【月々の養育費が高すぎる!】再婚や収入が下がったことで養育費を払えなくなった場合の対応を解説

養育費は離婚後に子どもと離れて暮らす親が支払うお金のことをいいます。

離婚して離れて暮らしたとしても、法律上自分の子どもであることに変わりはないので養育費を支払うことは親の義務です。

とはいえ、再婚や収入の下がったことなどによって取り決めていた金額を毎月支払うことが難しいこともあるでしょう。

今回は、月々の養育費が高すぎて払えなくなった場合の対応について解説していきたいと思います。

養育費の支払い額はどのように取り決めるの?

子どもがいる夫婦が離婚する場合に必ず取り決めを行うべきものとして、養育費があります。

養育費の支払い額は当事者同士が合意すれば、どのような金額でも取り決めることができます。

理論上「月々100万円の養育費を支払うこと」と約束することも可能です。

とはいえ養育費を支払う親の月収が30万円なのに月々100万円と取り決めても、非現実的なので意味をなしません。

そのため、養育費を取り決める夫婦は、裁判所で公表されている養育費算定表を利用することが多いと思います。

養育費算定表とは夫婦それぞれの収入、子どもの人数、子どもの年代などが考慮された養育費の相場が載っている資料のことをいいます。

養育費算定表は、離婚する夫婦が養育費を取り決めるときの指標になるだけでなく、離婚調停や離婚裁判などの場でも利用されています。

 

離婚時に取り決めた養育費は離婚後に変更することができないのか

養育費の支払いは、基本的に20歳と定められることが多いですが、離婚時の子どもの進路によっては4年制大学の22歳くらいまで支払い続けなければいけない可能性があります。

10年、20年のスパンで支払いを続けなければならないため、その期間中に再婚したり、会社の業績の悪化や転職などによって収入が上下することもあるでしょう。

収入が上がるのであれば、実質の負担額が低くなるので特段トラブルにはなりませんが、問題は収入が下がった場合です。

結論からいうと、再婚して子どもが生まれたり、何かしらの事情で収入が下がってしまったときには、養育費を変更することができます。

ただし、「もともとの取り決めは月5万円だけど、収入が下がったから3万だけ振り込もう」というように、独断で養育費を下げることは、親権者とのトラブルに発展する可能性が高くなります。

従来取り決めた養育費を支払えなくなった場合には、まず子どもと暮らしている親権者に連絡をして事情を話し、養育費の減額に同意してもらう必要があります。

とはいえ、子どもと暮らしている親としても月々の養育費が大切な収入源なので、状況によっては減額を拒否されてしまうこともあります。

養育費の減額を申し出ても拒否された場合には、どのように対応すればいいのでしょうか。

【養育費について考えてみよう】養育費の基本知識

養育費を払えないのに減額を拒否された場合には養育費減額調停を起こすべき

収入などが下がって養育費を払えず、勝手に取り決め額よりも低い金額で支払いを行った場合、状況によっては相手から給料差し押さえなどの強制執行をされる可能性があります。

給料差し押さえをされると、会社の一部のひとに「養育費を滞納していた」ということが知られてしまう可能性があります。

養育費の滞納は個人の問題ですが、養育費の滞納と聞いてポジティブな感情を抱くひとはほぼいないと思いますので、会社の規模や役職によっては、周囲に知られた際に結果的に肩身の狭い思いをする可能性があります。

そのため、取り決めた養育費を減額したいときには、養育費減額調停の申し立てを検討してみてください。

養育費減額調停の申し立て先や費用

養育費減額調停とは、さまざまな事情があり、本来取り決めた養育費の支払いが難しくなった方が、親権者と話し合うことによって減額を目指す話し合いのことをいいます。

当事者同士の話し合いとの違いは、当事者のあいだに調整役として家庭裁判所が入ることです。

家庭裁判所といっても、具体的にどこに申立てをすればいいのかわからない方もいらっしゃると思いますので、以下をご覧ください。

 

■申し立て先:相手方の住所地を管轄する家庭裁判所

養育費減額調停は、基本的に相手方、つまり親権者の方が住んでいる地域を管轄している家庭裁判所に申し立てる必要があります。

裁判所のホームページから都道府県の地域を選択すれば確認できますので、どこに申し立てればいいのかわからない方は確認しましょう。

 

■申し立ての費用:子ども1人につき1200円と切手代

養育費減額調停を家庭裁判所に申し立てるときの費用は子ども1人あたり1200円と切手代が最低限かかります。

切手代は大体1000円程度です。

ただし裁判所によって金額が異なる場合があるので、事前に確認しておくと良いでしょう。

 

また、申し立てにあたり、子どもの戸籍謄本が必要になります。

戸籍謄本は全国共通で1通あたり450円かかりますので、書類を集めるための費用も掛かります。

更に、養育費減額調停を弁護士に依頼したいと考えている場合、着手金などの報酬を支払う必要があります。

弁護士費用は自由報酬制を採用しているため事務所によってピンキリです。

お金に余裕がない状況かと思いますので、その際には法テラスなどに相談して弁護士を探すのも手段のうちです。

というのも法テラスには「立て替え払い制度」があるため弁護士費用の負担を軽減できるからです。

養育費を減額してもらうには「払えない」ことをキチンと主張する必要がある

養育費減額調停は、申し立てれば自動的に裁判所が味方をしてくれるというわけではありません。

調停は、家庭裁判所の調整役として調停委員という役割のひとが、申立人と相手方の主張を聞き、どちらの言い分により説得力があるのかを判断して、妥協案を提示します。

両者が争うような裁判とは異なりますが、自分の主張に説得性があることを調停委員に理解してもらい、また相手方にも「そんな状況ならば減額も仕方がないか」と合意してもらう必要があります。

自分の主張に説得性を持たせるには、単に「お金がない」、「養育費なんて払えない」というだけでなく、取り決めた養育費を払えないだけの状況であることをキチンと証拠を持って説明する必要があります。

例えば転職や、休職、会社の業績が悪くなったなどの理由で養育費の減額を求めるときには、実際に収入が減った給与明細などの証明書が必要になります。

また、離婚後再婚した場合については、再婚したという事実だけでは養育費の減額が認められない傾向にあります。

再婚を理由として減額が認められるには、再婚相手とのあいだに子どもができたことや、再婚相手が働けない状況で自分が養っているということを証明する必要があります。

養育費の減額を望む場合にやらない方が良いことは、調停委員などに対して証拠書類を提出せず、感情に訴えることです。

感情的になって主張することは決して悪いことではないですが、証拠もないのにただ訴えかけたとしても、調停委員からあなたへの心証が良くなるわけではありません。

むしろ、悪くなる可能性もあります。

そのため、養育費減額調停を行うのであれば、調停前にしっかりと事前準備をして臨む必要があります。

【養育費について考えよう】養育費の支払いは絶対?法的な拘束力はあるの?

まとめ

今回は、養育費が払えない場合の対応方法について解説していきました。

養育費は10年、20年単位で払い続ける可能性のあるお金です。

そのため、初めに養育費を取り決めたときの状況と大きく異なり、従来の金額を払えなくなってしまうこともあるでしょう。

そんなときに親権者の了承を得ず、勝手に減額した金額を払ったり、未払いになったりすると後々トラブルになるケースも少なくありません。

トラブルに発展しないためにも、養育費を減額したいと望む場合には一度弁護士へ相談することをお勧めします。

 

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