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離婚の手続きは大変なので、戸籍謄本のことまで気がまわらない人は少なくありません。親権を得たものの、子どもが自分と違う戸籍になっていた場合、気分が晴れないと感じることもあるでしょう。
そんな不満を解消するため、男女間の問題を数多く見てきたAnnalieseさんのアドバイスのもと、
- 独身時・結婚時の戸籍謄本に見られる特徴
- 離婚が夫婦の戸籍謄本に与える影響
- 離婚が子どもの戸籍謄本に与える影響
- 戸籍謄本上の筆頭者ではない親権者が子どもと同じ戸籍にする方法
- 離婚に伴う戸籍変更における注意点
についてお伝えします。「戸籍謄本なんて、なじみがなくてわからない……」と感じているあなたのため、簡単に紹介しているのでサラッと読み進めてください。
独身時・結婚時の戸籍謄本に見られる特徴
戸籍謄本は、その人の親や出生地などの身分を証明するための証明書。その記載内容は、結婚や離婚によって変更が生じます。独身時と結婚時によって、戸籍謄本にどんな違いがあるのか見てみましょう。
独身時の戸籍謄本の特徴
独身のときの戸籍謄本にはあなたの親の名前が書かれていて、あなたが未婚の子として明記されています。基本的に、戸籍謄本は親と未婚の子で書かれているもの。そのため名字が同じになっていて、両親との続柄(長男・長女など)や出生日など、あなたの身分に関する情報が記載されています。
結婚後の戸籍謄本の特徴
婚姻届を出すと、夫婦はそれぞれの親の戸籍から抜けることになり、新しい夫婦としての戸籍がつくられます。このように、結婚する際には新しい戸籍をつくらなければならないので、婚姻届を出すときには戸籍謄本を提出する必要があるのです。
また、同じ理由によって戸籍情報がある本籍地の役場に婚姻届を提出する場合、戸籍謄本は不要となるので、あわせて押さえておきましょう。
離婚が夫婦の戸籍謄本に与える影響
離婚をしても戸籍を変える必要がない人もいれば、戸籍を変えなければいけない人もいます。その違いについて、わかりやすくまとめました。
離婚によって戸籍を変更しなければいけないのは戸籍の筆頭者ではない人
離婚によって戸籍に変更が生じる人は、戸籍の筆頭者となっていない場合です。戸籍の筆頭者とは、戸籍の一番はじめに記載されている人のこと。結婚するときに、それまでの姓と同じになっている人が戸籍の筆頭者です。
あなたが戸籍の筆頭者である場合は、離婚によって戸籍に変更が生じることはありません。
戸籍の筆頭者ではない場合の選択肢は2つ
あなたが戸籍の筆頭者ではない場合、結婚前の戸籍に戻る方法と、新しい戸籍をつくる方法のいずれかから選べます。それぞれの違いについて、まとめました。
結婚前の戸籍に戻る
離婚後に結婚前の戸籍に戻ることは、旧姓に戻ることを意味します。なぜなら、同じ戸籍に入るためには姓を合わさなければならないからです。そのため、以前の戸籍に戻る場合には、結婚していたときの姓を名乗れないことに注意してください。
離婚の際に結婚前の戸籍に戻りたい場合は、離婚届に記載されている、「婚姻前の氏にもどる者の本籍」欄にその旨を書くこととなっています。別途、ほかの手続きが生じることはありません。
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新しい戸籍をつくる
旧姓に戻りたくない場合や、あなたの親の戸籍に戻りたくない場合には、新しい戸籍をつくることができます。このとき、戸籍の筆頭者はあなたであり、その後に名乗る姓についてもあなた自身で決められます。新しい戸籍をつくる際には結婚前の戸籍に戻る方法と同じく離婚届の、「婚姻前の氏にもどる者の本籍」の欄にその旨を書いてください。
このとき、結婚時の姓を名乗る場合には注意が必要です。離婚日から3ヶ月以内に、「離婚の際に称していた氏を称する届」を提出しておかなければ家庭裁判所への手続きが必要となり、手間がかかってしまいます。また、「離婚の際に称していた氏を称する届」を出すまでのあいだは、旧姓に戻ってしまう点にも注意してください。
また、親が亡くなってしまったケースなどにおいて、元の戸籍が消失してしまっている場合にも新しい戸籍をつくる必要があります。元の戸籍に戻りたくても戻れない状況だからです。
離婚が子どもの戸籍謄本に与える影響
親が離婚をしても子どもの戸籍は変わりません。子どもは戸籍の筆頭者に紐づいていて、親権とつながりがあるわけではないからです。
そのため、戸籍謄本上の筆頭者が夫であり、離婚後に妻が親権を得た場合には、妻と子の戸籍は別々になります。この場合、離婚することで妻は夫の戸籍から出ていかなければならないので、親権者であるにもかかわらず子どもと別の戸籍になるのです。
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戸籍謄本上の筆頭者ではない親権者が子どもと同じ戸籍にする方法
あなたが戸籍の筆頭者ではない場合、子どもの戸籍を変更すればあなたと同じ戸籍にできます。どんな手続きが必要なのか、チェックしておきましょう。
戸籍の筆頭者になる
子どもと同じ戸籍にしたいけれど、あなたが戸籍謄本上の筆頭者ではない場合には、まず新しく戸籍をつくる必要があります。ひとつの戸籍に入れるのは2世代までなので、あなたが結婚前の戸籍に戻った状態では、子どもと同じ戸籍にすることはできないのです。
すでに述べたように、新しく戸籍をつくる際には離婚届の、「婚姻前の氏にもどる者の本籍」の欄に記載することで手続きができます。この際、結婚時の氏を名乗る場合の注意点についても、先述と同様です。
家庭裁判所での手続き
親権者と子どもの戸籍が異なる場合、姓を統一しなければなりません。このとき、結婚していたときの姓を親子で名乗っていても、離婚をすると別々の姓とみなされることに注意が必要。あなたも子どもも、「鈴木」と名乗っていても戸籍上は異なる姓と判断され、同じ戸籍に入れることができないのです。
この状況を打開する方法が家庭裁判所への、「子の氏の変更許可」です。これを家庭裁判所に願い出て認めてもらえれば、あなたと子どもの姓を合わせることができます。
役場での手続き
家庭裁判所から許可が出れば審判書を受け取れるので、それを持って役場で手続きをしましょう。役場で入籍届を出す際には、子どもの戸籍謄本とあなたの戸籍謄本が必要です。
これは、それぞれの戸籍情報を確認するためなので、どちらかの本籍地にある役場で手続きをする際には、一方の戸籍謄本だけを持参すれば良いことになっています。たとえば、あなたの本籍地にある役場で手続きをする場合、あなたの戸籍謄本は不要であり、子どもの戸籍謄本のみを用意すれば良いことになります。
離婚に伴う戸籍変更における注意点
相手に新しい住所を知られたくない場合には、離婚届に新住所を書かないように注意してください。とくに離婚届の提出と同時に新しい戸籍をつくるときには、離婚後の住所が本籍地になるので、相手にバレてしまう恐れがあります。
このような事態を避けたければ、
- 新しい住所を記入せずに元の戸籍に戻る
- そのあと、時間差をつけて新しく戸籍を作成する
上述の流れで手続きを踏めば、前のパートナーに新しい住所を知られることはありません。
まとめ
離婚をすると戸籍謄本の内容に変更が生じます。とくに戸籍謄本上の筆頭者でない場合、婚姻中の戸籍から抜けることになるので、あなたの意思で戸籍をつくったり結婚前の戸籍に戻ったりしなければなりません。その際には、これから名乗る姓や子どもの戸籍についても考慮する必要があるので、混乱する人も珍しくありません。
あなただけでなく子どもにとっても良い選択をするために、ここでお伝えした内容を参考にして、円滑に手続きを進めてくださいね。
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