子どものいる夫婦が離婚する場合、子どもはどちらの親の戸籍に入るのでしょうか。
子どもの親権者になれば自動的に戸籍に入ることになるのでしょうか。
今回は、離婚後の子どもの籍がどちらの親になるのか、また変更する場合の手続きや必要書類について解説していきたいと思います。
両親が離婚しても子どもの戸籍は変わらない
夫婦が離婚した場合、結婚によって名字が変わった方は相手方の籍から除籍されます。
そのため除籍された方は、結婚前の元の戸籍に戻るか、自身の単独の新しい戸籍を作るか選択する必要があります。
元の戸籍に戻る場合には、離婚届の「離婚前の氏にもどる者の本籍」で、「元の戸籍にもどる」をチェックします。
新しい戸籍を作る場合には、「新しい戸籍を作る」にチェックをして、本籍地や新しい戸籍の筆頭者の欄に自分の名前を記載する必要があります。
ただし、この戸籍の手続きはあくまで、夫婦間の戸籍の手続きです。
子どもの戸籍は、両親の離婚によって自動的に親権者の戸籍へ移るわけではないので、子どもの戸籍を元配偶者の戸籍から変更したい場合には別途手続きをしなければなりません。

STEP1.家庭裁判所に子どもの氏の変更許可を認めてもらう
子どもの戸籍を離婚前のものから親権者の親の戸籍に入れるためには、家庭裁判所に子どもの氏の変更許可の申し立てを行う必要があります。
どこの家庭裁判所に申し立てればいいのか
子どもの氏の変更許可の申し立ては、家庭裁判所であればどこでもできるわけではありません。
裁判所はそれぞれ管轄している地域があるので、子どもの住所地を管轄している家庭裁判所に申し立てる必要があります。
住所地とは、生活を拠点にしている場所のことを指します。
子どもの氏の変更許可に必要な書類とは?
子どもの氏の変更許可を行う場合、次の書類を準備する必要があります。
- 氏の変更許可の申立書
- 申立人(子ども)の戸籍謄本
- 父・母の戸籍謄本
離婚で氏の変更許可を行う場合、3の戸籍謄本は、離婚していることが分かるものを準備しましょう。
なお、複数の子どもの氏変更の許可を行いたい場合、15歳未満の子どもの場合には1の氏の変更許可の申立書は1枚で手続きできますが、15歳以上の子どもの手続きするときは、人数分の申立書が必要になります。
氏の変更許可にかかる費用は?
氏の変更許可の手続きを行う費用は次の通りです。
■申立て費用…子どもひとりにつき800円分の収入印紙
■郵便切手…84円(※)
■戸籍謄本…1通につき450円
※管轄の家庭裁判所によって異なる場合があるので事前に確認が必要です。
上記以外に家庭裁判所から追加で書類の提出を求められたときは、別途手数料が必要な場合もあります。
家庭裁判所から氏の変更許可が通知される期間とは
子の氏の変更許可を申し立てから家庭裁判所が審理を行い、実際に許可が出るまでは大体1週間前後といわれています。
また、管轄の家庭裁判所によっては、即日審判といってその日のうちに許可が出ることもあります。
ただし、事案が複雑な場合には、許可が下りるまで相当の時間がかかるケースもあるので注意が必要です。
STEP2.お住まいの地域の役所に入籍届を出す
子どもの戸籍変更の手続きは、家庭裁判所からの変更許可だけでは戸籍が変わったことにはなりません。
別途、お住まいの地域の役所に赴き、入籍届を提出する必要があります。
子どもを入籍するために必要な書類
入籍届
各市区町村の窓口で入手することができます。
また、自治体によっては各市区町村のホームページから入手することもできます。
入籍届は役所で長期保管されるので、鉛筆や消せるボールペンでは記載しないようにしてください。
届出人(子ども)の戸籍謄本
子どもの戸籍謄本を取り寄せてください。
なお、戸籍謄本の本籍地と申請する市区町村が同じの場合には準備しなくても良いケースもあるので、お住まいの地域の役所にあらかじめ問い合わせをした方が良いでしょう。
子どもが入籍しようとする戸籍の戸籍謄本
入籍する子どもの戸籍謄本だけでなく、入籍予定の戸籍謄本も準備する必要があります。
ただし、子どもの戸籍謄本と同様、入籍する戸籍の本籍が手続きを行う市区町村であれば、不要の場合もあります。
家庭裁判所の審判書の謄本
入籍手続きには、家庭裁判所の氏の変更許可の審判書の謄本が必要です。
審判書の謄本が手元にみあたらない場合には、変更許可の手続きを行った家庭裁判所に申請することで交付してもらうことができます。
申請方法は、郵送申請と直接家庭裁判所に赴いて交付してもらう2つのやり方があります。
郵送の場合には、交付申請書と1通につき収入印紙150円分、また返信用封筒と切手代がかかります。
直接家庭裁判所へ赴く場合には、1通につき収入印紙150円分と身分証明書、印鑑が必要です。
入籍届が受理されない可能性はあるのか
入籍に必要な書類を準備し、各役所に提出を行えば、不備や特別な事情がない限り受理されます。
ただし、提出する時間が時間外や土日祝日の場合には、翌開庁日に手続きが行われるので、タイムラグが生じることもあります。

子どもの戸籍の変更を検討するときの注意点
離婚後、子どもの戸籍を元配偶者から自分の戸籍に変更する手続きの注意点として次のような注意点があります。
子どもが15歳以上の場合には子どもの同意書が必要
18歳未満の未成年の子どもは、法律行為に対して判断能力が未熟であるとみなされるので、行える法律行為には制限があります。
そのため、行える法律行為に制限のある子どもに代わり、親権者が法定代理人として、子どもの代わりに法的な手続きを行ったり、同意権を行使したりします。
例えば、携帯の契約の場合、子どもの名義で契約を行う場合には親権者の同意が必要です。
また、部屋を借りるといった場合にも、未成年の場合には親権者である親の同意がなければ行うことができません。
氏の変更許可の手続きに関しても、子どもの名字が変わる可能性があり、また身分に関する手続きなので、法律行為です。
ただし、氏の変更許可の手続きの場合、15歳以上の子どもはある程度自分の意思決定ができるとみなされます。
そのため、子どもが15歳以上の場合、申立人は親権者から子ども本人になります。
親権者が子の氏の変更許可の手続きを行いたいと考えたとしても、15歳以上の子どもの場合には本人の意思が尊重されるので、手続きを行うときには子どもの同意がなければいけません。
の名字を名乗った場合にも戸籍の変更の手続きが必要
子どもの戸籍の変更の手続きは、離婚後新しく戸籍を作って、元配偶者の名字を名乗った場合でも必要です。
同じ名字を名乗っていたとしても、離婚している以上元配偶者とは別の戸籍だからです。
子どもの籍は元配偶者の戸籍にあるため、戸籍の変更手続きを行わない限り、ご自身の戸籍に入籍していることにはならないのでご注意ください。
まとめ
今回は、離婚後、子どもの戸籍を変更する場合の手続きについて解説していきました。
離婚後の子どもの戸籍の変更は、子どもの名字が変わることで受けるストレスを考えて、離婚した時点では手続きをしない方もいらっしゃいます。
子どもの戸籍の変更の手続きには、特段期限が設けられていないので、現状問題のない場合には子どもの成長を待って、聞いてみるというのも良いかもしれません。
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