【どっちが悪い?】夫婦がどちらも不倫|相手に慰謝料請求されたら場合の対処法

肉体関係がある不倫は、不貞行為といって最終的に裁判で離婚できる事由のひとつとなります。

また、不貞行為をされた側は、した側に対して精神的苦痛を理由に慰謝料を請求することができます。

しかし、夫婦がどちらも不貞行為をしていた場合はどうなるのでしょうか。

今回は夫婦が双方不倫していた場合の離婚や慰謝料について事例を交え解説していきたいと思います。

 

 

事例: 夫が先に不倫していたのに慰謝料請求された

 

妻:かなみさん(仮名)

夫:たつやさん(仮名)

妻の不倫相手:しょうま(仮名)

 

 

夫のたつやと結婚して5年半。

2年前から九州に単身赴任しています。

単身赴任してからしばらくは頻繁に連絡をしあって、離れてはいるものの良好な夫婦関係でした。

しかし、1年くらい経ってからでしょうか。

なかなか連絡が取れなくなり、電話をかけても「忙しいから」と切られるようになりました。

不審に思って、夫には告げず赴任先のマンションに合いカギを使って入ったところ、女性ものの服や下着がクローゼットやタンスにあったり、洗面台に化粧品があったり、歯ブラシがふたつあったりして、明らかに女性と同棲しているような感じでした。

夫の裏切りにひどいショックを受けました。

どうしても心が落ち着かず、誰かに話したいと思い、職場で仲の良い男性社員のしょうまに相談しました。

しょうまは親身になってくれ、「君は悪くない」と、私のことを励ましてくれました。

私が悩んでいるとすぐに気づいてくれ、話を聞いてくれる彼に惹かれていきました。

しょうまも私と同じ気持ちでいてくれていたようで、告白されました。

彼の告白を受けてとても嬉しい気持ちになったと同時に、「これでは夫と同じになってしまう」と思ったので断ろうとしました。

しかし、彼の「向こうが先に不倫したんだから君は悪くない」という言葉に後押しされ、男女の関係になりました。

先日、彼に送るつもりだったLINEを間違って夫に送ったことで、不倫がバレてしまいました。

夫は私と離婚するといっています。

離婚すること自体は問題ありませんが、はじめに不倫をしたのは夫なのだから、私が優位な立場でいられるような方向で成立させたいです。

また慰謝料も請求されていますが、私の方こそ精神的苦痛を受けたので慰謝料を請求したいくらいです。

どうすれば良いのでしょうか。

 

双方が有責配偶者である場合は有責性の高さが重要

夫婦双方が不貞行為をしていた場合、どちらも有責配偶者となります。

このように夫婦の双方に有責行為があるような場合、重要になってくるのは、夫婦関係の破綻の原因となった責任の重さです。

一般的に有責性の割合は、はじめに有責行為を行っていた方が高いとされています。

今回の場合、かなみさんは単身赴任中の夫たつやさんのマンションの部屋で女性ものの衣服や下着、化粧品等を見つけ、かなみさん以外の女性と同棲状態にあると認識しました。

かなみさんとしょうまさんが不貞関係になる前にたつやさんが不貞行為したのであれば、たつやさんの責任が重いとみなされる可能性が高いと思います。

ただし、たつやさんの有責性が高いと主張するには、かなみさんとしょうまさんが関係を持つ前にたつやさんの不貞行為があったことを裏付ける証拠が必要です。

かなみさんがたつやさんの単身赴任先のマンションの部屋で見た女性の衣服や化粧品等は、それがただちに不貞行為を証明するものではありません。

不貞行為を裏付けるような有力な証拠として、ラブホテルに出入りしているような写真や動画、不貞行為そのものの写真や動画、たつやさんの部屋に長時間ふたりでいたことがわかるような記録等が考えられます。

かなみさんがたつやさんの不貞行為を裏付けるような証拠がない一方で、たつやさんがかなみさんの不貞行為を裏付ける有力な証拠を持っている場合には、かなみさんの有責性が高いとみなされる可能性があります。

相手方の有責性を主張する場合、不貞行為を証明できるような証拠が非常に重要なのです。

 

 

双方が不貞行為をした場合の慰謝料請求はどうなるのか

不貞行為は、不法行為といって夫婦としての権利を侵害するような行為なので、精神的苦痛を受けた場合には慰謝料を請求することができます。

双方が不貞行為をした場合、慰謝料の請求権はどうなるのでしょうか。

 

夫婦双方が不貞行為をした場合、それぞれが慰謝料を請求することができます。

なお、不貞行為は共同不法行為なので夫や妻に対してだけでなくそれぞれの不貞行為の相手にも慰謝料を請求することができます。

すこしややこしいので以下をご確認ください。

 

かなみさんが不貞行為を理由に慰謝料を請求できる相手

夫のたつやさん、たつやさんの不貞行為の相手

 

たつやさんが不貞行為を理由に慰謝料を請求できる相手

妻のかなみさん、不貞関係にあるしょうまさん

 

たつやさんから不貞行為の慰謝料を請求されている状況かと思いますが、かなみさんもたつやさんとその不貞行為の相手に慰謝料を請求することが可能です。

双方が有責行為をしたときの慰謝料交渉については、ご自身が求める結果によって異なります。

 

  • 多少妥協しても良いから離婚を早期に成立させたい
  • 相手から慰謝料を得て離婚したい

 

これらの考え方の違いでどのように対応が変わるのか考えていきましょう。

 

多少妥協しても良いから離婚を早期に成立させたい

慰謝料を得るよりも、離婚を早期に成立させたいという場合には、相手方の主張との妥協点を見つけ、条件を取り決めるという方法があります。

今回の相談の場合、かなみさんは、夫のたつやさんが先に不貞行為をしたことで、ご自身もしょうまさんと不貞関係になりました。

心情的には、たつやさんが不貞行為をしなければ、ご自身も不貞行為をしなかったと思うかもしれません。

しかし、慰謝料について話し合うことによって、離婚するまでが長引く可能性があります。

先に不倫したことを理由に争うよりも「お互い不貞行為をしたのだから、慰謝料はどちらも請求しない」という方向に話し合いを持っていき交渉するのも手段のうちです。

 

相手から慰謝料を得て離婚したい

ご自身の納得いくような慰謝料を得て離婚したいと考えた場合、相手方の有責性が高いことを主張する必要があります。

かなみさんの場合、たつやさんが先に不貞行為をしたことによって既に夫婦関係が破綻していることを主張することになると思います。

というのも、夫婦関係が破綻した後に配偶者以外の異性と男女関係になったとしても、事実上破綻状態にあるので、不貞行為として認められないからです。

ただし、夫婦関係の破綻を理由に、しょうまさんとの男女関係は不貞行為ではないと主張するのは非常に難しいです。

離婚協議の段階では、たつやさんが仮に自身の不貞行為を認めたとしても、かなみさんに何もペナルティがないということに強い不満を覚える可能性が高いと思います。

夫婦の話し合いで慰謝料等の取り決めができないときには離婚調停に進みます。

とはいえ、離婚調停は裁判所の仲介こそ入りますが、裁判のように裁判官によって判決が下るものではなく、あくまで、夫婦双方の合意がなければ成立しません。

したがって、どちらの有責性が高いかどうかが調停でも折り合いがつかないときには離婚訴訟となります。

離婚訴訟では裁判官がかなみさんとたつやさんの主張を聞き、どちらの主張により説得性があるのかを判断し、双方の有責性の高さを判断します。

裁判では自分の主張の説得性を高めるために証拠書類等を用意しなければならず、非常に準備が大変です。

また、準備していたとしても裁判官がかなみさんとたつやさんの有責性は同等程度、もしくはかなみさんの有責性の方が高いと判断した場合、慰謝料請求したとしても棄却される可能性もあります。

更にいえばかなみさんの主張が通ったとしても、ご自身の望む慰謝料を大きく下回る判決が下ることも予想されます。

また、離婚協議・調停・訴訟期間を含め、離婚が成立するまでに複数年単位の時間がかかることも予想されるので、リスクを考慮のうえ判断してください。

 

まとめ

今回は、双方不貞行為を行った夫婦の事例を交えて、離婚や慰謝料について解説していきました。

夫婦がお互いに別々の異性と不貞関係にある場合の離婚や慰謝料等についての交渉は、当事者だけで話し合うと、かえって話がこじれてしまう可能性が高いです。

また、現在望む離婚の条件が、将来的にみて必ずしもご自身の利益につながるとは限りません。

そのため、双方に有責行為があるような場合には早い段階で弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士は、法律の専門家であるとともに、交渉術のプロでもあります。

ご自身ではどうしようもない、手に負えないと考えたときには弁護士への相談をご検討ください。

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