【再婚しても養育費はもらえる?】再婚した場合、子供の養育費はどうなるの?

離婚して2年。

離婚して少し経った頃から縁あってお付き合いしているひとにプロポーズされた。

子どものことも養子縁組をしてくれるといってくれて、再婚するつもり。

でも、再婚して、子どもが今のひとの養子になったら、元夫と子どもは法律的には親子じゃなくなるよね?

つまり今支払ってもらっている養育費ももらえなくなるってことなのかな…?

再婚して子どもが新しい配偶者の養子になると元配偶者との関係はどうなるのか

離婚後、しばらく経って再婚するひとり親は少なくありません。

新しい家族ができるのはとても嬉しいことだと思いますが、不安なのは子どもについてです。

元配偶者との間に子どもがおり、その子どもを新しい配偶者の養子にすると、法律上の親子関係は、自動的に新しい配偶者と結び直しになるのでしょうか?

養子縁組をしても元配偶者との親子関係は継続する

再婚して、新しい配偶者と子どものあいだで普通養子縁組を行った場合でも、元配偶者との親子関係が解消されるわけではありません。

というのも普通養子縁組は、実親との親子関係を継続したまま、養親とのあいだで新たに法律上の親子関係を結ぶこととなるからです。

つまり、子どもは実親と養親の両方と法律上の親子関係が結ばれている状態になります。

このような状態の場合、子どもは、以下の権利を持つことができます。

  • 相続権
  • 養育費を受け取る権利
  • 面会交流

上述しましたが、普通養子縁組は、実親との親子関係を否定するものではありません。

したがって、実親が死亡した場合には、その遺産を相続する権利は消えません。

また、親子間の扶養義務も無くならないので、養育費を受け取る権利も継続したままです。

加えて、実親と面会したり、連絡を取り合ったりする権利も維持されます。

また、元配偶者も養育費の支払い義務が免除されることはありませんし、子どもと会えない場合には、面会交流を請求することが可能です。

元配偶者と法律上の親子関係が消える特別養子縁組

養子縁組には普通養子縁組と特別養子縁組の2つの種類に分けることができます。

通常、養子縁組というと、普通養子縁組の方を指すのが一般的です。

特別養子縁組とは、実親との法律上の親子関係が無くなる手続きです。

特別養子縁組をすると、血がつながっていたとしても、法律上の親子関係が解消されるので、相続権や扶養義務が無くなるので、元配偶者が死亡したとしても遺産を相続することはできなくなりますし、養育費の支払い義務も無くなります。

このように、特別養子縁組を行った場合、かなり強い効力が発揮されるのです。

元配偶者との関係を断ち切りたいという思いから、特別養子縁組をしたいとお考えの方もいるかもしれません。

しかし、特別養子縁組の利用条件は、普通養子縁組と比べ、かなり厳しい条件があります。

利用するうえで、どのような条件の違いがあるのか以下の表をご確認ください。

■普通養子縁組と特別養子縁組の違い

普通養子縁組 特別養子縁組
申請先 市区町村の役所 家庭裁判所で審判の手続きを行い、承認される必要がある
利用できる年齢 制限無し 原則15歳未満の子ども
申請許可の有無 無し 実親の許可が必要(※1)
戸籍の続柄表記 養子、養女 長男、長女等養子の表記はされない(※2)
養親になる条件 ①成年に達していること(※3)

②養子よりも養親の年齢が高いこと

①夫婦であり、夫婦のうち一方が25歳を超えていること

②養子縁組前に養子となる子を6か月以上監護すること

※1.虐待やネグレクト等の特別な事情がある場合には許可が不要なケースもあります。

※2.養子や実親の表記等はされませんが、特別養子縁組が承認された日にちが記載されます。

※3.2022年4月より民法改正によって18歳が成人年齢となりますが、養子縁組ができる年齢は20歳のまま維持されます。

上記の表をご確認いただくとお分かりのとおり、特別養子縁組の利用条件はとても厳しいです。

というのも、特別養子縁組の法律は、もともと子どもがいない夫婦が、子どもを育てたいと考えたときに利用する制度だからです。

したがって、再婚し、新しい配偶者と特別養子縁組を組ませたいと思っても、条件を満たせない場合には利用することができません。

新しい配偶者と子どもとを法律上の親子関係にしたい場合は、よっぽどの事情が無い限り、普通養子縁組を考えた方が良いでしょう。

再婚しても元配偶者の養育費の支払い義務は消滅しない

再婚したとして養子縁組をしたとしても、原則として元配偶者の養育費の支払い義務は消滅しないと考えて良いです。

というのも、前述した通り、普通養子縁組は実親との法律上の親子関係を否定するものではないからです。

法律上親子関係にあり、その子どもが未成熟であった場合、親はその子を扶養する義務を負います。

非親権者の扶養義務というと、端的に言えば養育費を支払うことです。

相手方が、「再婚したんだからもう養育費は支払わない」とか「養子になったんだからもう自分の子どもじゃない」と言ってきたとしても、実際法律上の親子関係は継続しているので、支払い義務もまた維持されます。

したがって、再婚や養子縁組を理由に養育費を拒否してきたときには、相手方と養育費についてしっかり話し合いを行うべきです。

なお、法律上、再婚や子どもを新しい配偶者の養子にしたという事実を相手方に通知する義務はありません。

モラル的な観点は置いといて、そのまま黙っていれば相手方が知る機会はあまりないと言っても良いかもしれません。

ただし、再婚や養子縁組を元配偶者に黙っていた結果、トラブルになることも想定できますので、状況に応じて伝えるべきか判断した方が良いでしょう。

再婚した場合養育費が減額になるケースは少なくない

再婚し、新しい配偶者が養親となった場合、養育費の支払い義務自体は消滅しませんが、養育費が減額になる可能性は大いにありえます。

なぜ養育費が減額になる可能性があるかというと、養親にも子どもの扶養義務があるからです。

新しい配偶者の経済状況が豊かであり、元配偶者の収入が低いケースでは、元配偶者から養育費の減額の申し入れがされることがあります。

通常、養育費の減額の申し入れがされた場合、まず元夫婦同士が話し合いを行うことになると思います。

元夫婦同士で養育費の話し合いがうまくいけばいいですが、うまくいかない場合、相手方から養育費減額調停を申し立てられる可能性があります。

養育費減額調停とは、家庭裁判所に申立てが必要な手続きで、調停委員を交え養育費について話し合うことを言います。

相手方が、減額調停を申し立てるタイミングとして、以下のようなシチュエーションが挙げられます。

  • 養育費支払い義務者(非親権者)が再婚し扶養家族が増えた
  • 養育費の受け取り側が再婚した
  • 養育費支払い義務者の収入が減った
  • 養育費の受け取り側の収入が増えた

上記のような場合、減額が認められる可能性が高いです。

したがって、再婚や養子縁組を行う場合、相手方の状況によって養育費が減額されるケースがあることも留意しておきましょう。
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まとめ

今回は再婚し、新しい配偶者が子どもと養子縁組をした場合について確認していきました。

再婚しても元配偶者の養育費の支払い義務が消えることはありませんが、状況によって減額される事態は十分にあり得ます。

また、元配偶者に黙って再婚し、養子縁組したことが後になって知られるとやっかいなトラブルになることも予想できますので、ご不安な方は一度弁護士に相談してみても良いかもしれません。

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