【夫が浮気!】事実婚の場合慰謝料は請求できる?認められている権利を解説!

それぞれの事情があり、婚姻届を出さずに事実婚を選択する方も少なくありません。

2022年に国が行った調査によると、およそ200万人から300万人のひとが事実婚であるといわれています。

今回はそもそも事実婚とは何なのか、また事実婚状態で夫に浮気された場合、法的に認められる権利はあるのかなどについて詳しく解説していきたいと思います。

そもそも事実婚とは?事実婚が認められる条件を確認しよう

事実婚とは、婚姻届は出していないけれど、法定婚と変わらない夫婦生活を送っているカップルのことを指します。

とはいえ法定婚と変わらない夫婦生活といわれてもピンと来ない方も少なくないのではないかと思います。

事実婚が認められるためには一般的に「3年以上同居していること」という条件を満たしている必要があるといわれています。

まず、事実婚状態と認められるには同居していることが必須条件です。

恋人期間が長いカップルが「私たちは事実婚状態だ」といったとしても、同居していなければ法的な事実婚状態とは認められません。

また法的に事実婚状態が認められるためには、同居期間が3年以上であることが条件だといわれています。

ただし、結婚式をしていたり、ふたりのあいだに子どもがおり、一緒に暮らしていたりなどといった事情があれば、同居期間が3年未満であっても法的な事実婚状態として認められる可能性が高いです。

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事実婚の場合法定婚と同じ権利が保障されているのか?

事実婚の場合、法定婚と違って公式な夫婦として認められていないので、保障されている権利に差があります。

具体的な違いをまとめてみましたので、以下の表をご確認ください。

■事実婚と法定婚で保障されている権利の違い

事実婚 法定婚
相続権 ×
親権 〇(※①)
生命保険金の受取人 △(※②)
ペアローン △(※③)
税金の控除 ×

※①事実婚の場合非嫡出子扱いとなりますので親権は基本的に母親が単独で持つことになります。

※②保険会社によって断られたり、事実婚を証明できる書類などを提出しなければならなかったりします。

※③金融機関によって認められなかったり、別途証明書類の提出を求められたりします。

上記の他にも、法定婚のように戸籍に夫婦として記載されていないので、公的な手続きが面倒になったり、カップルのいずれかが入院、手術したときに保証人になれない可能性があったりなど、日常生活を送るうえで不便なこともあります。

事実婚状態の夫が浮気したときに法定婚と同じような権利を主張できるのか

事実婚と法定婚で夫婦が主張できる権利に違いはあります。

ただし、夫が浮気するなどして事実婚を解消する場合、法定婚の離婚と同様の権利を持つことができます。

具体的な権利は次のようなものがあります。

  • 財産分与
  • 慰謝料
  • 養育費
  • 面会交流

それぞれ考えていきましょう。

財産分与

財産分与とは、事実婚の開始時から解消するまでに夫婦で協力して築いた財産を貢献度に応じて分けることをいいます

特別な事情がない限り貢献度は1:1と考えられるため、半分ずつ分け合うことになります。

ただし、財産の中には半分で分けることができないものも含まれるため、夫婦が合意して決めたのであれば、どのような分け方でも問題ありません。

慰謝料

事実婚の場合、法定婚と同じように慰謝料を請求することも可能です。

事実婚を解消する場合に、慰謝料を請求できるシチュエーションとしては次のようなものが考えられます。

  • 夫が配偶者以外と肉体関係のある浮気をした
  • 夫か配偶者に暴力をふるった
  • 夫が配偶者にモラハラした

これらは、法定婚でも法的な離婚事由として認められる行為であるとともに、妻の持っている権利を侵害する行為でもあります。

実婚の場合であっても、「妻以外の異性と肉体関係を持たない」という貞操権を主張することができます

そのため夫が浮気した場合には、妻は夫の言動によって精神的苦痛を受けたことを理由に慰謝料を請求することができます。

暴力やモラハラに関しても、妻の人権を侵害している行為といえるので、こちらも慰謝料はもちろんのこと、場合によって治療費なども請求することができます。

養育費

事実婚を解消するとき、ふたりのあいだに子どもがいる場合には養育費を請求できる可能性があります。

養育費は子どもを養育するためのお金なので、事実婚解消した理由関係なく請求することができます。

ただし、養育費を請求するには事実婚状態の夫が子どもを認知していることが条件です。

法定婚の夫婦の場合、特別な手続きをしなくても自動的に法律上の子どもの父親と母親になります。

一方で、事実婚の場合、母親は手続きをしなくても法律上の母親となりますが、父親は認知の手続きをしないと法律上の父親として認められません。

養育費の支払い義務は法律上の子どもの親が負うものなので、父親に子どもの認知をしてもらう必要がありますのでご注意ください。

面会交流

面会交流とは、事実婚解消によって子どもと離れて暮らす父親が子どもに会ったり、連絡とったりすることをいいます。

事実婚の場合、父親が子どもの認知をしていると面会交流権を持つことができます。

事実婚の解消理由がDVや子どもに虐待するなどである場合、子どもに危険が及ぶ可能性があることを理由に断ることができます。

しかし正当な理由なく拒否した場合、調停を申し立てられたり、損害賠償を請求されたりということがあります。

【相談事例】事実婚を解消したいけど慰謝料・養育費は請求できるの?

夫の浮気で事実婚を解消したいときに注意すべきこと

事実婚であっても夫が浮気し関係を解消したときには法定婚と同様、慰謝料の権利を行使することができます。

しかし、権利を行使するには、夫が浮気した時点で事実婚状態にあったことが前提です。

法定婚の場合、夫婦であることが戸籍に明記されているため夫婦であることに疑いようがありません。

一方で事実婚は、法的に認められている夫婦ではなく、非公式な関係なため公式な文書で夫婦関係を証明できるものが限られています

もし浮気した夫がすんなり事実婚状態であったことを認めれば、特段証明する必要はないのですが、中には「慰謝料を支払いたくない」「財産分与をしたくない」と自身が不利益を被らないように主張してくるひともいます。

したがってこのような場合には、浮気の証拠とともに、事実婚状態であることを証明しなければならなくなるので注意が必要です。

また、法定婚の場合、離婚するにあたり別居することが有効な手段といわれることがあります。

しかし、事実婚の場合、別居に関しては慎重に考える必要があります。

というのも事実婚で別居することはイコール事実婚を解消したとみなされる可能性が高いからです。

事実婚解消の条件がまとまらないうちに別居すると大きな不利益を被る可能性があるので、2人で話し合ってもまとまらない場合には、別居する前に弁護士に相談することなどを検討した方が良いでしょう。

まとめ

今回は事実婚や夫が浮気して事実婚を解消するときなどについて解説していきました。

夫の浮気が発覚した場合、怒りが先立ち、すぐに関係を解消しようと考える方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、事実婚であっても解消するにあたり、法定婚の離婚と同様の権利を行使できる可能性があります。

そのため怒り任せに行動するのではなく、今一度冷静になって事実婚を解消するかどうかを考えましょう。

事情が複雑な場合には、自分の判断で行動するとかえって不利益を被ることがあるので弁護士への相談を考えてみましょう。

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