離婚協議中に恋愛は許される?どこまで許されるのかを徹底解説!

夫と別れたいと話し合っているけれど、全然らちが明かない。
話が思うように進まないと、ストレスが溜まり、誰かに支えられたいと考えてしまうことも。
そんな時に、友人との飲み会で出会った『彼』。

親身になってくれる彼を好きになっちゃったけれど、ちょっと待って。
離婚前に彼氏って作ったら浮気じゃない…?

お互いに気持ちがないならいいんじゃない?~離婚届を出す前の恋愛(同居編)~

離婚を切り出すのって勇気がいりますよね。
お互い納得のうえで、すんなりことを運ぶことが出来れば、「次に進もう!」と恋愛することが出来ます。
けれど、実際の多くの夫婦は、なかなか気持ちに切りが付けられなかったり、条件が合わなかったりして、離婚までに1年ほどの期間を要するそうです。

「離婚」は基本的にネガティブな出来事ですから、通常よりもネガティブになってしまう時間の割合の方が高くなります。
夫婦仲がうまくいっている場合は、妻が辛いと感じていたならば、夫が支えてくれると思います。
しかし、支えてほしくても離婚の話し合いの最中に、相手方に甘えたり、弱音なんて吐けませんよね。
そうなったときに、自分を肯定してくれる男性が現れたら、「恋」しても無理はありません

離婚の話し合い中でも恋愛はできる!?

法律で決められている離婚できる理由を、法定離婚事由と言い、下記の5つになります。

①不貞行為
②悪意の遺棄
③3年以上生死不明
④配偶者が重度の精神病で、回復が見込めない
⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由

「恋」と言うと、①や⑤に当てはまりそうなものですが、実際はどれにも当てはまりません。
極端な言い方になってしまいますが、配偶者以外に恋をしても問題がないことがほとんどです。
妻が他の男性が好きなようだから離婚したい」といっても、その女性が恋にかまけて、夫婦関係をないがしろにしない限り法定離婚事由にあてはまるのは難しいでしょう。

ただし、相手方の男性と恋愛関係になったときは、注意が必要です。

付き合うのはOK、セックスはNG

離婚の話し合い中に、彼氏が出来た場合、セックスは絶対にしないようにしましょう。
また、たとえ行為がなくとも、以下のような行動をすると「不貞行為」にあたる可能性があります。

ラブホテルに行く
相手の家に行き、長時間ふたりで過ごす
前戯、オーラルセックスなど性行為と類似したこと

上記は、たとえ実際にセックスをしていなくとも、不貞行為に当たる可能性が高いです。
反対に、キスやハグ、手をつなぐなどの行為は基本的に不貞行為として認められません
といっても、これらの行為によって、気持ちが盛り上がり、つい行為におよんでしまうことがあるので、離婚するまでは我慢しておいた方が良いとは思います。

【有責行為とは?】法律上の離婚事由になる有責行為について考えよう

夫とは離婚前提で別居中…~これって不倫じゃないよね?~

前章では、夫と同居時の異性との恋愛についてお話しました。
今回は、すでに夫と離婚前提で別居しているケースについて考えていきましょう。

別居なら彼氏作っても問題ない!?

同居、別居かかわらず、夫以外に彼氏を作ったとしても「即有責配偶者認定!」になるわけではありません
彼氏を作ることよりも、彼氏と何をするかが重要です。

不倫と言う言葉は、法律用語になく、代わりに前章で紹介した「不貞行為」という言葉で表現されます。
彼氏と肉体関係がない、もしくはそれを疑われるような行動が無ければ、そこまで問題ないかもしれません。
なお、別居の場合、「付き合うのはOK、セックスはNG」で紹介したほかにも以下のような行為が、不貞行為を疑われる恐れがあります。

自分の家で彼氏と同棲する
別居先が彼氏の家

上記は、発覚すれば不貞行為に当たる可能性が高いので注意しましょう。

別居すれば、不倫してもOKは、都市伝説?

「別居をすれば不倫しても大丈夫」という言葉を耳にしたことはありませんか?
確かに基本的に別居は夫婦関係の破綻とみなされ、破綻後に不倫をしても不法行為にはあたらず、慰謝料を請求されません
とはいえ、夫婦の一方が単身赴任したり、里帰り出産のために、別居したりすることは夫婦なら誰しもあり得そうなシチュエーションです。
このようなケースの別居では、「夫婦関係の破綻」とは言えないですよね。
では、どういった状況であれば、「別居」が「夫婦関係の破綻」と認められるのでしょうか。

夫婦関係の破綻が認められる可能性のある別居とは…?

①離婚前提の別居である
②夫の暴力などDVで別居している
③別居期間が長期にわたっている

上記のようなシチュエーションですと、夫婦関係が破綻されていると判断される可能性が高いです。

①、②、③、どのケースも注意点や特徴がありますので、詳しく解説していきたいと思います。

①離婚前提の別居である
離婚前提の別居である場合には、夫婦関係の破綻とみなされるケースが多いです。
したがって、別居後に不倫に発展したとしても、「離婚前提の別居」であることを両者が認めれば慰謝料などの損害賠償請求を支払う必要はありません
ただし、話合いをおこなわずに、片方が一方的に出ていったときには、婚姻費用が認められないことがあります。また、別の法定離婚事由である「悪意の遺棄」に該当する可能性があるので注意が必要です。
また、別居時は離婚前提に同意していたとしても、別居中に不倫が発覚した際、意見をひるがえしてくることも少なくありません。
そういった状況を鑑みて、事前に別居の合意書を残しておくと良いでしょう。

②夫の暴力などDVで別居している
DVや子どもの虐待で、別居に踏み切った場合には、その時点で夫婦関係が破綻しているとされる場合がほとんどです。
したがって、別居後に不倫に発展したとしても、不法行為として認められないかと思います。
また、DVや虐待などの事情があったときには、何も言わずに別居したとしても、悪意の遺棄にはあたりません
よって有責配偶者にはあたらないため、婚姻費用を請求することが可能です。

③別居期間が長期にわたっている
離婚前提の別居でなくても、長期間にわたると夫婦関係が破綻しているとされます。
夫婦関係の破綻」は夫婦の年齢、婚姻期間、事情などさまざまな観点から総合的に判断されますが、5年以上の別居はそれ以下に比べ、可能性が高くなると思います。
なお、長期間の別居によって夫以外のパートナーをつくった場合、不法行為に該当する確率は低いです。
ただし、新しいパートナーと同居すると、相手方にも婚姻費用を支払う義務がなくなります

以上が夫婦関係の破綻が認められる可能性があるシチュエーションの解説でした。

【相談事例】夫との別居中に恋人ができた|慰謝料を支払わなければならないのか?

泥沼の離婚調停~夫と彼氏は別物~

これまで離婚に向けて話し合いの最中に、彼氏をつくっても(不倫)いいのかを考えてきました。
夫婦の話し合いには、離婚協議と離婚調停のふたつがあります。
前者は基本的に夫婦ふたりで解決を目指しますが、後者は家庭裁判所に申し立てをおこなって、調停委員とともに解決策を考えていきます。
前章までは、基本的に離婚協議中だったケースについて解説していきました。
今回は、離婚調停中に、新しい彼氏を作った場合、不貞行為として認められるのかについて掘り下げていきましょう。

離婚調停中に彼氏が出来た場合、有責配偶者にはならない?

離婚調停は、離婚協議で双方の主張が折り合わないときに利用する手段です。
日本の離婚のおよそ9割は協議離婚なので、夫婦の話し合いをすっとばしていきなり離婚調停になるケースは少ないと思います。

したがって、離婚調停をおこなっている時点で、夫婦関係が破綻していることが多いため、調停中に彼氏を作ったとしても、慰謝料などの損害賠償請求が認められる可能性は、高くないです。
とはいえ、以下のようなデメリットもあります。

離婚調停の争点が増える危険性がある
調停委員や裁判官に与える心象が悪くなる

離婚調停の争点が増える危険性がある
離婚調停中に彼氏の存在が相手方に伝わってしまうと、「夫婦関係が破綻する前に不倫した」と誤解されることがあります。
夫婦関係の破綻後だと証明できない場合、当然不貞行為にあたりますので、慰謝料などの損害賠償を請求される危険性があります。

調停委員や裁判官に与える心証が悪くなる
当たり前のことですが、調停委員や裁判官も人間です。
離婚調停中に配偶者以外の男性と付き合っていることが、発覚すると、多くの場合心証が悪くなります。
調停委員をうまく味方につけられれば、調停も有利に進む」と言われるほど、調停において大きな役割を果たします。
したがって、調停での自身の主張がうまく通らなくなり、調停が長期化する可能性があるのです。

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体験談

これまで、離婚の話し合いの最中に、彼氏を作っても良いのかをいろんな観点で考えていきました。
今回は、夫の行動が原因で調停を起こした、女性の失敗談についてお話していきたいと思います。

準備は大事で、調停はむずかしい~彼氏をつくったら、不利な立場に…~

妻:カヤ(36)職業:看護師 年収:500万円
夫:シュウジ (36)職業:市役所職員 年収:650万円

夫のシュウジとは、元々結婚を考えていた彼氏とうまくいかず、悩んでいるときに相談に乗ってくれたことがきっかけで、付き合うことになりました。
もともとお互い結婚願望が強かったことから、1年ほど交際し、結婚しました。
シュウジは披露宴や新婚旅行先など、私の思い通りに決めさせてくれ、優しい人だなと感じていました。

しかし、結婚して2か月経ったあたりからでしょうか。容姿についてからかわれるようになりました。
はじめは、適当にあしらっていたのですが、次第にエスカレートしていき、「死ね」や「ブス」、「デブ」など日常的に言われるようになりました。
また、「子どもが欲しい」と希望しても、拒否され、生活費も渡してくれなくなりました

毎日毎日暴言を言われ、疲れ切っていた私は、彼に離婚を切り出しました
しかし、彼は離婚を受け入れてくれず、結局離婚調停を申し立てて、話し合うことになりました。

調停を申立てした時点で、離婚前提の別居を開始しました。
はじめは、こんなことになるなら金輪際恋愛はしたくないと考えていましたが、気晴らしにといって友人が誘ってくれた合コンである男性を好きになってしまいました
彼が親身になって私の話し合いを聞いてくれるので、相談を繰り返すうち、ついそういう雰囲気になり最後までしてしまいました
その日から、頻繁に彼の家に行くようになり、「今日はやらない」と思いつつも、最終的に流されてしまいます。
その後、「私に彼氏がいる」ということがシュウジに知られてしまい、調停の場でも追及されました
私が、「彼氏がいるのは事実だが、調停中に出来たのであって、その前は付き合っていない」と主張しましたが、調停委員からの心証は悪くなってしまいました。

結局、私の準備も甘く、彼から受けたモラルハラスメントや生活費についてうまく説明ができず、離婚は成立しましたが、婚姻費用の請求や慰謝料は貰うことが出来ませんでした。
また、付き合っていた男性とも、離婚が成立した後から、今まで目につかなかった欠点が見えるようになり、うまくいっていません。
今後は、同じ轍を踏まないように、考えてから行動していきたいと思います。

まとめ

Selective focus of sad young woman sitting alone on her bed, heartbroken and sulking.

今回は離婚の話し合い中に、彼氏を作っても良いのかについて考えていきました。
離婚協議であれ、離婚調停であれ、心が疲れて、精神的な支えが欲しいと感じるのは仕方ないかもしれません。
そんなときに、魅力的な男性が現れたら、恋してしまうのも心情的にはわかる気がします。
しかし、離婚が成立する前に一線を超えると、たくさんのリスクが発生します。
付き合う前に、男性と状況を話し合って、「不貞行為」を疑わられる行動を避けることが大切です。
話し合ったうえで、こちらの意向を無視し関係を持とうとする男性ならば、後々うまくいかない可能性の方が高いです。
したがって、辛いとは思いますが、いったん冷静になって今後のことを考えていけると良いと思います。

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