【源氏物語でシミュレーション!】源氏の君が現代の日本で離婚したら慰謝料は誰に支払う必要があるの?

源氏物語とは、平安時代の女流作家である紫式部が書いた長編小説で世界最古のものといわれています。

小説の主人公は天皇の息子として生まれた源氏の君という男性の一代記となっています。

中学校や高校の古典文学でよく取り上げられる小説なので多くの方が知っているでしょう。

今回は源氏の君が現代で離婚したら慰謝料がどうなるのかシミュレーションしていきたいと思います。

源氏の君の性格や年収は?女性遍歴を確認しよう

源氏の君と慰謝料についてお話しする前に性格や現代で想定される年収、また簡単な女性遍歴について考えていきましょう。

源氏の君は根は真面目?女癖は悪いが情が深い

源氏の君というと女性にモテて、女癖が悪い遊び人のイメージを持つ方も少なくないかもしれません。

実際に数々の女性遍歴を重ねているのでそう考えるのも無理はないと思います。

が実際の性格は、意外と真面目でマメなところがあり、勉強家で仕事熱心です。

また、「女癖が悪い」というと、飽きたらすぐに捨てると考える方もいらっしゃるかもしれません。

しかし男女間の愛がなくなったり、実際は愛情が芽生えなかったとしても一度関係を持った女性が貧困にあえいでいたり、身寄りがなく困っていたりしていたときには生活の援助をしていました。

また、女性の子どもに関しても成人して結婚するまでの後見人になるなどさまざま世話を焼く情が深い側面があります。

その一方で、嫉妬深かったり、教養がないひとを蔑んだり、プライドが高いといった欠点を持っています。

源氏の君は年収数億!?現代ならかなりのお金持ち!

源氏の君の職業は現代でいう政治家と地主のような立ち位置でした。

平安時代はまだ貨幣経済ではなく、現物支給でしたので正確な数字を算出するのは難しいですが、一説によると年収数億円はくだらなかったともいわれています

また政治家としての給与のほかに、荘園という不動産も複数所有していました。

荘園から得た収入には非課税のためかなりの資産になったといわれています。

更にいえば、現在の京都市の下京区の京極町のあたり一帯に約17472坪(※1)の六条院と呼ばれる大豪邸を持っていました。

こちらの土地を現在の不動産価値に換算するとざっと見積もっても100億円以上の価値になりますので、かなりの資産を持っていたと考えられます(※2)。

 

※1源氏物語『乙女』「六条京極わたりに、中宮の御古き宮ほとりを、四町をこめて造らせたまふ」より4町の表記のみを参考に計算しており、モデルとなった源融の造営した「河原院」は考慮していない。1町は現代基準ではなく平安京の基準「1辺120メートル」で計算し、1町4368坪と算出した。なお現在の1町は3000坪で、豊臣秀吉が行った太閤検地によって整備された基準で計算されている。

※2国土交通省の令和5年度の大阪圏の「市区の住宅地の平均価格等」の下京区の数値を参考。

源氏の君の女遍歴は?

源氏の君は、作中でさまざまな女性と浮名を流しました。

直接的に肉体関係を持ったとされる女性は12人でうち正妻は初めての妻である葵の上という女性と女三宮(おんなさんのみや)という女性です。

平安時代は重婚が認められていましたが、正妻にあたるのは1人です。

源氏の君に正妻は2人いる理由は、初めての妻の葵の上が亡くなったためでした。

今回は正妻を現代でいう妻、その他を不貞行為の相手として考えていきたいと思います

人生で12人の女性と関係を持ったというと、「彼氏彼女、または経験人数が10人以上ならざらにいる」と考える方もいらっしゃるかもしれません。

とはいえ平安時代の場合、まず結婚(※1)するまで女性の顔を見ることができませんし、連絡手段は手紙か、強引に家に行って会うくらいしかありませんでしたので、かなりの数といえると思います。

なお、結婚しないと顔を見ることができないので、当時の人たちは「髪が長いこと」や「手紙の内容にセンスがあって字がきれい」という観点から女性の美しさを想像していました。

そのため結婚後初めて顔をみて、「思っていたのと違う…」となるケース(※②)もあったそうです。

※1…平安時代の場合3日間連続でその女性のもとに通い、その後朝を一緒に過ごすと結婚することになる。正妻の場合多くは現在の政略結婚のようなもので父親など後見人が決めていた。

※2源氏物語の場合末摘花の君という女性がそれにあたる。

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源氏の君に慰謝料を請求できるひとは?実は源氏も慰謝料を請求できる!

源氏の君が今まで関係を持った女性は次の表のとおりです。

■源氏と関係を持った女性

名前 源氏との関係 慰謝料を請求できる人
葵の上 正妻。源氏との間に1人の息子をもうける。出産後、六条の御息所(みやすどころ)の生霊によって殺される。
六条の御息所 源氏に遊びのノウハウを教えたひと。未亡人。 葵の上
空蝉(うつせみ)の君 かなり年上の夫を持っており、源氏の君との関係に積極的ではなかった。 空蝉の君の夫、葵の上
空蝉の君の義理の娘 源氏の君が空蝉の君と勘違いして手を出した女性。実は空蝉の君の策略によって関係を持つことに成る。 葵の上
夕顔(ゆうがお) 源氏の君をナンパした身分の低い女性。源氏の君と会ってるときにもののけに取りつかれ急死する。 葵の上
末摘花(すえつむはな)の君 天皇家の血筋を引いた絶世の美女といわれていたが実際は鼻の頭が赤く、醜い。しかし性格はよいため、源氏の君から金銭的な援助をしてもらっていた。 葵の上
藤壺(ふじつぼ)の宮 源氏の君の実の父親(天皇)の妃であり、義母。源氏の君とのあいだに後の天皇になる息子をもうける。 源氏の君の父親

葵の上

紫の上 源氏の君の初恋である藤壺の宮の姪にあたる。8歳のころ源氏の君が「理想の女性を育てる」という目的で引き取った。葵の上の四十九日が明けたタイミングで源氏の君は当時14歳の紫の上を妻にした。
花散里(はなちるさと) 容姿は優れていないが母性が強い女性として描かれており、源氏と葵の上のあいだに生まれた子どもの母親役となる。男女の関係はあまりなかったといわれている。
朧月夜の君(おぼろづきよのきみ) 源氏の君の腹違いの兄で後に天皇となる朱雀帝の妻。 朱雀帝
明石の御方(あかしのおんかた) 源氏の君が政治に失敗して飛ばされた先で関係を持った女性。源氏の君とのあいだに後に天皇の正妻となる娘をもうける。
女三宮(おんなさんのみや) 腹違いの兄、朱雀帝の3番目の娘。源氏の君の2番目の正妻で25歳差。後に若い男と不貞を働き、男の子を生む。 源氏の君

 

源氏の君の最大の被害者は葵の上と紫の上!

源氏の君の女癖で大きな損害を被った者は、1番初めの正妻葵の上と紫の上が考えられます。

詳しく考えていきましょう。

葵の上が慰謝料請求できる金額はどうなる?

源氏の君と葵の上は9年間夫婦でした。

夫婦仲はかなり冷え切っており、葵の上が源氏の君の息子を妊娠するまで今でいう仮面夫婦の状態が続いていました。

葵の上と夫婦になってから源氏の君が他の女性と関係を結んだのは実に6人です。

そのため、葵の上は現代ならば源氏の君とその間関係を持った女性6人に慰謝料請求をすることができます。

源氏の君の行為は、平安時代であれば天皇の后に手を出した以外、特段問題になることはありませんが、現在の法律に照らし合わせると不貞行為です。

不貞行為の慰謝料の相場は大体100万円から300万円といわれています。

そのため、少なくとも6名の女性合計で600万円から1800万円くらいは請求できる可能性があります。

また、源氏の君は現代で換算すると年収が数億、総資産は数百億円とかなりのお金持ちと想定されます。

そのため夫婦間の話し合いで慰謝料を決めることができれば数千万単位の慰謝料を得られる可能性があります

ただし離婚を目指し、裁判で慰謝料を話し合う場合、夫婦間の話し合いで取り決めた慰謝料よりも低くなると思われますので、できれば慰謝料は夫婦間の協議で取り決めを行う方が良いと思われます。

夫が不貞行為をした場合の慰謝料請求とは?

紫の上は慰謝料を請求できるのか?

源氏物語でメインヒロインともいえる紫の上は、14歳で結婚し、以来彼女が33歳のときに源氏の君が女三宮を正妻にするまでは、実質正妻の立ち位置にいました。

実際、作中でも正妻を表す「北の方」と紫の上が呼称されている描写もあります。

紫の上は、源氏の君が天皇の妻に手を出して、須磨(すま)というところに飛ばされたときも、飛ばされた先で他の女性と子どもを作ったと知らされたときも、源氏の君に尽くし、支えた女性です。

また、源氏の君と他の女性ともうけた子どもを実質母親として育てました。

かなりの壮絶さです。

さまざま苦労したにも関わらず、33歳以降は女三宮に実質正妻の立場をとられてしまい、苦悩を覚え、決して幸せではない人生でした。

およそ19年という長い間、実質正妻の立場にいたのに、慰謝料などの請求権は生じないのでしょうか。

現代の法律の場合、慰謝料を請求できる可能性があります。

というのも、源氏の君と紫の上は事実婚状態とみなされる可能性が高いからです。

事実婚が認められる明確な条件はありませんが、一般的に同居期間が3年以上あると認められる傾向にあります。

事実婚が認められた場合、法律婚と同様に貞操義務が認められます

平安時代の夫婦は通い婚が一般的で、同じ建物に住んでいたとしても部屋は別々といったようなケースが多かったです。

今でいえば、同じマンションにすんでいるけれど、部屋番号が違うといったようなニュアンスです。

実際、紫の上も源氏の君が天皇の妻に手を出して飛ばされた1年間、その9年後に六条院の春の町で同居を開始するまで、二条院という同じ建物で別々に暮らしていました。

二条院に住んでいたことが源氏の君と同居しているとみなされた場合には、源氏の君と朧月夜の君と明石の御方の女性2名に慰謝料を請求できる可能性があります。

一方で、六条院の春の町での同居からが事実婚であるとみなされた場合には、その時点ですでに関係が切れている朧月夜の君に慰謝料を請求できる可能性は低いですが、明石の御方には請求できる可能性が高いです。

とはいえ紫の上のような状況の場合、不貞行為を立証できる証拠集めとともに、事実婚であったとみなされるような証拠も必要になると考えられますので、さまざま準備をしなければならないと思います。

【相談事例】事実婚を解消したいけど慰謝料・養育費は請求できるの?

源氏の君も女三宮と不貞行為の男性に慰謝料を請求できるかも

源氏の君が現代にいたら慰謝料請求をされる側で、請求することはないと考える方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、実は2番目の正妻、女三宮とその不貞相手には慰謝料を請求できる可能性があります。

源氏の君は女三宮を正妻に迎えた後、紫の上が体調を崩したためそちらを優先し、積極的に女三宮が住んでいる場所へ出向きませんでした。

そんなとき、源氏の君の息子の友人である柏木という若者が女三宮に一目ぼれし、勢いで関係を持つことになります。

源氏のいないあいだに不貞行為を繰り返した結果、女三宮は柏木の子どもを妊娠することになります。

そのため源氏の君は女三宮と柏木に対し慰謝料を請求することができると思われます。

とはいえ源氏の君は女三宮の不貞行為を知ると激怒し、不貞相手の柏木に対し嫌味な態度をとった結果、柏木は精神を病み亡くなります。

亡くなった者には慰謝料を請求できないので、請求するならば女三宮にすることになるでしょう。

また、女三宮と正妻にした後、紫の上と肉体関係を持っていた場合には、不貞行為になるので、どちらの不貞行為が先だったのかなど難しい部分もあります

まとめ

今回は源氏物語を現代に当てはめた場合の慰謝料などについて考えていきました。

現代では源氏物語のようなことは考えられないかと思いますが、配偶者以外の異性と複数関係を持っていた場合、関係を持っていた不貞相手それぞれに慰謝料を請求できる可能性があります。

また、状況によっては過去の不貞行為が発覚したときでも慰謝料を請求できる可能性があるので、配偶者の不貞行為で困っている方は弁護士に相談することも考えてみてください。

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