【不倫は悪いこと?】恋愛は自由なのにどうして不倫しちゃいけないの?

不倫は本来決して許されない行為です。

しかし、相手が結婚しているとわかっていても、一度芽生えた恋愛感情はなかなか抑えがきかず、また苦しい状況に置かれていると、他人の妻や夫であることがわかっていても、不倫関係に発展してしまうこともあるでしょう。

今回は、ひとりの相談者の体験談をもとに不倫することのリスクや法律的な不倫の線引きについて詳しく解説していきたいと思います。

「出会ったのが遅すぎただけ?」相手に恋人がいたら慰謝料を支払う必要があるの?

相談者:むつみ(24)

男性:弘治(39)

私は、大学生のころから15歳年上の弘治と付き合ってきました。

彼と付き合うことになったきっかけは、趣味の絵画です。

大学は、芸術家のアトリエや、劇団が集まっている街にあり、もともと美大を目指していた私にはとても魅力的な街でした。

私は幼いころから絵画教室に通っており、「いつか絵で食べていけるようになれればいい」と夢を持っていました。

しかし、現実はそんなに甘くなく、絵画は才能のない者に対して非常に厳しく希望していた美大はすべて落ちました。

周囲と比べ、圧倒的に才能が足りないと自覚した私は、1年浪人の末、4年制大学の史学科に進学しました。

大学生というと、憧れのキャンパスライフを思い描いたのですが、そんなのは自分から積極的に行動するものにしか与えられないもの。

私は「美大落ち」のコンプレックスを抱えながら生活していました。

そんな時に出会ったのが、弘治でした。

とある作家が経営している喫茶店で偶然彼が隣のカウンターに座ったことによって会話をするようになりました。

弘治との会話は非常に楽しく、知的でウィットに富んでいました。

同級生との会話は、なんとなく子どもっぽいと感じていたこともあったため、弘治と話すたびに惹かれていきました。

とはいえ、私と弘治の年齢差は15歳差。二十歳になったばかりの私と彼とでは到底釣り合わないだろうと諦めていました。

そんな時でした。弘治から彼のアトリエに遊びに来ないかと誘われたのは。

会話の中で、彼が画家であることがわかり、ますます憧れを持つようになった私は二つ返事で彼の誘いに乗りました。

アトリエで絵の紹介や話をしていくうちに、お互い惹かれ合っていることが分かり、一線を越えました。

私は今までの人生で感じたことがないくらい幸せでした。

ただ、ひとつだけ気になる点もありました。

それはアトリエの中に同一人物であろう女性のクロッキーや絵がいくつもあったこと。

こんなに魅力的な男性なので、彼女がいてもおかしくない。大体私は、彼の名前と年齢くらいしか知らず、普段何をしているのか全く想像がつきません。

とはいえ好きな人に求められていることを拒否できるほど大人ではありませんでした。

他に恋人がいるのかと彼に質問したら心地よい関係が壊れてしまうのではないかと、見なかったふりをしたのでした。

 

見解

不倫という言葉は、法律用語ではありません。

法律上違法となる行為は、配偶者以外の異性と肉体関係を持つことです。

相手方に配偶者がいることを知っていながら肉体関係を持っていた場合、不貞行為として、相手の配偶者から慰謝料を請求される恐れがあります。

今回のむつみさんの場合、この時点では弘治さんが結婚しているかどうかを認知していないので、仮に弘治さんに配偶者がいたとして、その配偶者から慰謝料を請求されたとしても、むつみさん自身に落ち度があったということの立証が難しいので、慰謝料の支払いに応じなくても良いケースがあります。

 

弘治さんが既婚者でなく、むつみさんの他に恋人がいた場合はどうでしょうか。

恋人関係は、双方の感情等によって結ばれている関係で、夫婦のように法律で定められた公式な関係ではありません。

そのため、「事実婚である」とか「婚約状態である」といった特別な事情を除き、肉体関係を含んだ浮気をしたとしても、浮気した恋人やその相手が慰謝料を支払うケースはありません。

弘治さんに恋人がいると仮定して、その恋人がむつみさんに慰謝料を請求したとしても、婚約者である等の特別な事情がない限り、慰謝料の支払いに応じる必要は法律上ありません。

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【相手が既婚者だと発覚】恋愛は自由なのだから付き合い続けてもいい?

弘治とは、初めてアトリエにいったときをきっかけに、片思いの相手から恋人になりました。

といっても何かが劇的に変わることはありませんでした。

私は比較的暇な学生で、相手は社会人です。

そのため、私が弘治と会うときはもっぱら彼の都合に合わせ、あのアトリエの中でした。

絵を描いていること以外、ほとんど普段の生活の様子がわかりませんでしたが、私はことさら彼に質問することはありませんでした。

時間を合わせやすいのは、学生である私でしたし、大人な彼の手を煩わせたくないと思ったのも事実です。

週に1度か2度、彼と会って話をしたり、恋人らしいことができれば満足でした。

はたから見たら、いびつな関係に思うかもしれませんが、当人である私たちが納得しているのであれば、何ら問題ないだろうと思っていました。

 

奇妙に安定感のある彼との付き合いが3年になるくらいのころでした。

私は就活で忙しくなり、彼と時間が合わなくなり、連絡も途絶えがちな時期だったと思います。

見知らぬ番号から連絡があり、どこかの会社の面接の連絡かなと思い、電話に出たところ弘治の妻を名乗る女性からでした。

心臓の音が妙に大きく聞こえ、頭が真っ白になったことを覚えています。

電話口の女性は、「電話だと伝わりにくいから」といい、会う日にちや場所を指定してきました。

 

私は、どうしようもできず、弘治に連絡を取りましたが、音沙汰がありませんでした。

不倫なので親にも相談できず、悩んでいるうちに日にちが過ぎてしまい、結局手立てがなく弘治の奥さんというひとに会いました。

弘治の奥さんは、ゆみさんといい、とても落ち着いた雰囲気のひとでした。

ゆみさんは、いつからの関係なのか、結婚していることを知っているのか等を私に質問してきました。

私は、他に恋人がいるかもしれないことは予想していましたが、既婚者であったことは予想もつかなかったと素直に伝えました。

ゆみさんは、「若いから」という理由で、弘治と今後連絡をしないことを条件に、今回の件を不問にしてくれました。

もう二度と弘治と会わないことや連絡しないことを書面にしてその場は終わりました。

 

この後、私が弘治と再び連絡を取り合うことがなければ、何事もなく日常に戻れたのかもしれません。

しかし、拍子ぬけするほどあっさりと終わったことによって、事の重大さがわかっていなかったのです。

ゆみさんと話し合いをしてから半年後、弘治から連絡が来ました。

私を愛しているし、今の奥さんとは別れるから関係を続けようという話でした。

冷静に考えれば虫の良すぎる話だと気づけるのですが、弘治は私がはじめて付き合ったひとだったので、感情が先走ってしまい、結局彼に言われるまま、不倫関係になりました。

今まで付き合っていて、ゆみさんが気づくまでに3年かかっていたんだし、慎重に関係を続ければ離婚するまで気づかれないだろうと、都合の良いことを考えていました。

 

しかし、都合が良いことが続くわけもなく、不倫関係を再開してから3か月でゆみさんに不倫関係がばれました。

約束を破ったことや不倫の慰謝料として300万円請求されています。

社会人になってまだ1年もたっていないのでそんな金額を支払うのは無理です。

ゆみさんに、慰謝料について連絡を取ったところ、「不倫と知らずに付き合っていたならまだしも、約束破って不倫関係をつづけたことは許せない」と言われてしまいました。

弘治にも連絡をとりましたが、「妻にばれたので君とは終わりだ。さようなら」といったきり着信拒否されるようになりました。

私が悪いことはわかっていますが、理不尽に思います。

ゆみさんへの慰謝料を減額するか、分割することは可能でしょうか。また、不誠実な弘治に制裁を加えることはできないのでしょうか。

 

見解

相手に配偶者がいることを知っていながら、肉体関係を結ぶことは、違法行為である不貞行為になります。

今回、むつみさんは一度目の不倫をゆみさんに知られたときに、「弘治さんと連絡しない、会わない」という約束を交わしていました。

約束をしたのにも関わらず、弘治さん側からのアプローチに応じ、再び不倫関係となりました。

そのため、むつみさんはゆみさんに対して行った不法行為の代償として、慰謝料を支払う必要があります。

むつみさんは、慰謝料の減額、もしくは分割での支払いを希望されていると思います。

減額や分割払いが可能かどうかといわれれば、ゆみさんの了承があれば可能です。

ただし、ゆみさんのむつみさんに対する印象は、一度交わした約束を破ったという点で非常に悪くなっていると予想されます。

そのため、独断でゆみさんと交渉を行うのではなく、弁護士に相談することを視野にいれて交渉に臨んだ方が良いでしょう。

弁護士に相談・依頼することによって、自力で解決をする場合よりも、慰謝料の減額の可能性は高くなります。

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また、弘治さんに対しての制裁についてですが、法律上、慰謝料等の請求をすることはほぼ不可能といって良いでしょう。

というのも、むつみさんと弘治さんはゆみさんに対して違法行為を行っている側の立場です。

また、むつみさんは弘治さんと法律上夫婦ではないので、不誠実な態度をとったからといって慰謝料を請求できる立場にはありません。

泣き寝入りのようで悔しいかもしれませんが、むつみさんができることはゆみさんに誠心誠意、謝罪し、慰謝料等で自分の謝意を示すことです。

弘治さんへ法律上の制裁ができないからといって、不倫していたことをSNS等で拡散するといったような制裁をしてしまうと、名誉棄損等で弘治さんから損害賠償を請求されるおそれもあるので、感情的に行動することは避けましょう。
【不倫したら訴えられる?】既婚者と恋愛関係になった場合のリスクと対処法を解説

まとめ

今回は、不倫をした女性側の体験談を紹介しました。

魅力的な男性に恋愛感情を持つことは仕方のないことです。

しかし、相手が既婚者だった場合、結果的に自分の心を更に傷つけてしまうことになりかねません。

また、慰謝料の支払いによって経済的負担がかかったり、親に不倫が知られてしまうことで人間関係に支障がでることもあります。

そのためできれば不倫しないことが一番ですが、実際に不倫がすでに相手の配偶者に知られてしまっている場合には、自力でどうにかしようとせず、弁護士に相談することをお勧めします。

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