テレビや週刊誌、ネットニュースなどで芸能人の不倫報道を耳にすることがあると思います。
女性の不倫がきっかけとなり離婚に至った場合、不倫したのにも関わらず母親が親権を取得することになることも少なくありません。
「不倫によって夫婦関係が破綻したはずなのに」と理不尽に思う方も少なくないのではないでしょうか。
今回は、不倫と親権について解説していきたいと思います。
- 不倫そのものが親権を取得するにあたり必ずしも不利にならない理由とは?
- 女性が不倫した場合でも親権は母親が取得する割合が高い
- 不倫した妻に親権を渡したくない!親権取得を有利に進めるにはどうすればいい?
- 養育実績がない場合親権はとれないの?
- 男性が親権を取得したいのなら弁護士に相談するべき
- まとめ
不倫そのものが親権を取得するにあたり必ずしも不利にならない理由とは?
法律上で夫婦関係が破綻する理由として定められているのが、肉体関係のある不倫です。
夫婦にはそれぞれ配偶者以外に身体を許してはいけないという、貞操を守る義務と権利を持っています。
そのため、夫婦の一方が自分の意思で他の異性と関係を持つことは、有責行為といって夫婦関係を破綻させる行為とみなされます。
肉体関係のある不倫をしたひとは、最終的に裁判で離婚請求をしたいと考えても請求を却下されたり、配偶者から慰謝料を請求されたりと離婚するうえで不利な立場に置かれることが多いです。
そのため、親権に関しても「不倫したのだから相手が親権を主張したとしても当然自分が有利になるのだろう」と考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし残念ながら、不倫と親権取得は別問題として扱われるので、あなたの配偶者が不倫したとしても、その事実が親権取得を有利に進められることにはなりません。
というのも親権は夫婦の離婚原因に関わらず、「子どもにとってどちらの親と暮らした方が利益になるのか」という観点から決められるからです。
ここでいう利益とは、金銭面だけではなく子どもの養育環境や今までどのように子どもを養育してきたかなどさまざまな観点から判断されます。
そのため、相手の不倫のみに焦点を当て、親権を取得しようとしてもなかなかうまくいきません。

女性が不倫した場合でも親権は母親が取得する割合が高い
日本は離婚した場合、女性が親権を取得する割合が非常に高く8割を超えます。
そのため、離婚原因が女性の不倫だとしてもよほどの事情がない限り、親権は母親が取得することになると考えられます。
何となく理不尽にも思えますが、女性が親権を取得しやすい理由は大きく2つあります。
まず、1つ目の理由が「母性優先の原則」です。
母性優先の原則とは、子どもの養育に母性が必要であるという考え方で、子どもの年齢が低いほど母性の重要性が高くなるため、子どもが幼い場合、男性が親権を取得することが難しくなるといえます。
2つ目の理由として、「継続性の原則」が考えられます。
継続性の原則とは、子どもの現状の養育環境が安定的なものであれば、できるだけ変わらないように配慮すべきということです。
つまり継続性の原則にあてはめて考えてみると、育児を多く担った親が親権者に選ばれやすくなるということになります。
そのため、不倫によって女性が育児をしなくなったなどといったケースでない限り、女性の方が親権を取りやすいといえるでしょう。
不倫した妻に親権を渡したくない!親権取得を有利に進めるにはどうすればいい?
親権は「取りたいから」という思いだけでは、取得することはできません。
親権取得にあたって準備することを紹介していきたいと思います。
養育実績をできるだけ細かく書き出す
親権を取得するために重要になる指標として養育実績があります。
養育実績は今までどれだけ子どもの育児に参加したのか証明するものをいいます。
例えば保育園の送り迎えや食事の用意、着替えの手伝い、子どもが病気になったときの対応、授業参観や運動会など学校行事に参加していたかなどが考えられます。
普段の生活で行っていることに関しては子どもの好きなもの、苦手なものなど細かく書き出していると良いと思います。
また行事などの参加に関しては、行事の日時や行事の中での出来事など書きだしてみましょう。
離婚後の生活について周囲の協力を得る
ひとり親になった場合の生活について周囲の協力を得ましょう。
親権者になるには離婚後の養育環境を整える必要があります。
状況によっては今までの仕事のスタイルを変えずに育児をするのが難しいこともあります。
そのため、近くで協力を得られそうな両親などの親戚がいるのであればきちんと話を通して協力を得ましょう。
また働き方を変える必要があるのであれば、あらかじめ会社に伝えておき理解を得る必要もあります。
会社と折り合いがつかない場合には、転職なども視野に入れる必要があります。
妻が不倫によって育児をないがしろにしていた証拠を集める
妻が不倫していたこと自体は夫の親権取得に有利になるとはいえません。
しかし、不倫にのめり込むあまり、妻が育児放棄など、子どもをないがしろにしていた場合には、親権取得に有利になる可能性が高いです。
妻が不倫を理由に育児をないがしろにしていたことがわかるような証拠を集めることが大切です。
夫に一切をまかせて育児をしないといったような状況の場合には、ご自身が子どもを養育していることが分かるような詳細な記録を取っておくことが大切です。
世話が必要な乳幼児を長期間放置など命の危険があるような育児放棄の疑いがある場合には、児童相談所や状況によっては警察に連絡することも検討することが大切です。
養育実績がない場合親権はとれないの?
男性が親権を取得したいと考えた場合、重要になるのが養育実績です。
仕事が忙しく子どもと関わる時間が少なかった場合には、残念ながら離婚理由が妻の不倫であっても、親権をとれる可能性は低いでしょう。
家族の為に仕事を頑張ってきたのに、親権取得には不利になるのかとやるせない気分になる方も少なくないと思います。
しかし離婚して親権は取れなくても、面会交流を充実させることで将来的に子どもと暮らせる可能性もあります。
面会交流とは離婚して別々に暮らしている親と子どもが、遊びに行ったりメールなどで連絡をとったりすることを指します。
面会交流を通して良好な親子関係を築くことができた場合、離婚後子どもの意思で一緒に住みたいと希望してくれるかもしれません。
この場合、親権者変更の手続きを行うことになります。
親権は子どもの意思が優先されます。
年齢が高いほど自己決定ができるほどの判断力が備わっているとみなされ、その意思が親権取得に際し反映されます。
そのため、離婚当時は子どもと一緒に暮らせなくても、将来的に子どもの意思によって親権を得られることもあるのです。

男性が親権を取得したいのなら弁護士に相談するべき
男性が親権を取得するのは非常に難しいです。
また離婚調停や裁判で争った場合、仮に親権を取得できたとしても数年単位の時間がかかる可能性もあります。
両親が親権を巡って争った場合、精神的な負担は当事者である夫婦だけでなく、子どもにも重くのしかかってきます。
また、子どもの親権は家庭裁判所調査官が両親や子どもへの聞き取りなどを行い様々な観点から総合的にどちらが親権者にふさわしいのかを調査します。
男性が親権をとれるかは状況によって大きく異なり、1つの材料では判断ができないのでまずは弁護士への相談を検討してください。
弁護士に相談した場合、親権争いを進める場合の今後の道筋、親権取得が現段階では難しい場合の代替案などを示してくれ、依頼者が希望する結果が得られるよう尽力してくれます。
まとめ
今回は不倫して有責配偶者になっても親権がとれるのか、また妻に不倫された男性が親権を得るための条件などを解説していきました。
男性で子どもの親権者になった割合は女性に比べると非常に少なく、2割未満です。
そのため本気で親権を得たい、子どもと暮らしたいと思った場合には入念な準備が必要です。
女性が親権を望まないなど特別な事情をのぞき、親権に関する問題は泥沼化する可能性が高いですし、自力で準備して、親権を得るのはほぼ不可能といっても良いほど難しいことです。
そのため、お困りの際には争いが大きくなる前に弁護士に相談することを考えてみてください。
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