【離婚後の養育費】離婚後の養育費の取り決めを変更するにはどうすればいいの?

養育費は非親権者である親に支払い義務のあるお金です。

離婚して子どもと一緒に暮らすことがなくても、法律上の親であることには違いありません。

養育費は子どもを教育するため、成長のためのお金なので親である以上義務を果たす必要があります。

今回は離婚後の養育費の取り決めや、増額したい場合について確認していきましょう。

 

離婚後でも養育費の取り決めを行うことができるのか

離婚を検討する際、インターネット等で情報を集めていると、「養育費は離婚前に取り決めておくべき」というような言葉を目にすることはないでしょうか。

養育費とは、文字通り子どもを養育するためのお金です。

子どもが非親権者から受け取るべきお金で、親権者は判断力が未熟な子どもに代わり、養育費の管理や取り決めを行います。

養育費というと離婚前に取り決めるというイメージがあるので、離婚後に取り決めるのは無理だと思う方もいるかもしれません。

結論からいうと離婚後であっても養育費の取り決めを行うことはできます。

しかし、離婚後の養育費の取り決めには注意点があります。

早速確認していきましょう。

 

離婚後の養育費の取り決めはすぐに相手と話し合う

離婚後に養育費の取り決めを行う場合には、離婚から間を空けずすぐに話し合いを行うことを意識してください。

なぜすぐに話し合いをすべきなのかというと、次のような問題点があるからです。

 

■間を空けると元配偶者が話し合いに応じる可能性が低くなる

離婚後に養育費を取り決める場合には、時間を空けずに相手方と連絡をとり、養育費の取り決めを行うことを意識してください。

というのも、離婚から時間が経ってしまうと、相手の心情が変化し、「今まで支払いしてなくても問題なかったんだから大丈夫だろ」と話し合いに応じてくれなくなる可能性があるからです。

「喉元過ぎれば熱さ忘れる」ではありませんが、日にちが経つと一緒に暮らしていない子どもや元配偶者よりも、自分の生活を優先する可能性が高くなります。

そのため、なるべく早く養育費について話し合うべきなのです。

 

養育費は基本的に過去に遡って請求できない

離婚後、養育費をすぐに請求した方が良い理由として離婚後養育費を取り決めしていない期間については、基本的に遡って請求することができない点です。

養育費は親の扶養義務として、必ず支払われるべきお金です。

しかし、「養育費を支払う」という約束をしないと、法律上相手に養育費の支払い義務が生じません。

少し難しいので例を交えて解説していきたいと思います。

 

例①:養育費の請求権が生じる場合

妻Aと夫Bは離婚することに決めた。

 

ふたりのあいだには10歳になる子どもCがいたので、「離婚協議で親権者を妻Aとして、夫Bは養育費を月々4万円で子どもが20歳になるまで支払う」という約束を離婚協議書にまとめた。

離婚後1年は元夫であるBから養育費の支払いがあったが、その後から催促しても支払ってくれなくなった。支払われなくなってから2年ほどたつ。

 

 

例①の夫婦の場合、離婚前に離婚協議書で養育費の支払いを取り決めていました。

そのため、未払いが生じた月まで遡って養育費の未払い分の請求を行うことができます。

 

例②:養育費の請求権が生じない場合

 

妻Dと夫Eは離婚することに決めた。

ふたりのあいだには10歳になる子どもFがいる。

妻Dは、夫Eの価値観に対しうんざりしており、一刻も早く離婚したかったため、離婚の合意と子どもFの親権だけを決めて離婚した。

離婚後、Dは1年経って、「離婚後から今までの養育費を支払って」と元夫であるEに伝えたが、Eは応じなかった。

Dは、養育費請求調停を申し立てることになった。

 

 

例②の場合、DとEのあいだで養育費の取り決めを一切していません。

そのため、このケースでは、Eが過去分の請求を自発的に認めない限り、基本的には養育費請求調停を申し立てた以降に発生する養育費しか請求することができません。

なんとなく理不尽にも思えますが、これにはちゃんと理由があります。

 

養育費は法律に定められている扶養義務によって非親権者に支払い義務が生じます。

しかし、扶養義務は「経済的に未成熟な子どもを金銭的に援助する」というような内容で、明確に「養育費は月々○○円」というように決まっているわけではありません。

したがって、養育費の支払い義務を生じさせるには、具体的に夫婦双方が合意のもと、養育費の金額や期間を定める必要があるのです。

 

養育費を取り決めていない場合、自然発生的に養育費をもらえるわけではありません。

養育費をもらうためには、養育費調停を申し立てるといった養育費を請求するアクションをおこさないといつまでたっても相手方に支払い義務が生じないので注意しましょう。

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【子どもが進学することに】養育費を増額したい場合

養育費に関する問題は、離婚前に養育費の取り決めをしていても発生する可能性があります。

例えば、離婚したときは子どもの年齢が低かったので、大学の進学した場合について取り決めていなかったときや、転職で給料が下がったり、けがや病気で今まで通りに働けなくなってしまったりしたとき等が考えられます。

進学によって大きな金額を一括で支払わなければならなかったり、収入が下がったことで子どもの生活が維持できなかったりした場合、一度取り決めた養育費の金額を増額することはできるのでしょうか。

結論からいえば、増額が必要な理由があれば養育費の増額を認められる可能性は十分にあり得ます。

では、具体的にどのようにして増額できるのか確認していきましょう。

 

元配偶者と話し合って合意を得られれば養育費を増額できる

子どもの年齢がまだ低いときに養育費の取り決めをする場合、子どもの将来に対して具体的なイメージをお持ちの方は多くないと思います。

そのため、ご自身の経験等から「高校までは進学するだろう」といったん子どもの高校卒業を目途に養育費の取り決めを行ったり、成人年齢が20歳であったときには、成人になるまで養育費を支払うといった取り決めが多くありました。

そのため、いったん高校卒業までの期間と取り決めておき、その後発生する可能性のある専門学校や短大、大学や大学院に行った場合の養育費については、「都度協議する」というような取り決めをすることは少なくありません。

子どもの進学によってお金が必要な場合には、進学費用だけでなくその前後にも受験に関する費用も生じると考えられます。

したがって、高校入学の段階で子どもに大まかな進路を聞いておき、事前に元配偶者に共有しておくと、お互いある程度の準備期間を得ることができます。

 

一方で、ご自身が体調を崩したり、けがをしたり、給料が減ってしまったりした場合はどうすればいいのでしょう。

このようなケースでも、子どもの学費の問題のときと同様に元配偶者に事情を話すことが大切です。

また、長期的に増額してほしいのか、それとも病気やけが等から回復するまでの一時的な増額か等を伝え、交渉してみるとよいかもしれません。

 

元配偶者と話し合い、折り合いをつけることが養育費の増額を円滑に進める一番の手段ですが、お互い離婚の際に禍根を残していたり、離婚から間が空いていたりすると話し合いに応じてくれなかったり、拒否してきたりするケースもあります。

そのような場合には、養育費増額調停で話し合うことも視野に入れてください。

 

双方の話し合いがうまくかないときは養育費増額調停を申し立てよう

元配偶者との話し合いで養育費を増額できない場合には、養育費増額調停を申し立てることによって、増額が可能となるケースもあります。

養育費増額調停は、基本的に元配偶者が住んでいる地域を管轄する家庭裁判所に申し立てる必要があります。

調停では、「単に増額してほしい」という希望を伝えるだけでは、増額が認められる可能性が低くなります。

養育費は子どもの為のお金なので、子どもの希望する進路をかなえるためや病気やけが等によって労働時間が減り、子どもを養育する費用を自力では賄えないといったように、増額したい理由を具体的に伝え、主張を裏付ける資料等を用意した方が良いでしょう。

自分では対処しきれないと感じた場合には、一度弁護士に相談してみることも大切です。
【養育費について考えてみよう】養育費の基本知識

養育費で困ったときには弁護士に相談した方が良いのか

養育費の取り決めや、途中で養育費の増額を希望したとき、弁護士に相談した方が良いのかというと、必ずしもそういうわけではありません。

元配偶者が話し合いに応じてくれ、当事者同士で争いなく取り決めることができれば、弁護士に相談しなくてもすむこともあります。

言い換えれば、元配偶者が話し合いに応じなかったり、意見の食い違いで折り合いがつかなかったりした場合には弁護士への相談、依頼を検討した方が良いでしょう。

養育費についてお困りの方の中には、「弁護士に相談したいけど、お金もかかるし現実的に無理」と諦めてしまう方もいらっしゃるかもしれません。

養育費は長期的に支払われるお金ですので、あきらめてしまうと子どもの将来にとって大きな不利益になりかねません。

離婚や養育費のトラブルの場合、初回無料相談を設けている事務所もあります。

また、経済状況を考えて弁護士費用の分割支払いが可能だったり、法テラスの定めた基準に当てはまる場合には立替金制度等を利用したりすることもできます。

分割払いや法テラスの制度等の利用を検討している場合には、情報収集して対応している弁護士に相談することが大切です。

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まとめ

今回は離婚後の養育費の取り決めや、養育費を増額したい場合の方法について考えていきました。

養育費は、子どもの将来に関わる大切なお金です。

そのため元配偶者に拒否されたからといって、すぐに諦めないでいただければと思います。

とはいえ、ひとりで対処するにも限度があります。

したがって自分の手に負えないと感じたときには、弁護士への相談を検討してみてください。

 

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