【体験談】義理の家族の嫌がらせがひどいので離婚したい

恋人と夫婦関係の大きな違いは、「家」のつながりです。

恋人の場合、相手の親や親戚との付き合いが必ずしも発生するわけではありません。

しかし籍を入れて夫婦になると、特別な事情が無い限り、最低限義両親や親戚との交流が発生します。

今回は、義両親と近距離別居している女性の相談と弁護士の見解を紹介したいと思います。

「勝手に入るな」「ごみを漁るな」「不用品を置いていくな」非常識で無神経な姑

 

主人公:愛佳(32)

夫:朔(32)

 

夫の朔とは大学生のときに所属していたゼミが一緒であることがきっかけで結婚しました。

彼は大学の体育会でバスケをやっていて、身長は198センチの体重は100キロ。

初めてゼミで会ったときの印象は、でかいし怖いしチャラいでした。

身長は高いし、筋肉すごくて、見た目もツーブロックで、顔もいかついので、ゼミが一緒になった時にはあんまり良い印象はありませんでした。

とはいえ、体育会でバスケをやっているひとは、スポーツ推薦で入学しているケースが多く、試合や遠征のため顔を合わせる機会は少なかったです。

実際にちゃんと話すようになったのは、前期の試験前で「授業になかなか出られていないので、ノートを見せてくれないか」とお願いされたときです。

その時に、「レポートを提出するために参考文献とか色々聞きたい」といわれたので連絡先も交換しました。

どうせ練習もあるし、まともにレポートなんか提出しないだろうと思っていたのですが、意外と真面目に取り組んでいることがわかり、仲良くなりました。

話してみると、福井出身で方言があること、見た目に反して真面目で優しいところがあることがわかりました。

また見に来てほしいといわれたバスケの試合で朔がアリウープダンクを決めたところを見て、普段とのギャップでかっこいいなと感じ、好意を持ちました。

彼も私に好意を持ってくれていたようで、初めて見に行った試合の後告白され恋人関係になりました。

朔は当初プロを目指していましたが、色々と思うところもあり、指導者としてバスケに携わりたいと進路を変更しました。

大学4年生の時に国内のトップチームのスタッフとして内定が決まった段階で、「お金もないし、苦労もかけるかもしれないけど結婚してほしい」とプロポーズされたので二つ返事で受けました。

大学卒業後、私たちはすぐに籍をいれ結婚しました。

彼の就職したチームは東京が本拠地だったので私も東京で就職して、都内の賃貸マンションで暮らしていました。

国内リーグは、10月~5月くらいまでに60試合を行うので、シーズン中は遠征が多く非常に忙しい生活でしたが、時間が無いなりにコミュニケーションをとっていたので、夫婦仲は良好でした。

転機となったのは、ちょうど私たちが30歳になるころで、朔の北陸で新しくできたバスケチームから「アシスタントコーチにならないか?」と誘いがありました。

朔は、東京のチームよりも年棒が低くなること、私が仕事を辞めなくてはならないこと等相当悩んでいました。

が、彼が地元のバスケをもっと盛り上げたいという思いを持っていることは知っていたので、「仕事は向こうで探せばいいし、問題ない」と伝え、福井に移住することになりました。

 

まさか福井に移住を決めた時点では、まったく問題視していなかったことが問題になるなんて思いもしませんでした。

東京のチームと契約を満了して7月に福井へ引っ越しました。

引っ越し先は、今後子どもができたとき近くに知り合いがいた方が良いからという理由で、朔の実家から徒歩10分の中古の一軒家を購入しました。

義母や義父とは、結婚の挨拶と結婚式以外には年に1,2回正月とお盆に会うくらいでしたが、どちらも優しかったので、問題ないと思っていました。

しかし、実際は悪い意味で期待を裏切られました。

 

福井に引っ越しした当初、義母とは食事をするくらいで適度な距離感を保っていました。

しかし、バスケのリーグが始まり、朔が忙しくなると次第にはた迷惑なことをするようになってきました。

バスケのリーグ戦は、年間60ある試合の半分をアウェイで行います。

朔はアシスタントコーチのため、アウェイ遠征には必ずチームに帯同する必要があり、必然的に家を空けることが多くなります。

シーズン開幕の10月は、ほぼ福井の試合だったので良かったのですが、11月になると義母が私たちの住む家の玄関にたびたび物を置いていき、「良かったら使ってね」と連絡が来るようになりました。

使えるものであれば良いのですが、錆びたハンガーとか、穴の開いた靴下、どう考えても夫の体型には合わない、スポーツブランドのジャージや靴、2013年製造のおせんべい、5玉以上のキャベツ、芽が出てすでに食べられなさそうなジャガイモや、一部傷んでいる玉ねぎ等…。

チョイスが微妙すぎて、いやがらせなのかわかりません…。

もしかしたら良かれと思ってやってるのかもしれませんが、面と向かってどういうつもりともいえず、とりあえず不要物はすべてごみに出していました。

ごみとして捨てた結果、やっぱりいやがらせだってことに気づきました。

というのも、義母からもらったものの使えないのでごみとして捨てたものや、使わなくなって捨てたはずの衣類や日用品等が玄関に置かれるようになったのです。

さすがに驚いていったん義母に電話して聞いてみると、「まだ使えるのに捨てるなんてもったいないから、戻してあげたの」といわれました。

いくら義理の親になったとはいえ、ひとが出したごみを勝手に漁って、元に戻すなんてありえません。

私も腹が立っていたので、「お義母さんから見たらまだ使えるものでも、私に取ってみたら不要なものもあるんです。なので、今後はごみを勝手に漁らないでもらってもいいですか?ついでに、厚意でしてくれているなら申し訳ないのですけど、玄関に物を置いていくこともしないでください」ときっぱりいいました。

すると、「あなた都会出身なのに、SDGsを知らないのね。それにごみの分別がなっていないから分別してあげたんじゃない」と返されました。

ちょっとお話にならないと思ったので、その時は朔に不満を伝えて、いってもらいました。

が、義母は完全無駄なところで、絶対に諦めないネバーギブアップ精神を発揮してきました。

 

一度怒られた義母は3週間ほどおとなしくしていましたが、朔がアウェイ連戦で帰れないとなると、新たなる嫌がらせを始めてきました。

というのも、仕事や所用で外出して帰宅すると、なぜか義母がソファでテレビを見ながらくつろいでいるんです。

外出時は、必ず鍵をかけているのに何で家に入れたのかと考えていると、そういえば引っ越ししたとき、「何かあったときのために」と合鍵を渡していたことに気づきました。

私は、義母に合い鍵はあくまで緊急用なので、勝手に使わないでほしいこと、他人の家で勝手にくつろがないでほしいことを伝えました。

すると、「都会のひとにはわからないかもしれないけど、こっちでは普通だから。にしても良い生活してるわね。私の息子が身を粉にして働いてんのに、嫁はぐうたら。朔が可哀そうだわ」

勝手に他人の家に入って、ゲスな嫌味をいわれたので、「出て行ってください」というと、開き直ってとんでもない発言をしてきました。

「この家、私の息子のお金で購入したんでしょ?そしたらあんたのものじゃないから。あんたが出ていきなさいよ!大体、私は反対だったのよ。朔は人が良いから、あんたみたいな性悪に捕まっちゃって。早く結婚した割には、子どももいないし。私が若いころは、育児に仕事に大変だったんだから。いいわ。朔が仕事でいないあいだ、私が嫁とは何たるかを教えてあげる」

家は確かに朔が多く出してくれたけど私も出したし、そもそも共有名義なので私のものでもあります。

結婚した当初というか、引っ越しするまでは結婚に反対だったなんて聞いたこともないし、子どもは夫婦の問題で口を出されるいわれはない。

ゲスの勘繰りすぎて、本当に嫌になりました。

その時は、追い出すかたちでなんとか家から出したのですが、懲りずに朔が家を空けるたびに勝手に家に入り込んで物色したり、ごみ漁りもやめてくれません。

何度か朔には、「義母に勝手に家に入らないように注意してほしい」と伝え、実際に注意してもらっているのですが、効果が無く…。

この前なんて、勝手に私の下着を物色して、「息子が家を空けているあいだに浮気でもしてるの?こんな派手な下着を持ってるなんて汚らわしい」といわれました。

朔が忙しい中、できる限りの対応をしてくれているのは重々承知しています。

でも、朔と結婚していると、ひとのプライバシーとかを考えない非常識な義母が死ぬまでついてくるのかと思うと、ゾっとします。

ただ、朔は今のチーム強くしたいとか、地元にバスケをもっと根付かせたいという思いで、東京にいるころよりも生き生きと仕事をしているので、この先他のチームに移籍することは現時点で考えられないでしょう。

このチームで仕事をしている以上、この家に居なければいけないと思うと気が狂いそうです。

最悪、離婚も視野にいれて考えています。

そこで質問なのですが、夫の行動に問題が無くても離婚することは可能ですか。

また、離婚するのであれば義母に慰謝料を請求したいと思っています。

離婚の慰謝料を請求することはできるのでしょうか。ご教示いただけると幸いです。

 

弁護士の見解

嫁姑関係等の義理の家族との確執を理由として、離婚するかどうかを悩む方は少なくありません。

今回の相談者、愛佳さんの場合どのような対応があるのか早速確認していきましょう。

 

夫が直接の原因でなくても離婚はできる

離婚は夫婦の問題なので、夫や妻に何か離婚の原因となるような言動が無ければ離婚できないと考える方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、夫婦の話し合いで解決を目指す、協議離婚や調停離婚であれば相手の合意や離婚条件が整えば離婚することが可能です。

とはいえ、今回の愛佳さんの場合、夫の朔さんは仕事で不在ながらも自身の母親に対し、改善するような行動をとってくれています。

お話を聞く限り愛佳さんも朔さんと離婚することは本意ではないと思いますので、ご自身の置かれている現状を朔さんに話して、解決策を見つけていくことも手段のうちだと思います。

離婚以外の解決策としては以下のようなことが考えられます。

 

  • 現在の住まいから引っ越しして住所を教えない
  • 別居する
  • 朔さんに義母から合い鍵を没収してもらう、または鍵を変える

 

持ち家なので金銭的な問題もあるかもしれませんが、愛佳さんの住まいを移すというのも手段のうちです。

鍵の没収や鍵を変える等の対策は、すべての問題が解決するわけではありませんが、少なくとも無断で自宅に入られる可能性は低くなると思います。

「家人がいなくても家に入る」という行為は生まれ育った地域や人間関係によって、不快に思うかどうかや非常識と感じるのかどうかの認識に差があると思います。

「無断で義母が自宅に入ること」が愛佳さんにとってかなりの苦痛を伴うことを、朔さんがイマイチ理解していない場合もあるので、しっかりと伝えたほうが良いでしょう。

朔さんに思いを伝えてもなお、愛佳さんの価値観を軽視するのであれば、離婚を考えても良いかもしれません。

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義母に対しても慰謝料は請求できる

愛佳さんは、朔さんと離婚しなければ義母に慰謝料を請求できないと考えているかもしれません。

しかし、実際は朔さんと離婚するしないに関わらず、慰謝料を請求できる可能性があります。

慰謝料とは、不法行為によって被った精神的苦痛を受けた場合に請求することができます。

不法行為を簡単に説明すると、「故意または過失によって他人の権利を侵害する行為」を指します。

義母は、愛佳さんに嫌がらせをするうえで次のような行為を行っています。

 

①不要なものを玄関に置いていく

②他人のごみを漁る

③無断で家に入り、他人の物を物色する

 

①については、なかなか不法行為とは認められにくいかもしれません。

しかし、②についてはプライバシー権の侵害に当たります。

また、③については、現時点ではもともと合鍵を渡していたとのことなので、「不法侵入」には当たらないかもしれませんが、下着等をチェックしている様子が見受けられるので、②と同様プライバシー権の侵害に当たります。

なお、合鍵が返還された後、または鍵を交換後に何かしらの方法を使って義母が自宅に入った場合には、不法侵入が適用される可能性が高いです。

 

離婚の有無に関わらず、慰謝料の請求を強く希望したいという場合には、義母が不法行為をしたという証拠が必要となります。

そのため、義母が勝手に家の中を物色したり、ごみを漁ったと取られるような発言している場面を録音・録画したり、室内に録画機能付きの見守りカメラで物色する様子を撮影できるように準備したりすると良いかもしれません。

実際に慰謝料を請求するかどうかは、朔さんと夫婦関係を継続するかどうかによって異なるかとは思いますが、いざというときに証拠があれば選択肢が増えますので、準備しておくことは大切です。
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まとめ

今回は、義母の嫌がらせによって離婚を考えている女性の相談例と、その見解を紹介してきました。

度の超えた嫌がらせは不法行為になりえ、状況によっては慰謝料を請求できます。

ただし義母に対する慰謝料請求は、夫との離婚問題とは別のお話なので、離婚調停等では話し合うことができません。

別途義母と慰謝料交渉をするか、地方裁判所に民事訴訟を申し立てて行う必要があり、離婚の手続きとは異なります。

離婚する際に、配偶者ではない第三者に慰謝料したいと考えた場合には、弁護士に相談すると良いかもしれません。

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