【熟年離婚】義両親の介護を理由に離婚はできる?

結婚して20年。

夫婦仲は良好で、子どもも手がかからなくなった。

これから夫婦の時間が増えるねと夫婦旅行を計画している矢先。

義母の介護をすることに…。

義母の介護って私が全部しなくちゃいけないことなの?

もう疲れたので離婚したいけど、離婚ってそんな簡単にできるのかな…。

 

 

義両親の介護は配偶者の義務なのか

日本では高齢化が進んでおり、令和元年にはおよそ人口の3割が65歳以上だと言われています。

65歳以上を過ぎても、健康であればそれほど問題はないかもしれません。

しかし、次のデータをご覧ください。

 

平均寿命 平均健康寿命 予想される介護期間
男性 80.98 72.14 8.84
女性 87.14 74.79 12.35

参照データ: 令和2年厚生労働白書 図表1-2-6

※上記は2016年の数値となっております。

 

このデータをご確認いただくとお分かりの通り、男女ともに平均寿命と平均健康寿命に年数の開きがあります。

つまり、その開きがある分だけ、介護が必要とされる期間が増えると予想できます。

介護と言っても、介護施設での受け入れや、在宅介護等方法は、家庭によって異なりますが、

在宅介護を受けている割合の方が高いです。

在宅介護の問題点として、介護を行う人の負担の大きさです。

家族みんなで協力し合いながら、個々の介護の負担をシェアできればいいのですが、なかなかうまくいきません、

実の両親の介護ですら、かなりの負担がかかります。

介護の対象者が義両親だった場合、心情的に負担がより重く感じる方も少なくありません。

ましてや、配偶者が介護に非協力的な態度で、ほぼご自身に任せっぱなしな状態になると、離婚を考えるのも致し方ない部分があると思います。

夫や妻の家族だから仕方ないと介護を行っている方もいるかもしれませんが、そもそも義両親の介護は義務なのでしょうか?

 

義両親の介護は扶養義務ではない

親の介護は、扶養義務にあたります。

扶養義務とは、民法で次のように定められています。

 

第八百七十七条 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。

 

上記をご確認いただけるとお分かりの通り、扶養義務は、基本的に親子等の直系血族、または兄弟姉妹がその義務を負います。

配偶者は、姻族となるので、本来義両親の介護を行う義務はありません。

しかし、夫婦には、同居・協力・扶助の義務というものがあります。

平たく言えば、「夫婦になったら、特別な事情が無い限り一緒に住んで、いろんなことを助け合って、生活しようね」という義務です。

配偶者が義両親の介護で困っていた場合は、助けましょうねという状況になることもあります。

つまり、本来義両親の介護は、配偶者やその兄弟姉妹が主体となって行うのが基本です。

そのため、義両親の介護のほとんどを妻や夫に押し付けるのはおかしいのです。

 

介護を理由に離婚は成立するのか

介護は、介護する内容によって、身体的に、精神的にかなりの負荷がかかります。

介護が大変だという理由で離婚できるのでしょうか。

 

結論から言えば、配偶者が離婚に同意すれば離婚ができます。

離婚は、配偶者と合意すれば、どのような理由でも離婚することが可能です。

そのため、まずは相手方と離婚について話し合い、合意を得ることが大切です。

 

とはいえ、「介護が大変だから離婚してください」と言って、「はい、いいですよ」とすぐ了承してくれるケースは少ないと思います。

相手方から、離婚を拒否された場合、どのような行動をとればいいのでしょうか。

 

介護に非協力的等の理由で、相手の同意を得ず、一方的に離婚したい場合には、相手方の行動に夫婦関係の破綻の原因となった理由が必要となります。

夫婦関係の破綻とは、夫婦としてもう修復が望めない状態を指し、相手の同意なく離婚するということは、離婚訴訟で勝訴するということです。

夫婦関係が破綻する理由として、法律では次のような事由を定めています。

 

  1. 不貞行為
  2. 悪意の遺棄
  3. 3年以上生死不明
  4. 配偶者が強度の精神病で回復を見込めない場合
  5. その他婚姻を継続し難い重大な事由

 

これらをまとめて有責行為または、法定離婚事由というような言葉で呼ぶことがあります。

本記事では、有責行為と呼ばせていただきます。

介護を理由に離婚する場合には、上記、5つのうちどれに当てはまるのでしょう。

ちょっとよくわからないですよね。

介護を理由とした離婚を考えるにあたって、次のようなシチュエーションが挙げられます。

 

  • 義両親の介護を配偶者が全くしない
  • 義両親の介護でキャパシティを超えているのに、解決策を考えようとしない

 

このような理由は、程度にもよりますが、夫婦関係の破綻の理由として認められる可能性が高いです。

では、先に挙げた有責行為のどれに当てはまるのか、考えていきましょう。

 

義両親の介護を配偶者が全くしない

配偶者の義両親のはずなのに、当人が全く介護に参加しない場合、有責行為である、「その他婚姻を継続し難い事由」に該当する可能性があります。

そもそも、義両親の介護の義務は、子どもである配偶者にあり、ご自身にはその義務はありません。

相手方の負担が大きいため、協力しているのであって、介護の主体は配偶者にあるはずです。

にもかかわらず、介護を全く手伝わない行為は、夫婦関係の破綻につながる行動と言えるでしょう。

 

義両親の介護でキャパシティを超えているのに、解決策を考えようとしない

義両親の介護でキャパシティを超えているのに、解決策や打開策を考えることなく、介護を任せる行為は、有責行為の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性があります。

介護は、家族がすべてを背負い、担う必要はありません。

デイケアサービスや訪問介護のサービスの利用や、介護施設に入所すれば、介護の負担が軽減されたり、なくなったりします。

相手方が、ご自身の介護の負担を減らそうと努めず、「両親なんだから当然嫁(婿)である○○が介護をすべき」というような態度だった場合には、十分有責行為に当たる行動と言えるでしょう。

 

介護を理由に相手の同意を得ず離婚したい場合、相手方の行動に夫婦関係を破綻させる行動があったかどうかで決まります。

また、有責行為によって、精神的苦痛を受けた場合には、慰謝料を請求できることもありますので、有責行為を立証できる証拠(診断書や日々の介護の記録等)は確保しておいた方がいいでしょう。

 

離婚を拒否された場合の対処法

介護を理由に離婚するには、配偶者に協力姿勢が見られないことが前提です。

直接的に介護を行っていなかったとしても、配偶者が「訪問介護を利用しよう」等の協力の姿勢を見せていると、有責行為とは言い難いです。

では、介護を理由に離婚を切り出し、相手方に拒否された場合、どのような手段が考えられるでしょうか?

 

離婚を拒否された場合には調停を検討する

離婚を拒否された場合の手段として調停が挙げられます。

離婚の調停とは、「夫婦関係調整調停(離婚)」のことを指します。

離婚調停は、お住まいの地域を管轄する家庭裁判所に申し立てることになります。

調停では、男女2人以上の調停委員を仲介役に置き、双方の妥協点を探し、離婚を成立させます。

調停では、調停委員が受ける印象によって、話し合いが有利に進められるか大きく変わってきます。

したがって、離婚に至った原因や理由を、論理的に説明することが大切です。

必須ではありませんが、日付入りの介護の記録等を用いて、自分の離婚したい気持ちを主張すると、調停委員を味方につけられる確率があがります。

ただし、配偶者の介護に対する態度が協力的だった場合には、調停委員の賛同を得られにくく、自分の意向に沿った話し合いができない可能性もあるので注意が必要です。

 

弁護士に依頼する

介護を理由に離婚を切り出し拒否されたときの有効手段として、弁護士への依頼を検討してもいいかもしれません。

弁護士は、依頼者の最大限の利益を追求するために、行動してくれますので、いわば絶対的な味方と言ってもいいでしょう。

また、弁護士は依頼者の代理人となるので、離婚条件等の交渉も代理して行ってもらえます。

より有利な条件で離婚を成立したいとお考えの場合には、弁護士への依頼を検討した方がいいかもしれません。

 

介護離婚をご検討の場合には弁護士にご相談ください

今回は、介護離婚について考えてきました。

介護離婚は、比較的年齢の高い夫婦に起こりえるトラブルです。

離婚自体の交渉ももちろんですが、財産分与等についても複雑になる可能性があるので、ご自身の手に負えないと感じた場合には、早い段階で弁護士に相談した方がいいでしょう。

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。