【離婚には準備が必要?】専業主婦(夫)が離婚を考える場合にやるべきこと(前編)

夫と離婚したい…。

でも、子どもを出産してから仕事を辞めちゃったし、ブランクがある。

離婚後の収入面も仕事も住居も不安。

離婚前に準備しておくことっていったい何?

専業主婦(夫)が離婚を考えた場合、何をすればいい?

専業主婦(夫)の方で離婚を考えている場合、離婚後の生活に関する不安がたくさんあると思います。

何も考えずに離婚してしまうと、その後の生活が苦しくなりますし、子どもがいればなおさら慎重になるでしょう。

離婚後の生活は、離婚前にしっかり準備しておくかどうかで、大きな違いがあります。

子どもがいる専業主婦(夫)の方の場合、まずは下記のような準備を進めると良いでしょう。

  • 離婚後の仕事を決める
  • 住居を決める
  • 養育費の取り決め(※1)
  • 育児環境の確保(※2)

 

※1、2は後編でお話します。詳細を確認されたい方は、下記の記事をご確認ください。

熟年離婚増加中|熟年離婚で考えておくべき財産分与とは??

早速それぞれの項目ごとに確認していきましょう。

弁護士に相談したい方はこちら

離婚後の仕事を決める

専業主婦(夫)の方が離婚を意識した場合、まずは就職先を決めるべきです。

離婚前に就職を決めておくべき理由として次のようなものが挙げられます。

 

  • 離婚後の生活を安定させるため
  • 保育所等に入所しやすくするため
  • 親権取得を考えた場合プラスに働くため

 

離婚後の生活を安定させるため

多くの場合、働かないと生活を成り立たせることができません。

また、離婚後も離婚前と同じ住まいに留まるにしても、別の場所に引っ越すにしてもお金が必要です。

離婚後、財産分与や慰謝料等まとまったお金が手に入れば、当面は働かなくても良いかもしれません。

しかし、当然のことですがお金は使えば無くなるものなので、子どもと暮らしていくための生活費の確保を考えておく必要があります。

 

保育所等に入所しやすくするため

お子さんが幼い場合、働くためには子どもを預けるための保育所を利用できることが非常に重要となります。

保育施設には、幼稚園と保育園がありますが、次のような違いがあります。

 

≪保育園と幼稚園の違い≫

公立保育園 公立幼稚園
所轄庁 厚生労働省 文部科学省
入所条件 基本的に就職している人(※1) 就職していなくても入所可能
対象年齢 0歳~小学校に入学するまで 満3歳~5歳
基本的な保育時間 7:30~18:00頃 9:00~14:00(※2)
保育料 自治体・子どもの人数・保育時間・収入等によって変動

(満3歳以降は無償)

無償
給食の義務 あり なし

※1産休、介護等の理由がある場合には、就職していなくても入所可能なケースあり。

※2保育所によって延長保育を行っているケースあり。

 

上記の表をご確認いただくとおわかりの通り、公立の保育園と幼稚園では、大きな違いがあります。

基本的に、離婚後は働きながら育児を行うケースが多いため、預かり時間の長い保育園を利用したいと考える方が多数いらっしゃると思います。

しかし、公立保育園の場合、入所するためには子どもをみられない理由が必要となります。

ひとり親は、仕事があれば優先的に保育園に入所することが可能です。

ただし、就職していない場合、優先順位が下がり保育園に入所するまでに時間がかかる確率が上がってしまいます。

就職は「仕事を始めよう」と思ってもすぐに決められるものではありません。

就業条件を確認したり、面接等、就職活動をする必要があったりする場合が多いです。

就職活動中の期間は、「子どもをみられない理由」にあたらない可能性が高いので、離婚前に仕事を見つけ、なるべく早く保育園へ入所できるよう備えましょう。

 

親権取得を考えた場合プラスに働くため

離婚前に就職しておくことは、親権取得にプラスに働きます。

親権は、通常夫婦の話し合いで折り合いが付けば、離婚届の親権欄に名前を記載すれば事足ります。

しかし、相手方が親権を主張してきた場合には、家庭裁判所に調停を申し立てて、話し合いを行うことになります。

このときに、収入が低くても、安定した仕事を持っていれば、親権を取得できる可能性が高くなります。
【弁護士監修】離婚時に必ず取り決めるべき親権について解説!

住居を決める

専業主婦(夫)の方は離婚前に行っておくべきこととして、離婚後の住居先を決めることです。

離婚後の住居として、以下が考えられます。

 

  • 離婚前の住居に住み続ける
  • 賃貸住宅に引っ越しする
  • 実家に引っ越しする

 

それぞれ注意点がありますので、詳しく確認していきましょう。

 

離婚前の住居に住み続ける

離婚前の住居に住み続けたいと考えた場合、その住居が持ち家なのか、賃貸なのかで注意するべき点が異なります。

 

持ち家の場合

離婚前の持ち家に住み続けたいと考えた場合の問題として、住宅ローンが完済されているかどうかが重要です。

ローンがまだ残っている場合、残債の支払いをどのようにするのか、連帯保証人や共同名義で家を購入しているか等、状況によってかなり対応が異なります。

そのため、住宅ローンが残っている住居に住み続けたいと考えた時には、次のような項目を事前に調べておくべきです。

 

  • 住宅ローンの残債
  • 持ち家の名義(登記名義)
  • 持ち家の価値
  • 住宅ローンの種類
  • 連帯保証人・保証人の確認
  • 固定資産税の金額

 

少しわかりにくいと思いますので、以下の具体例をご確認ください。

 

1持ち家が元配偶者名義で住宅ローンを元配偶者が支払い続ける場合

 

住宅ローンは持ち家の名義人である元配偶者が支払っているので問題ないように思えるかもしれません。

しかし、元配偶者が支払いを滞らせた場合、差し押さえ対象となり、家に住み続けられなくなる可能性があります。

また、住宅ローンの連帯保証人だった場合には、残債を支払わなければならない義務を負います。

 

 

■例2持ち家が自分名義で離婚協議によって、元配偶者と共同して住宅ローンの残債を支払うと取り決めた場合

 

住宅ローンの残債を元夫婦が共同して支払うことは普通のことで何も問題ないように見えます。

しかし、ローンの支払いを共同して支払うことを書面にしなかった場合、元配偶者がローンの負担分を支払わなくなった場合に、「共同で支払う」という約束をしたことが証明できなくなります。

そのため、ローンの残債をすべて家の名義人であるひとが支払わなければならないというトラブルが発生する可能性があります。

 

 

住宅ローンの支払いは長期にわたります。

離婚当時は、「住宅ローン」を支払うと約束していても、後になって滞納等のトラブルが発生するケースは少なくありません。

したがって、住宅ローンのある持ち家に住み続けたいと考えた時には、その持ち家に関する約束をしっかり書面で取り交わしておいた方が良いでしょう。

また、相手方と住宅ローンの支払いを分担する場合には、不払い時に備えて強制執行ができるように、強制執行認諾文言付の公正証書を取り決めておくと良いでしょう。
【絶対作るべき?】離婚するときに離婚協議書を作成する意味とは?

賃貸の場合

離婚前の住まいが賃貸でその借主が元夫(妻)の場合、そのまま住み続けることは問題ないのでしょうか。

多くの賃貸物件では、無断譲渡や無断転貸を禁じています。

大家に許可なく無断譲渡や無断転貸を行った場合、賃貸契約を解除されてしまう可能性があります。

では、離婚後、借主が元夫(妻)であるマンションやアパートの部屋に住み続けた場合、無断譲渡や無断転貸にあたるのでしょうか。

結論からいうと、借主と実際に住んでいる人が違うので、無断譲渡や無断転貸にあたりますが、普通の生活をしていれば賃貸契約が解除となって、追い出されるということは考えにくいです。

そもそも無断譲渡や無断転貸が問題となるのは、貸主と借主間の信頼関係を壊す背信行為にあたるからです。

例えば、借主がまったくの第三者に無断譲渡や無断転貸をした場合、その第三者は貸主の審査も何も通っていないので、背信行為にあたります。

しかし、離婚後も引き続き同じ家に住む場合、賃料の滞納等、他に重大な契約違反が認められない場合には、大家から契約解除の申告があったとしても、基本的に認められないと思って良いでしょう。

ただし、離婚後、借主が元夫の名義である賃貸物件に住み続けた場合、元夫の裁量で、家を追い出されてしまうことがあります。

例えば、夫が賃貸契約の更新等を行わなかったり、賃料を滞納したりということが挙げられます。

そのような事態を防ぐためには、現在の家を自分名義で借りなおすという手段があります。

とはいえ、自分名義で借りなおすというのは、イコール新規契約と同じ意味合いを持ちます。

したがって、入居審査を受けなければなりませんし、敷金や礼金についても支払う必要が出てきます。

名義を変更する場合には、荷物の移動代以外の費用が掛かることを覚悟しておいた方が良いでしょう。

 

賃貸住宅に引っ越しする

離婚後新しい賃貸住宅に引っ越しを考える場合には、引っ越し費用を考える必要があります。

通常引っ越し費用として、次のようなものが考えられます。

 

【引っ越し費用】

  • 敷金…家賃1、2か月分(0円のところもあります)
  • 礼金…家賃1,2か月分(0円のところもあります)
  • 前家賃…日割り+翌月分
  • 仲介手数料…家賃の○○パーセント(通常1か月分)
  • 鍵交換代…20,000円~30,000円程度
  • 室内清掃代…物件による
  • 保証会社委託料…保証会社による
  • 家具等荷物の搬入代…荷物量、引っ越し会社による

 

これらの引っ越し費用は、家賃の高さに左右されます。

地方にお住いの方は、家賃が低い傾向にあるので、安く済ませられるケースもありますが、東京等、大都市にお住いの方は、引っ越し費用が50万円を超えることもあります。

引っ越し費用は、離婚協議等の話し合いによって、財産分与等で捻出可能なこともあるので、引っ越しの初期費用がどれくらいかかるのかを事前に調べ、相手方と交渉することが大切です。

 

実家に引っ越しする

離婚後、両親等の了承を得て、実家に引っ越しをされる方は少なくありません。

確かに、実家であれば、ご自身にとって慣れ親しんでいる場所、敷金礼金等の費用を支払う必要が無いので、魅力的な引っ越し場所です。

しかしながら、実家に住んだ場合、ご両親の厚意に甘えすぎると後々トラブルに発展するケースがあります。

良くトラブルになることとして、以下が考えられます。

 

  • 実家にお金を一切入れない
  • 子どもの世話を両親に任せっぱなしにする

 

実家にお金を一切入れない

実家で暮らしたいと考えた場合、実家にお金を一切入れないと両親との間で確執が生まれる可能性があります。

親であっても、食費等の生活費は入れるべきです。

実家に戻った場合の収入状況を、両親にしっかり示し、月額○○円を家に入れるといった話し合いをしましょう。

 

子どもの世話を両親に任せっぱなしにする

実家で暮らすことを選択した場合、子どもの世話を両親に任せっぱなしにするという事態は避けましょう。

子どもの世話は、想像以上に体力を使いますよね。

赤ちゃんの頃はもちろん、動き回れるようになると、とんだり、跳ねたり、走り回ったりと怪我をさせないように気を遣って、疲れてしまう経験がおありだと思います。

いくら孫だといっても、自分の子どもではないので、人一倍注意を払って子どもの面倒をみるのは、体力的も精神的にもかなり大変です。

そのため、ご両親に頼りすぎないことはもちろん、子どもの世話に協力してほしいときは、事前に伝えておくことが大切です。

止むを得ない事情がある場合には、しっかり理由を伝えること、また感謝の言葉をしっかり伝えることが大切です。

 

まとめ

今回は、専業主婦(夫)が離婚を考えた場合にやるべきことについてお話していきました。

子どもがいる場合の離婚は、ご自身の感情だけに左右されず、離婚後の生活についてしっかりと考えることが大切です。

後編では、養育費の取り決めや、育児環境の確保について考えていきたいと思います。

気になる方は、以下のリンクから確認してみてください。

【離婚には準備が必要?】専業主婦(夫)が離婚を考える場合にやるべきこと(後編)

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