夫が不倫した!!!
夫はもちろん、不倫女も許せない!
慰謝料支払ってよ!と伝えると、まさかの「支払う必要あるんですか?」だって!!!
人の家庭を壊しておいて許せない!!
でも、こんな時、具体的にどんな行動を起こせばいいの??
不貞行為の慰謝料は共同責任
肉体関係のある不倫は民法770条で定められている不貞行為に当たります。
不貞行為は、法律上で離婚裁判できる事由のひとつです。
ただし、離婚で裁判請求を行うには、不貞行為によって夫婦関係が破綻したことを立証する必要があります。
夫婦関係が破綻しているとは、夫婦の関係が壊れてしまい、修復が望めない状態を指します。
また、不貞行為によって夫婦関係が破綻した場合、不法行為を理由に不貞行為を行った配偶者とその相手に損害賠償請求をすることができます。
不法行為とは、故意や過失によって他人の権利を侵害することを指します。
不法行為をされたひとは、自身の権利を侵害されたことを理由に、相手方へ損害賠償請求を行うことができます。
不貞行為では、精神的苦痛を理由として損害賠償を請求します。
不貞行為による精神的苦痛を理由とした損害賠償のことを、慰謝料と呼びます。
また不貞行為は、共同不法行為となりますので、不貞行為をした配偶者とその相手に請求することができます。
共同不法行為とは、複数のひとが共謀して、不法行為をすることです。
不貞行為の場合、配偶者以外との異性と肉体関係を持つことなので、配偶者単独では行うことができません。
そのため、慰謝料は不貞行為を行ったふたりに行うことができるのです。
少し難しいと思うので、以下の例をご確認ください。
■例1:夫が不貞行為を行ったので妻は、夫に300万円の慰謝料を請求した。また、夫の相手にも別途、300万円を請求した。
このような場合、慰謝料300万円をどちらにも請求することは可能です。
しかし、慰謝料が300万円を請求した場合、夫から300万円、不貞相手から300万円と二重取りすることは認められません。
300万円の範囲内であれば、妻は夫や不貞相手に対し、自由に金額を設定することができます。
例えば、夫100万円、不貞相手200万円を請求し、双方からそれぞれ慰謝料を取ったのであれば問題ありません。
極端な話、夫に10万、不貞相手に290万円の慰謝料を請求し、受け取るのもおかしなことではありません。
しかし、慰謝料300万円の上限を超えると、超えた部分は二重取りとなるので、法律上その部分については、認められません。
とはいえ、実際のところ、当事者同士での話し合いで慰謝料のやり取りの場合は、請求先を厳密に決めているわけではありません。
したがって、不貞行為をした双方に1000万円だとか、過度な慰謝料請求しない限り、事実上二重取りは行えます。
しかし、慰謝料をめぐり訴訟となった場合には、このような考えで慰謝料の金額が変わってくるケースもあるので、覚えておきましょう。
不倫相手が慰謝料の話し合いを拒否した場合の対処法とは?
不貞行為が発覚した場合、配偶者やその相手が素直に認め、慰謝料を支払ってくれれば良いのですが、現実的にはなかなか支払ってもらえないケースもあります。
不倫相手に慰謝料の話し合いを拒否された場合、次のようなステップがあります。
STEP1.内容証明を送る
STEP2.弁護士を交え示談交渉を行う
STEP3.裁判で争う
具体的にどのような行動を取ればいいのか、さっそく確認していきましょう。
STEP1.内容証明を送る
不倫相手に慰謝料の話し合いを拒否された場合の対処法として、内容証明が考えられます。
内容証明とは、いつどのような内容の文書が、誰から誰に送付されたかを証明する日本郵便が提供しているサービスです。
慰謝料の請求を行う場合、普通郵便ですと無視されてしまう可能性があります。
また、送ったことを証明する手立てがないので、先方から「届いていない」と言われてしまうと、送った、送っていないの水掛け論に発展してしまう可能性があります。
そのような事態を防ぐために、慰謝料の請求は内容証明を利用します。
内容証明を送った場合、相手方が取るアクションとして以下のようなことが考えられます。
- 慰謝料の支払いを了承し、連絡が来る
- 慰謝料の減額を申し出るため連絡が来る
- 慰謝料を支払わないという連絡が来る
- まったく無視される
1,2の場合、慰謝料を支払う意思や交渉しようという姿勢があるので、STEP2の示談交渉を行える余地があるでしょう。
3、4については支払う意思がないため、示談交渉が成立する可能性が低く、訴訟を検討する必要がありそうです。
なお、内容証明の送付は慰謝料の請求を送ったという証拠書面にはなりますが、その書面自体が直接的に給料差し押さえ等の強制執行ができるわけではありませんので、勘違いしないようにしてください。
STEP2.弁護士を交え示談交渉を行う
内容証明を送付し、相手方から何かしらの反応があった場合、示談交渉を行うこととなります。
示談交渉は、弁護士を交えず当事者同士のみでも話し合いを行えますが、感情的になり、示談が思うように進まなかったり、法的効力の無い文書を作成してしまったりするリスクがあります。
そのため。できるのであれば、弁護士に依頼し、示談交渉を代理して行った方が良いかもしれません。
また、相手方と慰謝料の金額について合意を得た場合には、その内容を必ず示談書にする必要があります。
示談書は、大変重要な書面で、一度署名してしまうと、その後「もっと慰謝料をもらえば良かった」と思っても、取り返しがつきません。
したがって、示談する場合には、ご自身が納得するまで話し合う必要があります。
なお、慰謝料の金額に納得できず、交渉が決裂した場合には、STEP3の裁判に進むことになります。
STEP3.裁判で争う
相手方が内容証明を無視したり、慰謝料の示談交渉で折り合いが付かなかったりする場合には、裁判所に訴訟を申し立て、裁判を行うことになります。
「ん?いきなり裁判できるの?」と思った方もいるかもしれません。
確かに、夫婦同士の離婚にまつわる問題は、家庭裁判所で調停を行ってからじゃないと裁判することはできません。
そのため、不貞行為をした配偶者と離婚前提で慰謝料について争う時には、まず家庭裁判所に調停を申し立てる必要があります。
裁判前に調停を行うことを調停前置主義と言い、家族の争いはなるべく話し合いでおさめるべきと言う考えからこのような手順を踏むことになります。
しかし、不倫相手は配偶者でも何でもありません。
したがって、不倫相手に慰謝料の請求を行う場合には、地方裁判所に訴訟を申し立てることとなります。
訴訟では、裁判官が不貞行為の立証やその行為によって受けた精神的苦痛の度合い、ご自身の配偶者がすでに慰謝料を支払っていた場合には、不倫相手に過度な金額を請求していないか等さまざまな観点から、慰謝料の請求金額が適正であるかを判断し、判決を下します。
裁判で勝訴したり、有利な内容で和解等をするには、裁判官に自分の主張に正当性があるということを伝えなければいけません。
裁判官が納得するような主張をするには、多角的な観点で物事をみることと、法知識が豊富である必要があります。
したがって、裁判で慰謝料について争う時には、弁護士に依頼した方が良いでしょう。
【夫に不倫された!】不倫相手だけに慰謝料請求の裁判をしたいけど、どうすればいいの?
慰謝料の支払いを拒否されても絶対やってはいけないこと
配偶者の不倫相手に慰謝料の支払いを拒否されても、絶対にやってはいけないことがあります。
以下のような行動は、不法行為となり、不倫相手から訴訟等を起こされてしまう可能性があります。
- 内容証明は送り先を不倫相手の職場に指定してはいけない
- 不貞行為が事実であっても周囲に吹聴しない
- 内容証明には脅迫めいた言葉を使わない
具体的にどのようなことが起こりえるのか確認していきましょう。
内容証明は送り先を不倫相手の職場に指定してはいけない
内容証明の送り先を不倫相手の職場に指定した場合、職場に不倫していたことがバレてしまう恐れがあります。
不倫が周囲にバレることによって、不倫相手の名誉が傷つき、名誉毀損で損害賠償を請求される可能性があります。
弁護士に相談のうえ、職場に内容証明を送付することは問題ありませんが、個人での判断で送付するのは止めましょう。
不貞行為が事実であっても周囲に吹聴しない
不倫相手が慰謝料を支払わないからといって、不貞行為を周囲に吹聴することは避けてください。
たとえ不貞行為が事実であったとしても、周囲に吹聴することは名誉毀損にあたります。
名誉毀損というと、嘘の噂を流す風評被害のようなイメージがありますが、流した情報が事実だとしても、不倫相手から訴えられる可能性は十分にあり得ます。
そのため、安易に不貞行為を言いふらさないようにしましょう。
内容証明には脅迫めいた言葉を使わない
内容証明を送付する場合、感情的になって、脅迫めいた言葉を使わないよう注意してください。
例えば、「慰謝料支払わないなら、刺してやる」等といった、身の危険を感じるような言葉は、脅迫罪を問われる可能性があります。
いくら不倫相手だからと言って、どんなことをしても許されるわけではありませんのでご注意ください。
まとめ
今回は、不倫相手に慰謝料の支払いを拒否された場合について確認していきました。
慰謝料の支払いを拒否されると、つい感情的になってしまい、相手に制裁を加えたいと感じてしまうこともあるかもしれません。
しかし、法的な手続きではない、個人的な制裁は違法行為となるものが多いので、お気持ちは十分理解できますが、控えましょう。
そのうえで、どのような行動を取れば慰謝料を支払ってもらえるのかを考え、状況によっては弁護士への依頼を検討しましょう。
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