【妻が陰謀論者に】生活の不満をすべて陰謀論につなげる妻と離婚したい

テレビやインターネット、SNSなどのメディアは現代社会に大きな影響をもたらします。

コロナ禍やウクライナとロシア間の戦争など、世情が不安定になると、フェイクニュースを鵜呑みにして陰謀論に傾倒してしまう方が一定数いらっしゃいます。

今回は、陰謀論にのめり込んだ妻と離婚したい男性の相談例と弁護士の見解を紹介していきたいと思います。

妻が陰謀論を信じて夫婦仲が最悪になったので離婚したい

 

主人公:陽さん(仮名)45歳

妻:恵さん(仮名)39歳

息子:海斗(仮名)12歳

 

ご相談させてください。

妻の恵が陰謀論を信じ込んでしまったことで、離婚を考えています。

経緯をお伝えしたいと思います。

恵と私は2008年5月に結婚しました。結婚当時、私は30歳、恵は24歳でした。

結婚から2年経った頃、恵が息子の海斗を妊娠、翌年2011年4月に出産しました。

妊娠が発覚したとき、恵と「子どもが生まれたら育児と家事は2人で半分ずつ頑張る」という約束をしていました。

実姉や母親から「出産は女性にかなりの負担がかかる」、「育児は女性だけがやるもんじゃない」と強くいわれていたこともあり、夜泣きの対応やお風呂、おむつを替えたり、離乳食を作ったり、積極的に育児に参加しました。

家事についても「完璧を目指すのではなく無理をしない」という認識を夫婦で持ち、2人で協力しあって生活していました。

その甲斐あって、ときどき喧嘩はするものの、良好な夫婦関係を築けていたと思います。

 

恵との関係が崩れ始めたのは、2020年4月のことでした。

私たちは共働きで、私は医薬品メーカー、恵は有機栽培を売りにした自然食カフェに勤めていました。

私の会社は幸いにもコロナ禍の影響を大きく受けなかったのですが、恵の仕事は接客業のためもろに打撃を受けました。

緊急事態宣言の発令によって、お客さんが激減し自粛生活もあいまって、ほとんど開店休業状態に。

働くことが好きだった恵は、自宅にこもらなければならないことに大きなストレスを感じ、ふさぎ込みがちになりました。

「家族が養えるくらいの稼ぎはあるし、流行が一段落したらまたカフェで働けるようになるよ」と声をかけていたのですが、「あなたはリモートでも仕事できるんだからいいよね!」と対応がきつくなりました。

海斗の小学校も休校になっていることもあり、さまざまな環境の変化で恵はどうしてよいのかわからなかったんだと思います。

「大丈夫」、「なんとかなるよ」と励ましの言葉を伝えていたのですが、「楽観的な人はいいね」とか「私の気持ちを全然考えてない」と怒鳴られるようになりました。

親身になって寄り添いたいという気持ちはあるものの、恵が攻撃な態度をとり続けるので、次第に辟易してきて夫婦仲がぎくしゃくするようになりました。

コロナの流行が少し収まったころ、恵の勤めるカフェが時短ではあるものの営業を再開しました。

「これで妻の態度も変わるだろう」と思っていたのですが、今度は陰謀論めいたことを口にするようになりました。

聞けば、カフェで働く同僚の考えに感化されたようで、「コロナのワクチンはかえって身体をダメにする」とか「コロナは細菌兵器で○○国がつくった」などなど…。

私は、「流行病だし心配だとは思うけど、ワクチンを打てば重症化が防げる可能性が高くなるかもしれないんだよ」と伝えたのですが「ワクチンは悪」と聞く耳を持ってくれませんでした。

まあ、ワクチンのことはひとそれぞれだからと聞き流していたのが悪かったのかもしれません。

恵の陰謀論の信じ込みようは時間を経るごとに悪くなっていきました。

物価があがりはじめると、「ディープステート」が裏から経済を支配しているだの、ワクチンのことだけじゃなく、政治的な陰謀論もいうようになりました。

私自身は聞き流せばよいのですが、息子の海斗に対しても「悪にのまれる」とか「あなたが生きる未来はディープステートに支配される」など、SF映画ばりの妄想を息子の海斗にまで吹聴するようになりました。

とにかく同調してほしいようで彼女のいうことをやんわり「それは違うんじゃないか」と伝えると火が付いたように、「陽はなにもわかっていない」と怒り出します。

陰謀論にハマること自体、正直いやな気持ちになりますが、それよりも陰謀論を否定するような態度をとると怒りを爆発させたり、海斗に対して陰謀論のすりこみをしたりする態度が許せません。

海斗も「お母さんが変わってしまった」と困惑しております。

恵と話し合おうにも、繰り返し陰謀論じみたことをいうばかりで話し合いになりません。

できれば親権をとって離婚したいのですがどうすればいいでしょうか。

親権取得は父親が不利だと聞きます。

親権取得にあたり行っておくべきことなどご教示いただけると幸いです。

【親権は母親が取るとは限らない】男性が親権取得しやすくするための対応方法を知ろう!

弁護士の見解

今回の相談者の陽さんは、妻の恵さんが陰謀論にのめり込んだことをきっかけに離婚を考えていらっしゃいます。

憲法第19条では、「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」という条文があります。

そのため、根拠が不明確な陰謀論を信じること自体は制限できるものではありません。

夫婦が離婚する場合、通常は話し合いで成立を目指しますが、民法第770条に定められている裁判上の離婚事由に当てはまった場合、折り合いがつかないときには最終的に夫婦一方の意思で離婚することができます。

恵さんの行為は「裁判上の離婚事由」に当てはまるのでしょうか。

思想をめぐって言い争いになったり、息子の海斗さんに陰謀論を吹聴するという行為は、吹聴している内容にもよりますが、「裁判上の離婚事由」にあたるとは考えにくいです。

そのため、まずは夫婦の話し合いで離婚を目指すことになります。

とはいえお話を聞く限り、陽さんが恵さんに離婚を切り出しても、話し合いにならない可能性が高そうです。

冷静に話し合いができそうにない場合には、お住まいの地域を管轄する家庭裁判所に離婚調停の申し立てることを検討してみると良いでしょう。

離婚調停は調停委員という男女2人の仲裁役のひとが、当事者の間に立ってくれます。

調停委員は、当事者それぞれ1人ずつ主張を聞くことになるので、夫婦ふたりが顔を合わせて話し合うよりも冷静にご自身の主張を伝えられると思います。

離婚調停では、離婚の合意の他にも親権や養育費、財産分与、慰謝料についても話し合うことができます。

親権取得について恵さんと折り合いがつかないときには、併せて調停の場で話し合うことをお勧めします。

親権取得を調停で話し合う場合、調停委員の他に家庭裁判所調査官という役割のひとが、どちらの親と暮らした方が子どもにとって利益になるのかを調査します。

子どもの利益とは、経済力だけでなく次のようなものも含まれます。

  • 子どもがどちらの親と暮らしたいか
  • 今までの養育実績
  • 子どもを養育するための環境が整っているか
  • 子どもの養育を手伝ってくれる親族がいるかどうか

 

子どもの年齢が低い場合、「子どもの養育には母性が必要」という考え方から、母親が親権を取得する割合が高いです。

しかし、陽さんの場合、海斗さんは12歳なので、ある程度自己決定ができるとみなされ、海斗さんが陽さんと暮らしたいと希望した場合には、その意思が尊重される可能性があります。

離婚調停で親権取得を主張する場合には、海斗さんと良好な関係であることが前提です。

そのうえで、今までの養育実績をまとめておいたり、親権取得した場合に際して、両親などの家族に育児への協力をあらかじめ取り付けておくことも大切です。

なお仕事の兼ね合いでどうしても家を空けることが多く、十分に海斗さんの養育ができないというときには、親権取得ではなく手厚い面会交流の条件を決めることも検討しましょう。

 

まとめ

今回は、陰謀論にのめり込んでしまった妻と離婚したい男性の相談事例と、弁護士の見解を紹介していきました。

子どものいる夫婦が離婚する場合、どちらが親権を取得するかをめぐって争いになることがあります。

離婚調停でもまとまらない場合には、離婚裁判に発展し、離婚成立や親権を取得するまでに最悪の場合数年単位で時間がかかる可能性もあります。

親権をめぐって裁判に進んだ場合、子どもに精神的な負担がかかることが予想されますので、なるべく話し合いの段階で解決を目指した方が良いでしょう。

とはいえ親権を取得するための準備や相手との交渉についてはご自身で行うのは難しいと思いますのでお困りの方は弁護士に相談してみてください。

弁護士に相談したい方はこちら

 

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