不倫・DV・モラハラ…
離婚のトラブルはそれだけじゃありません。
夫婦が抱えている問題はそれぞれです。今回は、2人の女性の体験談とともに、対処法について確認していきましょう。
話が違うよ!~結婚前の約束をやぶった夫と離婚したい~
妻:みかこ(34)
夫:まりお(38)
夫のまりおとは婚活サイトのイベントで出会いました。彼は、メディアコンサルタント会社を経営し、年収が1,000万円以上であると私に伝えてきました。
また、結婚後すぐに子どもが欲しいといい、温かな家庭を作りたいと言っていたので、将来へのビジョンが見え、結婚前提にお付き合いを始めました。
付き合って半年ほどで、彼から「これから人生を共に歩んでいってほしい」とプロポーズされ、二つ返事で了承しました。
その後、私が住んでいたマンションを引き払い、彼の住むマンションに引っ越し、結婚生活をスタートさせました。
引っ越し先のマンションは、思い描いていた広いマンションではなく、1DKのマンションでした。「お金があるのにずいぶん質素だな」と感じましたが、お金目当てで結婚したと思われたくなくて黙っていました。
しかし、彼が結婚前に申告していたことは、ほとんど嘘と言うことが判明しました。
まず、メディアコンサルタントの仕事をしているといっていましたが、実際はフリーランスのライターで、年収は1,000万なんて全然いかず、安定していませんでした。
また、子どもを作りたいと言っていたのに、結婚後しばらくすると、「今仕事が忙しいから、子どもなんて考えられない」と冷たく突き放されました。
思い描いていた理想は、すべて崩れました。これじゃあ結婚詐欺にあったと同じです。
年収のことは、100歩譲って、お互い協力し合えばなんとかなるので、もう仕方がないことですが、子どもについては譲れません。
昔よりも、出産できる年齢が高くなっているとはいえ、出産にはタイムリミットがあります。妊活等して、努力し、出産できないのであれば、諦めもつくかもしれませんが、そもそも妊娠する行為すら、新婚なのにありません。
限界です。離婚したいのですが、離婚は可能でしょうか。
弁護士の見解
結婚前の虚偽についてはその度合いによっては婚姻を取り消しすることが可能です。とはいえ、裁判例は非常に少ないと言ってよいでしょう。さかのぼってみても、昭和13年の裁判で、月収70円(※)の男性が、月収90円と虚偽の申告をして、婚姻を取り消しの判決が下ったという事例で、現代からかなり離れています。
法律では、結婚前の重大な虚偽を知ってから3か月以内に婚姻の取り消しを求めなければいけません。
したがって、婚姻の取り消しができるどうかは、裁判所の判断によりケースバイケースになると思います。
婚姻の取り消しではなく、夫の虚偽により、離婚したいと考えた場合には、法定離婚事由に当てはまるかがまず焦点となります。
と言うのも、相手の同意なしに離婚するには下記に記載した理由がないと、離婚できないからです。
- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 3年以上生死不明
- 配偶者が強度の精神病で回復が見込めない場合
- その他婚姻を継続し難い重大な事由
今回のみかこさんのケースでは、結婚前にまりおさんが年収をかさましして伝えたこと。また、子どもを作りたいといった条件で、結婚を前提に付き合ったのに、心変わりしたことが、「その他継続し難い重大な事由」に当てはまるかどうかになります。
出会いが、婚活サイトのイベントと言うことですので、そちらの会社に保存されているまりおさんのデータの年収や、子ども希望欄に記載があり、そのデータを取得することが出来れば、一定の証明になるかもしれません。
また、結婚前に日記をつけていたようなケースで、まりおさんの年収のことや結婚後子どもを希望しているものがあると、良いと思います。
とはいえ、結婚前の虚偽を証明できるものを取得するのが難しいですし、夫婦同士で話し合いを行うと水掛け論に発展してしまう可能性があります。そこで、まずは調停を申し立てて、離婚の可否を話し合った方が良いかもしれません。
※昭和前期(戦前)の1円の貨幣価値は現代の大体、4,000円~5,000円ほどです。70円は現在の28万円~35万円のあいだ、90円は36万円~45万円となります。余談ですが、当時は物価が低いので、月収70円~90円は高給取りです。
ご利用は計画的に!~ギャンブルで生活費を使い果たす夫と離婚したい~
夫:たかし(29)
妻:ゆりこ(34)
息子:よしあき(2)
夫のたかしは、私が働くビル内にある別会社の社員でした。出勤時や退勤時、またお互い住んでいる場所が同じ沿線だったので、仲良くなり交際に発展しました。
彼の根っから明るいところや、ポジティブシンキングなところに、将来一緒にいたいと思い、私の方から逆プロポーズ。彼は了承してくれ、夫婦になりました。
二人で共同生活をはじめ、思ったことは、「金遣いが荒いな」でした。とはいえ、共働きでしたし、息子のよしあきを妊娠するまでは、「最悪なんとかなるだろう」とそこまで、強くいっていませんでした。
結婚して2年ほど経ち、息子のよしあきを出産しました。出産前、夫とお金と育児について真剣に話し合いました。
「子どもを育てるにはお金がかかること」「ギャンブルを節制し、月々2万円以内で楽しむこと」「共働きなので家事や育児を手伝ってほしいこと」
父親になるのだから、これまでのような生活はできないということを伝えました。夫は、快くうなずき、「俺も頑張る」と言ってくれました。
しかし、そんな約束はすぐに破られました。
「ギャンブルは2万円まで」という決まりは、まったく守られず、それどころか生活費用の口座に入っているお金にも手を付けました。
その都度、注意し、「子どもの将来のために貯金は絶対」と伝えましたが、その場しのぎで頷くだけ。おまけに、この前街金から、借金の督促状が届きました。
もはやこれは病気のレベルです。生活費も結局私の給料、貯金から捻出しています。
夫は、好きなだけギャンブルに投資し、あまつさえ借金までしました。もう我慢の限界でした。
そこで離婚したいことを伝えると、「離婚してもいいが、よしあきの親権は俺が持つ」とか馬鹿なこと言ってきました。一度もおむつも変えたこともないし、お風呂もいれたこともありません。もちろん保育園にも迎えにいったこともほとんどありません。
きっとお金が無いと思いますので、慰謝料とかは正直期待していませんが、養育費の取り決めをして離婚したいです。
どうすればいいかご教示いただければ幸いです。
弁護士の見解
夫婦には、生活保持義務があります。つまり生活費や教育費などを夫婦で協力して、負担するということですね。
今回のゆりこさんのケースでは、夫のたかしさんは生活費を使い込んでいると推察されます。
ギャンブルに使うために、夫婦の共同財産を使い込んだり、借金をしている場合には法定離婚事由のその他婚姻を継続し難い重大な事由に該当する可能性があります。
とはいえ、使い込みや借金理由が本当にギャンブルだけのためなのかを客観的に証明することが出来ないと、なかなか難しいです。
証拠としては、生活費用に利用している通帳の履歴や、LINE等でギャンブルにお金を利用したとわかるやり取り、もしくは動画や音声データなどが挙げられます。
また、ご心配されている親権については、母親側に育児放棄や虐待などのよほどの理由が無い限り、母親が取得できる可能性が高いです。
親権の有無は、収入や養育実績、健康状態、離婚後の養育環境などさまざまな観点から考慮されますが、根本的な考えとして「どちらの親と暮らしたら子どもが幸せになるか」です。
ゆりこさんの場合、養育実績もありますので、親権をとれる可能性は高いと思われます。
また養育費の支払いは、親としての義務です。そのため、しっかり取り決めをおこなうべきです。
離婚後、養育費の滞納や不払いの可能性が高いと感じた時には、多少お金がかかりますが、離婚協議書を強制執行文言付きの公正証書にした方が良いと思います。
強制執行文言のついた公正証書しておくと、養育費が不払いになったとき、給料差し押さえなどの強制執行をおこなえることもあります。

まとめ
今回は、夫の行動が原因で離婚したい女性の体験談とともに、弁護士の見解も紹介しました。
冒頭でもお伝えしたとおり、夫婦の離婚原因はさまざまです。またそこに至るまでの過程も理由も違います。
更に付け加えれば、ご自身を取り巻く環境も異なると思います。
したがって、「どうしても離婚したい。けれど、どの方法や手段をとればいいのか調べてもわからない」といったときには、法の専門家である弁護士に相談してみるのも手段のうちです。
お金のことが心配な方は、初回無料相談をおこなっている事務所もありますし、法テラス等を利用すれば、収入によって立替制度などが適用される場合がありますので検討してみてください。
※法テラスの立替制度に興味を持った方はこちらでご確認いただけます。
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