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離婚の際に慰謝料を請求する場合、どうやって計算すれば良いのか気になるところ。また、「どの程度の金額が見込めて、できるだけ多く受け取るにはどうすれば良いのか」や、「必要な手続きがあるのか」なども把握しておきたいですよね。そこで今回は、夫婦間のトラブルや人間心理に精通している桔梗さんに質問し、いただいた回答をもとに
- 離婚による慰謝料の概算を出す際の一般的な計算方法
- 離婚の慰謝料を計算する際に金額に影響するポイントとは?
- 離婚の慰謝料を増額させる方法とは?
- 慰謝料の請求を確実にしたいときに有効な請求の仕方と、その際に必要なもの
- 離婚原因別の慰謝料の金額事例
をまとめました。離婚を考えていて慰謝料の算出や決定、支払いについて知りたい人は、ぜひご覧くださいね。
離婚による慰謝料の概算を出す際の一般的な計算方法
離婚の慰謝料を概算する際、一般的な計算方法には、「基本慰謝料120万円+相手の年収の3%×実質的婚姻年数(最高20年)×有責度×調整係数」という式があります。有責度とは、相手にどれくらい責任があるのかを意味し、調整係数は年収や就業経験などを考慮するための数値を意味します。ただ、これが絶対的な計算方法というわけではありません。そのため、参考程度にとどめておきましょう。
離婚の原因には、浮気や不倫、DVやモラハラなどさまざまなものがあり、慰謝料は離婚の原因や相手の年収などによっても異なります。
一般的には100万円~300万円くらいが相場となっていますが、不倫などの不貞行為に加えて、DVやモラハラなどの肉体的または精神的暴力の被害に遭った場合は、さらに高額になるケースが多くなるでしょう。
離婚の慰謝料を計算する際に金額に影響するポイントとは?
離婚の慰謝料を決める際の計算においてポイントとなる項目には、「有責性の程度」や、「相手との婚姻期間」、「離婚の原因」や、「相手の年収」などがあります。たとえば、相手の不貞行為によって精神的ショックを受けていたり、相手からのモラハラによってひどい精神的ダメージを負い、精神疾患になってしまったりといった状況の場合には、有責性が高くなり、慰謝料が高額になりやすいと考えられるのです。
また、DVにより肉体的暴力を受けてケガを負った場合も同様に、有責性が高いと判断されやすく、被害の程度によって慰謝料が高額になる可能性が高くなります。

離婚の慰謝料を増額させる方法とは?
離婚する際には、できる限り多く慰謝料をもらいたいですよね。そこで、どうすればよりたくさんの慰謝料をもらえるのかについて、まとめました。
証拠を集める
相手の不貞行為が原因で離婚する場合、証拠を集めることが増額につながります。不貞行為に関する証拠の例は、浮気相手とラブホテルなどに出入りしている写真や、メールやLINEなどのやり取りで肉体関係があったという履歴などです。また、もし夫(または妻)本人や浮気相手が、浮気した事実を認めた場合には、不貞行為を認めた記録として念書を書かせれば証拠になります。
つまり、証拠さえあれば慰謝料を増額させることができるということです。しかし、決定的な証拠がない限り慰謝料の支払いを受けることができないため、場合によっては探偵に頼んで調査してもらう必要も出てくるでしょう。
第三者に依頼をして話し合いを進める
もしDVやモラハラなどについての慰謝料を請求したい場合、相手が承諾しない確率が高いため、弁護士など第三者に依頼して話し合いを進める必要があります。そのため、離婚調停を利用する人が多く見受けられます。
暴力行為は有責性が高いため、慰謝料は確実に高額になるでしょう。
協議離婚をする
慰謝料は、裁判を起こして離婚するより、協議離婚のほうが高額になりやすいということを押さえておいてください。裁判で離婚をする場合は、一般的な相場で慰謝料が決められる傾向があるため、数百万円が妥当な金額になります。しかし協議離婚なら、相手が合意すれば慰謝料の上限はありません。
もし相手の社会的地位が高く、高額所得者であれば、協議離婚で話を進めたほうが慰謝料を増額させやすくなるため、おすすめです。
【協議離婚の方がいい?】協議離婚のメリットを確認しよう!
慰謝料の請求を確実にしたいときに有効な請求の仕方と、その際に必要なもの
しっかりと慰謝料を請求して、確実に受け取りたい場合には、請求方法に注意する必要があります。状況に適した方法を選べば、それだけ慰謝料をもらえる可能性を高められるので、あらかじめ把握しておきましょう。
協議離婚で慰謝料を請求する場合
もっとも簡単で確実な方法は、直接相手と話し合いをして慰謝料を請求することです。協議離婚で慰謝料を請求する場合、最初は多めに請求すると良いでしょう。なぜなら、現在希望している慰謝料の金額よりも100万円ほど上乗せするように計算して請求すれば、希望の金額をもらえる可能性が高まるからです。
ただし、相手がDVやモラハラをしてくる場合、直接会って話し合うのが困難なこともあります。その場合は、郵便やメールで、精神的苦痛を受けた事実や、慰謝料の請求をしたいという意思、請求したい金額などを書いて送ると良いですよ。もし返答がない場合は、内容証明郵便にて暴力や不貞行為に関する事実、慰謝料請求の意思と金額、支払い期限、振込先の口座などを書いて送りましょう。
離婚調停で慰謝料を請求する場合
話し合いをするのが困難な相手の場合は、離婚調停で慰謝料を請求しましょう。離婚調停を起こす場合、基本的には相手の居住地の家庭裁判所に申立書を提出する必要があります。離婚調停を申し立てるときに必要な書類は、「夫婦関係調整調停申立書」や、「申立人の戸籍謄本」、「相手の戸籍謄本」、「年金分割のための情報通知書」いったものがあげられます。
離婚調停では、調停員が双方の仲介人となって話を進めていきます。そのため、相手に直接会ったり話したりする必要がないため、安心して離婚の話を進め、慰謝料を請求できるでしょう。
離婚原因別の慰謝料の金額事例
離婚の慰謝料を計算する際には、実際の例を見ておきたいですよね。そこで、離婚原因別の慰謝料の金額事例について、まとめました。
夫のダブル不倫が発覚し、慰謝料150万円を得た事例
ある日、夫の携帯電話の通知を目にして、不審に思い問いただすと、会社の同僚の既婚女性と不倫していることを認めたため弁護士に相談したという事例です。
その後、相手側も弁護士を立ててきたものの、味方の弁護士によって何度も交渉を重ねてもらった結果、不倫相手が150万円の慰謝料を支払う形で合意にいたっています。
このように、ダブル不倫などの利害関係が複雑な状況では、弁護士に依頼することで、話を有利に進められる可能性が高まるでしょう。
夫の長年の浮気に呆れ60代で離婚を決意し、慰謝料235万円を得た事例
上述の事例と同様、この事例も夫の携帯電話のメールがきっかけとなって浮気していることが発覚し、結婚してから長きにわたり浮気をし続ける夫に呆れ果て、弁護士に相談して慰謝料を請求したケースです。夫が慰謝料の支払いを拒否していたため、離婚調停を申し立て、10年以上にもわたる夫の浮気は悪質と判断され、235万の慰謝料を得たというものです。
相手に慰謝料を請求しても話し合いに応じてもらえないことが多く、2人で話し合いをしようとしても埒があかないため、弁護士に相談して依頼するケースはとても多くなっています。

まとめ
離婚時の慰謝料には絶対的なものではないものの計算式が存在し、金額を左右する要素や増額させる方法、請求の仕方などがあります。また、相場だけでなく自分と似通っている離婚経験者の実例をチェックしてみれば、いくらになりそうなのかの参考にできます。
これらをひととおり押さえておいて、実際に別れるときに不満が残らないようにしましょう。