夫の性癖が受け入れられないから離婚したい!異常性癖は有責行為になる?

性の不一致で離婚といっても、理由はさまざまです。

性の不一致はセックスレスや夫婦どちらかの身体や心の問題で性行為ができないこともあれば、相手との性の価値観が合わないケースもあります。

今回は性の不一致の中の異常性癖について事例を交え考えていきたいと思います。

異常性癖と許容性癖に線引きはあるのか、また離婚する場合、相手の性癖は有責行為で、慰謝料を請求できるのか詳しく解説します。

夫のマゾ体質は異常性癖?離婚する場合どうすればいいの?

 

相談者:凛子さん(仮名)32歳

夫:当真さん(仮名)32歳

 

 

夫の当真と現在性の不一致を理由に離婚を考えています。

当真とは同じ学科でクラスが同じでした。

大学3年生までは必修科目の授業が異なっていたため、ほとんど交流はありませんでしたが、ゼミが同じになり、協力して課題を行ったことをきっかけに仲良くなり付き合い始めました。

大学卒業後、私は東京で就職し、当真は地方転勤になったため遠距離恋愛になりました。

私が28歳の時、当真が本社勤務になったタイミングで籍をいれました。

 

当真と付き合っていた期間は7年になりますが、その間性の不一致はなく、比べたことがないのでわかりませんが、行為自体もごくごく普通なものだったかと思います。

結婚して半年くらいしてから、当真に話があるといわれ、自身の性癖についてカミングアウトされました。

というのも、被虐願望があるというのです。

当真のカミングアウトに驚いたのですが、話を聞くと、遠距離恋愛の期間に目覚めたようで「ずっといえなかった」といわれました。

また、彼からの要望はせいぜい言葉とかそういうもので、ハードな要求ではなかったので「そういうものだ」と受け入れました。

今思っても、その時点で拒否すればよかったのかわかりません。

聞いたときに強い拒否感を覚えるわけでもありませんでしたし、衝撃ではあるけれど私自身がそこまでこだわりがなかったので応えられるものなら応えたいし、受け入れたいと思ったからです。

カミングアウト時の若干アブノーマルくらいの内容であれば、離婚まで考えることはありませんでした。

しかし、当真の欲求は次第にエスカレートしていきました。

特に痛みを感じたいという欲求や拘束されたいという欲求が強かったようで、強く叩いてほしいとかすずらんテープで縛ってほしいといわれるようになりました。

私自身は叩いたりひとを拘束したりすることに快感を覚えるタイプではないのでいやだったのですが、初めに「性癖で嫌いにならない」といったことをいったため拒否できず、ずるずると要求を飲んでいました。

次第にハードになる要求にしんどいと思いましたが、内容が内容だけに周囲にいうことができずどうすればいいのか悩んでいました。

一度友達に夫との性の不一致を軽く話したのですが、「稼ぎもいいし、家事もしてくれるしいい旦那じゃん。少しくらい我慢すれば?」といわれてしまい、それ以来誰にも相談できなくなりました。

その時はそのまま我慢していたのですが、要求がエスカレートするばかりです。

最近では、いろいろ拘束具とか縄とかネットで購入しています。

子どもも産みたいし、若干の要望なのであれば当真に応えたいと思っていましたが、私の範ちゅうを超えています。

当真には、「そんな道具とか本当無理だし、グーで殴るとかそういうのは暴力としか思えないからほんと無理」と伝えたのですが、「受け入れてくれたじゃん!」となかなか聞き入れてくれません。

けんかになるのが嫌なので一度当真の要望を応えてはみましたがほんと無理で途中で止めました。

そんな状況だったのに、2週間後には普通に夜の誘いをしてきました。

その神経本当に信じられません。

これまで当真と結婚したことを後悔したことはありませんでした。

また私は私なりに彼の性癖についても歩み寄り、応えてきたつもりです。

当真は性格が良いですし、普段一緒に過ごしている分には何ら不満はありませんが、性生活で今のような異常な趣味を押し付けられるのであれば離婚しかないです。

相手の異常な性癖は有責行為になるのでしょうか

教えてもらえると嬉しいです。

旦那に望まぬ性交渉をされたので離婚したい

弁護士に相談したい方はこちら

弁護士の見解

今回の相談者である凛子さんは、夫である当真さんの性癖に我慢ならず離婚を考えていらっしゃいます。

異常性癖は有責行為になるのでしょうか。

また凛子さんが離婚するにはどうすれば良いのでしょうか。

まず、法律には異常性癖と一般的な性癖を明確に分けるようなものはありません。

あるとすれば、強制わいせつや児童ポルノといったようなそれ自体が犯罪行為になるようなものです。

当真さんの特殊性癖はひとから虐げられたいというものですので、それ自体は違法行為にあたりません。

ただし、嫌がる凛子さんに無理やりご自身の性癖にかなう行為をしていたのであれば、違法行為となり得ます。

お話を聞く限り、当初凛子さんは当真さんの性癖に理解を示しました。

また当真さんの要求がエスカレートした後も、内心はどうであれ、ある一定程度までは聞き入れていました。

そのため、お互い同意のうえで当真さんの希望する趣向の性行為をしたとみなされます。

「心の中ではいやがっていたのだから無理やりじゃないか!」と考えたくもなりますが、最終的に凛子さんは自らの意思で当真さんに応えているので、無理やりさせられたという主張は難しいです。

そのため、今回のケースでは夫婦のどちらかの言動が有責行為になる可能性は低いと思われます。

したがって凛子さんが離婚を望むのであれば、まずは協議離婚を目指してみると良いでしょう。

夫婦同士の話し合いで当真さんから離婚の合意を得られない、または得られそうにないときには弁護士に相談してみてください。

今回の場合離婚事由が性に関するデリケートなものなので、当真さんが納得してくれず、感情的になってしまう可能性が高いです。

怒りなど感情が高ぶった状態は視野が狭くなり、なかなか正常な判断が難しくなります。

また感情のまま相手の逆鱗に触れるような発言をしてしまったり、反対に相手から自分が許容できない発言をされたりして関係が悪化することも考えられます。

関係が悪化すると当然離婚の争いが激化する可能性が高くなりますし、争いが激しくなった場合、離婚するまでに時間がかかり、精神的にも身体的にも大きな負担がかかります。

そのため、争いに発展する前に弁護士へ依頼し、自分の代理人として相手と交渉をしてもらった方が良いと思います。

 

なお、離婚で相手の有責行為を証明する必要があるのは、裁判で離婚の可否を決めるときのみです。

もちろん相手の言動に有責性があれば、離婚交渉をする際、交渉材料が増えるので自分が有利に取り決めできることもメリットではあります。

しかし有責行為とは主張すれば必ず認められるものではありませんし、行為の内容によっては有責性を証明するのが困難なものもあります

凛子さんの場合、当真さんの言動に有責性があることを証明することはほぼ無理といっても過言ではありません。

そのため、相手の有責性にこだわらず、離婚する場合どのような条件でしたいのかを考えみてください。

また併せて離婚条件でご自身が譲りたくないものと交渉次第では妥協できるポイントなども考えておくと良いかもしれません。

 

まとめ

今回は特殊な性癖を持つ夫と離婚したい女性の相談事例と見解について紹介していきました。

夫や妻の性癖を理由に離婚したい場合、内容が内容だけになかなか誰かに相談することができないものかと思います。

仮に誰かに相談できたとしても、法律的な面でその配偶者の性癖は違法行為になるのかなどがわかる方はほとんどいないと思います。

またひとそれぞれ価値観が異なりますので、相談したことで「そんなことで離婚するの

?」といわれてしまいかえって自分を追い詰めてしまう方もいらっしゃるかと思います。

しかしひとの悩みは他人と比べるものではありません。

ご自身の感じた「しんどい」「辛い」「苦しい」という気持ちは本人にしかわからないことです。

そのため、自分自身が我慢できないと感じたのであれば離婚も手段のひとつとして考え、法的な助けが必要な場合にはまずは弁護士に相談してみましょう。

 

弁護士に相談したい方はこちら

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です