2020年からはじまった新型コロナウイルスの猛威はなかなかとどまることを知りません。
コロナ禍によって、離婚の件数自体は減少傾向ですが、コロナ前との生活の違いにより、離婚を意識している方も少なくありません。
今回は、コロナ禍によって、離婚を考えている3人の女性の相談と弁護士による見解について紹介したいと思います。
夫婦のコミュニケーションが取れない夫と離婚したい
夫:かず(32)
妻:りんか(27)
結婚して2年。夫のかずとはそれなりにうまくやってきたと思います。しかし、コロナ禍になって離婚を考えるようになりました。
私たちは共働きで顔を合わせるのは、平日夜と土日位のものでした。一緒に居る時間が少ないので、少し寂しいと思っていましたが、その分土日などは、夫婦の時間をめいっぱいとっていたので、特段不満はありませんでした。
それがコロナ禍となり、生活は一変してしまいました。1回目の緊急事態宣言から、夫の会社はリモート勤務が主になりました。宣言が明けても、コロナが収束するまでは、原則としてリモートで対応すると言われました。
私はというと、もともと在宅ワークだったので、特段勤務形態が変わることはありませんでした。今まで1人だったのが2人になるのか。お昼とかちょっと面倒だな。でも、一緒に居られる時間が増えるのはうれしいかも。とのんきなことを考えられたのははじめのうちだけでした。
リモートが始まっているからというもの、「平日ずっと一緒に居るんだし、土日は俺の好きにしたい」と言われ、一緒に買い物行ったり、公園行ったり、ご飯作ったりというふたりの時間が無くなりました。もちろん平日は仕事で一緒にいるだけで、全然ふたりで何かをやることなんてありません。
もっと一緒に共有する時間が欲しいと言っても、「一緒に居る時間はあるでしょ?」と聞く耳を持ってくれません。一緒に居てもコミュニケーションが取れないなら、一緒に居ないのと同じです。土日の楽しみは無くなり、夫婦仲も冷えていった気がします。
この1年間、「夫婦ふたりの時間を作ってほしい」とお願いし続けたのですが、夫は、ちょっと馬鹿にしたみたいに、「今会話してるじゃん。十分あるじゃん」といって平行線です。
今までそれなりにうまくいっていたはずなのに、今は一緒に居る意味を見出せません。てか言ってるのに、どうしてわかってくれないのでしょう。これじゃあ夫婦じゃなくて同居人です。もう離婚してもいいかなと思っています。こんな理由で離婚できるのでしょうか。
見解
相手方の同意なしに離婚するには、相手方の行動によって夫婦関係が破綻していなければなりません。夫婦関係の破綻とは、ケンカのレベルではなく、修復不可能な状態のことを指します。
今回のりんかさんのケースでは、かずさんの行動によって夫婦関係が破綻しているかどうかが焦点になります。
コロナ禍後、リモートになった後のかずさんの行動は、確かに夫婦間のコミュニケーションに対し、非協力的な態度を取っていました。しかし、この行動が夫婦関係を破綻させたとはいえず、一方的に離婚することは難しいと言っていいでしょう。
したがって、離婚するのであれば、相手方の合意を得ることが大切になります。まずは、かずさんに、夫婦間のコミュニケーションが不足していることを伝え、不足の状態が続くのであれば、離婚を視野に入れているといった風に伝えてみるのはいかがでしょうか。
直接不満を伝えることによって、相手方にりんかさんの真意が伝わり、行動が改善されるかもしれません。
改善されず、当事者間の話し合いで折り合いがつかなかった時には、調停を検討してみてもいいかもしれません。

一緒に居て苦痛な夫と離婚したい
夫:げんき(33)
妻:まなみ(30)
夫のげんきは、自分勝手。本当勝手です。コロナ禍でリモートになって、本当に思うようになりました。1年間で3回の緊急事態宣言…。夫の会社は、宣言が出るとリモートになります。今回3回目。私の我慢も、もう限界です。
理由は、何にもしない。掃除洗濯、ご飯。リモートになったのに、全部私がやらなくちゃいけない。私は接客業だから、出勤しなくちゃいけないのに。
「雨が降ったら、洗濯物いれといて」と言っても、なんもやらなくて服はびしょぬれ。その癖、「お気に入りのシャツが着れないのはお前のせい」と私のせいにしてくる。また、ご飯のスイッチを押しといてといっても、やらない。白いご飯が無いと、おかずが食べられないとか言ってくるのに。
お昼作っておいても、「気分じゃなかった」とかいって、Uber頼んでるし、しかも私には外食は500円以内とか無茶ぶり言ってくるのに、夫は1食に3000円とか使います。
自分に甘く、他人に厳しい性格の夫とは、もう一緒に過ごせません。ていうか、コロナ禍でストレスが溜まっているとか言って、ますます自分勝手に磨きがかかっているようで、本当無理です。私は夫の妻であって、母親やお手伝いさんじゃありません。もう我慢ならないので離婚したいのですが、できるでしょうか。夫に離婚を切り出しても、都合の悪いことは聞かない人なのでどうすればいいか解りません。
見解
夫婦には扶助・協力・同居に義務があります。これらを理由もなしに違反すると、有責行為に当たるケースがあります。
しかし、家事等は夫婦それぞれの事情でその割合が異なることもあり、立証が非常にむずかしいです。したがって、離婚したいのであればまずは離婚協議を行うことをおすすめします。
ご心配されている、げんきさんが離婚を取り合ってくれない場合ですが、お住まいの地域を管轄する家庭裁判所に、夫婦関係調整調停(離婚)を申し立てれば、調停委員が夫婦のあいだを取り持って、離婚の話合いをすることも可能です。ただし調停は、必ずしも自身が望んだ結果になるとは限らないです。
そのため金銭的に余裕があるのであれば、弁護士に離婚協議の交渉を任せてみても良いかもしれません。弁護士は、依頼者の望みを最大限に考慮し、交渉を行うことができます。げんきさんの対応次第では、調停、もしくは弁護士への依頼を検討してみても良いかもしれません。
コロナ禍中不倫した夫と離婚したい
夫:ただし(40)
妻:まさこ(38)
息子:せい(2)
コロナ禍中、夫が不倫していることに気づきました。離婚を考えています。
去年(2020年)4月から、たびたび緊急事態宣言が発令され、夫の会社はリモートになりました。家が狭かったり、息子せいの幼稚園も休園措置があったりで自宅でのリモートは業務に支障をきたすのは事実でしょう。
そのため、会社の同僚とコワーキングスペースを借りたと言って、毎日その場所まで出勤してました。特段不信感は覚えていなかったのですが…。ある日、夫と仲の良い同僚の方から、私のスマホに連絡がきました。その人とコワーキングスペースを借りたと言っていたので、「一緒に居ないんですか?」と尋ねると、「スペースなんて借りてない」と返答がありました。
そこで、なんとなく嫌な予感を覚えました。その場は、なんとなくごまかしてまずは夫のことを調べてみようと思い、出勤の後、尾行してみると…。話していたコワーキングスペースの場所ではなく、マンションの中に入っていきました。
ますますアヤシイと思い、独身時代の貯金から探偵に依頼することにしました。何時間も頼むと高額になってしまうので、出勤時にあのマンションのどこで仕事をしているのか、だれが住んでいるのかを調査してもらうことにしました。
すると、案外簡単に名前が割れました。夫の同僚に、何気なく彼女の名前を聞いてみると、あのマンションに住んでいる女は、夫の部下であることがわかりました。二人がドア前でいちゃついている写真を撮ってもらうことができました。
慰謝料を取って離婚したいのですが、可能でしょうか。また、慰謝料とは別途で養育費も支払ってもらいたいと思います。こちらも可能でしょうか。
見解
不貞行為は、民法770条で定められている、離婚で裁判を請求できる理由のひとつです。
また、夫婦関係を破綻させる行動を有責行為と言います。
不貞行為で離婚を成立させるには、不貞行為の立証が必要になります。
不貞行為の相手の部屋へ出入りしている写真は不貞行為の証拠になり得ます。しかしながら、夫のただしさんや不倫相手の方が、「仕事をしていた」と言い逃れするケースもありますので、他にも不貞行為を匂わせるような証拠を得ておいた方が良いと思います。
不貞行為の裏付けとなり得る証拠とは以下のようなものが考えられます。
- 避妊具や性行為を目的とした道具を購入したレシートやクレジット明細
- 夫が不貞行為の相手の部屋に入り、電気が消えてから点くまでの時間が解る写真や動画
- SNSやメール等で性行為を匂わせるようなやり取り
- 第三者の目撃証言
上記のような証拠があると、不貞行為を立証できる確率が上がります。
証拠を集める前に、ただしさんへ不貞行為の件を告げると、証拠を隠滅されてしまう可能性があるので、ある程度証拠が集まった段階で切り出した方が良いでしょう。
慰謝料については、有責行為の立証ができれば請求することが可能です。とはいえ、相手方の支払い能力を超える金額を請求しても、通らない可能性が高くなるので、弁護士等に相談した方が良いかもしれません。
また、養育費の支払いは親の義務です。慰謝料とは関係なく請求できます。養育費の相場については、裁判所で養育費算定表が公表されていますので、こちらを確認して請求額を決めた方が良いでしょう。
まとめ
今回はコロナ禍での離婚の相談を紹介してきました。冒頭でお伝えした通り、新型コロナウイルスの影響で、2020年4月以降、離婚件数自体は減少傾向にあります。
しかしながら、ぎりぎりで踏みとどまっている方も多く、離婚を意識している人自体は、むしろコロナ禍以前よりも数が多くなっているかもしれません。
夫婦の事情や、離婚の原因によっては弁護士や裁判所等を介した方がスムーズに離婚が成立することもあるのでご検討ください。
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