ギャンブル好きの夫が改心したと思ったら散財していたので離婚したい

誰も離婚したくて結婚するわけじゃありません。

自分が選んだひとと幸せな家庭を持ちたいから、人生を一緒に過ごしたいと思ったから、結婚したんですよね。

現実の夫婦生活が理想と違ったとしても、許容範囲なら我慢することができます。しかし、夫がその許容範囲を超えてきたら…。

今回は、ひとりの女性の相談とその見解についてご紹介していきたいと思います。

ギャンブルで浪費する夫と離婚したい(いちかさんの場合)

相談者:いちか

夫:かいじ

 

夫のかいじは、若いころ、パチンコやスロットが大好きで、給料をつぎ込み、借金も抱えていました。

このまま結婚すると大変になりそうだと感じた私は、結婚する条件を以下のように伝えました。

①ギャンブルは月2万円に抑える

②ギャンブルで抱えた借金を完済する

①については、私が財布や給料の管理をすることになったため、クリアすることができました。しかし、借金については、夫の支払い能力を超えていたので、私が結婚資金として貯めていたお金と夫の両親に事情を話し、結婚祝いとしてもらう予定だったお金を返済に充てました。

こんなことするくらいなら、はじめから結婚しなければいいのにと思われるかもしれませんが、ギャンブル以外は、ほんとに気持ちの良いひとだったので、結婚しました。

婚姻届を出した時、夫から、「今後ギャンブルは絶対にしない。幸せにする」と言われ、嬉しかったのを覚えています。

彼は宣言通り、パチンコやスロット等のギャンブルから一切手を引きました。

結婚してしばらくは、幸せな日々が続きました。

しかし、それも長くは続きませんでした。

夫は、借金をしたとき、滞納を繰り返しており、ブラックリストに入れられているようで、クレジットカードを作ることができませんでした。

キャッシュレスが進んでいるので、何かと不便なこともあるだろうと思い、私の名義で家族カードを作ることになりました。

家族カードを作った際、夫と「散財は絶対にしない」と約束を交わして渡しました。

ギャンブルをきっぱりやめてくれていたので信用できると思い、渡した私がバカでした。

家族カードを渡して3か月ほど。クレジットの明細を確認すると、家族カードから10万円引き落としされていることが判明しました。

10万円なんて大金です。何に使ったのか問い詰めてみると、アプリのガチャに使ったと言われました。

ゲームのガチャに10万円も使うなんて最低です。しかも私名義の家族カードで…。

使ったお金を弁済してほしいと伝えると、「金がない」と夫が言いました。

問い詰めたところ、ギャンブルを辞めていなかったことが判明。自分の給料は生活費以外、ギャンブルに使っていたことが判明し、また貯蓄用に作った口座の中には200万円ほど入っているはずなのですが、127円しか入っていませんでした。

自動振り込みに設定していたため、ちゃんと残高を確認しなかった私にも原因はあるかもしれません。

けど、そのお金は結婚したときにできなかった結婚式や旅行に使うためのお金でした。

夫のことをもう信じられません。離婚したいですが、どうすればいいでしょうか?

また、家族カードで使われた10万円は弁済してもらえますか?貯蓄の使い込みを取り戻すことはできるのでしょうか?

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見解

今回のいちかさんのお話を整理すると、

  • 夫の浪費で離婚できるのか
  • 家族カードで請求が来た10万円を弁済してもらえるのか
  • 貯蓄の使い込みを取り戻すことができるのか

上記、3点が焦点になるかと思います。それぞれ確認していきましょう。

夫の浪費で離婚できるのか

まず、浪費を理由に離婚できるかについてですが、夫であるかいじさんの合意を得ることができれば離婚は可能です。

合意が得られない場合、民法770条の裁判上の離婚の事由にあてはまる必要があり、以下になります。

  1. 不貞行為
  2. 悪意の遺棄
  3. 3年以上生死不明
  4. 配偶者が強度の精神病で回復が見込めない場合
  5. その他婚姻を継続しがたい重大な事由

配偶者の浪費は5のその他婚姻を継続し難い事由に当たる可能性あります。

配偶者の浪費を理由として一方的に離婚したい場合には、かいじさんが何にそのお金を使ったのか、また浪費の程度によります。

婚姻中に形成された財産は、共有財産といい、夫婦の共同名義の財産となります。

浪費による共有財産の使い込みを理由に離婚するのには、浪費のために、そのお金を使ったということを立証する必要があります。

使い込んだ共有財産の内、家族の旅行や、医療費、生活費等に充てていた場合、そのお金は浪費としてはみなされません。

今回のいちかさんの場合、かいじさんが使い込んだお金をギャンブルに使ったということが立証できれば、相手方の合意を得ず、離婚することができます。

ただし、合意を得ないで離婚するということは、離婚裁判を起こすという意味です。

日本の法律では、離婚裁判を起こすには、その前段階で裁判所に調停の申し立てをしなければなりません。

調停を行ってもなお、合意を得られなかった場合、離婚裁判を起こすことになります。

離婚裁判にはかなりの時間と労力、またお金が必要となると予想されます。

したがって、早く離婚したいのであれば、夫婦の話し合いで離婚を成立させた方が良いでしょう。

 

家族カードで請求が来た10万円を弁済してもらえるのか

通常のクレジットカードは、名義人本人以外が利用することができませんが、家族カードであれば、他の家族も利用することができます。

しかし、便利なカードである反面、家族の誰かが家族カードを利用し、散財した場合、散財分は、本来のクレジットカードの名義人が支払うことになります。

家族カードによる散財は、例え名義人本人が関知していないことでも、各クレジットカード会社の不正利用の免責事項にはあたらないので、補償はされません。

クレジットカード会社の補償がないため、弁済については使い込んだ家族本人に、求めることとなります。

今回のいちかさんの場合、弁済を求めるのは、かいじさんになります。

まず、夫婦や親子関係の金銭の弁済は、口約束だと反故される可能性が非常に高くなります。

したがって、かいじさんに10万円の弁済を求める場合には、書面での契約を結んでおいた方が良いです。

ただし、弁済の契約を結ぶためには、相手方が弁済に合意しなければなりません。

他人にクレジットカード等自分の所有する財産を使い込まれた場合、窃盗罪に問われる可能性がありますが、家族間で起こった場合、高い確率で免除されます。

このことを親族相盗例(しんぞくそうとうれい)と言います。

加えて、夫婦間の財産は、共有財産と認識されるため、相手が自発的に弁済をしない限り、手立てがないのが現状です。

これ以上散財されないよう、かいじさんから家族カードを返してもらいましょう。

かいじさんが家族カードを返さない場合には、クレジット会社に連絡し、紛失処理をしてもらうと良いと思います。

 

貯蓄の使い込みを取り戻すことができるのか

夫婦の一方が浪費によって貯蓄を使い込んだ場合、そのお金を取り戻すことは非常に難しいです。

確かに、使い込んだ貯蓄の使い道が浪費だと立証できれば、慰謝料の請求ができるかもしれません。

しかしながら、現実として慰謝料を請求したとしても、そのひとに支払う財産が無かったり、支払い能力を超えていると、慰謝料を支払ってもらえなかったり、もらえたとしても、使い込まれた額よりも少ない金額になります。

今回のいちかさんの場合でも同様に、かいじさんに使い込んだ貯蓄の返還を求めるのは非常に難しいです。

かなり不公平に思いますが、残った財産については、対処のしようがあります。

離婚する場合、婚姻関係中に築いた共有財産を、財産形成の寄与度によって、分ける必要があります。

このことを財産分与と言います。寄与度とは、収入だけではなく家事や育児等も含まれますので、通常共有財産の分け方は半分ずつになります。

しかし、共有財産を使い込んでいた場合には、等分ではなく、7:3や8:2といったように、比率を高くすることができます。

共有財産はお金だけではなく、土地や建物等の不動産や自動車や家具、家電等の動産も含まれます。

共有財産の割合については、まず夫婦間での話し合いをして、相手方と意見が合わない場合には、調停や弁護士への相談を検討すると良いと思います。

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まとめ

今回は、浪費による使い込みについて、相談例をまじえ、解説していきました。

夫婦間での財産の使い込みは、立証が非常に難しいトラブルです。

そのため、本来であれば配偶者の金銭感覚がどうなってるのかを観察し、家族カードや通帳等の管理を任せるべきです。

しかし、今回のいちかさんのように、後になって発覚するケースの方が多いと思いますので、発覚した場合には残った財産をどのように確保するかを考えた方が良いでしょう。

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