【体験談】妊娠中に離婚したら子どもの父親は誰になるの?

妊娠が判明したとき、多くの方は「家族ができた」と幸せな気分になると思います。

しかし、妊娠中に夫婦仲が悪くなったり、もともと夫婦仲が悪く、別の男性の子を妊娠したりして、離婚に発展することもあり得ます。

今回は、妊娠中の離婚についての体験談と弁護士の見解を紹介したいと思います。

 

妊娠中に夫が離婚を切り出し、子どもを認知しないといってきた

 

主人公:涼子(34)

夫:久(35)

 

夫から離婚を切り出されたので相談させてください。

現在私は、妊娠5か月です。

夫とは30歳のときに結婚しました。

結婚当初は子どもが欲しいという強い希望はなく、お互い仕事が忙しいこともあり、行為自体はありましたが避妊してました。

その後2年ほど経ち、仕事も落ち着いてきたので子どもが欲しいという気持ちが大きくなりました。

夫に子どもが欲しいと伝えたところ、私の気持ちを理解してくれたようで妊活することになりました。

といっても、もともとレスなわけではなかったので、変わったことといえば避妊しなくなったくらいでした。

その後、週1、2回のペースで行為して、ちょうど34歳の誕生日のころ妊娠が発覚しました。

夫も当初は喜んでくれ、つわりがひどいときには家事をサポートしてくれ、何かと気遣ってくれました。

しかし最近になって、いきなり「お腹の子は俺の子じゃない」と言い始め、離婚を切り出されました。

事情を聞いても全然答えてくれず、「離婚だ」とか「他の男の子どもなんか認知しない」と言い続けるだけで本当に困っています。

私は夫と付き合ってから、他の男性と妊娠するような行為は一切していません。

以前のように夫婦としていたいという気持ちがある反面、あらぬ疑いをかけられてかなりの憤りを感じています。

ただ、離婚の求めに応じたら、離婚後生まれてくる子どもに父親がいなくなってしまうのかと思うとちょっとどうすればいいのかわからなくなっています。

また、夫もここ最近態度がおかしくなっただけで、今まで本当に良く私を支えてくれました。

誤解があるまま離婚したくないし、正直な話私たちの子どもなので、離婚したとしても子供には定期的にあってほしいですし、少なくてもいいので親の務めとして養育費を支払ってもらいたいです。

気持ちがぐちゃぐちゃでわかりづらくてすみませんが、お答えいただけると幸いです。

 

弁護士の見解

今回の涼子さんの夫、久さんが「妊娠中の子が自分の子どもではない」と主張し、離婚を切り出しています。

対して涼子さんは身の覚えがないことで離婚を切り出されている状況です。

何かしらの齟齬が生じていることは明白なので、本来であれば久さんは涼子さんに対し、離婚を決意した事情を説明し、離婚に同意してもらう必要がありますが、難しい状況かと思われます。

今回のケースでは久さんは暗に涼子さんの不貞行為を理由に離婚を切り出しています。

不貞行為は法律上で定められている離婚事由に該当するので、久さんが涼子さんの不貞行為を立証できるのであれば、久さんは最終的に離婚することができるかもしれません。

しかしお話を聞く限りでは、不貞行為の証拠もありませんので久さんが離婚するには涼子さんの同意が必要です。

そのため、現状では涼子さんが同意をしなければ離婚は成立しません。

とはいえ、夫婦の会話が成立しないまま同居し続けることは非常にストレスがたまるかと思います。

したがって双方が冷静になるために別居するか、場合によっては夫婦関係の継続を前提とする夫婦関係調整調停(円満)の申し立てを検討しても良いかもしれません。

 

涼子さんが、久さんとの夫婦関係の回復が見込めないと思い、離婚に同意した場合、次のようなお悩みをお持ちだと思います。

 

  • 出産前に離婚したら子どもの父親はどうなるのか
  • 離婚した場合の面会交流について
  • 離婚した場合の養育費について

 

 

出産前に離婚したら子どもの父親はどうなるのか

妻が妊娠している状態で離婚した場合の子どもの父親は前夫になります。

認知とはもともと婚姻関係にない男女間で子どもが生まれた場合に、男性が自分の子どもとして認めることをいいます。

今回の場合、涼子さんが妊娠した時点で久さんと夫婦関係であり、また婚姻後200日より後となりますので、子どもが生まれた場合には久さんが法律上の父親になります。

また、離婚後妊娠が発覚した場合でも、離婚後300日以内に出産した子どもは前夫の子どもとして推認されます。

したがって、「認知しない」といっていたとしても、法律上の父親は久さんになります。

久さんが「涼子さんとのあいだに子どもがいない」と法律的に認めてもらうためには、家庭裁判所に嫡出否認の訴えを起こし、認めてもらう必要があります。

嫡出否認とは、親子関係が推認される期間に生まれた子どもとの親子関係を否定するための訴えです。

子どもとの親子関係を否定するためには、調停で当事者同士の合意を得て、「非嫡出子」とするか、合意が取れない場合には訴訟で子どもが「非嫡出子」であるかどうかの可否を争うことになります。

調停や裁判では、訴えを起こした側が立証責任を負います。

今回のケースでは、久さんが裁判所に対して「父親ではない」、または「父親でないことを推認できる」証拠を示す必要があるのです。

 

法律上の父親の立場を否定する場合には、必ず法的な手続きを必要とします。

そのため、単に「認知しない」「父親じゃない」と否定しているだけでは、法律上の父親の立ち位置は揺らぎません。

涼子さんのお話を聞く限り、久さんとは定期的に性行為を行っておりますし、同居もしています。そのため、生まれてくるお子さんと久さんの親子関係を否定するのは困難なのではないかと考えられます。

 

離婚した場合の面会交流について

次に離婚した場合の面会交流について考えていきましょう。

面会交流とは、離婚後、非親権者の親と子どもが面会したり、メールや電話、手紙等でコミュニケーションをとったりすることをいいます。

離婚後の面会交流は、基本的に親側が勝手に拒否することはできません。

仮に涼子さんが子どもを「久さんに会わせたくない」と思っていたとしても、子どもが望むなら面会交流を実施する必要がありますし、久さんが「子どもに会いたくない」と思ったとしても、子どもが望むのであれば法律上の父親である以上、本来であれば面会交流をするべきです。

というのも、面会交流は子どもが健全に育つために設定されているものであり、基本的には子どもの意思を尊重し行われるものだからです。

涼子さんの場合、出産後しばらくはお子さんが幼いため、面会交流の決定は涼子さんの判断によります。

ただし、子どもとの親子関係を否定する相手に対し無理やり面会交流を行うと、結果として子どもが精神的に傷つく恐れがあるので、面会交流を行うかどうかの判断はしっかり夫婦間で話し合うべきです。

涼子さん自身の考えではなく、「子どもにとって幸せな選択は何か」を基準として判断してもらえればと思います。

 

離婚した場合の養育費について

夫婦が離婚した場合でも、「法律上の父親」であるならば、養育費を支払う義務があります。

現段階では、久さんは生まれてくるお子さんの「法律上の父親」と推認されますので、出産後は養育費の支払い義務が生じます。

本来であれば、離婚の話し合いで養育費を取り決めるべきですが、あくまで久さんが子どもの父親であることを拒否するのであれば、離婚後すぐ養育費請求調停を申し立てて、裁判所を交えて養育費を取り決めることも手段のうちです。

涼子さんの場合、養育費の支払いは今後18年以上続くと予想されますので、相手の意見を鵜呑みにするのではなく、しっかり話をして取り決めをすべきです。

 

まとめ

今回は、夫に「子どもを認知しない」と言われた女性の体験談と弁護士の見解を紹介いたしました。

夫から「自分の子どもとして認めない」と言われ離婚を切り出された場合、身に覚えがなければ困惑と怒りで頭がいっぱいになると思います。

しかしながら、日本の法律では一方的に夫の主張が通り、生まれる子どもの父親がいなくなるということはありませんのでご安心ください。

ただし、このような場合両者の意見が平行線となり、夫婦間の争いが長引きかねません。

したがって、「自分には手に負えない」と感じたときには弁護士に相談することをご検討ください。

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