【弁護士監修】離婚協議書に盛り込んでおくべき項目を徹底解説!

夫婦で話し合った離婚の条件を書面にしたものを離婚協議書といいます。

「話し合いで解決したなら別に書面に残さなくても良いじゃん」とも考える方もいらっしゃるかもしれませんが、取り決めを書面にしておくことは非常に重要です。

今回は離婚協議書に盛り込んでおくべき項目について解説していきます。

離婚協議書を作成する理由とは?

夫婦が協議離婚をする場合、離婚協議書を作成することが重要であるといわれることがよくあると思います。

しかし、具体的になぜ重要なのか回答できる方は多くないかもしれません。

離婚協議書を作成する理由として離婚後のトラブル防止が挙げられます。

養育費や慰謝料の分割支払いなど、離婚後も継続して支払いが生じる取り決めをした場合、滞ったときに「取り決めしたという証拠」になります。

また、離婚協議書を公正証書とする際にも、素案として活用することもできます。

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離婚協議書にいれるべき内容①離婚の合意

離婚協議書を作成するうえで、必ず盛り込んでおくべき項目が、離婚の合意です。

協議離婚は夫婦双方の合意に基づいて成立するものなので、当たり前といえば当たり前かもしれません。

多くの場合、離婚協議書の冒頭に以下のような文言で盛り込まれます。

 

第1条 離婚の合意

夫の○○(以下甲)と妻の○○(以下乙)は協議離婚することに合意し、次の通り離婚協議書を取り交わした。

 

離婚協議書は、夫婦の離婚条件を記した契約書です。

離婚の合意が前提になければ、親権や財産分与、養育費などの条件を取り交わしても意味がなくなってしまうので、「離婚の合意」がありますよということを上記のように明確に記す必要があるのです。

 

離婚協議書にいれるべき内容②親権者の指定

18歳未満の子どものいる夫婦が協議離婚する場合には、親権者を決める必要があります。

そのため、離婚協議書にも父親と母親、どちらが親権者になるのかをしっかり明記しておきましょう。

親権者を明記しておかないと離婚届を提出する段階で、「やっぱり親権が欲しい」といわれたり、離婚後「親権について同意していないのに勝手に離婚された」などといわれたりしてトラブルに発展しかねません。

しかし、離婚協議書に親権者についてはっきり記載しておけば、「親権について同意したという証拠」を示すことができます。

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離婚協議書にいれるべき内容③養育費

子どものいる夫婦が離婚する場合、離婚協議書には養育費についてしっかり記載してください。

養育費について記載すべき項目としては、以下の通りです。

 

  • 養育費の支払い期間
  • 毎月の支払い額
  • 養育費を振り込む口座情報
  • 振り込み手数料
  • 進学時に必要な入学費用などについて

 

養育費は未成年の子どもに対して支払われるものと考えている方もいらっしゃるかもしれません。

しかし実際は、経済的に自立していない子どもに対して支払われるお金であり、子どもが大学などに進学した場合には、成年に達する18歳を超えても支払いを取り決めることもできます。

現代の日本では4年制大学の進学率が5割を超えているので、「子どもが22歳に達した後の最初の3月まで」という養育費の支払い期間は珍しくありません。

離婚時子どもの年齢が高ければある程度進学などのめどが立っていることもあるかと思いますが、乳幼児の場合には未来のことすぎてわからないと考える方も少なくないのではないでしょうか。

そのような場合には、いったん4年制大学を卒業するまでの期間を定めておき、具体的な進学先の目途がついた時期に、別途協議して決めることを定めておくと良いと思います。

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離婚協議書にいれるべき内容④財産分与

夫婦の婚姻期間中に形成された財産は、相続や贈与などで取得したものを除き、財産分与の対象となる共有財産です。

名義が夫の単独名義、妻の単独名義であっても共有財産とみなされます。

財産分与は、夫婦が半分ずつわけ合うことが基本とされていますが、実際には夫婦が双方合意していれば、どのような割合でわけても問題ありません。

ただし、後々のトラブルにならないよう、財産分与によって夫婦が取得する財産を明確に記しておきましょう。

なお、自動車や不動産などを取得した場合には、離婚前に名義変更の手続きを行った方が良いもしれません。

名義変更の手続きをしないまま離婚した場合、元配偶者が売却したり、借金の抵当にいれたり、契約を反故にして所有権を主張してきたりする可能性がありますので注意しましょう。

 

離婚協議書にいれるべき内容⑤慰謝料

離婚協議書に盛り込むべき項目として、慰謝料が挙げられます。

ただし慰謝料の項目は、離婚する夫婦なら誰でも盛り込んでおくべきものではありません。

慰謝料は夫婦の一方の言動によって、もう片方が精神的苦痛を受けたときに請求権が生じるものなので、勘違いしないよう注意が必要です。

慰謝料の条項では、慰謝料の具体的な金、支払日時を定めます。

離婚の慰謝料は通常、一括で支払ってもらったり、慰謝料を含め財産分与を決めるといったケースが多いですが、分割支払いを選択する方もいらっしゃいます。

分割支払いの場合には、支払期間や毎月の支払日、振込口座など養育費と同じよう細かく条件を付けておきましょう。

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離婚協議書にいれるべき内容⑥面会交流

面会交流とは、子どもの養育の為、非同居親と面会したり、SNSやメールなどで連絡を取り合ったりすることなどをいいます。

離婚協議書に盛り込む場合には、れくらいの頻度で面会するのか、長期休暇の場合の宿泊条件など細かく決めておいた方が良いと思います。

 

離婚協議書にいれるべき内容⑦その他の合意事項

離婚協議書は、契約書なので、親権や財産分与、養育費や慰謝料以外にも、公序良俗に反することでない限り、自由に離婚の条件について取り決めることができます

公序良俗に反する取り決めとは、「夫の○○は離婚後1年は交際相手を持たず、結婚もしないこと」といったような離婚後も相手方の行動を制限するような内容のことをいいます。

離婚協議書に取り決めをしたとしても、相手の行動を制限するような行為は日本国憲法で禁じられているので無効になりますので、ご注意ください。

 

離婚協議書は公正証書にするべきなのか

離婚協議書は公正証書にしたほうが良いと聞くことが多いと思います。

とはいえ、どのようなときでも公正証書とした方が良いのかといえば、そういうわけでもありません。

離婚協議書を公正証書とした方が良いシチュエーションとして、離婚後も養育費や慰謝料の分割支払いなどが離婚条件に含まれているときです。

この場合、滞納したときのことを考え、強制執行ができる公正証書を作成した方が後々のリスクヘッジになります。

強制執行とは、相手方が支払いを滞納した場合、給料差し押さえや相手名義の口座を差し押さえることのできる法的手段をいいます。

夫婦間で取り交わした離婚協議書では、契約書としての効力があっても強制執行できる効力はありません。

強制執行が可能な書面は、公正証書や家庭裁判所から発行される調停調書や判決書などが考えられます。

離婚後も継続的に元配偶者から金銭の支払いを受け取るときには、滞納した場合に備え、強制執行認諾文言付の公正証書にした方が良いでしょう。

 

まとめ

今回は、離婚協議書に盛り込んでおくべき項目について解説していきました。

離婚協議書に盛り込む条件は夫婦の婚姻年数、共有財産の内容、子どもの有無、離婚原因などによって大きく異なります。

そのため、自力ではうまくまとめられないと感じた場合には、一度弁護士に相談してみても良いかもしれません。

弁護士に相談、依頼した場合、費用はかかりますが将来起こり得るトラブルを回避できる可能性が高まりますので一度検討してみてください。

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