【共有財産はお金だけじゃない】離婚時にもめる可能性のある財産分与

離婚をするときに考えるのは財産分与。

財産分与は、子どもがいてもいなくても、婚姻期間が短くても、原則として必ず取り決めておくべきものです。

しかし、相手が嫌いになりすぎて、離婚を切り出して、離婚届を書いてさっさと別れたいと考える方も少なくないのではないでしょうか。

今回は財産分与について考えていきましょう。

 

 

財産分与の比率は原則半分?

離婚時に必ず取り決めておくべきことは財産分与です。

財産分与は、原則として、婚姻中に形成された財産が対象となります。

財産分与の比率は、その財産の形成における寄与度、つまり貢献度によって違ってきます。

 

現在(2021年)、夫婦の共働き率は全体の6割を超えており、専業主婦(夫)の世帯は減少傾向にあります。

けれども、男女の平均収入には、格差があります。また、家事や育児は依然として妻が主体となっています。

財産分与における寄与度、貢献度が収入のみを指す場合、女性が不利になりがちです。

男女差があり、不公平と考える方もいらっしゃると思いますが、この寄与度や貢献度は、単純に収入によって決まるものではありません。

収入が高いのは、家事や育児等をサポートしている配偶者がいるからと解釈されるので、財産分与の寄与度は、原則として、等分(50%ずつ)されます。

このように、財産を半分ずつ分け合うことを、清算的財産分与と言います。

そのため、例えば夫が、「俺が稼いだ金なんだから、お前には一銭も払わない」と主張しても認められません。

 

財産分与は夫婦の話し合いで決めることができる

財産分与は、基本的に夫婦の話し合いで決めることができます。

財産分与の対象の財産がお金等のきっちり半分に分けられるものばかりなら良いのですが、不動産や自動車等の所有権も含まれるため、なかなかうまくはいきません。

すべて売却して金銭に変えるという方法もありますが、建物や土地等の場合、買い手がつかない可能性もあります。

また、自動車等は仕事へ行くときの必需品の可能性もあるので、全部売却してお金に変える方法が必ずしも有効とは限りません。

そこで、夫婦の話し合いによって、共有物を分配する必要があります。

例えば、夫が自動車の所有を希望した場合、自動車分の金額を上乗せして、預貯金等を多くもらうとか、家財道具をもらう代わりに、お金はその分を差し引く等といったことを話し合います。

このように、夫婦が合意して、財産分与を行っているのならば、きっちり等分でなくても構わないのです。

 

離婚後でも財産分与は可能

財産分与は、必ず離婚前に取り決めなければならないイメージがあるかもしれません。しかし、実際は、離婚後でも取り決めることができます。

とはいえ、離婚後改めて財産分与の話し合いを行う場を持つハードルの高さや、離婚後、築いた財産と混同してしまう可能性があるので、離婚前に取り決めておいた方が良いでしょう。

また、財産分与の請求には時効があります。

時効は離婚後から2年です。2年を超えると請求することができなくなりますので注意しましょう。

 

共有財産と特有財産の違い

財産分与の対象は共有財産のみとなります。

共有財産、特有財産とは、どんな財産のことを言うのか、また違いについてそれぞれ解説していきたいと思います。

 

共有財産は夫婦で築いた財産

共有財産とは、婚姻期間中に築いた財産のことで、主に以下のようなものが挙げられます。

 

【共有財産の対象】

預貯金・株券等の有価証券・土地や建物等の不動産・自動車・宝石・貴金属類・家電製品・家具・住宅ローン等の債務

 

上記を婚姻中に購入した場合、すべて財産分与の対象となる共有財産になります。

例えば、貯蓄用の口座名義が、夫、もしくは妻名義であっても夫婦の財産としてカウントされます。

これは、不動産や自動車等も一緒で所有者が夫婦の一方の単独名義となっていても、共有財産と解釈されます。

また、財産というとプラスの財産を想像しがちですが、生活のための借金だとか、住宅ローン、自動車ローン等の債務も共有財産となります。

 

特有財産は個人の財産

婚姻関係中に築いた財産は原則として、夫婦の共有財産と解釈されますが、例外もあります。

財産分与の対象にならない財産のことを特有財産と言います。

婚姻期間中でも、以下のような理由で譲渡された財産は特有財産となります。

 

【特有財産の対象】

遺産(相続財産)・贈与された財産・普段使っているカバンや衣服等の衣料品・スマホ等の携帯電話・プレゼント・婚姻前の預貯金等の財産(※)

※状況によっては、共有財産としてカウントされることもあります。

 

ちょっと気になるのは、婚約指輪や結婚指輪ですよね。

婚約指輪や結婚指輪等の宝飾品は、共有財産と特有財産、どちらに分類されるのでしょうか。

結婚時の指輪は、ほとんどの場合、プレゼントとして夫(妻)から妻(夫)へプレゼントされます。

プレゼントは、特有財産にカウントされるので、共有財産にはなりません。

 

財産分与でもめがちな家財道具

財産分与というとお金のイメージが先行しますが、意外と多いのは家財道具の争いです。

離婚時だけではなく、夫婦仲が悪くなり、別居した時にも起こりがちな紛争です。

 

それぞれ、例を見ながら確認していきましょう。

 

ケース①離婚時でもめる

■まりこさん(仮名)の場合

夫との生活スタイルが合わずに夫婦仲が悪化してしまいました。

このまま、この夫と子どもを作りたくないと感じ、離婚を切り出しました。

離婚の合意自体は、夫の方も合わなかったと感じ了承を得ることができました。

しかし、家財道具についてかなりもめてしまいました。

現在暮らしている部屋は、収入的に厳しいので、引っ越しすることを決めていました。

そこで、夫に引っ越し先に持っていきたい家電や家具をリストにして、「○○持ってっていいかな?」と相談しようとしました。

すると、突然夫が切れはじめ、「冷蔵庫とかテレビとか、離婚してやるんだから俺のモノにきまってるだろ!しかも、テレビ台とかそんな高くないものまでリストに入れやがって、ケチくさ!!ほんとケチくさ!!!」

結局、夫の器の小ささに嫌気がさしてしまい、縁が切れるならと思い、家財道具を一切おいて離婚しました。

もう、今更で仕方がないのですが、家具や家電は財産分与の対象ではなかったのでしょうか。

 

見解

共有財産には、当然家具や家電製品も含まれます。

したがって、まりこさんには、家電製品や家具を受け取る権利がありました。

まりこさんのケースのように、離婚するにあたって、家財道具の所有をめぐるトラブルは多くあります。

なお、家財道具が高価なものだったり、愛着がありどうしても手放したくないものがある場合には、夫婦関係調整調停(離婚)を申し立てることも手段のうちです。

また、離婚して2年以内であれば、財産分与請求調停の申し立てをすると、再度財産分与できる可能性もありますので、ご検討ください。

 

ケース②別居時にもめる

■かなさん(仮名)の場合

日常的に、夫から「死ね」、「役立たず」、「消えろ」等かなり暴言を吐かれていたため、離婚を考えました。

ある日、食事が気に入らないとかで切れだし、「出ていけー!!」と怒鳴ってきたので、「それなら冷蔵庫とかテレビとか家具とか持っていくからね!」と言い返しました。

すると、「持ってけよ!だから早く消えろよ!!」と言われました。

いろいろ我慢していた私ですが、堪忍袋が切れ、すぐに別居を決意しました。

とりあえず、冷蔵庫と炊飯器、洗濯機、テレビを倉庫に預け、ウィークリーマンションに引っ越しました。

電子レンジを残したのは、これからコンビニご飯が続く夫への配慮です。

 

切れて何をしでかすか分からなかったので、転居先の住所を伝えず、「言うとおり出ていったから、離婚考えてね」とLINEを送りました。

すると、50件を超える鬼電と、100件を超えるLINE。

「出てけといったけど、本当に出ていく奴がいるかよ!」「めしどうするんだ!」「冷蔵庫とか洗濯機まで持って行ってどうする気だ!この家電女!!!」

 

転居先が決まったので、自宅から持ってきた家電を倉庫から取り出して、使っています。

これから本格的に離婚に向けて話し合いたいのですが、夫から、「夫婦の共有財産を勝手に持ってく泥棒め!」とか「訴えてやる!」といったメッセージが毎日来ます。

私のしたことは、法に触れているのか不安になってきました。どうすればいいでしょうか。

 

見解

別居時の共有財産の持ち出しについては、しばしばトラブルになり得ることです。

結論として、別居時の共有財産の持ち出しは、ある一定の範囲で認められています。

今回のかなさんの場合、一定の範囲を超えていない可能性が非常に高いです

したがって、かなさんの行為が違法行為とみなされる可能性はかなり低いと考えられます。

 

また、今回かなさんが夫から受けていた行為は、精神的DV(モラルハラスメント行為)に該当する可能性があります。

精神的DVは、立証が難しいですが、認められれば慰謝料を請求できますし、相手方が離婚を拒否する場合、離婚訴訟を申し立てることができます。

慰謝料を取りたい、離婚を早く成立させたいとお考えの場合には、弁護士に依頼することも検討してみてください。

 

まとめ

今回は財産分与と共有財産について解説していきました。

財産分与は離婚をするうえで、とても重要な取り決めです。

相手方が、「財産分与をしない」と強く主張したとしても、共有財産は夫婦互いに受け取る権利があるので、しっかり話し合うことが大切です。

話し合いがうまくいかなかったり、相手が恫喝等を行い、話し合いのテーブルに着けない場合には、調停や弁護士への依頼もご検討ください。

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