【離婚後の生活】シングルマザーが利用できる支援制度を紹介(手当編)

「女は弱し、されど母は強し」ということわざがあります。
意味は、「女性は弱い存在とされているが、子どものためなら強くなれる」ということです。
確かに、男性に比べ力は女性が多く、また経済的にも弱い立場にある方が多いかもしれません。
しかし、出産を経て、「子どもを守る」と決めた女性の強さは、天井知らずに魅力的です。
今回はそんな頑張るシングルマザーに向けた支援策や養育費などについて考えていきたいと思います。

【養育費の支払い率は低い】シングルマザーの実情

夫婦が離婚にいたるまでの過程は、人それぞれですが、お子さんをお持ちの方が離婚を決意するということは、思いもひとしおでしょう。
ひとりで育児をし、養育するために働くことはとても大変です。
また、離婚したパートナーが養育費をちゃんと支払ってくれるような人であれば、多少なりとも力を抜くことが出来ますが、もちろんそんな人ばかりではありません。
実際に、養育費を定期的、不定期にしろ、貰っているシングルマザーは、全体の5割にも満たない程度です。
また、子どもが幼い場合には、育児中心の生活になります。
したがって、フルタイムで働くことが出来ず、生活に困窮してしまうといった事態も考えられます。

シングルマザーが直面するトラブルとは…?

シングルマザーが生活するにあたって直面するトラブルはおもに以下になります。

①お金
②子どもの預け先について
③仕事

①お金

多くのシングルマザーが頭を抱えている問題ではないでしょうか。
生活するにしても、子どもを預けるにしてもお金が必要になることがほとんどです。
実際に、シングルマザーの貧困は社会問題として顕在化しつつあります。
また、先ほどもお伝えしましたが養育費の不払いの問題もあります。

2020年4月1日に民事執行法が改正され、財産開示手続きの罰則の強化裁判所の調査権限が拡大されたため、離婚時養育費について公正証書を作成した方はとりっぱぐれが少なくなったかもしれません。
しかし、養育費の不払いのトラブルを抱えている方のすべてが公正証書を作成しているとは限らないので、まだまだ根深い問題と言えそうです。

②子どもの預け先について

幼い子どもを抱えている方にとって、保育園や幼稚園など、保育施設の確保は急務です。
自分の両親や家族などに子どもを預けられる環境が整っている方は良いでしょうが、みんながみんなそういうわけにもいきません。
また、保育園に入園させたい場合には、仕事に就いていないと後回しにされる傾向があります。
したがって、就職活動をしたくても、預け先が一時保育のような保育料が高額になりがちなところしかなく、断念してしまうということもあります。

なお、2019年10月より保育園・幼稚園の無償化が開始されました。
収入関係なく、3歳から5歳までの子どもは基本的に保育料が無料になり、0歳から2歳についても所得制限(※)はありますが、無償で預けることが出来ます
※住民税非課税世帯に限ります。条件は各地方自治体によって若干異なる場合がありますので、詳細についてはお住いの地域の役所にお問い合わせください。

③仕事

シングルマザーの就職活動の現状は、大変厳しいです。
子どもが大きくなって、手がかからなくなれば、ある程度、時間の制限も緩みます。
しかし、乳児や幼児であった場合には、どうしても子ども優先になってしまい、仕事へあてられる時間が少なくなってしまいます
また、子どもが怪我や病気をしたときには、止むを得ず仕事を休んだり、早退しなければなりません
最近は、育児に寛容な企業が増えてきましたが、まだまだ理解をしてくれないところもあるので、人間関係にあつれきを生んでしまう可能性があります。
なお、②でお伝えしたとおり、仕事をしていなければ保育園に入れることも難しいので、そこにジレンマを感じている方も多いのではないでしょうか。

以上が、シングルマザーになって直面するおもなトラブルの紹介でした。
①、②、③のどれをとっても、生活を営んでいくうえで非常に大切なものです。
加えて、上記では触れませんでしたが、健康の問題もあります。
母親の健康でないと、働くことも出来ず、結果「貧困状態」に陥ってしまうことがしばしば発生しています。
でも、お金が無いと生活できないし…」とお悩みの方もいるでしょう。
次章では、育児のために収入が低くなりがちなシングルマザーへの支援制度について詳しく考えていきたいと思います。

【離婚を考えている方へ】離婚の事前準備を確認しよう

 

生活が苦しいときにシングルマザーが利用できる公的支援制度

前章では、多くのシングルマザーが直面するトラブルについてお話いたしました。
現代の日本で生活するためには、どうしたってお金が必要です。
食費、日用品の購入費用、電気・水道、ガスなどの光熱費
加えて養育にかかるお金が引かれていきます
収入より支出が多く、なくなく貯金を切り崩したり、場合によってはお金を借りる選択を迫られることもあるでしょう。
中には貯金がなかったり、融資を受けられるほどの収入が見込めず、結果、悪徳業者に引っかかったり、最悪のケースでは自殺や心中に発展する可能性があります。
このようになる前に、何か手立てがないのか。
公的な支援策について考えていきましょう。

シングルマザーが利用できる支援制度について

シングルマザーが利用できる支援制度はおもに以下のようになります。

①児童手当
②児童扶養手当
③住宅手当
④医療費助成制度
では、支援を受けるためにはどのような条件があるのか、制度ごとに確認していきましょう。

①児童手当

この制度は、母子家庭関係なく、すべての家庭にむけた制度になります。
日本国内に住所がある子どもで、0歳~15歳までが対象です。
月の支給額に関しては、下記の表をご参考ください。

0歳~3歳未満 3歳~12歳(小学生) 13歳~15歳(中学生)
第1子 15,000円 10,000円 10,000円
第2子 15,000円 10,000円 10,000円
第3子以降 15,000円 15,000円 10,000円

※年収が960万円以上を超えている場合は、基本的に一律5,000円支給になります。

ただし、扶養人数によって異なる場合がありますので詳細につきましては、こちら(内閣府)をご参考ください。
月額と聞くと、毎月支給されるイメージですが、実際はそうでなく、原則として毎年2月、6月、10月に支給されます。
また、自動的に支給されるわけではなく、役所にて手続きをおこなうことが必要です。
加えて一度申請した後でも、毎年現況届を提出しないと、支給されませんのでご注意ください。
支給時期は各自治体で若干異なる場合がありますので、詳細を確認したい方は、お住いの役所にお問い合わせください。

②児童扶養手当

児童扶養手当は、離婚、死別かかわらず、母子家庭、父子家庭が対象となる支援制度です。
対象は0歳から18歳に到達して最初の3月31日を迎える子どもです。
支給される金額は、①と同様扶養人数や収入によって異なります。
支給区分は以下になっています。

全部支給 一部支給 不支給
第1子 42,910円 10,120~42,900円 ×
第2子 53,050円 15,190〜53,030円 ×
第3子以降 59,130円~(※1) 18,230円~(※2) ×

※1 第3子以降、子ども1人につき6,080円加算されていきます。
※2 第三子以降、子ども1人につき、3,040~6,070円の範囲で加算されていきます。

3つの区分の所得制限は、扶養人数によって異なりますが、大体収入が0円~365万円(※)位であれば一部支給になる可能性があるかしれません。
支給回数については、年6回になります。
詳細の支給月については①と同じく、お住まいの地域によって異なる場合がありますので、確認したい方は、役所へ問い合わせしてください。
また、一度申請をしても、毎年現況届を提出しないと、支給が打ち切られますので、しっかりと提出しましょう。
※実際は、扶養人数によって収入の上下限は左右します。あくまでも目安としてご参考ください。

③住宅手当

お住いの地域によっては、母子(父子)家庭に住宅手当を支給しているところもあります。
条件として、賃貸物件に住んでいることや、家賃を月額10,000円支払っていること等が挙げられます。
ただし、こちらの制度は地方自治体が独自で設定している支援制度なので、ご自身が住んでいる地域に制度があるのか、また適用条件を役所に問い合わせる必要があります。

④医療費助成制度

母子(父子)家庭を対象とした健康保険の自己負担分を軽減する制度です。
対象は0歳~18歳になってから最初の3月31日がくる前の子どもになります。
①や②と同じように、扶養人数によって所得制限が変わります
また、③と同様に、お住まいの地域によって内容が異なりますので、詳細につきましては役所のホームページや電話などでお問い合わせください。

以上が、おもな支援制度でした。

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まとめ

今回はシングルマザーの大変さや、利用できる支援制度についてご紹介してきました。
児童手当や児童扶養手当などを利用すると、生活が楽になる可能性があります。

しかしながら、上記の制度を利用しても「全然お金が足りない」と言う方もいらっしゃるかもしれません。
また、健康状態が悪く仕事ができず、頼れる身内がいないという状況にある方もいるでしょう。
そういった場合には、最終手段として生活保護を申請するのも手段のうちです。
それぞれご自身の状況にあった支援制度を上手に使って、余裕のある生活を送っていただければと思います。

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