【親権をどうしても諦められない!】離婚後に親権の変更できるのか?対応方法について解説

離婚する夫婦に子どもがいる場合、お互い「子どもと暮らしたい」という思いから親権をめぐり争いになることがあります。

争った結果、親権を取得できず、離婚後やむを得ず子どもと離れて暮らすこともあるでしょう。

今回は、離婚後に親権者の変更するための条件や対応方法について解説していきたいと思います。

離婚後親権を得るにはどのような条件をクリアする必要があるのか

離婚時に親権が取得できなかったけれども、諦められずどうにかして親権を取りたいと考える方もいらっしゃると思います。

離婚時の場合、基本的に夫婦の合意があれば特に裁判所での手続きを行わなくても、離婚届に記載すれば親権を得ることができます。

では、離婚後に親権者変更を行いたい場合にも裁判所の手続きを経ず、親権を得ることができるのでしょうか。

結論からいうと、離婚後に親権者の変更を行う場合、元配偶者の合意だけでは親権を取得することはできず、下記のような条件があります。

  • 親権者を変更するだけの理由があること
  • 現親権者の同意を得ること
  • 親権者変更調停や審判によって変更が認められること

詳しく説明していきたいと思います。

親権者を変更するだけの理由があること

離婚後に親権者の変更を行える条件として、変更するだけの理由があることです。

親権を取得するにあたり、最も考慮されるのが子どもの利益です。

子どもの利益というと経済的なイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、要はどちらの親と暮らした方が子どもにとって幸せなのかということです。

離婚後に親権者の変更を主張したとしても、その理由がまったく子どもの生活などを考慮していない場合には、認められない可能性が高いです。

親権者の変更ができる具体的なケースは以下のようなものがあります。

  • 現親権者が子どもを虐待している
  • 現親権者が長期出張などの理由で仕事の環境が変わり育てられなくなった
  • 現親権者が再婚することで環境が変わり養育できなくなった
  • 現親権者が金銭的な事情で子どもを育てられなくなった

これらのような事情の場合には、親権者を変更する相当な事由であるとみなされ、認められる傾向にあります。

現親権者の同意を得ること

離婚後に親権者の変更ができる条件として元配偶者の同意を得ることが挙げられます。

厳密にいうと、同意が無くても最終的に審判によって認められるケースもあります。

ただし、現親権者の同意が無い場合、話し合いが長期間にわたり、最終的に親権者の変更が認められるまでかなりの時間を要する可能性があります。

現親権者側から、親権変更の連絡があり、それに同意した場合にはそれほどトラブルは起きないかもしれませんが、「子どもと暮らしたい」と考え自分から親権者変更を切り出した場合には相手を説得する必要があります。

親権者変更調停や審判によって変更が認められること

離婚が成立してからの親権者変更は、元配偶者との合意だけでなく、裁判所での手続きが必要となります。

基本的には現親権者が住んでいる地域を管轄している家庭裁判所へ親権者変更調停を申し立て話し合いを行います。

親権者変更調停の申し立てを行う前に、現親権者と合意を得ている場合には、話し合いに時間を割く必要が無いので、早々に調停が成立し、親権を得られる可能性が高いです。

一方で、親権者変更について同意が得られていない場合には、男女2人から構成されている調停委員という仲裁役となるひとを交え、話し合いで解決を目指していきます。

調停の話し合いで、当事者の主張に折り合いがつかないときには審判に移行します。

審判では、裁判官が当事者の一切の事情を考慮し変更するかどうか判断します。

 

特別な事情がなくても子どもが15歳以上の場合親権を変更できる可能性がある

親権者の変更は、基本的に現親権者が子どもの養育ができない理由が必要です。

ただし子どもが15歳以上の場合には、特別な事情が無くても、子どもが「親権者でなく、非親権者と一緒に暮らしたい」と望むなら親権を得られる確率が高くなります。

繰り返しになってしまいますが親権は子どもの利益が最大限考慮されます。

そのため、「一緒に暮らしたい」という子どもの意思は親権者を決める判断において非常に重要な要素になるのです。

ただし幼い子どもの場合、親権者を決めるだけに必要な判断能力がないとみなされます。

15歳以下であっても自己判断がある程度できると判断されれば、一定程度考慮されますが、法律上、子どもの意思で親権者変更を申し出られるのは、15歳以上と決まっています。

15歳以上の子どもに「親権者を変更したい」という意思を持ってもらうには、それまでの期間良好な関係を築いていく必要があります。

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共同親権が認められた場合親権者変更に影響はでるのか

2024年4月に共同親権の法案が衆議院を通過しました。

国会で共同親権の法案が通過した場合、改正法の公布から2年以内に施行されることになります。

現在、日本では単独親権なので離婚時に、父母のどちらかが親権者になる必要があります。

共同親権が認められた場合、特に取り決めを行わなくても、離婚後、婚姻時に引き続き両親が親権者になります。

親権を求めていた方にとって、この法律は非常に大きなものといえ、「もう親権者変更の手続きはしなくてもいいのではないか」と考える方もいらっしゃるでしょう。

しかし、実際はさまざまなトラブルが起こるのではないかと予想されます。

まず起こりえるトラブルとして、誰が子どもと一緒に住むのかという問題です。

現在親権者になりたいと強く思っている方は、子どもと一緒に暮らすことを目指していると思います。

しかし日本で共同親権が認められ、親権を取得したとしても子どもと一緒に暮らせるとは限りません。

というのも、離婚時の子どもに関する取り決めは、個々の夫婦の判断に任されており、中には詳細な取り決めをせずに離婚する方も多いからです。

ヨーロッパなど共同親権を採用している国々では、基本的に離婚が裁判所を介さず、協議によって成立することはありません。

裁判を行って、子どもに関する取り決めを細かくします。

例えば次のような取り決めです。

  • 1週間のうち〇日は母親が養育し、〇日は父親が養育する
  • クリスマス休暇のうち、〇週間は母親と、〇週間は父親と過ごす
  • 子どもが通う小学校は、父母の引き渡しの事情を考えて○〇市内の学校にする

上記のように、子どもが父母と暮らすためにさまざまな決まりごとを作られます。

仮に、片方の親の状況が変わり、条件を変更しなければならないときには、再度裁判を行って取り決めをし直す国もあります。

一方で日本の場合、共同親権が認められたとしても、協議離婚の制度がなくなるわけではないので、詳細に取り決めを行わないまま離婚し、結果的に子どもと暮らすのは相手方になるというようなことも起こりえるのではないかと思います。

親権者変更調停という調停の名称こそ変わるかもしれませんが、子どもと一緒に暮らすための調停や、親権者が子どもに害を与えている場合に共同親権から単独親権に切り替えるといったようなときに利用する調停は残り続けると思われます。

もしも共同親権の法律が施行後に離婚を考えている場合には、子どもの居所指定などについて協議の段階で詳細に取り決めをした方が良いでしょう。

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まとめ

今回は離婚後に親権者の変更をしたいときの対応について考えていきました。

離婚後も引き続き子どもと一緒に暮らしたいという方は多くいらっしゃるかと思います。

また共同親権が認められた後の子どもに関する取り決めは、現在よりも多くなるので夫婦だけで話し合いを行うのは難しくなるかもしれません。

自力での解決が難しいと感じた場合には、弁護士への相談を検討してみてください。

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