不倫して離婚した場合、親権や養育費はどうなるの?

不倫して離婚すると慰謝料を払わなければいけないって知ってる。

それは仕方がない。だって、自分がしたことだから。でも、不倫で親権が取れなくなったり養育費がもらえなくなったりするのはおかしいと思う。ほんとのところどうなの?

不倫は子どもの親権取得に不利になるの?

法律上の不倫とは、不貞行為と言い、配偶者以外の異性と性関係を結ぶことを指します。ご自身が不倫をして離婚する場合、子どもの親権取得について、どのような影響があるのでしょうか。

不倫と親権の因果性の前に、親権とはどのような権利なのか、簡単に確認していきましょう。

親権とは?

親権とは、未成年の子どものいる父母が持てる権利で、次のようなことを行使することができます。

  • 子どもを監護、教育する(監護権)
  • 子どもの代理人としてその子の財産を管理する(財産管理権)

 

子どもの父母は、共同して上記の権利を行使することになります。しかし、離婚するとなると、そうもいきません。

日本では、離婚した場合、父母のどちらかが親権を持つ単独親権を採用しています。そのため、離婚するときには夫婦のどちらが親権を持つかを必ず決めなければなりません。

通常親権は、夫婦の話し合いで取り決めます。婚姻中子どもの養育を担っていたのが女性である割合が高いため、8割以上、女性が親権を取得しています。

不倫は親権取得の枷にはならない

ご自身が不倫したとして、相手方が「不倫したひとに子どもを任せられない」と主張するとします。この主張は通るのでしょうか。

結論から言えば、不倫をしたことと親権取得は全くの別問題なので、上記の主張は通らないケースが多いです。

不倫をしていたとしても、子どもの監護や養育をご自身が中心に行っていればあまり心配する必要はありません。

親権者は、子どもの幸福が一番に考慮されます。不倫をしたとしても今までの養育実績が消えるわけではありません。また子どもの年齢が低ければ低いほど母親の愛情が必要であると判断されます。

そのため、相手方が養育実績や離婚後の養育環境等を整えることなく主張しても認められないケースが多いです。

ただし、次のようなケースでは、親権取得が難しくなります。

  • 不倫が理由で育児放棄した
  • 子どもが相手方と暮らしたいと主張した

 

不倫が理由で育児放棄した

不倫相手に会いたいがために、子どもを放置して出かけたり、育児をおろそかにしていたりした場合には、親権の取得が難しくなります。

特に親が必要な幼い年齢の子どもを放置し、けがを負わせたりなどということがあったときには、保護責任者遺棄罪になる可能性もあります。

育児放棄の事実があった場合には、親権の取得はかなり困難になると思います。

子どもが相手方と暮らしたいと主張した

子どもの年齢がある一定に達し、判断能力があるとされた時には、親権取得において子どもの意思が反映されます。一般的に15歳以上の子どもであれば、その意思が反映されると言われていますが、15歳未満の子どもでも判断能力が有していればその意思は反映されます。

と、ここまでのお話は、親権争いが調停等にもつれ込んだ場合です。

夫婦の話し合いの場合、子どもが不倫を理解し、また母親の不倫に不快感を覚えたときはやはり親権取得は難しいと思います。

 

不倫そのもので親権が取得しづらくなるということはありません。

しかしながら、育児放棄や子どもの意思によって親権を取得できないケースもあります。

子どもは大人が思っている以上に敏感です。

父親の不倫を母親よりも先に察知し、母親に報告していたという例もあるくらいです。幼少期もさることながら、思春期に感じた嫌悪感や拒否感、不快感は子どもの恋愛観にも影響を及ぼすことがあります。

不倫をしてしまったこと自体は、取返しが尽きません。しかし、状況によって離婚後の子どもとの関係についてはある一定の覚悟が必要になるとは思います。

不倫すると養育費がもらえないって本当?

ご自身が不倫した場合、相手方から「養育費は支払わないから」と言われる可能性があります。不倫が原因で離婚した場合、非親権者は養育費を支払う義務はないのでしょうか。

結論から言うとそんなことはありません。

不倫と離婚は全くの別問題です。不倫は夫婦間の問題に対して、養育費は親子間の問題です。

つまり不倫した側が親権を取得したから、相手方が養育費を支払わなくてよいとはならないのです。

少し難しいと思いますので、まずは養育費を支払う義務と貰う権利について確認していきましょう。

養育費を貰うのは子どもの権利で、支払うのは親の義務

養育費とは子どもを養育するために必要なお金のことです。その用途は衣食住にかかわるお金だけでなく、当然教育費用等も含まれます。

子どもの養育に必要なお金を捻出することは、法律上その子と親子関係がある以上、必ず果たさなければならない義務です。というのも、親には、子に対して扶養する義務があるからです。

扶養義務とは、経済的に自立していない未成熟の子に対して金銭等を援助することを指します。

婚姻中は、同一生計なので、給料等を家計に入れることによって、しらずしらずに扶養義務を果たしています。

しかし、離婚した場合、別生計であるケースがほとんどなので、別居している親は、養育費というかたちで、自発的に扶養義務を果たす必要があります。

それが非親権者であっても、子どもを扶養する義務は消えません。

だからこそ、離婚理由によらず、親にとって子どもの養育費を支払うことは、必ず行うべきことなのです。

一方で子どもにも養育費を受け取る権利があります。例えば、離婚協議にて夫婦間で、「養育費の支払いを請求しない」と双方の合意のうえ、取り決めを行ったとします。

しかし、その取り決めは子どもから見れば、両親のあいだで取り決めたことであって、子どもの権利は無くなりません。

扶養を受ける権利は一身専属性(※)であり、親であっても勝手にその権利を奪うことはできません。このことは民法881条で次のように定められています。

 

(扶養請求権の処分の禁止)

第881条 扶養を受ける権利は、処分することができない。

 

つまり、子どもは親が養育費についてどんな取り決めを行ったとしても、別途で養育費を請求できる権利を持っているのです。

養育費は基本的に、経済力の無い未成熟の子に対し支払いが認められるものですが、子どもが成人になっても請求できるケースがあります。具体的には、子どもが病気や障害などで働けない状態にあるときや、大学等に進学した場合が挙げられます。

この場合、子どもが成人していても扶養料として請求することが可能になります。

※一身専属性…他人に代理してもらったり譲渡できない性質のことを言います。

養育費は不倫が原因で離婚したとしても支払ってもらえる

養育費は、支払いは親の義務、子どもには貰う権利があるとても重要なものです。先にご説明した通り、養育費は子どものためのお金なので、離婚の原因が妻側の不倫だとしても関係ありません。非親権者は、子どもが法律上、自分の子である場合は、養育費を支払う義務があるのです。

そのため、相手方が、「離婚の原因は妻にあるのだから養育費は払わない」と言ったとしても、それは道理が通りません。離婚の原因とは、別問題であることを伝え、養育費の話合いを行うべきです。

子どもの成長のためのお金を、親の勝手な都合で貰えなくなるのは避けなければなりません。

とはいえ、夫婦間だけで解決しようとすると、割り切れず、感情的になってしまい、建設的な話合いが出来ない可能性があります。

そういった場合には、夫婦関係調整調停(離婚)を申し立てるのも手段のうちです。調停というと離婚の可否を問うと考えられがちですが、実際は離婚をするにあたって生じるトラブルについても話し合うことが可能です。

相手方が、不倫を理由に養育費の取り決めをかたくなに拒否する場合には、ひとりで解決を目指すのではなく、司法の力を利用しても良いと思います。

不倫が原因だと面会交流してもらえない?

面会交流とは、離婚後、非親権者(別居親)が子どもと定期的、継続的にSNSや電話で連絡を取り合ったり、会って話したり、遊んだりすることを言います。

さまざまな事情があって子どもの親権を相手方が持つこともあるでしょう。そういった場合、離婚原因が不倫であることを理由に面会交流を拒否することが出来るのでしょうか。

養育費の支払いと同じく、面会交流は非親権者(別居親)側の権利であり、子どもの権利でもあります。

したがって、よっぽどの理由がない限り、親権者側は面会交流を拒否することはできません。たとえ、不倫等の有責行為をおこない、離婚の原因を作ったとしても、面会交流の権利が無くなるわけではありません。

不倫したこと自体で、相手方面会拒否をすることはできませんが、次のようなケースの場合は、拒否することが出来ます。

  • 子どもの連れ去りや虐待を行う危険性がある
  • 子どもが面会交流を拒否している
  • 子どもの教育上、悪影響がある危険性がある

 

子どもの連れ去りや虐待を行う危険性がある

面会時に子どもの連れ去りや虐待を行うリスクがある場合は、親権者側から拒否されることがあります。親権者の承諾なしに子どもを連れて帰ることは、最悪の場合、未成年者略取及び誘拐の罪に問われることになります。有罪になった場合は、3か月以上7年以下の懲役刑が科せられることとなりますので、連れ去り等を疑われる行為は絶対に行わないようにしてください。

子どもが面会交流を拒否している

面会交流は、子どもの気持ちや生活リズム等、子どもの利益を最大限に優先しなければなりません。そのため、当事者である子どもがご自身に「会いたくない」「連絡を取りたくない」と言った場合には、面会交流を行えません。

こればかりは、子どもの気持ちが変わらなければ、どうしようもありません。

子どもの教育上、悪影響がある危険性がある

ご自身の言動が子どもの教育上、望ましくないと判断された場合には、親権者は面会交流を拒否することが出来ます。

具体的に言うと、相手方の悪口を子どもに吹き込んだり、事前に作った面会交流のルールを自分の都合で破ったりすることです。

このような行動を行った場合、相手方から面会交流を拒否されてしまう可能性があります。

面会交流の目的は、子どもの成長のプラスになるものであって、妨げになってはなりません。したがって、子どもの成長に悪影響が及ぶ行為、自分勝手な行動はしないようにしましょう。

 

面会交流は、原則として親権者側の感情で拒むことはできません。したがって、いくら親権者側が離婚原因である不倫を理由に拒否したとしても、子どもに「会いたい」という気持ちがあるのなら、行われるべきです。

元配偶者と話し合いで面会交流の折り合いがつかないときには、面会交流についての調停があるので、そちらの利用を検討してみても良いかもしれません。

まとめ

不倫は、本来許されないことです。しかし、不倫を行ったからと言って子どもに関する権利までもはく奪されるわけではありません。

不倫をしたとしてもその子どもの親であることには変わりないですし、子どもの養育等にかかわる問題とは性質が違います。

そのため、「有責配偶者であるから」という理由で、悲観しすぎず、主張することも大切です。とはいえ、夫婦間での話し合いは、さまざまな感情が邪魔をして、うまくいかないかもしれません。そういった場合には、裁判所の制度を利用したり、弁護士に相談してみることで解決することもあります。

ご自身とお子さんにとってより良い選択をしていただければと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。