【離婚の話し合いが出来ない!】原因がはっきりしていなくても離婚調停は行える?

「パートナーと離婚の話し合いをしているけれど、なかなか話がまとまらない」「相手と意見が食い違い、平行線」。
離婚の話し合いを進めていくうえで、誰もがぶつかる可能性のあるトラブルです。
そんな時、一体どうしたら?
今回は、夫婦間の話し合いで折り合いがつかなかったときの手段のひとつである、調停について考えていきたいと思います。

日本の離婚の仕組み!離婚協議から離婚訴訟までの流れ

みなさんが、「調停」と聞き、想像するものはどんなことでしょう。
なんとなく、夫婦で争う姿をイメージする方も少なくないのではないでしょうか?
そのイメージは決して間違いではないですが、「正解」であるとも言い切れません。

調停の意味って?

調停とは、「意見の食い違う二人の間に第三者がはいり、争いを話し合いで解決すること」という意味を持ちます。
つまり、争い=調停ではなく、争いを話し合いで解決する=調停なのです。
また、法律上の調停では、両者の間に入って、意見を聞き、妥協点を見出す役目を持つ人のことを調停委員と言います。
調停委員は、第三者であれば、誰でも良いわけではなく、最高裁判所から任命を受けた人でなければいけません。
したがって、調停をするには裁判所に申し立てをおこなう必要があるのです。

離婚協議と調停、裁判は何が違う?

日本で離婚をする際、どんなに夫婦仲が最悪であろうと、いきなり「裁判」で争うことにはなりません
というのも、日本の法律では、基本的に夫婦同士の話し合いで解決することを目指しているからです。
そのため、夫婦の話し合い(離婚協議)で解決しない場合には、訴訟を起こし、離婚裁判にいたるまでの過程には、必ず調停がおこなわれるのです。
と言っても、言葉ですと分かりにくい部分がありますので、下記の図を参考にしていただければと思います。

上記の図が協議離婚から裁判までのおおまかな流れになります。
とはいえ、調停が不成立したとしても、「法定離婚事由」が無ければ裁判には進めません。

法定離婚事由と裁判離婚の関係性

法定離婚事由とは、相手の合意なしに離婚できる理由のことで、以下になります。

①不貞行為
②悪意の遺棄
③3年以上生死不明
④配偶者が重度の精神病で、回復を見込めない
⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由

上述した理由に当てはまらなければ、裁判で離婚の可否を問うことが出来ません。
①~⑤のどれか(もしくは複数)に当てはまったひとのことを有責配偶者と言います。
離婚の可否を問う裁判を起こすには、有責配偶者でなければいけないことを覚えておきましょう。

【調停離婚】離婚を調停で成立させるメリットとトラブルについて確認しよう

 

【離婚調停ではどんなことが出来る?】離婚を回避したい場合にも使えるのか

前章では、調停の説明や協議離婚から裁判離婚までの大まかな流れなどを紹介しました。
今回は、離婚調停についてもう少し深く掘り下げていきましょう。

調停は一つだけじゃない?~調停で話し合えることとは

調停とひとくちに言っても、話し合いで決めることはひとつではありません。
離婚調停の正式名称は「夫婦関係調整調停(離婚)」と言います。
なお、夫婦の関係を継続したい方は、離婚を前提としない「夫婦関係調整調停(円満)」もあります。
その他、離婚後、財産分与を決めたいときや、別居などで婚姻費用を請求したいときに利用できる調停といったものもあるのです。

夫婦関係調整調停(離婚)の進め方は?費用はどれくらいかかる?

夫婦関係調整調停(離婚)とは文字どおり、離婚の話し合いがうまく行かない方が申し立てる調停です。
下記のような場合、夫婦のうちのどちらかが申立てをします。

夫婦関係調整調停(離婚)を申し立てる費用として、まず収入印紙代1,200円がかかります。
また、申立ては無事受理された場合に送られる調停期日通知書の費用として切手代もまた、必要です。
切手代については申し立てをおこなう家庭裁判所によって、金額が違う可能性もあるので、管轄の裁判所へ確認を取っておきましょう。
その他、申立てをおこなう際、戸籍謄本が必要です。
夫婦の戸籍謄本を取り寄せますので、経費として450円が別途かかります。
なお、戸籍謄本はその戸籍に載っている家族全員の証明が可能なため、1枚で事足ります。

離婚調停の流れ(申し立て後~前日)

夫婦関係調整調停(離婚)では申し立てをおこなってからおよそ2週間で、先ほどご説明した「調停期日通知書」が裁判所から届きます。
「調停期日通知書」は申立てたひと、相手方両方に送付されます。
知書は調停当日の時間や場所のほか、受付窓口などについても記載されているとても重要な書類になります。
調停当日になって困らないようにしっかりと保管しておくことが大切です。
万が一無くした場合、もしくは期日が近くなっても届かないときには必ず管轄の裁判所へ相談してください。

離婚調停の流れ(当日)

調停期日通知書に記載された窓口で、受付をしてもらい受付番号を発行してもらいます。
発行後は待合室にて時間が来るまで待ちます。
なお、申立人と相手方が同じ待合室で待機することは無いのでご安心ください。
初回の調停では、相手方と同席のうえ調停委員から手続きの説明を受けます。
原則として、相手と一緒に説明を受けますが、特別な事情があって同席したくないという方もいるでしょう。
そういった場合には夫婦関係調整調停の申し立てをする際に提出する事情説明書に理由を記載すれば、避けられることもあります。
調停の手続きの説明後、申立て人から調停委員とお話しすることになります
調停と聞くと、当事者同士が顔を合わせて進行していくイメージをお持ちの方が少なくないかもしれません。
しかし実際は、当事者が顔を合わせるのは、基本的に「調停の手続き」の説明を受けるときや調停が成立するとき位だと思います。
また初回に、「調停委員二人と裁判官で構成されている」といった旨の説明を受けると思いますが、裁判官がずっと同席するケースは少ないです。

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調停で決めることとは?

夫婦関係調整調停(離婚)では離婚の可否のほか、以下の事柄等も決めることが出来ます。

1.親権
2.財産分与
3.年金分割
4.慰謝料

1.親権

離婚をする際、親権者の取り決めは絶対です。
調停で話し合ってもまとまらないときには、審判手続きに移り、裁判所が親権者を指定します。
また、離婚の可否や条件が折り合わず調停から裁判に進んだ場合には、焦点の一つとして親権を組み込むことによって、裁判所が判断してくれます。

2.財産分与

財産分与とは婚姻後に築いた財産のことを言います。
現金や預貯金のみでなく、土地や家などの不動産、車といった動産も含まれます
通常、折半になることが多いですが、年収が低い場合には、「扶養的財産分与」として割合が高く分配されることもあり得るのです。
また、相手方が不貞行為など、不法行為をおこなった場合には、「慰謝料的財産分与」という分配方法もあります。
本来慰謝料と財産分与の請求権は別個のものです。
しかし、慰謝料と財産分与を区別しないで請求するケースも珍しくありません
なお、財産分与は婚姻後、夫婦で築いた財産が対象となり、婚姻前の財産や個人的に貰ったプレゼント、また相続財産は対象にならないので注意が必要です。

3.年金分割

年金分割とは、上限を半分として将来受け取る年金を配分する制度です。
とはいえ、夫婦であればだれでも年金分割できるわけではありません。
条件としては、相手方が共済年金、もしくは厚生年金保険に加入しており、保険料をしっかり納付していることです。
国民年金保険は年金分割の対象ではないので覚えておきましょう。
加えて、2と同じように、婚姻前に相手が支払っていた年金保険料は対象になりません。
更に言えば、納付期間が25年以上ない場合には、年金の受給資格が発生しません
年金分割をおこなえたとしても、ケースによっては、年金を受給できないこともありますので、注意しましょう。

4.慰謝料

慰謝料とは、パートナーが原因で夫婦関係が破綻した場合や、パートナーの行為によって精神的苦痛を感じたときに請求が可能です。
つまり調停をおこなったとしても、相手に有責事由が無い限りは請求することが出来ません。
なお、意外に思われるかもしれませんが、慰謝料は、離婚をしなくても請求が可能です。
ただし、不貞行為などを知ってから3年、または事実があってから20年経過すると、請求権が消滅し、時効が成立するのでご注意ください
また、離婚後、慰謝料請求調停によって請求することも可能です。
ただし、相手が有責であることを証明する必要があるので、事前に知っていた場合には、離婚後よりも、離婚前に取り決めをおこなった方が良いかもしれません。

【弁護士に依頼?】離婚調停を検討したときに弁護士へ依頼するメリットを知ろう!

まとめ

今回は離婚調停の流れや、取り決めできることについてお話してきました。
調停に必要な費用についても確認しましたが、案外安いなと感じた方もいるのではないでしょうか。
また、「調停で決めることとは?」で紹介した以外にも養育費を取り決めすることも可能です。
調停をおこない、成立すると、調停で取り決めしたことが記載された調停調書が作成されます。
調停調書は取り決めたものによっては、強制執行認諾文言をついた公正証書とおなじような効力を発揮します。
したがって、養育費の取り決めをおこなえば、パートナーから養育費が滞ったときに強制執行することが可能なのです
そのため、「どうしても話し合いにならない」時には、調停をうまく活用した方が良いでしょう。

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