【男性の離婚】ATMとしか思ってくれない妻と離婚したい

結婚した当時大好きだった妻と険悪な仲になってしまい、離婚を意識する男性もいらっしゃるでしょう。今回は男性視点で考える離婚の諸問題について体験談を交えて考えてみたいと思います。

ATMとしか思ってくれない妻と離婚したい

相談者:カイジ(36)

子ども:娘(5)

年収:700万円

10年連れ添った妻に離婚を切り出しました。理由は僕をATMとしか見ていないという言動を繰り返しているからです。

妻との関係が悪化し始めたのは結婚して5年後、妻の妊娠時期くらいからです。

妻はつわりがかなりひどい体質でした。しかしその当時僕の方は大きな仕事に関わっており残業続きで、つわりに苦しむ彼女を十分にいたわれませんでした。そのため文句やきつい言動が増えてきました。

娘が生まれて一時的に夫婦仲は改善したようにも思えましたが、すぐにまた夜泣きや慣れない育児によって妻の言動がきつくなってきました。

妊娠時の険悪な状況を回避するべく、育休をとったり、家でできる作業はすべて持ち帰り極力残業をしないようにしたりしました。家事や育児についても週3で夕飯は僕が作り、平日も1日1時間は妻に自由な時間ができるようにと育児にも積極的に参加してきたつもりです。

しかし、妻の態度は一向に軟化せず、「お金を稼ぐしか能がないのにサボるな」とか「あなたが夕食を作ると食費が高くつくし、効率が悪すぎて逆にイライラする」と言われてしまいました。

確かに妻のように慣れていないので、段取りがうまいとは言えなかったかもしれません。少し理不尽さを感じていましたが、初めての育児に苦しんでいるのもわかっていたので、あまり刺激をしないよう反論をしませんでした。娘がもう少し大きくなって幼稚園に入れば、日中ある程度自由時間が増えるだろうし、余裕ができれば元の妻に戻ってくれると信じていたからです。

しかし、娘が3歳になって幼稚園に通うようになっても、態度は全く変わりませんでした。むしろ暴言ともとれるほどの言動が増えてきました。妻の家事の負担を減らすために掃除をしたり、食事を作ってみても「のろま」「グズ」「顔を見ると吐き気がする」「金だけ置いて消えろ」と言われるようになったりしました。

…娘が生まれてからの5年間で体重は12キロほど減ってしまい、体力や気力も無くなったような感じがしました。それでも娘はかわいいし、離婚は考えないようにしていました。

しかし先日、妻との会話で完全に心が折れてしまいました。その日は顧客のクレームがあり帰宅時間は日付が変わるくらいでした。リビングに行くと、機嫌がすごく悪そうな妻がおり、おかえりもなくすごい剣幕で怒鳴ってきました。

「遅くまで帰ってこないとかさー、何、不倫でもしてんの?それとも風俗?ATMは無駄なことしてないで、金だけ運んでりゃいいのに。あんたなんてろくに家事も育児もできないくせに調子乗ってんの?」

怒るとか哀しいというよりも、「もういいや」と思ってしまいました。残業の連絡も理由も全部伝えてるのに…。

もう何もかもに疲れてしまい、離婚を切り出したところ、「あんたごときが!!」と言われ、「離婚するなら慰謝料きっちり払ってもらうから」と言われました。

現在離婚を拒否されており、一方的に怒鳴られて、話し合いにすらなりません。また今までのことを考えると慰謝料を支払うのはおかしいと思います。そして何より、怒りっぽい妻に娘を任せるのは心配です。できれば親権を取りたいと思っているのですが、可能なのでしょうか。

弁護士の見解

今回の相談者であるカイジさんは離婚について以下3つの希望があります。

  1. 話し合いを拒否する妻と離婚する
  2. 離婚する場合、慰謝料の支払いを回避したい
  3. 娘の親権を取得したい

それぞれどのような対処法があるのか確認していきましょう。

1.話し合いを拒否する妻と離婚する

夫婦が離婚するにあたり、双方の合意のうえならば離婚届を出せば、離婚は成立します。しかし、今回のカイジさんはお話を聞く限り、妻が話し合いにまったく応じてくれない状態であると見受けられます。このようなケースでは、家庭裁判所に離婚調停を申立てて、調停委員の仲裁の元、離婚の話し合いを進めた方が良いと思います。

調停を行っても妻が離婚を拒否する場合には、調停を不成立にして離婚訴訟を検討してみると良いかもしれません。

離婚訴訟には民法で定められている「裁判ができる離婚事由」が必要となります。今回の場合、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性が高いので、調停が不成立であったとしても、離婚訴訟を起こすのも可能かと思われます。

ただし、離婚訴訟は調停とは異なり話し合いで解決を目指すのではなく、離婚の可否をめぐって勝ち負けがはっきり出る争いになります。訴訟を有利に進めるためには、「夫婦関係が破綻しており、修復の見込みがない」ことを証拠書類や証人を交え説得性のある主張をし、裁判官に納得してもらう必要があります。

加えて離婚訴訟は調停前置主義といって、訴訟を提起する前に必ず調停を行わなければなりません。したがって、離婚を切り出してから実際に離婚が成立するまでにかなりの時間を要する可能性があります。そのため、離婚訴訟で離婚の可否を争うよりも、夫婦双方の妥協点を見出し、調停を成立させた方が早期の離婚を実現できるかもしれません。
【調停離婚】離婚を調停で成立させるメリットとトラブルについて確認しよう

2.離婚する場合、慰謝料の支払いを回避したい

離婚すれば必ず慰謝料の支払いが発生するわけではありません。離婚における慰謝料とは、配偶者の行為によって精神的苦痛を受けた場合の損害賠償金のことを指します。

今回の場合お話を聞く限りでは、カイジさんが妻に対して「精神的苦痛」を味わわせたとは考えにくいので、慰謝料の支払いには応じなくても問題はないと思われます。

むしろ、カイジさんの方がモラルハラスメントを理由として、妻に対し慰謝料の請求を行える可能性の方が高いです。ただし、モラルハラスメントは、「妻の言動」と「精神的苦痛」の因果関係を立証するのがとても難しいものでもあります。モラルハラスメントを立証する証拠書面としては、「会話の一部始終を録音した音声データ」や「暴言等の詳細が記載された日付入りの日記」、「モラルハラスメントととれる言動がわかるメールやSNS上でのやりとり」等が考えられます。
【離婚の法律用語】離婚に関するモラハラ知識について知ろう

3.娘の親権を取得したい

子どもの親権は、一般的に女性が取得しやすいといわれています。実際に2020年のデータによるとおよそ85パーセントの親権者が女性です。また、子どもの年齢が低いほど、子どもには母性が必要だという考えから、女性の方が親権を取得しやすい傾向にあります。

今回の場合、お話を聞く限りですと、カイジさんも積極的に家事や育児に参加されている様子が見受けられます。

親権について話し合いが裁判所を介さない協議の段階であれば、妻の合意を得て、離婚届の親権欄に自分の名前を記載すれば親権を取得することができます。

しかし、親権を訴訟で争った場合、残念ながら親権を取得するのは難しいと思われます。そのため親権を訴訟で争うよりも、まずは離婚協議での親権取得を目指しましょう。離婚協議でうまくいかない場合には、離婚調停で相手方に親権を認めてもらえるような方向性に舵を切った方が良いと思います。

離婚調停で親権の話し合いとなった場合には、多くのケースで家庭裁判所調査官(以下家裁調査官)の調査が入ります。

家裁調査官は夫や妻、子どもからの聞き取り調査はもちろん、実際に家裁調査官の前で子どもと遊び、その中での接し方等を確認され、親子関係がしっかり構築できているかも調査されます。家裁調査官の調査報告書は調停でかなり重要視されます。

したがって、まず家裁調査官の対策を練るべきです。

加えて、調停では夫婦の争いと子どもの親権についての問題は別個と考え、相手と争うような姿勢を見せるのではなく、面会交流等に寛容な姿勢を見せることが大切です。

例えば、「離婚したら一切子どもと関わらせる気が無い」という態度を取るよりも、「子どもと自由に面会交流ができるように約束する」といった態度の方が調停成立の可能性が高くなります。

親権争いは、相手方の考えを否定するばかりだと泥沼の争いに発展しかねません。親権争いで訴訟となった場合、判決がくだるまで年単位の時間がかかる可能性もあります。

また初めにもお伝えしましたが、男性の親権取得率は非常に低いです。親権の取得を考えるのであれば、離婚協議の段階で相手を納得させるのが最も良い方法と言えるでしょう。
【親権は母親が取るとは限らない】男性が親権取得しやすくするための対応方法を知ろう!

まとめ

今回はカイジさんの相談を交え、男性が妻から離婚を拒否された場合の対処法や、慰謝料、親権について解説していきました。

離婚する場合、夫婦にはそれぞれの事情があり、状況によっては全然話し合いがまとまらず、途方に暮れてしまうこともあるでしょう。このような時は自分だけで頑張ろうとせず、弁護士へ相談することも手段のうちなので検討してみてください。

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