ロジハラとは、「ロジックハラスメント」の略で正論を過剰に振りかざし、相手を攻撃し自信を奪ったり、混乱させたりする嫌がらせをいいます。
「議論する」といえば聞こえはいいですが、ロジハラの場合「議論を通して物事の理解を深める」ことを目的にしているのではなく、相手を論破することが目的です。
今回は、妻がロジハラ女である男性の相談事例と弁護士の見解を紹介していきたいと思います。
【ロジハラ女の恐怖!】正論で追い詰める口の強い妻と離婚したい
夫:隆一(りゅういち)34歳
妻:諭子(のりこ)37歳
妻の諭子は、とにかく気が強いです。
私達は職場結婚なのですが、論子は社内でも「強い女」、「怖い女」と評判でした。
確かに気が強く、理論武装しているところもありましたが、付き合っている中で彼女の不器用な優しさやかわいらしさも知っていたので特段気になっていませんでした。
私自身は他人に対して強く出られないところもあり、「自分の意見が正しい」と思っても、なかなかはっきり伝えられない性格なので、論子のはっきりしたところはむしろ好ましく思っていました。
結婚して一緒に暮らさず、適度に距離を保っていれば、今もきっと良好な恋人関係であったのかなと思います。
夫婦の食生活の違いでわかった妻のロジハラ気質
諭子は頭の回転が速く、合理性を重んじる性格です。
どのような場面でも、合理的な選択をすることを望んでいます。
そんな諭子との結婚生活は、無駄を省いた生活というのか、うまくいえないのですがちょっと息苦しいです。
細かくて小さい男かもしれませんが、まずきついのが食材に関することです。
私は料理が好きで、特に和食が好きです。
和食の肝となるのが、だしだと思うので料理の種類によってかつおだしや煮干しだし、昆布だしなど使い分けています。
だしをとるのは一見簡単に思うかもしれませんが、若干手間がかかることもあります。煮干しや昆布を使う場合は、前日に水につけておいて火にかけたり、かつおだしはあらかじめ削っているものではなく、「荒節(あらぶし)」というものを購入し、利用するときに削って使います。
実家でも一人暮らしでもだしについてはこだわりを持っていたので、当然結婚しても同じように取るのが当たり前だと思っていました。
諭子にだしの取り方を押し付けたわけではなく、単に自分が料理の過程や食べることが好きなのでそうしていただけです。
諭子としては、だしを取るのに手間をかけるのが非合理的だと感じたようで、「顆粒だしでも成分は入っているの一緒でしょ?わざわざ手間暇かける意味ある?それに火を長時間使うとガス代かかるでしょ?もう少し効率的に食事作れないの?」といいました。
香りがよくなるし、味わい深くなるし、だしを取る工程が好きだからと伝えたのですが、納得してくれず「時間の無駄」と言い切られました。
だしだけではなく、食材に関してもプチぜいたくで、少し高めなソーセージやベーコン、肉を買うと、「贅沢したいならレストランに行けばいいじゃん。わざわざ高い食材買ったってプロにはかなわないんだし」といってきます。
確かに私の料理の腕とプロの料理人の腕は比べるものではありません。
私が「高めの食材を購入するのは毎回ではないし、ちょっとの贅沢なご飯を一緒に共有したかった」というと、「それならデパ地下のお惣菜とか購入すれば良くない?平日にわざわざ時間を無駄にしてまで料理することはない。そんな時間があるなら身体の休息に充てるべき」と言い返されました。
諭子の気持ちは理解できますが、私がいっていることはそういうことじゃありません。
何度か反論しましたが、「隆一は感情で文句をいっているだけで、論理的じゃない」といわれてしまい、ぐうの音も出ませんでした。
妻の方が正しいと思いつつも素直にうなずけませんでした。
愚痴をいってもロジハラの妻から正論で返される
諭子との生活に息苦しさを感じるのは食生活に限りません。
彼女の前で愚痴をいっても、「感情の問題でしょ?」と論破されてしまい、精神的に疲れるようになりました。
例えば、「クライアントの無茶な納期をお願いされて調整が大変だったので疲れた」と愚痴ると、「仕事なんだし、先方と社内の調整を担うのがあなたでしょ」といわれます。
いや、仕事であることも、調整役であることもわかっています。
実際に方々まわって、お願いして謝って、なんとか調整して愚痴っているんです。
「当たり前」といわれるんじゃなくて、一言「お疲れ」といってほしかったんです。
諭子に自分の気持ちを伝えると、「それなら頑張ったから誉めてといえばいいだけじゃん。わざわざ遠回しに愚痴る必要ある?」といわれました。
また、「同僚や部下との関係性を維持するために、色々神経を使うなあ。難しいね」と社内の人間関係について弱音を吐いたところ、「他人のために骨を折る必要ある?仲良しこよしじゃないんだし、ビジネスライクに最低限付き合えばよくない?」と返されてしまいます。
「仕事を円滑に進めるには人間関係というか部内での信頼関係って重要でしょ。だから苦心しているんだ」と話しても、「仕事上に感情を挟む必要ある?個々がきちんと役割を果たせば問題なんてないでしょ」と。
仕事と私情をきちんと分けられる諭子のようなひとばかりならいいですが、仕事といえど一日の多くの時間を過ごしているわけで、割り切ろうとしても割り切れないこともあります。
割り切れない部分をプライベートで話しているのに、諭子といるとまるで上司に叱られたような気分になります。
愚痴っても悩みを伝えても、「あなたの仕事でしょ?」とか「悩む理由が分からない」などいわれてしまって、諭子と会話することに疲れてしまいました。
諭子は何をいっても、「私何か間違ってることいってる?」という態度で、私の意見や気持ちを聞き入れてくれません。
諭子がいうことは合理的に考えて正論なんだと思います。
でも何気ない会話ですら正論で返されるのは息苦しいというか、苦しいです。
最近では、自宅に帰ることが苦痛すぎて定時であがっても途中駅で降りてできるだけ帰宅時間を遅らせたり、休日は諭子と過ごす時間が少なくなるよう、散歩に数時間費やしたり、洗車を毎週念入りにしたりしています。
諭子は、私の最近の行動がおかしなことに気付いているようで、「浮気でもしてるの?」と冗談交じりに聞いてきます。
浮気なんかしてません。
ただただ諭子と一緒にいるのが苦痛なだけです。
正直なところ精神的に限界ですし、諭子の顔をみると胃が痛くなったりするので、離婚したいと考えています。
情けないですが、離婚はできるのでしょうか?
できるだけ早く離婚したいと思っていますが、離婚を切り出したところでやりこめられてしまう気がします。
どうすればいいでしょうか。
【体験談】モラハラで離婚のはずが、私の離婚失敗談【弁護士の見解】ロジハラは法律上の離婚事由として認められるのか
今回の相談者である隆一さんは、妻の諭子さんの正論を突き詰める行為に限界を感じ、離婚を考えていらっしゃいます。
正論で突き付けて相手を追い詰めることをロジハラといいますが、ロジハラは法律上の離婚事由になりえるのでしょうか。
今回、諭子さんは隆一さんに対して、「自分の考えが正しい」と主張し、隆一さんも「諭子さんの考えは論理的にみれば正しい」と感じています。
しかし、実際のところ何を正しいと思うかどうかは、個人の価値観によって違います。
そのため、諭子さんが思う正しさを隆一さんに押し付けるような行為は、夫婦関係を破綻させる行為として、法律上の離婚事由になる可能性があります。
ただしロジハラを法律上の離婚事由とするには、「諭子さんのロジハラによって夫婦関係が破綻した」という証拠が必要であり、言葉によるハラスメントなので収集が非常に困難です。
ロジハラを立証するものとしては、「ロジハラの一部始終を収めた動画・音声データ」、「ロジハラの詳細を記載した日記」などが考えられますが、状況によっては夫婦げんかの延長にすぎないと判断されることもあります。
そのため、証拠という証拠がない場合には、性格の不一致を理由として離婚の成立を目指した方が良いでしょう。
隆一さんの場合、諭子さんと顔を合わせると不調をきたしている状態であることや、諭子さんの性格を考えると当事者だけで離婚の話し合いを進めるのはおすすめできません。
そのため離婚の交渉は弁護士に依頼した方が良いと思います。
弁護士に相談した場合、隆一さんの話を詳しく聞き、離婚が成立するまでの目途を説明してくれます。
また、離婚するにあたっての注意事項や別居するなど、隆一さんの状況にあったアドバイスを受けることができます。
更に、隆一さんの場合、協議で条件などについて話し合い、離婚成立を目指すことになりますが、必ずしも話し合いの場に隆一さんが同席しなければならないわけではありません。
弁護士に依頼した場合、離婚交渉はもちろん、離婚に関する連絡などをすべて弁護士に一任することができます。
隆一さんは、現在精神的に疲弊しきっている状況かと思いますので、自力で解決するのではなく、弁護士に相談するという手段があることも覚えておいてください。
【離婚の法律用語】離婚に関するモラハラ知識について知ろうまとめ
今回は妻がロジハラ女だった男性の相談事例と弁護士の見解を紹介しました。
「正しさ」というのは、育ってきた環境や、出身国、宗教などの要因によって大きく異なります。
今回の相談事例の諭子さんのように、「自分が正しい」と思いこみ、自分の正しさを盾にして夫や妻を無理やり納得させる行為はロジハラになります。
ロジハラを受けている方は、相手の考えが全面的に正しいと感じてしまうかもしれません。
しかし実際は単に相手が自分の考えを押し付けているだけにすぎないこともあります。
離婚したいけれど自力ではどうしようもないと感じたときには弁護士への相談も視野に入れてみてください。
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