熟年離婚増加中|熟年離婚で考えておくべき財産分与とは??

熟年離婚とは婚姻期間が長く、中高年になった夫婦が離婚することを指します。

離婚の総数自体は、過去20年の推移をみると、ピーク時である2002年のおよそ29万組から2020年の19.3万組と年々減少傾向にあります。

しかし、熟年離婚自体の割合は増加傾向で、今後更に熟年離婚を考える方が増えていくかもしれません。

今回は熟年離婚を考えたとき場合に準備しておくべきことについて解説していきたいと思います。

 

 

 熟年離婚は老後の生活にも関わる

熟年離婚の明確な定義はありませんが、一般的に50代以上で婚姻期間が20年以上の夫婦が離婚することを指します。

熟年離婚するタイミングとしては、子どもが高校卒業や大学卒業をして、育児の終わった段階が考えられます。

現在17歳~22歳(2000年~2005年生)の子どものいる母親の平均出産年齢は、28.0歳から29.1歳です。

子育てが終わった段階で、熟年離婚を考えた場合、40代後半から50代前半になると考えられます。

子育ての終了とともに離婚すれば、子どもの養育費について心配する必要はなくなります。一方で老後の生活を心配する必要があります。

例えば、年金の問題や医療費の問題が挙げられます。

また、介護施設に入所することになった場合のこと等を考えると入所費用等さまざまな出費が必要になります。

そのため熟年離婚をするのであれば、ある程度今後の生活にかかる費用を考える必要があるのです。

 

熟年離婚の準備は夫婦の共有財産を把握すること

熟年離婚を考えた場合、まず考えるのが夫婦の共有財産についてです。

夫婦の共有財産とは、婚姻期間中に夫婦が協力し合って築いた財産のことを指します。

結婚前の財産・親族の相続で得た財産・親族等から贈与された財産のような特有財産をのぞき、すべての財産が共有財産となります。

財産分与は、基本的に夫婦で半分ずつ分けることになります。

婚姻期間が長い分だけ財産分与の対象となる共有財産が増える傾向にあります。

共有財産が、預貯金のように半分で分けられるようなわかりやすいものであればいいのですが、そうとも限りません。

次に紹介するようなものも共有財産とみなされますので、把握しておくことが大切です。

 

退職金

配偶者の退職金は、共有財産とみなされます。

というのも、退職金は後払いの賃金とみなされるからです。

退職金の計算方法は、受取前の場合次のような計算で算出します。

 

退職金相当額×{婚姻期間(※)÷就業期間}÷2

※婚姻期間が短い場合、退職金が考慮されないこともあります。

 

少しわかりにくいと思いますので、具体例を交えて考えてみましょう。

 

 

【例】夫の離婚時点の退職金相当額が2,400万円で、婚姻期間が25年、就業期間が30年の場合、妻がもらえる退職金の額

2,400万円×25÷30÷2=1,000万円

 

上記の場合、夫の取り分が1,400万円で妻の取り分が1,000万円となります。

なお、退職金の見込み額は今回の例のように離婚時点で換算するものと、将来の受給額から中間利息を控除して計算する方法があります。

また、受給方法も、離婚時に受け取るか、実際に退職金が受給されたときに受け取るか、また将来相手方が受け取る退職金を考慮して財産分与の割合を考える等の方法が挙げられます。

退職金は、婚姻期間が短い場合には考慮されないこともありますが、熟年離婚の場合受け取れる可能性が高いです。

そのため、大体どれくらいの取り分があるのか把握した方が良いでしょう。

 

年金分割

老後の生活を考えるうえで重要となるのが年金です。

意外に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、年金も財産分与の対象となります。

ただし、どんな年金でも対象となるではなく、厚生年金の部分のみが対象です。

少しわかりにくいのでもう少し詳しく解説していきたいと思います。

 

年金種別

年金種別 対象者 納付方法
国民年金(基礎年金)(第1号被保険者) 20歳~59歳までのすべての国民が加入する。

 

第2、3号被保険者にあてはまらないひとは、各自治体の役所に届け出をして自分自身で納付する。
厚生年金保険(第2号被保険者) 会社員や公務員が加入する年金保険。加入した場合、基礎年金よりも支給される年金が高くなる。 給料から差し引かれて、会社が納付する。
第3号被保険者 第2号被保険者の配偶者で年収130万円未満のひとが対象となる。

 

第2号被保険者が納付するため納付する必要はない。

 

厚生年金保険は、会社員や公務員、要件を満たしたパートやアルバイト、派遣社員等の非正規雇用が加入対象となります。

厚生年金保険に加入した場合、上記の表にあるように第2号被保険者になり、納める年金は次のようなイメージです。

 

国民年金保険料+厚生年金保険料

 

国民年金保険料は加入者の収入に関係なく一律でかかります。

そのため離婚する場合、相手が個人事業主等で第1号被保険者のときには、年金分割をすることはありません。

一方で、厚生年金保険料の部分については、標準月額報酬額によって支払う金額が左右されます。

そのため、離婚する夫婦が双方厚生年金に加入していた場合、また配偶者が第2号被保険者で、ご自身が第3号被保険者のときには、年金分割をすることができます。

年金分割は、合意分割と3号分割があります。

 

◆合意分割

夫婦が話し合って、年金分割の割合を決めることを指します。

夫婦のあいだで折り合いがつかないときには、家庭裁判所に調停を申し立てて割合を決めます。

調停でも整わない場合には、審判で割合を決めます。

なお、対象となる夫婦は2007年4月1日以降に離婚、または事実婚を解消した方で、最大で2分の1ずつ分割することができます。

 

◆3号分割

相手方が会社員や公務員で厚生年金に加入している場合には、厚生年金の部分について分割することができます。

分割方法は、合意分割のように夫婦で話し合う必要はなく、「年金分割のための情報通知書」を請求し、お住いの地域を管轄している年金事務所にて手続きを行います。

なお、対象となる夫婦は2008年4月1日以降に離婚した夫婦です。

法律上の夫婦関係の方だけでなく事実婚を解消した方も対象となります。

 

退職金や年金分割の他にも、生命保険金や預貯金、不動産、自動車、ゴルフ会員権等、夫婦でいる期間が長ければ長いほど、夫婦の共有財産は増えます。

熟年離婚を考えた場合、まずは夫婦の共有財産を正確に把握することが大切です。

正確に把握しないで離婚を成立させてしまい、後になって財産分与の対象となる共有財産が見つかった場合、状況によっては分与できないケースもありますのでご注意ください。

 

感情に任せて離婚することはNG

熟年離婚を考える方の中には、「子どもが成長するまでは」と、配偶者に対して長年不満を抱いているにもかかわらず我慢している方も少なくないと思います。

子育てにめどがつき、いざ熟年離婚をしたいと感じた場合、つもりにつもった不満が一気に爆発してしまい、「とにかく離婚したい」という思いが先行することもあるでしょう。

しかし、熟年離婚は老後の資金問題につながる可能性もあるので、取り決めをせずに離婚を成立させるようなことは避けるべきです。

まずは離婚したいという自分の意思を相手に伝え、離婚条件について話し合いをすることを意識しましょう。

具体的な話し合いの内容については、すでに子どもの養育費がかからないと想定した場合、財産分与について話し合うこと、また離婚の同意を得ることがメインになると思います。

特に不満を押し隠して生活をしていた場合、離婚を切り出すと相手にとって寝耳に水で、なかなか同意を得られないこともあります。

そのため、ご自身が離婚を決意した経緯を相手に話して、共通認識を持ってもらうことが大切です。

「何が原因で離婚したいのか」という明確な理由がないと相手もなかなか納得してくれないでしょう。

また、離婚の原因を伝えるときは、感情的になるのではなく、できるだけ冷静に伝えることが大切です。

話すことがまとまらないときには、あらかじめ自分が離婚したい原因と、希望する離婚条件をパソコンやスマホでまとめ、それを印刷して相手に渡したうえで話し合いすることも良いと思います。

更にいえば、希望する離婚条件のうち、相手方が不満に持ちそうな事項については、「○○までは妥協できるけれど、○○は譲れない条件だ」というように、ご自身のなかで妥協できる点と絶対条件のラインを決めておくと良いでしょう。

とはいえ、離婚準備をしっかりしていたとしても、離婚が成立するかどうかは相手の意思次第でもあるので、折り合いがつかないときは早めに弁護士に相談し、離婚調停等の手段を検討しましょう。

 

まとめ

今回は熟年離婚の場合に発生する可能性の高い退職金や年金分割といった財産分与について詳しく解説していきました。

財産分与の問題は、夫婦でいる時間が長いほど、分けるべきものが増えます。

熟年離婚をする場合には、離婚後の生活、特に老後の資金にも関わる問題なので、夫婦間で話し合いが難しいと思った時には、まず弁護士に相談することをお勧めします。

 

 

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