どこが悪かったのか、離婚を切り出された。
みっともなくても何でも、なんとか離婚を回避したい。
私は悪いことをしていないはず…
だから、一方的に離婚しようなんてひどすぎるよ。
離婚を回避するためにはどうすれば良いの…?
夫から切り出された離婚…離婚しなきゃダメ?
仕事帰ってきてからリビングでゆっくりしてたら、夫が神妙な顔つきで私を見る。
一体何なのと思ったら、「離婚しよう」だって
しかもご丁寧に、離婚届をテーブルに置いて…。
共働きだから、家事や料理が雑になることもあるけれど、それって離婚の理由になるわけ?
自身の夫から、いきなり「離婚しよう」なんて言われたら誰もが驚きますよね。夫婦仲がそれほど悪くなく、身に覚えもなかったら、混乱し、どうすれば良いのかわからなくなるかもしれません。離婚を切り出された場合、相手の言う通り離婚しなくてはならないのでしょうか…?
身に覚えがないなら、離婚を拒否してもOK!
結論から言えば、相手に離婚を切り出されても、必ずしたがわなければならないわけではありません。日本の離婚制度には、協議離婚・調停離婚・裁判離婚があります。なんの理由もなしに、離婚を切り出された場合、夫婦の話し合いによる協議や調停のうえ、双方の合意があれば成立します。
つまり、原則として一方的に離婚することは出来ないのです。相手の同意を得ず離婚できるときには、一方が法定離婚事由に該当する行為をしている場合に限ります。法定離婚事由とは、以下のようなものになります。
- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 3年以上生死不明
- 配偶者が重度の精神病で回復を見込めない場合
- その他婚姻を継続し難い重大な事由
上記のことがらに当てはまらない場合には、すぐに離婚に応じなくても、問題はありません。むしろ、離婚を回避するためにも、何故、離婚を切り出したのか理由を聞いてみましょう。相手方の都合によるためかもしれませんし、誤解が生じている可能性も否定できません。
また、「離婚したい原因」を知ることによって、その原因を無くすよう努力したり、対処方法を考えることが出来ます。感情的になってしまい、話し合いが難しいときには、家庭裁判所に調停の申立てをしても良いかもしれません。
「調停」と聞くと離婚のイメージが先行しますが、「夫婦関係調整調停(円満)」という種類もあります。申立てには、1200円(※)程度の費用が掛かりますが、離婚を回避できるなら必要経費と割り切ったほうが良いかもしれませんね。
※夫婦関係調整調停(円満)には申立ての手数料のほか、切手代が加わります。詳細は管轄の裁判所にてご確認ください。

離婚といわれたら、離婚しなくちゃいけない理由って?
身に覚えがなければ離婚に応じなくても良いってこと?
ていうか、むしろ「身に覚えがある」ってどんなとき?
ご飯作らなかったとか?夫の愚痴をいったりとか?
ケンカした日に家出したりとか…。
それなら私、身に覚えありすぎるんだけど… 。
前章では、身に覚えがなければ、離婚に応じなくても良いとお伝えしました。ということは、「身に覚えがあるとき」には、離婚しなくてはいけないのでしょうか。
法定離婚事由にあてはまると離婚をしないといけない?
「身に覚えがないなら、離婚を拒否してもOK!」でお話したように、一方的に離婚するためには、「法定離婚事由」に当てはまり、夫婦関係が破綻したと判断されなければなりません。夫婦関係が破綻する理由として、主に以下が挙げられます。
- 性行為をともなう不倫
- DV行為
- 家事や育児を放棄する
- 勝手に家出したり、相手を追い出す
- 何の理由もなく性行為を拒否する
- モラルハラスメント
上記を主に挙げてみましたが、こういった行為がおこなわれていたら、「夫婦仲」は自然と悪くなりそうです…。ただし、5や6なんかは、自覚なく行っている可能性があります。
「子どもがいてセックスどころじゃない」「夫の給料や仕事に口を出す」、心情的にはわかりますが、限度を超えると、法定離婚事由になるのでご注意ください。
また、「何も言わないで家を出ていく」という行為は、悪意の遺棄になる可能性があります。ケンカしたから1日、2日くらい家出するならば、そこまで心配しなくてもよさそうですが、頻繁に家出したり、長期間の家出をするなどといったことはしない方が良いかもしれません。
加えて、夫や子供を心配させないよう、「実家にいる」、「友人の家に居る」など行先は伝えていきましょう。ケンカして、対面で言いにくいときには、メールやLINEで報告しても良いと思います。
「離婚届」には気を付けて!~勝手に出されちゃたまらない~
何とか話し合いで「離婚しない」で納得してくれたみたい!
よかったぁ…と思いきや、えー!保険のために離婚届にサインをちょうだい?
そうじゃなかったら離婚するって!!?
なんか、いやだな…。だって私を信用していないってことじゃない。
でもサインひとつで、夫の気持ちが収まるなら…。
それに、他の欄は書かなくていいっていうから、出したってどうせ受理されないでしょ?
もう! どうすればいいの!!?
離婚届に自著(サイン)すると、受理されてしまう可能性がある…
夫婦喧嘩の応酬で、離婚届にサインをもらうなんていう場面がドラマにありますよね。しかしながら、「離婚届にサインをする」行為は危険なんです。
離婚届には、住所を記載するところや、親権欄など記入項目が複数あります。なんとなく、自分の欄はすべて記入しなければ受理されないと考えがちですが、決してそうではありません。「署名欄」と「押印」以外の欄は、法律上、相手方が書いても問題なく、役所に提出されれば普通に受理されます。
同意のない離婚届は、調停や申し立てをおこなえば、取り消すことが出来ますが、取り消されるまで、相応の時間がかかることが多いです。また、裁判所の判断で、そのまま離婚が認められる可能性も少なからずあります。そう考えると、勝手に出された後の対処を考えるよりも、未然に防ぐことを考えた方がよさそうですね。
離婚届を勝手に提出されないためには、「署名」と「押印」をしないことが大切です。「離婚届にサインしなきゃ離婚するぞ」と言われたとしても、論理が破綻しています。そもそも、法定離婚事由に当てはまらないのであれば、夫が自分勝手に離婚することは出来ません。
また、離婚届は協議離婚・調停離婚・裁判離婚、どの方法をとっても必ず役所へ提出しなければなりません。戸籍の情報が変わりますので、当然と言えば当然かもしれませんね。
離婚届を勝手に出されないためには、まずは、離婚をしないならサインと押印をしないことが大切です。とはいえ、「もうサインしちゃったよ」と思う方もいらっしゃるかもしれません。夫が絶対に提出しない、と自信がある方は少ないと思います。
そもそも、離婚届を出された時点で、相手方には少なからず離婚願望があるわけですからね…。したがって、離婚届にサインをしてしまったときには、出来るだけ早く役所に行き、「離婚不受理届」を提出することをおすすめします。総合案内で言いにくいと思いますので、事前にお住いの役所のホームページを確認し、何課が担当しているのかを確認しておくといいでしょう。一概に言えませんが、「戸籍住民課」の取り扱い業務であることが多いです。
また、夫が妻のサイン欄などを勝手に書いて提出する可能性もゼロではありません。とはいえ、妻のサインを勝手に書くことは、偽造なので、「有印私文書偽造罪」や「電磁的公正証書原本不実記録罪」などに該当することがあります。つまり逮捕されることがあり、懲役を科されることもある立派な犯罪なのです。
万が一、偽造された離婚届が提出された場合には、すぐに行動することが大切です。警察に相談しても良いですが、弁護士に相談した方が良いときもあります。

まとめ
今回は、夫から離婚を言い出されたときの対処法や注意点について確認していきました。離婚を言い出されたら、頭が真っ白になり、適切な対応が出来る人はなかなかいないと思います。
とはいえ、感情任せに「いやだ」「悪いところ直すから」と、言い出した理由もわからず、すがってしまうと、その場はいいかもしれませんが同じことの繰り返しになる可能性があります。
したがって、まずは「夫がなぜ、離婚を言い出したのか」を確認することが大切です。そして、もうひとつ大切なことが、「離婚届にサインをして」と言われても絶対に書かないことです。
離婚届を書かない限り、離婚は成立しません。協議で離婚が成立する期間は、平均して1年ほどかかると言われています。その場の勢いでの判断や、相手に言われるがままは、のちのち、「ああしてればよかった」と後悔することにつながりかねません。
自分の主張をしっかりすることで、相手に真意が伝わり、離婚回避の後押しになる可能性もあります。双方が納得いくまで話し合いをすることが理想ですが、当人同士だけだと変にこじれてしまうこともあります。そういった場合には、「夫から切り出された離婚…離婚しなきゃダメ?」で紹介した、離婚を前提としない調停を検討してみても良いかもしれませんね。
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