【相談事例】夫が不倫したから報復した|不倫の誓約書の効力と許されない報復行為

不倫は、夫や妻を裏切って、他の異性と関係を持つことなので、本来許されない行為です。

しかし、相手が不倫したからといって、どのような言動も許されるのでしょうか。

今回は、夫が不倫したことを理由に報復行為をした女性の事例と弁護士の見解を紹介したいと思います。

 

【私は悪くない】夫が不倫したから報復した

 

相談者:藤子(仮名)36歳

夫:倫也(仮名)40歳

娘:麻里(仮名)7歳

婚姻期間:10年

 

 

夫が不倫したのは、麻里が3歳のころだと思います。

当時、仕事に復帰したいのに保育園の受け入れ先がなかなか見つからず、また育児を手伝ってくれる親も遠方に住んでいることもあって、かなりのストレスを抱えていました。

夫は、休日こそ家事を手伝ってくれましたが、平日は忙しいといって帰りも遅かったので、家事と育児にノイローゼ気味になっていました。

「あんたばっかり外に出てほんとムカつく」とか「家庭のことを顧みないクソ男」とちょっときついことをいったのは、私も反省すべき点かなとは思ってますが、夫が顧みないのは事実だし、私はノイローゼ気味だし、仕方なくないですか?

それにちょっと妻にあたられたからといって不倫していいことにはならないのでやっぱり夫のせいです。

不倫に気づいたきっかけは、夫のスーツのポケットに入っていたレシートからコンドームと女物のパンツ、ストッキングを購入したのがわかったからです。

私たちは麻里が生まれて以来夜の生活はありません。

また私もストッキングやパンツをコンビニで買うことなんてありません。

レシートを見つけたその日に私は夫に不倫しているのかと問い詰めました。

こんなに私が我慢しているのに、こいつは外で女と遊んでいるのかと思うと、許せず、「給料安いくせに不倫してんじゃねーよ」といって、何度か夫の頬を平手でぶちました。

そうしたら、「ごめん」と土下座してきました。

謝ったら許してもらえるなんて甘いと思い、私は朝方まで夫に怒りをぶつけ続けました。

その後、ようやく怒りが収まってきたので、以下の条件で夫を許しました。

 

①夫は金輪際不倫女と会わないこと

②不倫女と会ったことが分かったときには3000万円を私に支払うこと

③夫の行動がリアルタイムでわかるように位置情報アプリを入れること

 

ちょっと過激にみえるかもしれません。

でも、子どもがいるのにも関わらず、不倫して私を傷つけたんですから当然だと思いませんか?

 

不倫が発覚して、誓約書を交わしてから4年ほど。

夫は誓約書通りの行動をしていますが、不倫で傷つけられた私の心は癒えることなく、麻里のいないところで嫌味をいったり、たびたび謝罪の要求をしていました。

はじめはちゃんと謝っていたのに、次第に返事がおざなりになり、「もう4年もずっと謝っている。週に何回も朝まで謝罪をし続けるのは辛い」と言い訳してきました。

また、「位置情報を把握するのはいいけど、電話やメールで1時間に何十回も連絡してくるのはやめてほしい。常に監視されているようで精神的に疲れる」と泣き言もいってきます。

いやいや。もともと私や麻里を裏切ったのは、夫ですし。

こんなの当然の要求ではないですか?

私がやってることっておかしいんでしょうか。

 

弁護士の見解

夫婦の一方が肉体関係のある不倫をした場合、もう一方には、慰謝料を請求する権利があります。

不倫が発覚したら「即離婚」というわけではなく、今回の相談者の藤子さんのように不倫に関する誓約書を相手方と結ぶことで夫婦関係を継続することを選択する方もいらっしゃいます。

ただし、不倫の誓約書はどんな内容でも法的に有効であるとは限りません。

今回、藤子さんと倫也さんで結んだ誓約書の内容や藤子さんの言動について問題がないか等を解説していきたいと思います。

 

 

①夫は金輪際不倫女と会わないこと

倫也さんに不倫された藤子さんは、不倫した女性と会わないことを要求しました。

「不倫相手の女性と会うことを禁じる」条項については、会うことによって夫婦関係の悪化を招く可能性があることなので、法律的に認められます。

ただし、効力を発揮するのは婚姻期間中に限ります。

仮に藤子さんと倫也さんが離婚した場合、藤子さんが離婚後引き続き倫也さんと不倫相手の女性の接触を禁じたいと望んだとしても強制することはできません。

また不倫相手が倫也さんの同僚等、業務上接触が避けられないこともあると思います。

このようなケースでは、業務上最低限の会話や連絡まで禁じることができない可能性が高いです。

接触禁止条項を結ぶのであれば、不倫相手と夫の関係性を考慮して具体的に「業務に必要最低限の接触以外は禁じる」というような内容の方が良いでしょう。

 

②不倫女と会ったことが分かったときには3000万円を私に支払うこと

不倫相手と「会わない」という①の約束を破った場合、違約金といったかたちで、ペナルティを科すこと自体は法律的に有効です。

ただし違約金が社会一般的な常識に照らし合わせてあまりにも大きな金額は信義則に反しているとみなされ無効になります。

今回の藤子さん要求額は3000万円と違約金としてはかなり高額なので無効になる可能性が高いです。

 

③夫の行動がリアルタイムでわかるように位置情報アプリを入れること

配偶者に不倫されると再発防止をしたいという思いから、相手の行動がわかるようにGPS等の位置情報を把握しておきたいと考える方は少なくないと思います。

位置情報を把握すること自体は、夫婦の合意があれば法的に有効です。

今回のケースでは、藤子さんと倫也さんで交わした誓約書で位置情報アプリをスマートフォンに入れることをお互い了承しています。

しかしながら、位置情報を把握して、メールや電話を過剰にする行為はモラルハラスメントに当たる可能性があります。

 

不倫した配偶者に対してどんな言動をしても許されるのか

藤子さんは倫也さんの不倫に対して大きな怒りを覚えている状態だと思います。

しかしながら、相手が不倫をしたからといって相手の精神を過剰に追い詰めるような行為は許されません。

例えば、今回のお話を聞く限り、次のような行為は問題になる可能性が高いです。

 

  • 平手で相手をぶつ行為
  • 倫也さんに対して執拗に謝罪をさせ続ける行為
  • 電話やメールを使って過剰に連絡をする行為

 

まず、平手で相手をぶつ行為は暴力です。

どんな理由があれ暴力に訴える行為は許されません。

週に何回か朝方まで謝罪を要求し続ける行為は、モラルハラスメントにあたる可能性が高いです。

更に、先程も触れましたが電話やメールを使って過剰に連絡することもモラルハラスメントになります。

倫也さんの不倫に対して怒りを覚えることは当然ですが、それを理由にどのような言動も許されるとは考えない方が良いでしょう。

最悪の場合、慰謝料を請求されることもありますし、相手方から離婚を切り出されるケースも考えられます。

倫也さんのことがどうしても許せず、感情的に行動してしまうのであれば、一度別居も視野に入れて考えてみるのはいかがでしょうか。

物理的な距離を置くことで、婚姻を継続したいのか離婚した方が良いのか見つめ直してみるのも良いかもしれません。

 

まとめ

今回は夫が不倫してしまった女性の相談事例を紹介しました。

夫の不倫後再構築を選択した場合、制裁目的で執拗に罵倒したり、謝罪を要求したりする等の行為は避けましょう。

また不倫が発覚したときに暴力をふるうことも、相手方から慰謝料請求をされたり、程度が重いと判断された場合には刑事罰を受けるリスクのある行為です。

相手をどうしても許せないと感じた場合には、別居することを検討し、冷静になったうえで離婚を決意したのであれば、弁護士への相談をしてみてください。

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