わがままを理由に離婚はできる?性格の不一致が法的な離婚理由になるケース解説

結婚の約束をして夫婦になったとはいえども、相手の性格や価値観などは一緒に生活してみなければわかりません。

離れて暮らしていれば、かわいい欠点や目をつむれる程度の欠点と思うかもしれませんが、一緒に暮らすと案外大きなものだったりします。

今回は配偶者のわがままで離婚したい場合、性格の不一致になるのか、またならないケースについても解説していきたいと思います。

配偶者のわがままは性格の不一致?法的な離婚理由になるの?

一緒に住んでいると、あなたの配偶者の言動が「わがまま」と感じることがあると思います。

とはいえ、あなたが配偶者の「○○の行動はわがままで身勝手だ」と感じたとしても、配偶者の方は、「自分の行動はわがままじゃない」と思っている可能性もあります。

このように「わがまま」に対する認識の違いがある場合、夫婦でお互いが思っていることを伝えてすり合わせできればいいのですが、なかなかうまくいかないこともあります。

認識がすれ違ったまま、あなたが配偶者のわがままと思う行為に我慢ならなくなり、離婚する場合、離婚理由は「性格の不一致」になります。

配偶者のわがままによって離婚するとなった場合、状況によっては性格の不一致が理由であっても法律で定められている離婚理由にあてはまることがあります。

具体的にどのようなケースなのか、また法的な離婚理由であるときとないときでは何か違いがあるのか確認していきたいと思います。

配偶者のわがままが法的な離婚理由になるケースとは?

配偶者のわがままで離婚するとなった場合、離婚理由は性格の不一致になるケースが多いです。

性格の不一致というと、性格の違いによって離婚に至ったという意味なので、夫婦双方の言動に離婚の責任がないと思う方も少なくないでしょう。

しかし、配偶者のわがままを理由に性格の不一致で離婚すると考えた場合でも、配偶者の言動によっては法的な離婚理由になることもあります。

配偶者のわがままが法的な離婚理由になるかどうかの基準として、配偶者のわがままが夫婦関係を破綻させるようなものだったかどうかが挙げられます。

そんなことをいうと、「私たち夫婦はしょっちゅうはでな夫婦喧嘩をしているから関係が破綻してる」という方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、法的に夫婦関係が破綻している状態というのは、「しょっちゅう夫婦喧嘩をしている」という状況よりももっと深刻で、「夫婦関係が壊れ回復の見込みがない状態」、つまり実質夫婦として機能していないという状況を指します。

夫婦関係が破綻する離婚理由として、法律では次のような理由を定めています。

  • 不貞行為(配偶者以外の異性と性的な関係を持つこと。肉体関係のある不倫)
  • 悪意の遺棄(夫婦関係が破綻すると理解しながらあえてその行動をとること)
  • 3年以上生死不明
  • 配偶者が強度の精神病で回復が見込めない場合
  • その他婚姻を継続し難い重大な事由

度の過ぎたわがままは、これらの離婚理由のなかの「悪意の遺棄」や「その他婚姻を継続し難い事由」などにあたると考えられます。

配偶者のわがままが法的な離婚理由になるかどうかの違いは

配偶者のわがままが単なる性格や価値観の違いによるものなのか、それとも法的な離婚理由にあてはまるのかでは大きく違います。

配偶者のわがままが法的な離婚理由に当てはまった場合、あなたは次の2つのことをできる権利を持つことができます。

離婚裁判を起こすことのできる権利

配偶者のわがままが法的な離婚理由に当てはまった場合、最終的に離婚裁判で離婚の有無を決めることができます

ただし、離婚裁判は「夫婦間の話し合いがうまくいかなかったから」といってすぐに起こせるものではありません。

裁判を起こす前には、必ず離婚調停といって家庭裁判所を仲裁役とした当事者間の話し合いを行い、それが不成立になることが条件です。

慰謝料を請求できる権利

配偶者のわがままが法的な離婚理由に当てはまり、またその言動によって精神的苦痛を受けた場合、慰謝料を請求することができます。

法的な離婚理由に当てはまらない場合には、基本的に慰謝料を請求する権利がないので、これは大きな違いといって良いでしょう。

離婚の原因は性格の不一致?弁護士が解説する有責行為の種類と影響

配偶者のわがままを法的な離婚理由にするための条件は?

配偶者のわがままが、単なる性格の不一致だけでなく法的な理由である場合、離婚条件などの交渉をするにあたり、かなり有力なカードになり得ます。

どうせ離婚するなら、交渉を有利に進めたいですし、離婚条件も自分にとって好条件にしたいですよね。

配偶者のわがままを法的な離婚理由にするためには、まず「相手の言動によって夫婦関係が破綻しました」という証拠がとても重要になります。

なぜ証拠が重要なのかといえば、あなたの主張の信用性を裏付けることができるからです。

少しわかりにくいので、下記の例を確認ください。

【例】妻のわがままが法的な離婚理由にするための証拠書類

妻は自分の思う通りにならないと不機嫌になる性格である。

将来のマイホーム用の貯金を勝手に使ったり、彼女の要望を「わがままだよ」といって拒否すると、要望が通るまで暴言を繰り返す。

妻のわがままがストレスで胃に穴が開いてしまった。

妻のわがままは法的な離婚理由にあてはまるので離婚したい。

上記のような場合、内容が事実であっても夫は単に言葉で主張しただけでは、法的な離婚理由とみなされる可能性が低いです。

法的な離婚理由であるとみなされるためには、妻の言動を裏付ける次のような証拠が必要になります。

将来のマイホーム用の貯金を勝手に使ったことがわかる証拠書類とは

夫婦の貯金を自分の欲を満たすことだけを目的として利用することは夫婦関係を破綻させる行為にあたる可能性があります。

無断で利用したことを立証する証拠として次のようなものを準備しておく必要があります。

  • 妻が自分の欲を満たすためにお金を使ったことが分かるようなレシートや領収書
  • 妻がマイホーム貯金の口座から引き出したことがわかる通帳など

なお、マイホーム貯金の口座からお金を引き出したとしても利用用途が家計のための場合には、「自分のためにお金を無断で使った」ということにはなりません。

また無断で利用した金額が大きかったり、頻度が多かったり、妻の浪費によって生活が困窮していたりなどの事情があるとより認められやすくなります。

妻が暴言を吐いた

暴言はモラハラ行為に当たります。

ただし、単にモラハラされたというだけでは主張が認められにくいです。

そのため下記のような証拠があるといいでしょう。

  • 暴言の詳細がわかる日付入りの日記メモ
  • 夫婦喧嘩ではなく日常的に暴言を吐かれていることがわかる動画や録音データなど
  • 暴言によって心身に不調をきたしたことが分かる診断書や通院履歴

モラハラが法的な離婚理由になる条件として、「継続的にモラハラ行為を受けている」ということがわかる証拠が必要になります。

モラハラ行為の証明は非常に難しいです。

例えば今回の場合、夫は妻のわがままによって精神的苦痛を受け、「胃に穴が開いた」といいました。

しかし、胃に穴が開いたことと妻のわがままによるストレスとの関連を主張するには、診断書だけでは判断できない可能性が高いです。

そのため、診断書以外でも日常的なモラハラを受けていたことが客観的にわかるような証拠を準備し、主張に説得性を持たせる必要があります。

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まとめ

今回は配偶者のわがままを理由に性格の不一致で離婚する場合、法的な理由になりえるのかについて解説していきました。

配偶者のわがままが客観的にみて度を超えている場合、性格の不一致が理由だとしても法的な離婚理由になる可能性があります。

しかし一方で、「相手のわがままが度を超えている」ということを証明するのは非常に難しいです。

また、配偶者のわがままを理由に離婚を切り出しても相手が話し合いを拒否して、進まないことも考えられます。

このように自分自身の力ではにっちもさっちもいかないと感じたときには、早めに弁護士に相談することを考えてみましょう。

弁護士に相談、依頼することであなたの状況に合ったアドバイスをもらえたり、自分自身が望むかたちで離婚できる可能性がありますので検討してみてください。

 

 

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