夫婦は、老いも若きも男も女も、結婚生活に不満ばかり。しかしこんな不満で離婚できるかと不安になることもあるでしょう。
今回は、夫の行動に不満を覚えた妻が、こんな理由で離婚が可能なのか、体験談を交え考えていきましょう。
義母の介護にストレスを感じ離婚したい
妻:さいか(45)
夫:まもる(48)
娘:にいな(17)
義母:はな(76)
私たち家族は、夫の義母と同居しています。義父が早くに亡くなり、義母の老後を心配した夫が、同居を相談してきました。もともと義母とは、近距離別居で、仲も良かったので不満もなく同意しました。
しかし、義母がアルツハイマーを発症したことで、生活のすべてが一転しました。病院に行った時にはすでに、症状は中度になっており、物忘れがひどくなっていました。ただ、忘れるだけならばよかったのですが、子ども返りしたみたいになって、家族に対し攻撃的になりました。
特に娘に対しての態度がひどく、特段何もしていないのに、「いじめられた」と言ってひっかいてきたり、追いかけまわし、噛んでこようとしました。
私は、夫に「義母を施設に入れてはどうか」と言いましたが、夫は「自分の親を施設に入れられるわけないだろ」と私を叱りつけました。
しかし、介護は私と娘に任せきりで、まったく何もやってくれません。病気なら仕方ないと
自分に言い聞かせながら介護をしていました。とはいえ、夫婦仲は完全に悪くなり、娘も私も限界を感じつつあります。
来年は、娘も大学受験です。人生を左右しかねない問題なので、義母から離れて暮らしたいと考えており、離婚も視野に入れて考えています。
夫婦の問題ではなく、介護を理由に離婚はできるのでしょうか
離婚した場合、娘の大学の受験費用、学費等はどうなりますでしょうか。教えていただけると幸いです。
弁護士の見解
義両親の介護を理由に離婚するには、基本的に相手方の同意が必要です。というのも、相手の合意なく離婚するには、原因が法定離婚事由に当てはまる必要があり、「義両親の介護」そのものは、法定離婚事由とは言えないからです。
ただし、今回のさいかさんのケースの場合では、法定離婚事由である「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性があります。
さいかさんは、義母であるはなさんの介護に限界を感じ、「介護施設」に入れるという提案を夫のまもるさんにしています。しかし、夫のまもるさんは、義母の介護に協力してくれず、夫婦仲が悪くなっています。
この行為は、民法第752条に記載されている、「夫婦の同居・扶助・協力」の義務違反にあたるかもしれません。このことを証明することが出来れば、損害賠償請求として、慰謝料請求もできると思います。
また、ご心配されている養育費についてですが、大学の学費等は教育費に当たるので請求することが可能です。養育費は未成年者に支払うものというイメージが強いかもしれませんが、昨今の大学進学率の高さもあり、大学卒業までの支払いと取り決めるケースも少なくありません。
大学費用は高額であることが多いですので、養育費の取り決めは強制執行文言付きの公正証書として残しておいた方が良いでしょう。
ケチでこまかすぎる夫と離婚したい
妻:たかこ(34)
夫:しゅうじ(36)
私は、ダメンズが大好きでした。母性本能くすぐられるというか。ちょっとダメなところがあると、惹かれてしまう性質でした。しかし、夫の前に付き合った男があまりにもだらしなさ過ぎ、マインドリセットされ、真面目でしっかりしている男性が好きになりました。
そんな時に現れたのが、夫です。会社の同僚である夫は、周囲から「しまり屋」とか「几帳面」、「くそ真面目」と言われておりましたが、以前の彼氏とは異なる価値観や性格に惹かれ結婚しました。
はじめのうち、「この人、頼れるなあ」と思っていましたが、結婚生活を始めて1年。もはや限界です。彼はとにかく細かすぎます。
「電気はこまめに消せ」「無駄なものは買うな」「食費は1か月2人で3万でのやりくりは絶対」「洗い物をするときは、水を溜めてから洗え」等等。
細かいうえに、うるさい。本当面倒くさいです。確かに、貯金はたまりますが、ここまでの節約生活じゃ人生楽しめません。
これなら、少しダメなところがあろうが、前の彼氏の方がよっぽどよかったです。離婚したいと思い、夫に切り出したのですが、「君は僕の性格をわかっていて結婚したんだろう? 後2年一緒に生活してみてダメなら離婚してもいいよ」と聞く耳を持ちません。
最近では、顔を見るのも嫌になり、わざと帰宅時間を遅らせている始末です。一刻も早く離婚したいのですが、どうすればよいでしょうか。
弁護士の見解
「ケチ」や「倹約家」を理由に離婚することは、相手の合意を得られれば、離婚可能です。また、倹約がいきすぎ、生活費を渡さないなどの行為は、ケースによって経済DVに該当する可能性があり、法定離婚事由にあたることがあります。
しかし、今回のたかこさんのケースでは、夫のしゅうじさんの行動が、経済DVになる可能性は低いといっても良いかもしれません。確かに食費を1か月3万円で抑えるのは、地域によって非常に困難であると思います。
しかし、互いにフルタイムで働いており、たかこさん自身にもある程度の収入があると推測されますので、経済DVを理由に、相手の同意なく離婚することは難しいでしょう。
よって、離婚を成立させるには夫婦の話合いでおこなう離婚協議か、家庭裁判所に調停を申し立てる方法が妥当かもしれません。
ただし、協議離婚、調停離婚を選択しようとしても、相手方が主張を曲げない場合、離婚成立まで長引くことが多いです。
そのため、まずは離婚前提ではなく、性格や価値観の不一致である点をまとめ、夫婦間で妥協点を話し合った方が良いかもしれません。夫婦間で話し合いが難しい場合には、離婚を前提としない調停、「夫婦関係調整調停(円満)」という手段もありますので
検討してみてはいかがでしょうか。
夫がドSすぎて離婚したい
妻:まこ(28)
夫:たかし(35)
夫のたかしとは、4年ほど前、友人の紹介で出会い、交際に発展しました。彼の良いところは、はっきり言って顔です。顔がめちゃくちゃタイプだったので、多少のことは目をつぶることが出来ました。
交際期間は2年ですが、付き合いが間もないころに、彼が地方転勤になってしまい遠距離恋愛でした。2年経って、また別の勤務地になるというタイミングで、彼から「ついてきてほしい」とプロポーズされて結婚しました。
…結婚する前に、「1か月」でもいいから同居をすべきだったと今は後悔しています。
普段、夫は優しいひとなのですが、夜になると性格が変わります。とにかく嗜虐心が強いんです。行為中、叩かれたりするのはまだ我慢できました。しかし。あざになるくらい首筋をかまれたり、首を絞められたりするのは我慢できません。
私は、いたってノーマルな人間なので、本当に苦痛でした。「痛いし、怖いからやめて」と言うと、その場では謝罪してくれますが、やめてはくれません。それどころか力加減が、だんだん強くなっている気がして、このままエスカレートしたら殺されちゃうんじゃないかと恐怖も覚えています。
慰謝料とかそういうお金はいらないので、離婚できるでしょうか。離婚を切り出したら、ひどくされるんじゃないだろうかと怖くて言えません。離婚の方法をご教示いただければ幸いです。
弁護士の見解
夫婦間の性の不一致は、程度によって法定離婚事由の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に相当する可能性があります。
今回のまこさんのケースでは、その法定離婚事由に相当する可能性が高いのではないかと思います。
そもそも性的指向や性癖は公共の福祉に反しない限り、個人の自由で制限されるべきものではありません。そのため、性的指向・性癖そのものが法的離婚事由にはなりません。
しかしながら、まこさんは、夫のたかしさんの性行為中の「首絞め」や「噛む」等という行為を嫌がっており、また意志を伝えています。
それにも関わらず、たかしさんは、当該の行為を辞めていません。
離婚をお考えであるのならば、「否定している」ことがわかる音声や動画データ、また噛み痕や首絞め等のあざがあるならば、その怪我を撮影したうえで、診断書をとっておいた方がいいでしょう。
また、離婚の切り出しについては、第三者を交えて行った方が良いと思います。周囲の信頼できるひと、居ない場合には弁護士に相談してみたり、家庭裁判所に調停を申し立てても良いかもしれません。
夫婦間の性の問題は、デリケートなものなので、なかなか周囲に相談しにくい話題かもしれません。しかし、我慢しているとエスカレートする可能性があるので、まずは行動を起こすことが大切です。

まとめ
今回は離婚したい女性の相談を取り上げ、専門家の見解を確認していきました。しかしながら離婚の理由は一緒でも、そこに至る過程が異なると、見解が違ってくることがあります。
「絶対に離婚したい」「夫から慰謝料をとりたい」と考えた方は、一度弁護士に相談してみても良いかもしれません。
「いきなり弁護士に連絡するのは不安」と考えた方は、「法テラス」や「離婚ナビサポート」といったサービスもありますので、ご検討ください。
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