怒ったり泣いたり、相手にイライラして嫌いになったりして離婚するのは、精神が削られるので、円満離婚を目指したいという夫婦は多いでしょう。
しかし、円満離婚後に相手が婚姻中に不倫していたことが発覚することもあると思います。
円満に別れたはずが、実際は元配偶者が不倫していて自分を裏切っていたとしたら、制裁を加えたいと考える方は少なくありません。
今回は円満離婚後に不倫が発覚した場合、慰謝料を請求できるのかについて詳しく解説していきたいと思います。
円満離婚とは?
法的な離婚の方法は大きく協議離婚、調停離婚、審判離婚、裁判離婚の4つに分けることができます。
円満離婚は4つのうちの協議離婚の中に含まれます。
ただし協議離婚した夫婦の中には結果的に協議離婚できたけれど不倫やモラハラ、DVなどの有責行為が原因で離婚した方もいます。
夫婦の一方に有責行為があった場合、少なからず夫婦の中で争いが起きるので円満離婚とはいえません。
そのため、円満離婚の条件として、「離婚原因が有責行為でないこと」、「夫婦間で離婚条件について争いがなかったこと」が挙げられるでしょう。
円満離婚の大きなメリットとして喧嘩別れではなくお互い納得の上で離婚に至るため、元配偶者との関係を良好に維持できる可能性がある点でしょう。
特に子どもいる場合、両親が不仲な姿は精神面にも大きく関わることなので、離婚しても良好な姿を見せられるのは大きなプラスになります。
なお、円満離婚であっても離婚協議書を作成するべきです。
「争いがないなら離婚協議書なんて作成しなくてもいいんじゃないか」と考える方もいらっしゃると思いますが、離婚時点で争いがなくとも将来的にはわかりません。
特に養育費のような離婚後も継続的に支払いがある場合、最低限書面で取り決めておかないと、後々トラブルになることも考えられますのでご注意ください。

円満離婚後に不倫が発覚した場合でも慰謝料は請求できる?
周囲への影響を最小限に抑えるために円満離婚をしたのに、後になって元配偶者の不倫が発覚したら、その衝撃は想像だにつかないほど大きいものでしょう。
信頼していた相手からの裏切りは精神的負担になるとともに、「なんとかして制裁を加えたい」と考える方も多いと思います。
とはいえすでに過去のことなので、慰謝料を請求できるのかと不安に思う方もいらっしゃるでしょう。
実際のところ離婚後に元配偶者の不倫が発覚した場合、慰謝料を請求することができるのでしょうか。
結論からいうと、円満離婚後に元配偶者の不倫が発覚した場合であっても慰謝料を請求することは可能です。
まず、不倫は不法行為といって夫婦が双方に持つ貞操権を侵害する行為です。
貞操権を侵害された場合、精神的苦痛の対価として慰謝料を請求することができます。
不倫の慰謝料請求権は、基本的に被害者が不倫を知ったときから生じます。
そのため離婚が成立していたとしても慰謝料を得られる可能性は十分にあります。
不倫の慰謝料請求権は、不倫されたひとが元配偶者の不倫したことを知ってから3年、または元配偶者が最後に不倫行為をした日から20年のいずれか短い方が時効になります。
慰謝料請求権は基本的に不倫と不倫行為を行ったひとが発覚した時点から生じるため、離婚したかどうか関係なく請求することができます。

円満離婚後に慰謝料が得られないケース
円満離婚後に元配偶者の不倫が発覚した場合、時効期間が経過しているなどの事情がない限り、基本的に慰謝料を請求することができます。
とはいえ慰謝料を請求したとしても、実際に元配偶者から慰謝料を得られるかどうかは別問題です。
円満離婚に限らず、離婚後に不倫の慰謝料が得られないケースとして不倫した証拠がないことが挙げられます。
法律上、慰謝料を請求できる不倫は、元配偶者と不倫相手のあいだに肉体関係があったかどうかです。
つまり慰謝料を得るためには、離婚前に元配偶者と不倫相手が肉体関係にあったということを立証する必要があります。
一般的に不倫を立証する証拠として次のようなものを考えられます。
- 性的行為をしている動画や写真
- ラブホテルに出入りしている動画や写真
- ラブホテルのレシートやクレジット明細
- 性行為を匂わせるようなSNSやメールのやり取り
- 元配偶者や不倫相手の自白
これらの証拠は離婚後に収集するのが非常に難しいです。
そのためまずは元配偶者や不倫相手に自白してもらうことが考えられます。
しかし、相手も自白しなければ慰謝料の支払いを免れることができると思うので、婚姻中に不倫していたことを認めさせることはかなり困難といって良いでしょう。
「どうにかして慰謝料を得たい、制裁を加えたい」という思いから、元配偶者や不倫相手に多少無理をしてでも自白させたいと考える方もいらっしゃるでしょうが、自白を迫る行為は絶対に避けてください。
状況によっては脅迫行為とみなされ、反対にあなたが不法行為で訴えられたり、最悪の場合脅迫罪などで逮捕され、有罪になってしまったりすることもあります。
したがって、元配偶者の不倫が発覚し、手元にある証拠では相手が不倫を認めるには足らないと感じたときには、弁護士に相談した方が良いでしょう。
弁護士は法律の専門家であるとともに、相手との交渉も非常に得意としています。
手元にある証拠が少ないとしても、言葉を巧みに使い、相手から不倫したことを引き出して慰謝料を得られるケースもあるので検討してみましょう。

慰謝料は不倫相手にも請求できる?
法律上の不倫は共同不法行為といって複数人が、他人の権利などを侵害することをいいます。
不倫は相手がいなければ成立しないため、あなたには元配偶者だけでなく、不倫相手にも慰謝料を請求することができます。
不倫相手にも請求する場合、元配偶者と不倫相手、それぞれと慰謝料交渉をしなければなりません。
多くの場合同時に進めることになるので、自力で行うとなると負担が増加することが予想されます。
また不倫相手に悪感情を強く持たれるかと思いますので、冷静に交渉することができず交渉自体が成立しなかったり、つい手が出てしまい不利な立場になってしまったりすることもあるので注意が必要です。

まとめ
今回は円満離婚後に元配偶者の不倫が発覚した場合の慰謝料請求について考えていきました。
円満に別れたと思っていたのにも関わらず、後になって不倫が発覚したら裏切られたという気持ちが強くなり、「許せない」と強く感じてしまうことでしょう。
しかし、怒りのままに慰謝料請求をすると、かえって不利になってしまう可能性があります。
慰謝料を得るためには冷静に相手と話し、不倫を認めさせて慰謝料交渉をしていかなければなりません。
当時者が冷静になって話し合い、交渉することは感情面においても、法的な部分にとっても非常に難しいです。
そのため、離婚後に不倫が発覚した場合には弁護士への相談を考えてみてください。
弁護士に依頼した場合、あなたの希望を聞き、この先どのように交渉していくかなどの道筋を教えてくれ、あなたの利益となるように弁護してくれますので一度検討してみましょう。
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