【相談事例】夫からモラハラを理由に離婚すべき?対処法を弁護士が解説

近年、SNSの発展によって、今までは公にならなかったハラスメント行為が注目されることがあります。

ハラスメント行為を受けるシチュエーションは、職場や恋人関係、友人関係などさまざま考えられます。

中でも、夫婦間のモラハラは、家庭という狭い中で起こっているのでなかなか周囲に理解してもらえないこともあります。

今回は、夫からモラハラを受けている女性の相談事例と弁護士の見解について紹介していきたいと思います。

夫からの行動制限に耐えられない!モラハラを理由に離婚した方が良いの?

 

相談者:凛々子さん(32)専業主婦

夫:和也さん(37)会社員

娘:まりあ(6)

 

私は32歳の専業主婦です。夫の和也と娘のまりあと3人で暮らしています。

夫の和也は兄の友人で、高校生のときによく実家に遊びにきていたことがきっかけで交際に発展しました。

結婚してから8年目になりますが、和也からのモラハラ的な行動制限に悩んでいます。

和也は物腰が柔らかく滅多に怒らない性格のひとで、周りからは「穏やかで家族を大切にしてくれる旦那さんでうらやましい」といわれるようなひとです。

しかしそれは表面だけで、周囲の目がないときには、何かにつけて私の言動にいちゃもんをつけて、和也の意見に従うよう仕向けてきます。

例えば、まだまりあが幼いとき。

慣れない育児でいっぱいいっぱいになり、掃除や食事まで手が回りませんでした。

ようやく一段落ついたときに和也が仕事から帰宅してきました。

和也はまりあのおもちゃがきちんと片付けられていないこと、夕飯のおかずがスーパーのお惣菜だったことが気に食わなかったのでしょう。

「一日遊んでいるような生活をしているのに満足に家事もできないのか」となじってきました。

まりあがぐずっているときも、あやすことはせず、「あーあー、まりあを泣かせるなよ。お前母親失格だな。仕事で疲れてるんだからくだらないことで煩わせるな」といったことをいってきます。

和也は私に「お前は働かなくてもいいから、家事と育児だけやってればいい」という一方で、「働く能力もないグズ女は、俺くらいしか面倒見れない」と、彼の希望で専業主婦をしているのにまるで私のことを働かない女の扱いです。

元々私は大学在学中に資格を取っていて、結婚前は専門職でした。

実際に働くこと自体が好きで、結婚の条件として共働きを希望していました。

とはいえ、結婚直後のタイミングでまりあを妊娠し、和也から「子育てが落ち着くまではいったん働くのはやめた方が良いんじゃないか」というアドバイスをもらったこともあり、会社を辞めました。

保育園にいれられる年齢になったら復職しようと思っていたのですが、その時には「俺の生活が不規則なんだから、お前に家庭に入ってもらわなければ困る」と和也からいわれ、働きたくても働けない状態が続いています。

更にいえば、和也は大学時代などの学生の頃に仲良かった友人と連絡を取ることに嫌な顔をします。

友達とランチやお茶に行きたいというと、「俺は毎日社食で500円ランチを食べるのに、お前はお茶一杯1000円もするようなところに行くんだろう。金食い虫」とののしられます。

まりあを産んでから、2、3年に一回くらいしか会ってません。

それにお金の管理は和也のため私は彼から月々3000円のお小遣いをもらっています。

3000円でやりくりしないといけないので洋服も数年前から買っていないし、化粧品も化粧水と乳液、プチプラのファンデくらいしか買えていません。

大学生のころですらバイト代ためてデパコス買ったりしていたのに。

夫のモラハラ的な言動や私に対する行動制限は本当にひどいです。

とはいえ、ひどい言動をとった後、「ごめん。でもお前のためを思ってあえて厳しい言葉で伝えているんだ。理解してくれるよな」と優しい和也に戻るので、夫婦としてやり直せるかもしれないとも思っています。

私は離婚した方が良いのでしょうか。

離婚するとして、親権についてはほぼワンオペで育児をしてきたので、私が取得できると思います。

ただ、離婚後復職するにしても引っ越し費用や当面の生活費などの金銭面が心配です。

財産分与といっても、結婚してから生活するためのお金を稼いでいるのは和也なので、分けてもらえるか不安です。

私は一体どうすればいいのでしょうか。

【精神的DVな夫に我慢できない】もう、離婚します

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弁護士の見解

今回の相談者の凛々子さんは、夫である和也さんのモラハラについて悩まれています。

モラハラは精神的DVにあたりますので、立証することができれば慰謝料を請求できたり、最終的に裁判で離婚を決めることができます。

 

今回の凛々子さんが和也さんから受けた行為は次のようなものです。

 

①育児が大変なため和也さんの求める水準の家事を提供できなかったことをなじられた

②子どもが泣いたことを理由に、和也さんから「母親失格」となじられた

③共働きを希望していたが出産後和也さんの強い要望で就職できていない

④和也さんからの要望で専業主婦になっているが「働いていないこと」を理由に罵られる

⑤友人の付き合いを制限されている

⑥和也さんが夫婦の財産を管理しておりお小遣いは月3000円しかもらっていない

 

 

夫婦喧嘩などで感情的になり、相手を罵ることは多くの夫婦が経験していることでしょう。

しかし、①、②、④のように日常的に相手の尊厳を踏みにじるような発言はモラハラになります。

③に関しましては、どの程度の高圧的な態度で制限しているのか、凛々子さんを復職させないために和也さんが取っている具体的な行動がわかりかねますが、①、②、④の発言を鑑みる限り、モラハラといっても良いでしょう。

友人付き合いを過度に制限させて、孤立させるような行為もモラハラにあたります。

⑥に関しては日常生活で必要な衣類や必要最低限の化粧品についてもお小遣いから捻出しているというお話ですので、経済DVに近い状態であると思われます

和也さんは凛々子さんに対し、日常的にモラハラを行っているといって良いでしょう。

現在、凛々子さんは和也さんと離婚するかどうかを迷っているかと思いますが、離婚のいかんにかかわらず、なにがあってもいいようにモラハラを受けている証拠を集めておいた方が良いと思います。

モラハラの証拠になるものとしては次のようなものが考えられます。

 

【モラハラの証拠になる可能性があるもの】

  • モラハラをしている場面を連続で録画・録音した動画・音声データ
  • 日付入りの日記やメモ
  • LINEなどのSNS上でのモラハラのやりとり
  • 支出入がわかる家計簿
  • 病院への通院記録や診断書

 

モラハラは精神的DVなのでなかなか立証するのが難しいです。

そのため、まずはできる範囲で証拠を収集しておきましょう。

和也さんと離婚しない場合の対処法

和也さんと離婚しないと決断した場合、何もアクションを起こさないでいると凛々子さんが我慢し続けることになり、状況は全く変わりません。

そのため和也さんの言動がモラハラであることを自覚してもらう必要があります。

とはいえ凛々子さんが訴えたとしても、まったく聞く耳を持たない場合もあるので、夫婦でカウンセラーに行って、地道に再構築を目指すことも手段のうちです。

周囲に根回しが必要にはなるかと思いますが、お子さんのまりあちゃんが小学生などに上がったタイミングで復職するといった荒療治も考えられます。

現在和也さんに逆らうことができない要因のひとつとして経済的な依存度の高さが挙げられます。

働くことで自己肯定感が回復し、和也さんに「NO」といえる環境ができるかもしれません。

 

和也さんと離婚する場合の対処法

和也さんと離婚を決断したとき、凛々子さんが一番心配していることとして、離婚後のお金の問題が挙げられます。

離婚した場合、凛々子さんがもらえる権利のあるお金としては、心配されている財産分与の他に養育費や慰謝料があります。

財産分与とは、夫婦が結婚しているあいだに築いた共有財産を分けることを指します。

夫婦の共有財産の対象となる資産は、結婚前の貯金、相続、贈与などで受け取った以外のすべての財産です。

口座・不動産・自動車など実際の名義に関わらず、結婚後に夫婦で購入、貯蓄などしたものなら共有財産とみなされます

財産分与の分配は財産を築いた貢献度に応じて分配されます。

貢献度は収入だけではなく、育児や家事なども含まれますので、よっぽどのことがない限り半分ずつで分け合うことが基本です。

とはいえ、財産の中には金銭のように半分で分けられないものあるので、夫婦の話し合いでお互いが合意すれば自由に決めることができます

今回の凛々子さんの場合、和也さんから「お金は渡さない」といわれても同意しないことです。

また、財産分与がすむ前に離婚届を提出することも避けてください

財産分与は離婚後でも請求すること自体は可能ですが、相手が話し合いに応じてくれず時効である2年をすぎてしまい請求することができなくなる可能性があります。

和也さんから離婚の同意は取れたものの、金銭面に関しては折り合いがつかないという場合は、弁護士に依頼し交渉を代理してもらったり、離婚調停を申立てて調停の場で話し合うことも視野に入れてください。

 

まとめ

今回は、夫のモラハラで悩む女性の相談事例と弁護士の見解について紹介していきました。

モラハラといった精神的DVは傷が見えにくいため、周囲には理解されずお悩みの方もいるでしょう。

しかし、一方的に我慢し続けることは精神的に大きな負担となり、うつ病など精神疾患になることもあります。

そのため、「もう離婚したい」と感じたときには、一度カウンセラーなど第三者に相談することをお勧めします。

そのうえで実際に離婚をすると決断したときには、弁護士に相談することを検討してみてください。

 

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