫婦のどちらかが家庭裁判所に「調停したい」と申立てをしなければいけません。
夫婦や内縁関係の男女関連の申請書は、裁判所のページで確認できますが、親権で折り合いがつかない時には、「夫婦関係調整調停(離婚)」を提出します。

【調停離婚】離婚を調停で成立させるメリットとトラブルについて確認しよう

調停で親権を取るための条件はあるの?

親権取得で調停にもつれ込んだ場合、主に以下のようなことが考慮されます。
・養育実績
・収入
・両親など親族が育児に協力してくれる環境があるかどうか
・健康状態

養育実績

親権取得において、婚姻中、子の養育を誰が主にになっていたかが重視されます。
例え妻側の不貞行為(性的行為のあった不倫)や散財などが原因であったとしても、育児を放棄していたり、虐待をしていない場合には親権取得に有利になるでしょう。
ただし、15歳以上の場合は、子にも親権をどちらに持ってほしいか選択ができるので、心に留めておいた方が良いです。

収入

一定の職に就いており、相応の収入がある、もしくは安定的な収入が見込める場合、親権取得にある程度の考慮がなされます。

両親など親族が育児に協力してくれる環境があるかどうか

離婚をすると、今まで2人でになっていた育児を1人でおこなうわけですから、負担が大きくなります。
また、多くの場合、お子さんのため、生活のために働かねばならないので、周囲の協力を得られていた方が親権を取得しやすいといえると思います。

健康状態

大前提のことですね。育児と仕事を両立するにあたって、まずは健康状態が良好でないとなりません。
親権者である親が倒れてしまう環境が子の幸せとは言えませんので、ある意味当然と言えば当然かもしれませんね。

上記が調停で考慮される主な事柄になります。
とはいえ、収入に関しては父親の方が高いことが多いですが、仕事が忙しく育児が出来ない状態では本末転倒です。
したがって1点を満たしているからと言って必ずしも親権を取得できるわけではないということを留意しておきましょう。

調停で親権取得を優位に進める対処とは…?

調停で親権を争う際、調停委員のほかに調査官という人が子の生活環境などの調査をおこなうことがあります。
この調査官は親権取得に大きな影響を及ぼすので、事前に準備しておくことが大切です。
調査官に良い印象を持ってもらうためにも以下のことを気を付けましょう。

・調査官と約束した時間は厳守
・自分が親権者にふさわしいということを明確に主張する
・親権取得に不利な点がある場合には、あらかじめ対策を考えておく
・子のスケジュールを把握しておく
・自宅訪問がある場合には、部屋をきれいにする

調査官と約束した時間は厳守

時間にだらしない方に良い印象は持てませんよね。
育児に関してとても一生懸命なのに、つまらないことで悪印象を与えないようにしましょう。

自分が親権者にふさわしいということを明確に主張する

感情論ではなく、今までの養育実績を語るようにしましょう
今までにあった事実を子の年齢に沿って説明するといいかもしれません。
いきなり主張できるものではないので、メモなどを用意してある程度筋道を立てておくと良いと思います。

親権取得に不利な点がある場合には、あらかじめ対策を考えておく

親権取得に不利になる主なこととしては、「育児放棄」「虐待」「収入」「子を連れずに別居したことがある」などが考えられます。
程度にもよりますが、「育児放棄」や「虐待」をしていたケースでは、当然のことながら親権が取得できる確率は下がります。
しかし「収入」に関してや、子と離れていた時間が短い場合の「別居」ならば対策を立てられることもあると思います。

自宅訪問がある場合には、部屋をきれいにする

時間を守ることと同じよう、部屋があれた状態だと子を育てる環境として、良いとは言えません。
したがって、訪問がある際にはある程度自宅を掃除しておいた方が良い印象につながると考えられます。

上記が調査官の調査に際しての事前に準備しておくことでした。

まとめ

今回は親権の争いで調停にもつれ込んだ場合の対処法についてお話をさせていただきました。
調査官の項目でもお話をしましたが、親権取得をする際に、相手に好印象をいだかせることはとても大切になります。
それは、調査官のみならず、調停委員や裁判官に対しても同じことが言えます

特に調停委員は、夫婦のあいだに立って、双方の主張を聞く役割があります。
その際には、一生懸命育児をしてきたことを伝えて、心証を良くしておくと良いかもしれません。
また、より親権の取得の可能性が高くなる方法のひとつとしては、弁護士に相談し、依頼することも手段のうちです。
自分がどのように動けば、親権を取る確率が高くなるのかをしっかり考えて、行動できると良いですね。

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