【体験談】夫の不倫が発覚~離婚したいけれど踏み切れない場合どうすればいいの?~(後編)

離婚の意思を固めた後、考えるべきことはたくさんあります。離婚前に決めておかないと、離婚後困ったことになることもあるのです。

今回は、前回に引き続き、主人公のまりかさんの体験談とともに、専門家のアドバイスをご紹介したいと思います。

 

→前編はこちら

【体験談】夫の不倫が発覚~離婚したいけれど踏み切れない場合どうすればいいの?~(前編)

前回までのおさらい

<登場人物>

主人公:まりか(32)

夫:ただし(36)

娘:ゆりか(4)

まりかは、積極的に家事や育児に参加してくれる夫に対し不満は無く、幸せな日々を送っていた。しかし、夫の会社の後輩から「夫が不倫している」という連絡から、その不倫現場を目撃してしまう。

はじめのうち離婚に消極的なまりかであったが、結婚記念日を無視されたことに対し、夫を信用できないと感じ、離婚を決意する。離婚の決意を固めてから4か月、離婚後の生活を見据え就職等、準備を進めていた。

詳細を確認されたい方は、前編をご確認ください。

【体験談】夫の不倫が発覚~離婚したいけれど踏み切れない場合どうすればいいの?~(前編)

子どもの親権と養育費を決める

離婚の準備を進めていてわかったことがある。それは、娘のこと。離婚は決定事項。離婚後、娘と一緒に暮らすことも、漠然と当たり前だと思っていた。

でも、夫は娘を相当かわいがっている。「親権をください」と言って、「はいどうぞ」とすんなり頷いてくれない可能性もある。

そこで親権について調べてみた。基本的には夫婦の話合いで双方の合意があれば、親権を取得できるらしい。ただし、親権の折り合いがつかなかった場合、調停や審判もあり得ると。その場合、収入、養育実績、離婚後の養育環境から子どもがどちらの親といた方が幸せなのかを一番に裁判所で判断することもあると…。

親権が、収入だけで判断されないということに、少し安心する。就職が決まったとはいえ、夫の方が年収高いし、お金だけで判断されるのはフェアじゃないと思った。それに、いくら親権の取得と不倫したかどうかは関係ないと言っても、イヤだ。因果関係ないとかいっても心情的には、最悪。親権も考えないといけないけれど、貰うなら養育費も考えないと。

でも、養育費貰ってる人ってシングルマザーの4分の1くらいらしい。

夫は、娘を大事にしているから、支払わないなんて言う選択肢はない…と思いたい。ただ、未来のことは誰にも分らない。だって、半年の前の私は、夫が不倫するなんて思ってもみなかったのだから。

親権と養育費。離婚するなら絶対に考えておかなくちゃいけない問題だ。正直、離婚して慰謝料を貰うよりも、養育費の方が大事だ。慰謝料もらったとしても、その支払いのせいで、夫の生活が苦しくなって、養育費を支払ってもらえなくなるなんてことになったら本末転倒もいいところだ。

色々調べていると、たくさんの情報がある。その中から優先するべきことは何なのか考えた結果、夫婦の話し合いで離婚できるなら、絶対公正証書を作成しようと決めたのだった。

親権では子どもの幸せが考慮される。

日本では、子どものいる夫婦が離婚すると、その子の父親か母親が親権を取得することになります。このように片方の親が親権を取得することを単独親権と言います。

親権は大きく分けて次のような性質を持ちます。

■財産管理権

未成年の子どもの財産を管理する権利です。貯蓄等を管理し、子どもの財産を保護したり、子どもに相続が発生した場合、法定代理人として遺産分割協議等に参加することもあります。

■監護権

子どもと一緒に暮らし、教育、養育するための権利です。親側からすると、子どもと一緒に生活できる権利と言い換えてもしれません。

親権と言うと、監護権をイメージする方も少なくないかもしれません。なお、夫婦に特別な事情があった場合、裁判所の判断によって、上記で説明した財産管理権と監護権を分離するケースもあります。

分離された場合、財産管理権を取得したものを親権者と呼び、実際に子どもと暮らす親のことを監護者と言います。ただし、親権と監護権を分離するのは、レアケースと言っても良いかもしれません。

 

親権を取得した場合、上記ふたつの権利を行使することができます。子どもにとって今後の生活に関わる権利なので、裁判所で親権の可否を問う場合、最大限子どもの幸せが考慮されます。

今回の場合、主として育児を行っていたのは、専業主婦であるまりかさんです。したがって、夫婦の話し合いで親権について折り合いがつかず、調停や審判になったとしても、親権を取得できる可能性は高いです。

また、離婚に向け、就職したので安定的な収入についてもクリアできますし、まりかさんの両親に育児のサポートをしてもらえる環境にあることは大きなアドバンテージと言ってもいいでしょう。

更に付け加えれば、娘のゆりかさんは、4歳と年齢的に幼いことも親権取得に有利に働きます。子どもの年齢が低ければ低いほど、母親が必要と判断されることが多いからです。

ただし、親権の取得を調停や訴訟等で争うと、実際に結審するまでに長い時間がかかるとされています。そのため、できるだけ離婚協議の段階で取り決めできた方が良いです。

争いが起きそうであるときには、早い段階で弁護士に相談し、依頼した方がご自身にかかる精神的負担も軽減されますし、子どもに親同士の争いを見せなくてすみます。

両親の不和や争う姿は、子どもの成長過程にマイナスに働くケースが多いです。子どもの為にも、争いをできるだけ避けるというスタンスは、双方で共有しておくべき事柄と言えると思います。

養育費は親の義務であり、子どもは貰う権利を持っている

養育費は、法律上その子どもの親であるのならば、必ず支払わなければならないお金です。離婚しようが、親権を取得できなかろうが、親であることに変わりはないのですから、絶対に取り決めしておいた方が良いことだと言っていいでしょう。

また、養育費は支払いが親の義務であると同時に、子どもにも貰う権利があります。

子どもの成長のために利用するお金なので、当然子どもも当事者のはずですが、親の事情で養育費を取り決めていないケースは少なくありません。

養育費を継続して貰っているシングルマザーは、全体の25パーセント未満で、4人に1人も貰えていないのが現状です。

養育費は、子どもが経済的に自立するまで、継続的に支払われるお金なので、しっかりと取り決めを行うべきです。

お金の取り決めは、基本的に口約束でも契約として成立しますが、後々「言った」「言わない」のトラブルに発展する可能性が高いです。

したがって、養育費の取り決めを行うのであれば、書面を残すべきです。欲を言えば、公証役場に行き、執行認諾文言付きの公正証書にしておいた方が良いでしょう。なぜ、公正証書にしておくべきなのかというと、養育費が滞った場合に給料差し押さえなどの強制執行という手段を講じることができるからです。

少し、難しいと思いますので、夫婦間で作成した離婚協議書と、執行認諾文言付きの公正証書にした場合の違いを比べてみましょう。

離婚協議書
夫婦で作成(私署証書) 執行認諾文言付き公正証書
作成する人 夫婦 公証人
作成場所 どこでもいい 公証役場
費用 かからない 金額によって手数料が発生する
法的効力 有り 有り
信頼性 効力は発生するが、取り決め内容が法的に無効な場合もある 公証人が作成するので効力は発生する。
強制執行の可否 できない できる

 

上記のように、公正証書は、公証人に手数料を支払って作成を行うため、法的効力が発生します。また、養育費は長期間支払いが発生するお金なので、将来滞納された時の手段として、強制執行ができるのは大きな違いです。

強制執行ができないと、養育費を回収できず、泣き寝入りになってしまう可能性もあります。そのため、将来のためにも多少の手数料を支払って、執行認諾文言付きの公正証書を作成するべきです。

その際、居所や勤務先の通知義務を盛り込んでおくと、養育費の支払いが滞ったときに便利です。

【決着】離婚する

夫に、離婚したいことを告げた。彼は、微妙な顔をして「ごめん」といった。「不倫しているんでしょ」と言うと、あっさり認めた。否定するものだと思っていたので、正直拍子抜けだった。

「離婚は了承してくれるんだよね?」と再度尋ねると、夫は「わかった」と言った。あまりにも淡々としていて、泣いたり怒ったりすることもできなかった。

親権も、あれだけ主張してくるものと思っていたのに、そんなことは無かった。「俺にはその資格はない」とか。それなら、家庭を壊すようなこと、しなければよかったのに。

ゆりかの親権は、想像していたよりもずっと簡単に、私に決まった。

その後、養育費や夫婦の共同財産についても話をした。慰謝料を請求しない代わりに、今住んでいるマンションと貯金の半分を取得することになった。

養育費についても、月々5万円を請求すると、これもやっぱりあっさりのんだ。公正証書にしたいと言っても、「わかった」と言い、反論する様子もない。

もっと嫌な男であれば良かったのに。不倫する時点で最低だ。不倫して裏切っているくせに、子どもや私に優しいのはずるい。憎いと思わせてほしかった。

離婚を決意する前に、夫から不倫を打ち明けられていたら、私が問い詰めていればもしかしたら離婚を選択しなかったかもしれない。

でも、やっぱり、一生夫を信用できないと思いながら生きていくのは無理だ。彼の殊勝な態度に、後ろ髪を引かれる気持ちになったが、それでももう決めたことだ。

私と夫は離婚の話合いを粛々と進めていった。

離婚の条件は、ほぼ私が望んだとおり。唯一夫が望んだのは、娘の面会交流についてだけだった。

離婚の取り決めは2か月かけてゆっくりと話し合った。その間、夫は以前よりも早く帰ってくるようになった。再構築を打診されるのかなとも思ったけど、そういうわけじゃない。何にも言わない。複雑な心境だった。不倫を知る前の時間に戻ったように感じた。でも、やっぱりどこか違っていた。心のどこかで、なんとなく踏ん切りついていたのだと思う。

2か月のあいだに、夫は家探しをして、引っ越しの準備をした。

結婚生活も終わるのか。なんとなく空虚な感じを覚えた。思えば、離婚準備をしていた時が一番感情のボルテージが上がっていたのかもしれない。

信用はできないけど、怒りや憎みというのは、もう湧いてこなかった。もう戻ることはできないけれど、娘の、ゆりかの、父親であることは変わりない。今後は、親同士という関係を作ろうと考えた。

離婚届は、婚姻届のときと同じように、一緒に役所に出しに行った。役所の職員が離婚届を確認し、「はい。いいですよ」と言われ、私たちの夫婦関係は終わった。

離婚から3か月経って、私は仕事をしながら育児に追われている。父親が好きだったゆりかは、「次はいつ会えるの?」と言ってくる。結果として、憎みあって離婚をしなくてよかったと今は思ってる。不倫で離婚をしたのだから、円満とは言わないと思うけれど、今の状況にとても満足だ。これからも子どものことを一番に考えられる親でありたいと思う。

まとめ

今回は、ひとりの女性の体験談を基に親権や養育費について考えてきました。

不倫で離婚というと、争いのイメージがつきものですが、必ずしも争いになるとは限りません。しかしながら、離婚の準備は最悪のケースを想定して、進めていった方が良いです。争いに発展しそうな場合には、弁護士への依頼を検討しましょう。

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