【我慢しなくても良い?】実は離婚事由になりえる行動を解説②

夫婦だって、元は他人同士。

どんなに愛し合っていても、心の底はわかりません。

けれども、「一体どこまでが我慢で、どこからが怒るところなの?」と感じる方もいらっしゃるかと思います。日常に「あるかもしれない」ことを取り上げ、離婚になり得るのかどうかを考えていきたいと思います。

①はコチラから

【我慢しなくても良い?】実は離婚事由になりえる行動を解説①

義両親の介護を押し付けられた…~こんな理由で離婚できる?~

「介護離婚」と言う言葉を耳にしたことはありませんか。

日本は2007年に65歳以上の人口が、全人口の21パーセントを超え、超高齢化社会へ突入しました。

そして近い将来、2025年には実に総人口の30パーセントが65歳以上になると言われています。

現在、介護を理由にした離婚が増加傾向にありますが、そもそも離婚の原因である義両親の介護は妻(配偶者)に義務付けられているものなのでしょうか。

介護責任はどこまで?

民法877条には、「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養義務がある」と記載されています。

つまり、自分の親や子ども(孫)に介護が必要になった場合には、扶養する義務が発生します。

しかし、当然のことながらパートナーの両親とは血のつながりはありませんよね。

「じゃあ義両親の介護を拒否しても問題ないの」と思ってしまいそうですが、夫婦には、扶助・協力」があるので、妻(配偶者)にも一定の責任があるとされています。

【熟年離婚】義両親の介護を理由に離婚はできる?

介護を理由に離婚できる…?

今回の核心ともいえる、義両親の介護を理由に離婚できるのか

これについては、ケースバイケースとしか言いようがありません。

例えば、夫が親の病気や怪我を理由に介護や同居を求めてきたとします。

妻が仕事を理由に介護や同居を拒否したとしても、法定離婚事由(法律で定められている離婚理由)にあたるわけではないのです。

ただし、次のような場合では離婚できる可能性が高くなります。

夫婦が互いに離婚について納得している
②パートナーが介護以外の法定離婚事由(※)にあたっている

では、上記を踏まえ、早速、介護離婚にお悩みの方の相談と、体験談をご紹介したいと思います。

法定離婚事由…①不貞行為②悪意の遺棄③3年以上生死不明④配偶者が強度の精神病で、回復を見込めない場合⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由

 

さやかさんのケース

相談者:さやか(40)職業:会社員 年収:350万円
夫:しょう(46)職業:会社員(課長補佐)年収:700万円
娘:ゆうか(13)中学生
義父:いちろう(78)

私の夫であるしょうとは、今年で結婚15年です。

ちょうど夫の会社にもリフレッシュ休暇が導入され、1週間ほどまとまった休暇が取れたので、家族3人で旅行を計画していました。

その矢先のこと、夫の両親が事故に遭ってしまい、義母が他界し、義父も一命はとりとめたものの、介護が必要な状態になってしまいました。

長男だから父と同居する義務がある。君も嫁として、父の介護をしてほしい」と夫は言います。

結婚当初、義両親と同居していたことがあるのですが、その際ずいぶん嫌な扱いを受けた記憶があります。

当時、夫は私をかばってくれ、結果的に別居となりました。

しかし、彼は当時のことを忘れたのか同居が当然という態度を取り、あまつさえ介護しろと言うのです。

私は、「過去のこともあり、同居や介護は協力できない」と伝え、代わりに介護サービスや介護施設の資金の援助を伝えました。

すると、彼は「情が無い」といい、「介護をしないなら離婚だ」と言い出しました。

娘は、幼心に私と義両親の不和を覚えているようで、「離婚するならお母さんについていく」と味方してくれています。

夫が条件を譲らないなら、離婚もやむを得ないと思っていますが、養育費や親権に若干不安を覚えています。どうすれば良いでしょうか。

見解

パートナーの両親の介護は、直接的な義務はありませんが、夫婦の扶助・協力の義務によってある一定の範囲で責任が生じることもあります。

今回のケースでは、夫のしょうさんは、妻であるさやかさんに義父いちろうさんとの同居と介護を求めています。

対して、さやかさんは、義両親との不和を理由にそれを断っていますが、代わりに金銭的援助を申し出ており、夫婦の扶助・協力義務違反にあたらず、有責配偶者にはなりません

したがって離婚を了承したとしても、慰謝料などのペナルティが発生しないでしょう。

また、親権についてですが、娘のゆうかさんは13歳なのである程度の分別がついているとして、子どもの意向が反映される可能性が高いです。

加えて、養育費を貰う権利は子どもにあるので、親が支払いの有無をきめるものではありません

したがって、養育費の取り決めは必ずおこなってください

なお、金額については、夫婦間の裁量で自由に決めることが出来ますが高額で現実的に見合わない金額は、後の滞納につながる恐れがあります。

裁判所から収入や子どもの年齢、人数に応じた養育費算定表が発表されていますので参考にしてみてください。

【養育費について考えよう】養育費の支払いは絶対?法的な拘束力はあるの?

ミザル・イワザル・キカザル~都合の悪いことには聞く耳を持たない夫~

人間、都合の悪いことは、出来るだけ避けたいのが本音だと思います。

しかし、都合が悪かろうがなんだろうが、決して避けられない問題もあります。

その問題が、夫婦共通のものである場合、後回しにすると夫婦関係に影響を及ぼしかねません。

夫婦の問題をどちらか一方に押し付けた場合、離婚事由になり得るのでしょうか。

 

どちらか一方に面倒を押し付けたら離婚事由になるの…?

夫婦になれば、それぞれにさまざまな問題が浮上してくると思います。

例えば「子育て」の問題。

パートナーが面倒くさい、都合が悪いと言って一方に押し付け、夫婦の関係が悪化した場合には、関与しなかった方が有責になる可能性があります。

また、セックスレスや義両親の問題も挙げられます。

こちらも放置をすれば、悪化することのほうが多いので、放置した側の責任が問われる可能性があります。

とはいえ、どの程度の放置具合なのかによって有責になるか左右されますし、また無視した問題に種類によっても異なるので、一概に「○○だ」というのは難しいです。

都合の悪いことを無視するパートナーのどういった行動が、離婚につながり得るのか一例をあげて確認してみましょう。

とうこさんのケース

相談者(妻):とうこ(33)職業:パート 年収:84万円
夫:ひかる(31)職業:雑誌編集者 年収:650万円
子ども:無

結婚前、私は夫であるひかるの会社が発行している雑誌で4コマ漫画を連載しており、彼が担当者でした。

仕事上、頻繁に連絡を取り合うことが多くなり、時に厳しく、またうまく行ったときは思い切り甘やかしてくれる彼に惹かれ、交際に発展し、そのままゴールインしました。

私は、結婚後も仕事を続けたかったのですが、互いに多忙であると、夫婦の時間をつくれないことや、子どもを早く作りたいという彼の意見で、漫画家を辞めました。

しばらくは専業主婦をしておりましたが、暇を持て余してしまったので、今は友人からイラストの仕事を紹介してもらい、ほそぼそと絵を描くことを続けています。

生活的には問題ないのですが、夫婦の夜の生活は、ほとんどありません。

夫は「子どもをつくりたい」といったのにも関わらず、肝心の行為は結婚後半年ほど経ってから、ほとんどなく、すでに3年が経とうとしています。

3年の間、何度も話合いを持とうとしましたが、「疲れてるから」「忙しいから」と都合の悪いことは後回しです。

私が「子どもが欲しい」と真剣に訴えても、聞き流してしまいます。

好きだった仕事を辞め、子どものいる生活を描いた私にとって、現在の状況は精神的にかなりきついです。

このまま、都合の悪いことを無視し続けるならば、離婚したいです。

けれど、私が離婚について話し合おうとしても全く聞く耳を持ってもらえません。

夫に愛情はありますが、このままだと限界を迎えてしまいそうです。

ご教示いただければ幸いです。

見解

セックスレスが法的な離婚事由(法定離婚事由)になるのかは、夫婦双方の努力によります。

パートナーに理由なく一方的に拒否された場合には、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に相当するケースもあるのです。

今回のとうこさんのケースでは、とうこさんが話し合いの姿勢を見せているのに、夫のひかるさんが全く取り合わないような態度を取っています。

したがって、法定離婚事由として認められ、離婚できる可能性が高いといえるでしょう。

今後、とうこさんが離婚の話合いを試みようとしても、ひかるさんが話し合いに応じない場合には、家庭裁判所に夫婦関係調整調停(離婚)を申し立てることも手段のうちです。
そんなときには弁護士に相談することをおすすめします。

【夫の悩み】7年間妻に拒否されてセックスレスに悩む夫は離婚できるのか

まとめ

今回は、「介護離婚」と「都合の悪いことを押し付ける夫」について、それぞれ相談をまじえ考えてきました。

紹介した2つの例は、問題点が周囲に伝わりにくいものだと思います。

結果、ひとりで負担をため込んでしまい、身体や精神を病んでしまうこともあります。

また、「とにかく離婚したい」という気持ちが先行して、相手に有責自由があるのにも関わらず、何の取り決めをしないで離婚を選択してしまうこともあるでしょう。

結婚しているあいだに受けた心の傷はお金では解決しません。

ただ離婚後の生活、とりわけお子さんがいる方にとっては、将来に向けてのお金がどうしたって必要になります。

弁護士などの専門家に相談することは、パートナーとの離婚交渉のアドバイスをもらえることはもちろん、精神的負担の軽減にもつながるので、ひとりでお悩みの場合には、一度検討してみてはいかがでしょうか。

 

弁護士に相談したい方はこちら

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です