【体験談】夫がいるのに他のひとと不倫してしまったけど離婚を回避したい

人の気持ちに絶対はありません。

その時、その瞬間、「この人と結婚して良かった」と思った気持ちは嘘ではないのですが、時間が経つにつれ、近くにありすぎて大切なものがわからなくなるケースは少なくないと思います。

また、一緒に生活していくうえで、相手のいやな面ばかりが目についてしまい、他のひとの方が魅力的に見えることもあるでしょう。

今回は、夫とは別の男性と関係を持ってしまった女性の相談例と、その見解について紹介していきたいと思います。

 

 

夫との性の不一致で不満がある

相談者:奈美(33)

夫:涼介(34)

不倫相手:孝則(36)

 

5年前、会社の同期だった夫の涼介と結婚しました。

きっかけは、同じプロジェクトメンバーになり、一緒に働く時間が増えたことです。

お互い支え合いながら仕事を進めていた結果、ふたりで飲みに行く回数が増え、そのうちプライベートでも会うようになりました。

涼介が隣にいるとしっくりくるというか、ときめきはさほど覚えませんでしたが、一緒にいるときの安心感は今まで付き合ってきたひとの誰よりもありました。

告白をすっとばしてプロポーズされたときには笑ってしまいましたが、「このひととなら穏やかに幸せになれる」との思いがあったので、ふたつ返事で「結婚しましょう」と伝えました。

 

結婚してからの生活は、想像したとおりの平穏無事な生活でした。

暴言も吐かないし、借金もギャンブルもしない。私の見る限り、「女の子の店」に行っている形跡もなく、「穏やかな幸せ」っていうのはこういうことなのだろうなと実感していました。

私にはできすぎた夫で、十分幸せを享受していることはわかっていました。

しかしひとつだけ不満がありました。

それは、夜の生活のことです。

私は、「子どもが欲しい」という希望が強く、結婚前からその希望は夫に伝えました。

夫も「俺も子どもが好きだから」と私の希望を受け入れてくれました。

しかし、結婚してからというもの、夜の生活は3,4か月に1回程度。

しかも毎回私が誘う感じです。

毎回誘って、5回に1回くらいは応じるって、精神的に疲れます。

妊娠するにも身体的なタイムリミットがありますし、医学が進歩したといったって、高齢出産にはリスクもあると聞き、できるだけ早めに妊娠したいと思いました。

私はたびたび夫に「子どもが欲しい」と伝えていましたが、「こういうのは授かりものだから」とうやむやにされました。

こういうと私ががっついているように聞こえると思いますが、「子どもが欲しい」と思っても実際に行為をしないと生まれません。

念じてれば妊娠するわけでもないし、ましてやコウノトリが運んできてくれるわけでもありません。

行為をしていてなかなか妊娠できないのならば仕方ないのですが、妊娠するようなことをしていないで「授かりものだから」なんていうのは意味が分かりません。

夜の生活や子どもについての話題をすると、夫ははぐらかしたり、だんまりを決め込んだりするようになりました。

こういう微妙な雰囲気が嫌になり、私は次第に子どもの話題を振るのをやめました。

離婚とまではいきませんが、夫に対して不信感が少しずつたまっていきました。

 

弁護士の見解

婚姻届をだして法律上の夫婦関係となった場合、夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければなりません。

これは、民法752条で夫婦の「同居・協力・扶助の義務」と定められています。

「同居」が義務であることはイメージがつくかと思いますが、「協力」や「扶助」といった義務は、漠然としているように感じます。

夫婦の協力義務や扶助の義務は、収入面や家事・育児等に限られず、夫婦生活を営んでいくために必要なことすべてを指します。

夫婦生活全般に関わることなので、当然「性行為」も範囲内です。

法律上明記されていませんが、「夫婦には他の異性と性行為をしてはいけませんよ」という貞操義務が互いに科されています。

貞操義務がある以上、一般的な夫婦関係は「性行為を行うこと」が前提であると考えてよいでしょう。

 

セックスレスは、一般的に1か月以上性行為を行っていない状態を指します。

しかし、夫婦が互いに納得して「性行為がない状態」であれば、その期間が年単位で空いていたとしても、問題はありません。

そのため、便宜上セックスレスは、性的欲求が一致せず、夫婦の一方が「性行為をしないこと」について不満を持っている状態を指しています。

セックスレス状態であること自体は、ただちに法律上の離婚事由にあてはまるわけではありませんが、夫婦の一方の要求を正当な理由もなく拒否し続け、夫婦関係が破綻してしまった場合には法律上の離婚事由になりえます。

今回の奈美さんと涼介さんのケースでは、子供が欲しいという希望を含め奈美さんが性行為を望んでいるにも関わらず、涼介さんはあいまいな対応で避けている印象です。

現時点では、性行為以外の夫婦間のコミュニケーションがあるので、「法律上の離婚事由」になる可能性は低いと思います。

しかしセックスレスが長期にわたり、夫婦関係が破綻した場合には涼介さんの有責行為としてみなされる可能性もあります。

 

セックスレスで心が離れ元彼と不倫関係に

理由がわからず夫に性行為を拒否されて4年ほど経ちました。

結婚当初こそ3,4か月に1度の頻度で性行為がありましたが、私が誘わなくなってからはほとんど皆無の状態になりました。

思いをぶつけてもはぐらかされるばかりなので、正直精神的に疲れていました。

表面上の夫婦仲は良好に見えますが、私が強い不満を持っていることもあり、結婚してから4年で必要なこと以外はしゃべらない関係になってしまいました。

 

そんなときに、大学時代のサークル仲間から連絡があり、ひさびさに飲み会に参加することになりました。

飲み会には、懐かしい面々のほか、サークルの先輩で私の元彼でもあった孝則も参加していました。

孝則とは嫌いで別れたわけではなく、彼が海外での就職を決め遠距離となるため、泣く泣く別れた感じでした。

飲み会で近くに座ったところ、現在は日本に帰ってきており、私の職場とわりと近いところで働いていることがわかりました。

大学時代よりも余裕のある大人になった彼に、「別れなきゃよかったな」といわれれば悪い気はせず、つい連絡先を交換してしまいました。

連絡先を交換してからというもの、頻繁に連絡を取り合うようになりました。

はじめは、趣味の話やおいしいランチの情報を交換したりと健全な付き合いだったのでしたが、夫婦生活の不満を伝えたところ、話の流れでふたりで飲みに行くことになりました。

その席では酔っていることもあり、ちゃんと女性扱いをしてくれる孝則の態度に気持ちが盛り上がり、ホテルに行きました。

「いやなら何もしない」なんていってましたが、ホテルに行って何もないはずがなく、最後までしてしまいました。

夫への罪悪感が半端なかったので、孝則には「もう会わない」と伝えて、お互いもうふたりで会わないようにしようと約束しました。

しかし、その日から1週間たってまた孝則から連絡があり、「話がしたい」と言われ、またふたりで会ってしまいました。

もう絶対しないと心に決めていたのですが、彼から「結婚しててもやっぱり好きなんだ」といわれ、求められると応じてしまいました。

そんなことが何回もあり、当初あった夫に対しての罪悪感が薄れて、次第に家庭をないがしろにするようになりました。

金曜日帰るのが朝方になったり、土日に「友達と旅行」といって孝則と旅行したりしました。

夫が私の行動に何も言わないことをいいことに、だんだん行動が大胆になり、とうとう夫が出張中に、自宅へ彼を連れてきてしまいました。

しかし、それは夫の罠だったようで、実際は出張でもなんでもなく、私の不倫現場をおさえたかっただけみたいでした。

まんまと引っ掛かった私は、夫に実際の現場の写真を撮られてしまいました。

当初、こんなだまし討ちのようなやり方に怒りを覚えていましたが、冷静になってみると、とんでもないことをしてしまったと反省しています。

夫は「不倫していたことは知っていた。離婚してほしい。ふたりにはそれなりのペナルティを払ってもらう」といいました。

私としてはできれば離婚を回避したいです。

離婚が回避できないのであれば、元々不倫の原因を作ったのは夫です。

だから慰謝料は支払いたくありません。

 

弁護士の見解

性行為を含んだ不倫は、法律上の離婚事由である、「不貞行為」にあたります。

今回の奈美さんの場合、涼介さん以外の男性、孝則さんと性行為をしているので、不貞行為といえるでしょう。

そのうえで、奈美さんは次のような希望をしています。

 

第1希望 離婚を回避したい

第2希望 離婚が回避できないなら慰謝料を支払いたくない

それぞれの対応について確認していきましょう。

 

離婚回避はできるのか

奈美さんの第1希望の「離婚を回避したい」は、涼介さんとの交渉次第で可能な場合もあります。

不貞行為等、夫婦関係の破綻原因を作ったひとのことを、有責配偶者といいます。

一般的に有責配偶者は、相手方が離婚を望んだ場合、拒否できないといわれています。

しかし、「拒否できない」というのは、相手方が離婚裁判を起こし、裁判で「離婚が認められた場合」です。

そのため、夫婦間での話し合いの段階であれば、離婚を回避できる余地はあります。

離婚回避する手立てとして、不貞行為をしたことを誠心誠意謝罪し、今後不倫相手には会わないことを伝え、涼介さんから許しを得る必要があります。

「言葉では信用できない」と言われた場合には相手に対して慰謝料を支払って、誠意をみせる方法も考えられます。

ただし、この方法が利用できるのは、あくまで相手と冷静に話し合える状態であることが条件です。

今回、奈美さんは複数回にわたる不貞行為をしており、また「友達と旅行へ行く」といって不倫相手と旅行にも行っています。

更に、不貞行為を奈美さんと涼介さんの住んでいる自宅で行い、直接不貞行為の現場を涼介さんに見られている状態です。

自宅に不倫相手を招くことは、涼介さんの心情にかなりマイナスのイメージを与えている可能性があります。

「不倫相手を自宅に招くこと」自体は、法律上の「悪質性」と直結しないかもしれませんが、「許せない」という感情を大きくし、直接の交渉が困難になる場合があります。

そのため、本当に離婚を回避したいのであれば、冷静に対応する必要があります。

 

離婚する場合、慰謝料を支払わなくて良い方法はあるのか

性行為を伴う不倫によって不倫された側が精神的苦痛を受けた場合、不倫した側は慰謝料を請求されることがあります。

不倫された側は、不倫した配偶者と不倫相手両方に慰謝料を請求することができます。

ただし、慰謝料を請求するかどうかは、不倫された側の判断によります。

今回の奈美さんのケースでは、涼介さんは、奈美さんと不倫相手の孝則さんに「それなりのペナルティを支払ってもらう」という意思をみせています。

また、不貞行為の実際の現場も写真で撮影されているため、涼介さんの慰謝料請求は通りやすいといえるでしょう。

そのため、慰謝料の支払いを拒否するよりも、慰謝料を支払う意思をみせ、減額交渉を行った方が良いと思います。

また、奈美さんは「不貞行為に至った原因がセックスレスにあるので、慰謝料は支払いたくない」と主張していますが、セックスレスだからといって、他の男性と不貞行為をしていい理由にはなりません。

理不尽に感じるかもしれませんが、不貞行為をしてしまった時点で、原因は何にしろ、法律上の有責配偶者は奈美さんとなってしまいます。

 

不貞行為をしても慰謝料請求が通らないケースとしては、不貞行為をする前にすでに夫婦が破綻している状態だったということが考えられます。

奈美さんの場合、セックスレスで夫婦関係が悪化していた状態だったかとは思いますが、その状態は夫婦関係が破綻しているとはみなされにくいです。

というのも、一般的に夫婦関係が破綻した状態とは、特別な事情もなく長期間別居しており、事実上夫婦関係がないことを指すからです。

奈美さんが、1番に望むことが「慰謝料を支払いたくない」というのであれば、夫婦関係の破綻を理由に涼介さんと争うことになる可能性があります。

一方で、「早く離婚を成立させて新しいスタートを切りたい」と考えるのであれば、あえて争わずに相手方の提示した条件をのんで早く離婚を成立させるか、相手方が提示した慰謝料が高額すぎる場合には減額交渉をして離婚をなるべく早めに成立させる等の方法が考えられます。

 

まとめ

今回はセックスレスに悩んだ末、不倫関係に陥ってしまった女性の体験談を紹介しました。

離婚を回避したいと思ったとしても、慰謝料について争うにしても、慰謝料の減額交渉にしても、当事者同士だけの話し合いは感情的になりがちです。

そのため、「できるだけ不利益を小さくしたい」と考えるのであれば、離婚事件に精通した弁護士への依頼を検討してみてください。

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