【妻のアイドル】バスケ選手の追っかけしている妻と離婚したい!

推し活とは、アイドルやアニメのキャラクター、スポーツ選手などを応援する活動のことをいいます。

「推しは人生を豊かにする」という言葉通り、自分の好きな人物やキャラクターを推すことで、幸せを感じられたり、生活に張りがでたりと心の健康などを考えても良い効果を得られることが多いです。

しかし、推しが好きすぎるあまりに、追っかけとなり、周囲が見えなくなると推しへの迷惑になったり、家族関係が悪化したりする可能性があります。

今回は、とあるバスケ選手をアイドル視して追っかけとなった女性と離婚を考えている男性の相談事例と見解を紹介していきたいと思います。

妻のアイドルはバスケ選手!追っかけで厄介オタとなった妻と離婚したい

 

主人公:譲治(43)

妻:凛花(42)

息子:宗太(16)

 

私は内科医で現在個人医院を経営しています。

妻の凛花との出会いは、私が研修医として大きな病院で働いていたときです。

凛花は20歳で看護師となり、私の研修先の病院で働いていました。

研修医時代はかなりの激務で精神的にも肉体的にもかなりの負担を抱えていた私の支えになってくれたのが凛花でした。

自分の思いを自覚してすぐに告白、研修期間が終わったタイミングでプロポーズし、受け入れてもらえました。

幸いなことに、結婚後すぐに子宝に恵まれ、凛花が26歳、私が27歳のときに宗太が生まれました。

凛花は育児休暇を1年取り、職場に復帰。

お互い共働きなので、育児に仕事にととても忙しい毎日でした。

その後、私は30歳のときに内科医になりました。

総合病院での勤務は変わらず激務だったため、34歳のときに独立を決意し、36歳で個人医院を開設しました。

独立後嬉しいことに経営も軌道に乗り、途中コロナ禍などで大変なこともありましたが、現在はわりと落ち着いている状態です。

コロナ禍は医療従事者として働く私たちにさまざまな変化をもたらしました。

特に凛花は初期段階からコロナの受け入れ先の病院だったため、身体的にも精神的にも大変でした。

宗太や私も、家庭で凛花がなるべく休めるよう、2人で家事分担をしていました。

家族で協力していたものの、精神的疲労は取れないようで、「彼女の気がまぎれるものがあればな…」と思っていたときのことでした。

ある日、凛花がYouTubeのおすすめに出てきた地元のバスケチームの動画をみて、「選手の中にイケメンがいる!」と報告してきました。

さっそくそのチームのYouTubeチャンネルを見てみると、エンタメ系やらバスケのスキルアップ講習やら過去の試合のダイジェストやらさまざまな動画があがっていました。

残念ながら、新型コロナウイルスの影響で、国内のバスケリーグはシーズン途中で中止になっているようでしたが、自粛期間中のファンのために高頻度でYouTubeやTwitter(現X)、Instagramなどを更新していました。

凛花は、「このチームの動画とか選手の投稿みてるとちょっと元気をもらえる。落ち着いたら試合見に行きたい!」といいました。

バスケなんてお互いやったことも観戦したこともほとんどないけれど、私自身試合のダイジェストを見て「面白いな」と感じたのでぜひ行こうと約束しました。

その後バスケリーグ自体は、次のシーズンから無観客試合や人数制限を設けて再開されましたが、私たちは医療従事者なこともあり、現地観戦は控えていました。

ただアプリで配信されている試合は必ず見ましたし、ネット販売されているユニフォームやメガホンやタオルなどの観戦グッズや、凛花の推しの選手のアクリルキーホルダー、チームのマスコットキャラクターのグッズはかなり買い込んでいました。

新型コロナウイルスのワクチン接種がはじまり、状況が落ち着き始めたころ、私たちはバスケの現地観戦に行くことにしました。

私たちの影響で息子もバスケが好きになり、初回は3人で観戦することになりました。

観戦した感想は、試合もかなりすごかったですが、何よりエンタメに振り切っていて、演出が素晴らしかったです。

凛花はというと、現地観戦に行ったことで、推しの選手がますます好きになり、「極力見に行きたいからファンクラブに入りたい」といいました。

家族で観戦することも増えるだろうし、全然問題ないと思い承諾しました。

こうして私たち家族はホーム戦がある日は、必ずといって良いほどバスケ観戦するようになりました。

バスケを見に行くようになってから家族間での会話が格段に増え、現地観戦だけでなく、自宅で観戦するときも一緒に応援するようになりました。

バスケにハマって家族仲も良くなり、良いことづくめだと思っていたのですが、次第に凛花と息子と私で応援の温度に差があることがわかりました。

息子と私は、バスケをスポーツ観戦として楽しんでおり、選手については「あのひとのプレイかっこいい」とは思うものの、特定の選手に入れ込むことはありませんでした。

一方で凛花は特定の選手をアイドル視しているようでした

試合観戦よりもその選手のプレイやベンチでの動き、SNSで発信されているそのひとの動きなどチェックしていました。

試合に関しても妻にとってのアイドルの選手のプレイタイムがどれくらいだったとか、試合後のファンサービスで選手たちがコート一周するときに、「自分に向って手を振ってくれた」などを気にしていたので純粋にスポーツ観戦として楽しんでいるのではないなと感じました。

個人的にはスポーツをどう楽しむのかはひとそれぞれなので、凛花のような楽しみ方を否定する気はありません。

とはいえ、思春期を迎えた宗太としては、一回り以上年齢が下の選手に対して母親が女の子のように「キャーキャー」いっているのが嫌なようで、凛花だけ別の席で観戦することが多くなりました。

家族での観戦が一緒でなくなったことで、凛花は次第にひとりでホームに観戦するようになったり、アウェイの試合もひとりで行くようになったりしました。

まあ、それもコロナ禍が収束しつつある中で、今まで頑張ってきたご褒美と考えれば大人としては理解できるのですが、アウェイ観戦にいくことになった時期が宗太の高校受験の年と重なったため、試合よりも宗太のサポートに専念ほしいと伝えました。

凛花は「もちろん。わかったよ」と一度は承諾したものの、後になって「やっぱり今回はいかないとだめ」「仕事して自分の給料で諸々払っているんだからいいでしょ」「お金の心配は現状ないんだから私立でも公立でも宗太の好きな高校へ行けばいい」と家庭をなおざりにし始めました。

平日は私が家事、休日は凛花が家事をするという分担も、バスケのシーズン中は、まったくしなくなりました。

また、「推しの追っかけは何より大事」、「高校は義務教育じゃないんだからお金は出すけどそれ以外は宗太がすべて決めればいい」と宗太のいる前で発言しました

いうことに正しい部分もあるけど、実際宗太は受験で悩んでいるんだし、その悩みを聞くのは親として当然のことだと思うんです。

結果としては宗太のフォローは私がして、受験も無事第一志望の高校に合格したので良かったのですが、母と子の関係に大きな溝ができたことは否めません。

宗太は、凛花のことを「バスケ選手をアイドル視して、家族よりも追っかけを優先して、相談もろくに聞かない身勝手な母親」と感じているようでした。

また、凛花も凛花で「私の子育ては終わった。これからは自分のお金を自由に使う」といって選手を追っかけています。

宗太と凛花の仲は悪化し、私を挟まないとロクに会話もしない状態になってしまいました…。

私としてもこんな状態で、「家族でいる意味あるのかな」と疑問を覚えました。

凛花から気持ちが完全に離れてしまったのは、つい先日の宗太との会話でした。

宗太はたまたま凛花のポストを見つけたようで、「母親やばいし、リアコタイプのやっかいな追っかけじゃん。スポーツ選手はアイドルじゃないのに、マジで怖い」と私に報告してきました。

宗太にいわれるまま、Xのアカウントを確認すると、アップしている画像に自宅内で撮られたものがあったので、確かに凛花のアカウントでした。

いろいろのぞいてみると、最新のポストは「○○(選手の名前)が尊い…!」、「私にアイコンタクトしてくれたー!」「ファンミで塩対応。他の子にはファンサ神なのに…。倦怠期の夫婦。」などといった内容でした。

まあ、一部うーんとは思うものの、まだこの辺は許せました。

しかし、遡ってみると推しの選手に恋人がいることが分かった時期に、「信じられない。てか何??この女」「○○(選手の名前)がお前みたいなブスに本気になるわけないだろ」、「顔面偏差値低いくせにSNSで顔見せしてて草」「○○(選手の名前)と別れないなら実力行使も考える」、「この女、男に拉致されて○○されて、苦しんで〇ねばいいのに」と信じられない誹謗中傷のポストをしていました

しかもその内容をその選手の彼女のポストにリプライしていたのです。

選手に対する応援の言葉や、妄想くらいなら誰も傷つけていないので許せます。

ただ、今回の誹謗中傷は度が過ぎており、凛花に対しかなり幻滅して離婚も考えています。

宗太は、「こんな母親は無理なので離婚してほしい。離婚したら絶対父さんと暮らす」といっています。

正直なところ、ここ1年間、家事も育児も私がほとんどしていますし、離婚しても問題ないと思っています。

とはいえ、親権は母親が有利と聞くので心配です。

また、そもそも凛花の言動で離婚を検討しているので、凛花の非によって離婚したことを明確にしたいです。

というのも職場の病院とは、いろいろ関係があり、研修医時代や医学部時代を含め、友人や知り合いが勤めています。

離婚の理由が明らかでないと、逆恨みして嘘の離婚理由を広められたり、私の医院の悪評を広めるんじゃないかということも危惧しています。

好きな選手の恋人に対してあんなポストをしている以上、離婚となった場合私にも何かしそうと思ってしまいます。

どうすればよいでしょうか…。教えてください。

【ホスト沼にハマる】相談事例から解説!ホスト通いは離婚原因になる?

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弁護士の見解

今回の相談者である譲治さんは、バスケ選手の追っかけをしている妻、凛花さんの言動を理由に離婚を検討しています。

また、譲治さんは離婚するとなった場合、次の心配をされています。

  • 凛花さんの言動に非があり離婚したことを明確にしたい
  • 息子の宗太さんの親権を取得できるのか
  • 離婚後に譲治さん自身や医院についての悪評を流されないか

それぞれ考えていきたいと思います。

凛花さんの言動に非があり離婚したことを明確にしたい

譲治さんは、凛花さんの言動に非があり離婚したことを明確にしたいと望んでいます。

夫婦どちらか一方の言動に非があり離婚することが認められるためには、その言動によって夫婦関係が破綻したとみなされる必要があります。

それを踏まえて凛花さんの言動をみてみましょう。

凛花さんの特定のバスケ選手にハマった結果、次のような言動をしています。

 

①1年間推しの選手の追っかけを優先し家事や育児をしない

②推しの選手の恋人に対してSNS上で悪質なリプライをしている

 

①の家事や育児しないことは、状況によって法的な離婚理由になることもあります。

しかし、法的な離婚理由になるケースというのは、「家事や育児をしないことによってその家族の生活が破綻することが予想できるのに、行動するとき」という条件があります。

今回の譲治さんの場合、宗太さんの年齢は16歳です。

育児が必要といっても、精神的なケアなどがメインで、乳幼児や幼児に対する育児とは異なります。

そのため、凛花さんが家事や育児をしないことによって、譲治さんや宗太さんの生活が破綻したとはいえないと思います。

②の凛花さんの推しの選手の恋人に対するSNS上の誹謗中傷についてはどうでしょうか。

SNS上での誹謗中傷は、誹謗中傷を受けた被害者の方の権利を侵害する行為です。

そのため、被害者の方が許容できないと感じたときには慰謝料を請求されたり、悪質な場合には名誉棄損罪や侮辱罪などに問われたりすることもあります。

また凛花さんは、「この女、男に拉致されて○○されて、苦しんで〇ねばいいのに」というような発言もしているので、警察などの捜査機関がこの発言を「脅迫に相当する」といった場合には、脅迫罪に問われることもあります。

名誉棄損や侮辱罪はあくまで被害者の方の申告がなければ捜査されませんが、脅迫罪については被害者の方の申告なしに捜査されるので逮捕、起訴され有罪になったときには前科がつくこともあるのです。

とはいえ、権利を侵害されたのは凛花さんから誹謗中傷を受けた被害者の方であって、譲治さんや宗太さんは直接的な被害は受けていません

そのため、凛花さんが行った誹謗中傷が法的な離婚理由になる可能性はほぼないといえます。

仮に名誉棄損罪や、侮辱罪、脅迫罪で凛花さんが逮捕、起訴され有罪になった場合でも、罪を犯したこと自体がただちに法的な離婚理由になるわけではありません

実刑判決を受けて長期の懲役刑など科され、事実上夫婦関係が破綻しているような状況でないと法的な離婚理由として認められにくいです。

①の家事や育児をしないこと、②の他人へ誹謗中傷することは、法的な離婚理由として認められにくいと思われます。

とはいえ、夫婦の合意があれば離婚協議書に具体的な離婚理由を記載することができますので、離婚の話し合いのときに凛花さんと交渉してみると良いかもしれません。

 

息子の宗太さんの親権を取得できるのか

譲治さんが心配されている点として、息子の宗太さんの親権を取得できるのかがあります。

親権者の取り決めは、基本的に当事者同士の話し合いで合意できれば、自由に取り決めることができます。

話し合っても折り合いがつかない場合には、離婚調停で話し合い、それでも決まらない場合には離婚裁判で決着をつけることになります。

譲治さんの場合、凛花さんとの話し合いで折り合いがつくのであれば何も問題はありません。

凛花さんと話し合いで折り合いがつかなかったときには、凛花さんが居住している住所地を管轄している家庭裁判所に離婚調停を申し立てる必要があります。

離婚調停に進んだ場合、家庭裁判所は家庭裁判所調査官というひとが「子どもにとってどちらの親と暮らした方が幸せか」という観点で調査を行います。

子どもにとっての幸福の指標はさまざまありますが、子どもの年齢が15歳以上の場合、最も考慮されるのは、子どもの意思です。

一般的に女性の方が親権を取りやすいといわれておりますが、子どもの年齢が15歳を超えている場合には、子どもの意思が優先される傾向にあります。

譲治さんの場合、宗太さんが離婚後、譲治さんと暮らすことを望んでいるため、当事者同士の話し合いで折り合いがつかなかったとしても、親権を取得できる可能性が高いと思われます。

離婚後に譲治さん自身や医院についての悪評を流されないか

譲治さんが心配されている点として、凛花さんが離婚後に譲治さんや医院についての悪評を関係者などに流さないかという点です。

凛花さんが事実とは異なる譲治さんの悪評を広めないようにするには、離婚協議書に秘密保持条項を盛り込むこと、また破った場合の罰則を取り決めておくことで、ある程度予防できるのではないかと思います。

秘密保持条項とは、簡単にいうと契約を結ぶ上で知り得た情報や契約の内容を他人に漏らさないこと、また目的外で使わないことを約束する条項をいいます。

離婚協議書は、夫婦の離婚の取り決めが記されている書面なので、契約書の一種です。

離婚協議書の場合、「離婚原因や離婚に関する内容、離婚協議書の内容を口外しない」といったような内容を盛り込むといいと思います。

ただし、秘密保持条項を盛り込んだとしても破った場合のペナルティがないと抑止力として成り立たない可能性があります。

秘密保持条項を離婚協議書に盛り込みたいのであれば、必ず罰則をセットにして取り決めましょう。

罰則は基本、「秘密を洩らすごとに〇万円の罰金」といった内容になります。

ただし、約束を破ったときの罰金を高額に設定した場合、無効となってしまうこともあるので、取り決めを行う際は事前に弁護士へ相談した方が良いでしょう。

まとめ

今回は推し活にハマりこんでしまい、追っかけになった妻と離婚を考えている男性の相談事例と弁護士の見解を紹介していきました。

家族の理解を得ずに追っかけすることや、常識の範囲を超えた推し活は、状況によって法的な離婚理由になるケースもあります。

妻や夫の度を超えた追っかけを理由に離婚したい場合には、状況などによってさまざま異なるので、一度弁護士に相談してみるのも良いかもしれません。

弁護士に相談すると、相談した方に合った離婚までの筋道をアドバイスしてもらえますので検討してみてください。

 

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