【子どもから見た離婚】離婚は子どものためになるの?

2021年3月、法務省は未成年のころに親の離婚を経験した20~30代に対して意識調査をおこないました。

離婚というと、親視点での意識調査の方が多く、子ども視点から見た離婚調査を法務省が実施したのは、今回がはじめてとのことでした。

子どもが親の離婚をどのように感じているのか。考えていきたいと思います。

両親の不和を子どもの8割は理解している

子どものいる離婚は、夫婦間の問題だけではなく、子どもの問題でもあります。しかし、最終的に離婚を決定できるのは夫婦なので、子どもは当事者であるはずなのに、蚊帳の外感は否めません。また、子どもが幼いことを考慮して、なぜ離婚するのか等を伏せることもあります。

法務省の意識調査では、父母の別居前の家庭内の状況について覚えていると回答した方は、

以下の通りになりました。

およそ7割の方が、家庭内の状況を覚えているようですね。また覚えていた方のうち、両親の不和に気づいていた割合は以下の通りになります。

グラフを確認いただくとお分かりのとおり、およそ8割方の子どもが、「知っている」「薄々感じていた」と回答しています。

この結果から、多くの子どもが父母の不仲を感じ取っていると考えられそうです。

また、子どもが両親の不和によって感じていたことの上位5つ以下の表のとおりです。

子どもが感じたこと 割合
仲直りしてほしい 30.4%
家族がバラバラになってしまう 24.3%
早く別居・離婚してほしい 21%
生活環境が変化する 16.4%
両親の仲が悪いのは自分のせいなのではないか 16.2%

※複数回答です。

両親に仲直りをしてほしいと願う方が3割いる一方で、別居や離婚を願う子どもが2割以上いる結果になりました。ふたつに共通していることは、「両親の仲の悪い姿を見たくない」という感情が含まれているのではないかと推測できそうです。

また、両親の不和が、子どもの自責の念に変換されていることは注意すべき点ですね。

子どもにとって親は大きな影響を与える人物です。両親が子どもについて言い争いをしている姿を見ると、「自分が良い子じゃなかったからいけないんだ。親が仲が悪いのは自分が悪いんだ」と勘違いしてしまうケースもあります。

離婚するのであれば、自責の念をあおるような誤解を与えず、なるべく子どもの負担を最小限に抑える方法を取っていただければと思います。

養育費の支払いがあったかどうか

次に養育費について確認していきましょう。子どもが養育費や金銭面についてどう考えていたのでしょうか。

離婚後(別居後)の金銭面について子どもに話をする方は少ないと思います。とはいえ、離婚や別居を経験し以前の生活と環境が異なっているわけですから、何かしら感じることもあるでしょう。実際、子どもは離婚後(別居後)の金銭状況についてどのようなことを思っていたのでしょうか。

まずは、別居後の金銭面について、子どもがどのように感じていたか以下の表で確認してみましょう。

子どもが別居後に感じたこと 別居により生活水準・経済状況は苦しくなった 別居により生活水準・経済状況は若干苦しくなった 別居により生活水準・経済状況はほとんど変わらなかった 別居により生活水準・経済状況はむしろ好転した わからない
率(%) 20.4% 20.1% 24.4% 7.3% 27.8%

表をご確認いただくと、お分かりのとおり、両親が別居した際、生活が以前より苦しくなったと感じた子どもは、4割を超えています。

離婚や別居をした場合、法律上では婚姻費用・養育費という名目で、別居親からも費用を捻出してもらうことが出来ます。しかしながら、実際離婚したときに、「相手方と関わりたくない」「取り決めたのに支払ってくれない」等の事情があって、養育費が支払われないケースは多くあります。

少し前のデータですが、「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果」から、養育費の受け取り状況を確認すると、継続的に養育費を受け取っている方の割合は、24.4%でした。

今回、総務省のおこなった意識調査でも、養育費の需給状況について子どもは養育費の受け取り状況をどの程度把握しているのでしょう。

養育費の支払い状況について きちんと支払っていた 当初は支払われていたが、その後に支払われなくなった 時々は支払われていた 全く支払われていなかった 支払い状況は解らない。
率(%) 16.8% 14.0% 6.8% 18.9% 43.5%

 

子どもから見た、養育費の支払い状況について、「きちんと支払っていた」と子どもが把握していたのは16.8%と2割に満たない割合でした。

確かに、子どもに対し、養育費等の金銭面について説明するのは難しいかもしれません。しかしながら、前述した通り養育費の支払いは、別居親の義務です。

また、養育費を受け取る権利は、親権等を持つ同居親だけでなく、子どもにもあります。

「面会交流させてくれないから」「一緒に暮らしていないから」といった理由で、相手方へ相談なしに養育費を滞らせることは止めましょう。

令和に入り、幼稚園や保育園、高校の無償化等国の政策でなるべく授業料等の教育費がかからないような制度が増えてきています。教育にかかる費用は減っていますが、これらの制度で無償になる対象は、あくまで授業料や保育料のみで、施設費や学外教育費については対象ではありません。

未来の子どもの将来が金銭問題によって狭まらないよう、養育費の取り決めは事前におこなっておくべきでしょう。

面会交流の設定はあったのか

面会交流とは、離婚等を経て別居した親と子どもが面会することを指します。

よほど特別な事情が無い限り、「面会交流」は、別居親、子ども双方の権利です。「養育費を支払っていないから会わせない」や「不倫した配偶者と会わせたくない」と別居親と会わせたくない方もいらっしゃるかもしれませんが、「不倫」「養育費の未払い」の問題と、「面会交流」は別問題になります。

また、民法第七百六十六条では、離婚後の監護等に関する決めごとについて以下のように定められています。

 

第七百六十六条 

1 父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。

2 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。

3 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前二項の規定による定めを変更し、その他子の監護について相当な処分を命ずることができる。

4 前三項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。

 

1の記述を見ていただくとお分かりのとおり、面会やその他の交流について離婚協議で取り決めをおこなう際、子の利益を最も優先して考えなければいけません。

つまり、子どもが「別居親と会いたい」と意思を伝えた場合、その願いに対し、真摯に向き合う必要があるのです。

実際のところ、面会交流や、連絡等について子どもの意思が優先されている割合はどれくらいでしょうか。下記の表をご確認ください。

連絡の有無 いつでも連絡が取れた 同居親に言えば、連絡が取れた 自由に連絡を取ることはできなかった 連絡を取りたくなかった
率(%) 35.8% 16.3% 19.5% 28.4%

 

子どもの意思が反映されているのは、「いつでも連絡が取れた」と「同居親に言えば、連絡が取れた」、「連絡を取りたくなかった」を合わせ80.5%

結果を見てみると、8割以上の方が、自分の意思によって、別居親との面会や交流を決められたことになっています。

しかしながら、子ども、特に比較的年齢が低い子どもにとって、同居している親はある種絶対的な存在です。同居親が、別居親に対し、悪感情を持っていた場合、子どもは同居親に同調し、「会いたくない」と感じてしまうケースもあります。

そのため、子どもの面会交流等への意思を都度都度確認しておいた方が良いでしょう。

まとめ

今回は、法務省の意識調査の結果を基に「子どもから見た離婚」について考えていきました。「幼いから」「親のいざこざに巻き込みたくないから」という理由で、離婚の問題から子どもを遠ざけたいと思う方は少なくないと思います。

しかしながら、「親がひとりになる」ことは、多かれ少なれ子どもの心身に影響を与える事柄です。そのため、離婚する際には争っている姿をみせたり、相手方への悪口を言うといった行動は極力控えた方が良いかもしれません。

相手方と話すことで感情的になってしまう場合には、周囲に協力をあおいだ方が良いでしょう。

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