離婚時は年金分割に要注意!老後の安心につながる知識をつけよう

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離婚時に年金分割をしておくと、将来の年金額が適正になります。結婚生活におけるあなたの頑張りを無駄にしないためにも、正しい手続き方法を把握しておくことが大事。

離婚時の年金分割で困っている人は、ぜひご覧ください。

離婚時の年金分割制度とは

年金分割制度をうまく活用するためには、基礎知識が大切。わかりやすく解説するので、サラッと把握しましょう。

年金分割制度は夫婦間の年金を平等にするための制度

年金分割制度とは、離婚に際して厚生年金や共済年金の納付実績を分け合う制度のこと(共済年金は平成27年10月に厚生年金と一体化済)熟年になって離婚する夫婦間の年金における不平等を是正するため、年金分割制度がつくられました。

会社員として働いた夫を支えた専業主婦も年金納付に貢献したとみなし、公平にするための制度が年金分割です。年金分割制度は平成16年に開始されました。

年金における納付実績とは、それまでに年金保険料を何カ月納めてきたのかを示す数値のこと。20歳から60歳までの40年間において、毎月欠かさず年金保険料を支払ってきた人は老齢基礎年金を満額受給できます。反対に老齢基礎年金の場合、最低でも10年(120カ月)の納付実績がなければ年金を受給できないので注意が必要です。

年金分割制度の注意点

国民年金や厚生年金基金などは年金分割制度の対象外となります。この点を誤解されている方が多いので要注意。

また年金分割は、「パートナーの年金の半分を受け取れる」といったものではありません。「どれだけ年金を納めたか」を意味する納付実績を分け合う制度であることもおさえておきましょう。

年金制度は離婚に係る年金について分け合うものなので、結婚する前の期間は対象外となることもポイントです。

合意分割制度・3号分割制度とは

年金分割は合意分割制度と3号分割制度の2種類にわけられます。それぞれの制度について、詳しく見ていきましょう。

合意分割制度は夫婦の合意が必要

合意分割制度は夫婦の合意にもとづき、年金納付記録の分割割合を決める制度。分割割合は最大1/2までです。合意分割制度は2007年4月1日以降に離婚した人が対象となります。

夫婦間で合意にいたらなかった場合には、裁判などによって割合を決めることも可能。合意分割制度の手続き方法については、後ほどお伝えします。

3号分割制度はパートナーの合意が不要

3号分割制度は、第3号被保険者としての記録がある場合に配偶者と折半する制度です。2008年4月1日以降の結婚期間のなかで、第3号被保険者であった時期が対象です。

Annalieseさん
第3号被保険者には、専業主婦などが当てはまります。厚生年金に加入している会社員や公務員等(第2号被保険者)の配偶者であり、年収130万円未満の人が第3号被保険者です。

離婚における年金分割の手続き方法

年金分割の手続き方法は大きくわけて2ステップ。このときにもっとも注意が必要なことは請求期限です。

年金分割の請求期限は、離婚をした翌日から起算して2年。2年を過ぎると年金分割を請求できなくなるので注意してください。

それでは、年金分割の手続き方法について、見ていきましょう。

年金分割のための情報通知書を入手する

年金分割をする際には、正確な年金記録が必要。そのため年金事務所から、「年金分割のための情報通知書」を発行してもらいましょう。これは、夫婦のいずれかが年金事務所に請求すれば発行してもらえます。

夫婦で年金分割の割合について話し合う

次は、年金分割の割合についての話し合いです。うまく話し合いがまとまるかどうかで、年金分割手続きの進め方が変わってきますので、それぞれの状況別の流れをご紹介しますね。

夫婦の話し合いで合意にいたった場合

夫婦で話し合いがまとまったら、当事者本人(もしくは代理人)が2人で年金事務所に行き、年金分割の改定請求をしましょう。この方法であれば、コストや時間も抑えることができます。その後、標準報酬改定通知書が発行されます。

話し合いがまとまらなかった場合

夫婦の話し合いで合意にいたらなかった場合、家庭裁判所に調停の申立てをおこないましょう。そうすることで家庭裁判所の調停委員が間に入り、按分割合の協議を進められます。

このとき、離婚が成立しているかどうかは問われません。実際にはまだ離婚をしていなくても、離婚条件を話し合うなかのひとつとして年金分割について話し合うことができます。

もし調停でも年金分割の割合が決まらなかった場合には、審判や離婚裁判において、裁判官が按分割合を決定します。この場合、按分割合は50%になることが多いとされています。

審判とは、家庭裁判所の職権でおこなわれる制度のこと。離婚調停をした結果、もう少しで合意できるといったケースにおこなわれます。ただし審判で出された結果に不服がある場合、夫婦のいずれかが不服申し立てをすることができ、年金分割内容が決まらないままになることもあります。

Annalieseさん
審判には裁判のように強制力がありません。そのため、審判がおこなわれるケースは少なめ。調停で合意にいたらなかった場合には、裁判となる可能性が高いでしょう。

年金分割した年金を受給できる年齢

現在の年金受給開始年齢は、基本的に65歳からです。以前は60歳から受給できましたが、昭和60年に法改正がされたことによって、受給年齢が引き上げられました。

ただし、この引き上げは段階的におこなわれるよう、措置が講じられています。以下の場合には60歳から65歳までの間に、「特別支給の老齢厚生年金」を受け取れるので参考になさってくださいね。

  • 老齢基礎年金の受給資格期間(10年)を満たしている
  • 1年以上、厚生年金保険などへの加入歴がある
  • 男性が請求する場合、昭和36年4月1日以前に生まれたこと
  • 女性が請求する場合、、昭和41年4月1日以前に生まれたこと
Annalieseさん
特別支給の老齢厚生年金は、働いていると支給停止となる可能性があるので注意が必要してくださいね。「具体的に私の場合、いつから年金を受け取れるの?」という方は、年金事務所に問い合わせることをおすすめします。

まとめ

年金分割は専業主婦の人などにも公平に年金を分配する制度。パートナーと協力して、年金保険料の支払いに貢献した方には、年金を受け取る権利があります。この権利を行使できることを知らないと、あとになって損することになるのはあなたです。

働けなくなったときにお金に困るリスクはできる限り抑えておくことが大切。老後の心配を少しでも軽減できるよう、今のうちに年金分割について正しく把握し、適切な金額を受け取れるよう準備しておきましょう。

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