【同性との不倫で離婚したい】同性との不倫はどうして不貞行為と認められにくいのか

最近、多様性を許容すること、認めることが重視される世界になってきました。

日本では、国の法律でこそ同性婚が認められていませんが、各自治体の条例によって同性婚を認める市区町村も出てきました。

しかしながら、同性同士の不倫については、まだまだ法整備が追いついておらず、不貞行為と認められていません。今回は、夫が同性と不倫した場合の離婚について考えていきたいと思います。

同性との不倫は不貞行為に該当しないかも

男性同士、女性同士の性行為を伴う不倫行為は、現状不貞行為として認められにくいということをご存じでしょうか。

心情的には、不倫相手が男性だろうが女性だろうが不貞行為だと言い切りたいですよね。そもそもなぜ、同性同士の性行為は、不貞行為として認められにくいのでしょうか。

まずは、不貞行為について書かれている法律について確認していきましょう。

不貞行為は民法770条の裁判上の離婚に記載されている有責行為です。有責行為とは、離婚の可否をめぐり、裁判できる理由のことを指し、以下のように載せられています。

 

(裁判上の離婚)

民法770条1項

1.配偶者に不貞な行為があったとき

 

不貞な行為。そのまんまですね。民法では、不貞行為の詳細については書かれていません。しかし、一般的に言う不貞行為は、「配偶者以外の異性と性行為、もしくはそれに準ずる行為」と言われています。なぜ、詳細の行為まで定められているのでしょうか。

 

不貞行為の詳しい行為については、過去の裁判例によって決められていきます。特に最高裁判所が下した判決は、その下にある高等裁判所・地方裁判所等の全裁判所の判決にも影響する可能性があります。というのも、最高裁判所は国の最高司法機関であるからです。

加えて、同性同士の性行為を含む不倫は、通常の不貞行為に比べ判例が少ないので、判断が難しいという問題もあります。

このような経緯もあり、配偶者と同性の性行為は、不貞行為として認められにくいのです。

同性との不倫で離婚したい時の証拠とは?

夫が同性と性行為を含む不倫をした場合、難しい問題がその行為を証明することです。一般的な異性との不貞行為は次のようなものが証拠となります。

 

  1. 性行為中の動画や写真
  2. ラブホテルに出入りしている写真や動画
  3. 性的な関係を匂わせるようなSNSやメール上でのやり取り
  4. ラブホテルの領収書、レシート、カード明細
  5. 配偶者やその相手が性的行為を行ったという自白

 

同性同士の不倫の場合、上記のうち2や4について、異性同士であれば、ラブホテルを利用していることは、不貞行為の証拠になり得ます。しかしながら、同性同士ですと、ラブホテルを利用したとして、必ずしも性行為に発展するとは限りません。

したがって、2や4の証拠に加え、疑いのある二人が、実際に性的な関係に発展している可能性が高いのかを裏付ける証拠が必要になります。

通常の不貞行為ですら、有効な証拠を集めるのは難しいとされています。加えて夫の相手が同性ですと、余計にハードルが上がるのです。

夫が同性と不倫している疑いのある場合は以下を重点的に考えると良いかもしれません。

  • 夫と相手の性的対象に同性が含まれているかどうかを普段のやり取りを記録する
  • ラブホテルに出入りしている写真や動画
  • SNS等でのやりとりで、性行為を匂わせる言動等の確保

上述した通り、同性同士ではラブホテルを出入りしている写真や動画だけでは、性的な関係にあったと判断する証拠には弱いです。したがって、双方の性対象・恋愛対象に同性が含まれるかが確認できる証拠を確保することが大切です。

また、ラブホテル内で性行為があった可能性を高めるためには、双方のあいだに性行為に関する言動があったかを確認する必要があります。

なお、ここでいう性行為は挿入行為のみでなく、前戯等のペッティング行為も含まれます。

同性同士の有効な証拠としては、その性行為中の写真や動画等があれば良いですが、実際に撮影できる機会はかなり少ないと思いますので、ひとつずつ証拠を積み重ね、双方の中に、性行為があった可能性を上げていくことが大切だと思います。

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今後同性との不倫が不貞行為に該当する可能性も

1章では、配偶者が同性と性的行為を含む不倫は不貞行為にあたらない可能性があるということをお伝えしてきました。

しかしながら、平成の終わり位から、同性同士の不倫も不貞行為に該当するという判例が増えきています。

きっかけは世界的に同性同士の婚姻を認める国が増え、日本でもパートナーシップ制度を導入した自治体が増えてきていることが考えられるのではないでしょうか。

性の多様化を受けいれつつある社会の中で、婚姻は必ずしも異性間で行われるものではないという考えが反映され、同性同士の恋愛・婚姻(事実婚)に関しても寛容になっています。

この考えが、離婚の問題でも反映されつつあり、不貞行為を行う相手は必ずしも、異性とは限らないと判断する判例が出てきたのではないかと考えられます。

2021年2月16日の東京地裁で下された判決では、原告である男性が妻と性行為を行った女性に対し、損害賠償を請求し、同性同士の不貞行為が認められました。
その判決では、「異性で行う性行為」のみではなく、「夫婦の婚姻生活の平和を妨害する行為」も不貞行為に当たると指摘しました。

この判決によってすべてが変わるというわけではないですが、従来の同性同士の不倫の在り様が変わっていく端緒となるかもしれません。

【不倫は悪いこと?】恋愛は自由なのにどうして不倫しちゃいけないの?

体験談

今回は配偶者が同性と不倫していた場合、それが不貞行為として認められにくいというお話をしてきました。本章では、実際に夫が同性と不倫し、離婚した女性についての体験談を紹介したいと思います。

同性と不倫した夫と離婚した

妻:まめこ(32)

夫:たいち(34)

たいちとは、同期会をきっかけに結婚しました。結婚して4年。円満な夫婦関係を築けていると思っていました。しかし、彼の一言によって一気に地獄に落とされました。

ある日、仕事後店に呼び出されました。外食なんて珍しいと思い、指定された店へ行くと、夫の隣に見知らぬ男性が座っていました。

「どうしたの?」と聞くと、席着く間もなく「この人と付き合っている。別れてくれ」と言われました。何言ってるのかわからず、「え?」とまぬけな返事しかできませんでした。

「とりあえず、別居してくれ。離婚届は後で郵送するから」と言われ、何が何だか把握できておらず、ぼうっとしたまま二人の姿を見送ってしまいました。

その後、家に帰ると夫は本当に家におらず、ようやく事態を把握しました。

いや、仮にも4年夫婦をやってきてどういうことだよと、遅れて怒りがやってきました。そもそも、別れてくれって、男と不倫してたくせに、何にも言わず別居するとか意味が解らないと思い、電話で連絡を取りました。すると、「話し合ってもいいけど、離婚する意思は変わらないから」と言われ、逆に、「必要最低限の荷物しか持ってきてないから、LINEした住所に荷物送っといて」と頼まれました。

男性が好きなことも不倫されたこともショックでしたが、このぞんざいな扱いなんなんだよと。絶対慰謝料取って復讐してやると考えるようになりました。

そこで、独身時代にためていた貯金を使い、興信所と弁護士に相談し、依頼しました。

依頼した弁護士によると、同性との不倫は、異性との不倫に比べ、証拠を取るのが難しいと言われました。しかし、「男性の恋人と住むから」といって、ちゃんと了承を得ずに別居したことや、運よく興信所の調査で、車で性行為を行っているところが撮ることが出来ました。

車とか、ありえない場所で良くやるわと思いましたが、本当に運が良かったと思います。

その後、弁護士が夫に離婚の条件や慰謝料について交渉しました。夫は、はじめのうち、「同性同士は不倫にならない」と笑っていましたが、弁護士が、同性同士でも不貞行為に当たる可能性があること、不貞行為に当たらないとしても、何の理由もなく妻に了承もなしで、別居を行うのは、不法行為に当たる可能性があることを伝えたところ、態度を急に変えて、話し合いに臨んだそうです。

弁護士の交渉のおかげで、その後の離婚の話合いはスムーズに進み、3か月後には離婚が成立しました。離婚の条件として、共同財産は折半。慰謝料は200万円と取り決めました。

男性を好きになることは自由ですが、夫がなぜ急に態度を変えたのか今でもよくわかりません。4年という年月は、私にとって決して短くない時間でしたが、隠し通されて不倫を続けられるよりはましかと開き直っています。今は、恋愛する気も起きませんが、今後再婚する機会があったとしても、元夫のような人だけは選ばないと心に誓っています。

夫の不倫相手はまさかの○○…~同性と不倫された場合のアレコレ~

まとめ

今回は、同性同士の不倫をテーマにしてきました。ご自身の配偶者が、男性と不倫していたと発覚したら、不倫の事実もさることながら同性に好意を抱いたということに衝撃を受けると思います。

とはいえ、同性に恋愛感情を抱くということ自体は、さほど珍しくなく、潜在的な性的マイノリティは、人口の10パーセント程度いると言われています。

つまり、配偶者が同性と不倫関係になることは、ありえないことではないのです。しかしながら、同性同士の不倫を理由に離婚や慰謝料を請求することは、新しい価値観ゆえ、判例も少なく、自力で解決すること難しいと思います。そのため、困ったときには弁護士に相談することも検討しましょう。

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